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「イェルは今いくつ?」
「五歳になったよ」
……我が子は既に五歳になっている。
つまり、私は五年以上眠らされていたという事実に愕然としながらも我が子との話を続ける。
「イェルはいつも何をしているの?」
「えっとね、この間、おばあ様と一緒に娼館?っていう所へ行ってきたよ!綺麗なお姉さん達が一杯いてね、一杯可愛がってくれるんだ」
イェルは初めて話す母に緊張しながらも嬉しそうな表情をして話をする。が、とても子供が行く場所ではない。義母は既に跡取りとして仕立て上げようとしているのが分かる。
イェルは確かにノア様と私に似ている。とても可愛い。将来は美男子となるのは目に見えているわ。
でも、やはり、許せない。許してはいけないと思う。
……止めなければ。
「イェル、娼館は大人が行くところよ?子供が行ってはいけないわ」
「何故?父上もよく行っているんだよ?」
私は無邪気なイェルの言葉に腹を決めた。
「そうなの?旦那様は娼館へよく行くのね?」
「イェル、違うよ、僕はそんな場所へは行かないさ」
「だって父上から毎日娼館のお姉さん達のような匂いがするよ?」
「それは、仕事で女の人を相手にしているからさ」
「ふうん」
イェルは少し疑いながらもどこか納得しているように見える。
「イェルは娼館で何をしているの?」
「うーんとね、裸のお姉さんを触っているの。胸とか触るように言われる。でもさ、僕、触りたくないんだよね。触る度にお姉さん達がニヤニヤしていてなんだか嫌なんだ」
幼い子供にそんな事をさせているのかと思うと心が痛む。
「ノア様、イェルにそんな事をさせているのですか?」
「あぁ、母上の教育に口を出すことは許されないからね」
「……気持ち悪い」
私は思わず呟いてしまった。その呟きはノア様に届く事はなかったようだ。
「ん?何かいった?」
「いえ、なにも」
ノア様も幼少期からやらされていたのだろう。だから閨事に抵抗がないのね。この子はこれから背負わされようとしている。そしてまた私のような令嬢が被害に遭う。
こんな家、潰れてしまえばいい。潰れてしまえばいいわ。
せめて、私の子にそんな事をさせたくない。この子が使い物にならなければ娼婦を娶って跡継ぎを作ればいい。私はギュッとイェルを抱きしめて耳元で囁いた。
「イェル、母は、いつまでも貴方を大切に思っていますよ。貴方の人生に影が纏わりつきませんように」
ごめんね、こんな事しか出来なくて。私は隠し持っていた短剣を握りしめ、イェルの左目を切り付け、そのまま腕に短剣を刺した。
「母上っ。痛いよっ!!」
イェルは泣き声を上げながら目を抑えてヨロヨロと後ろへ下がった。その様子を見ていたノア様が慌ててイェルの元へ行き、ハンカチで目元を押さえている。
「モア!何をするんだっ!!」
「何を言っているのか分からないわ!!私の家を陥れて私を犯して子供まで産ませて!狂っているのは貴方よ。気持ち悪いわ!あぁ、これで子供は使い物にならないでしょう?ふふっ。
悔しいわよね?せっかくの跡取りを潰されたんだもの!嫌いよ!あんたなんか大っ嫌い!死ねばいいのに!こんな家、潰れてしまえ!呪われろ!」
私はそう叫んだ後、自分の首に短剣を押し当てる。
「さようなら」
私は勢いのまま首を掻き切った。血しぶきが上がり、意識が遠のいていく。久々に声を出し、興奮していたからか痛みは感じない。
ただ力が抜けてゆっくりと床に倒れていくような感覚だけが私の中に残っている。
「……ざ、まぁ、みろ……」
ノア様が何かを叫び駆け寄ろうとする姿を最後に私の目は閉じた。お父様、お母様、アルフごめんなさい。
死ぬ前にもう一度会いたかった。
「五歳になったよ」
……我が子は既に五歳になっている。
つまり、私は五年以上眠らされていたという事実に愕然としながらも我が子との話を続ける。
「イェルはいつも何をしているの?」
「えっとね、この間、おばあ様と一緒に娼館?っていう所へ行ってきたよ!綺麗なお姉さん達が一杯いてね、一杯可愛がってくれるんだ」
イェルは初めて話す母に緊張しながらも嬉しそうな表情をして話をする。が、とても子供が行く場所ではない。義母は既に跡取りとして仕立て上げようとしているのが分かる。
イェルは確かにノア様と私に似ている。とても可愛い。将来は美男子となるのは目に見えているわ。
でも、やはり、許せない。許してはいけないと思う。
……止めなければ。
「イェル、娼館は大人が行くところよ?子供が行ってはいけないわ」
「何故?父上もよく行っているんだよ?」
私は無邪気なイェルの言葉に腹を決めた。
「そうなの?旦那様は娼館へよく行くのね?」
「イェル、違うよ、僕はそんな場所へは行かないさ」
「だって父上から毎日娼館のお姉さん達のような匂いがするよ?」
「それは、仕事で女の人を相手にしているからさ」
「ふうん」
イェルは少し疑いながらもどこか納得しているように見える。
「イェルは娼館で何をしているの?」
「うーんとね、裸のお姉さんを触っているの。胸とか触るように言われる。でもさ、僕、触りたくないんだよね。触る度にお姉さん達がニヤニヤしていてなんだか嫌なんだ」
幼い子供にそんな事をさせているのかと思うと心が痛む。
「ノア様、イェルにそんな事をさせているのですか?」
「あぁ、母上の教育に口を出すことは許されないからね」
「……気持ち悪い」
私は思わず呟いてしまった。その呟きはノア様に届く事はなかったようだ。
「ん?何かいった?」
「いえ、なにも」
ノア様も幼少期からやらされていたのだろう。だから閨事に抵抗がないのね。この子はこれから背負わされようとしている。そしてまた私のような令嬢が被害に遭う。
こんな家、潰れてしまえばいい。潰れてしまえばいいわ。
せめて、私の子にそんな事をさせたくない。この子が使い物にならなければ娼婦を娶って跡継ぎを作ればいい。私はギュッとイェルを抱きしめて耳元で囁いた。
「イェル、母は、いつまでも貴方を大切に思っていますよ。貴方の人生に影が纏わりつきませんように」
ごめんね、こんな事しか出来なくて。私は隠し持っていた短剣を握りしめ、イェルの左目を切り付け、そのまま腕に短剣を刺した。
「母上っ。痛いよっ!!」
イェルは泣き声を上げながら目を抑えてヨロヨロと後ろへ下がった。その様子を見ていたノア様が慌ててイェルの元へ行き、ハンカチで目元を押さえている。
「モア!何をするんだっ!!」
「何を言っているのか分からないわ!!私の家を陥れて私を犯して子供まで産ませて!狂っているのは貴方よ。気持ち悪いわ!あぁ、これで子供は使い物にならないでしょう?ふふっ。
悔しいわよね?せっかくの跡取りを潰されたんだもの!嫌いよ!あんたなんか大っ嫌い!死ねばいいのに!こんな家、潰れてしまえ!呪われろ!」
私はそう叫んだ後、自分の首に短剣を押し当てる。
「さようなら」
私は勢いのまま首を掻き切った。血しぶきが上がり、意識が遠のいていく。久々に声を出し、興奮していたからか痛みは感じない。
ただ力が抜けてゆっくりと床に倒れていくような感覚だけが私の中に残っている。
「……ざ、まぁ、みろ……」
ノア様が何かを叫び駆け寄ろうとする姿を最後に私の目は閉じた。お父様、お母様、アルフごめんなさい。
死ぬ前にもう一度会いたかった。
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