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セオ エンド
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「ルナ。急だけど、今日、オペラを観に行かない?友達が行けなくなって、チケットを譲って貰ったんだ。」
セオ様が見せてくれたチケットは今人気のオペラで入手困難とされているチケットだった。
「このオペラは!?是非、観に行きたいです。私、このチケットを取れず、涙していましたの。」
「良かった!では今晩迎えに行くからね。」
「楽しみに待っていますわ。」
そうとなったら急がなきゃ。我が家の馬車に乗り込み、邸へ急いで戻る。邸に戻るとすぐにテラにセオ様と一緒にオペラへ行く事を伝え、オペラに行く準備をしてもらう。
「お嬢様が婚約者候補の方とデートだなんて。旦那様に急ぎ伝えねばなりません!一大事です!今から私がルナ様の魅力を120%引き出すように着飾ってみせます。」
そう言いながらテラは別の侍女に伝え、お父様に今日、セオ様とオペラへ行く事を伝える。私はというと、テラにされるがまま。テラのお人形と化していた。
「ふぅ。これで完璧です。お嬢様、素敵です。今日の主役はやはりお嬢様しかあり得ませんわ。絶対、テラの目に間違いはございません。セオ様はきっと一目見るなり、オペラに行くのを中止しようとしますわ。」
汗だくになったテラは汗を拭きつつ、やり切った感が出ているわ。
「もうっ。テラったら。いくら何でも言い過ぎよ。セオ様はモテる方よ。綺麗な令嬢から沢山声を掛けられているし、見慣れているわ。」
テラと話をしていると、セオ様の馬車が到着し、従者はセオ様を玄関ホールへ案内してくれたようです。
私は階段上からセオ様を見つけた。セオ様は黒のタキシードに髪を上げていて、私には輝いて見えます。なんて素敵。かっこいい。見惚れてしまいますわ。
「お待たせしました。セオ様。」
私はセオ様に声を掛けましたが、セオ様は無言で私を見ています。わ、私、変な服装だったかしら??
大丈夫?と振り返り、テラを見ますが、テラは頑張って!と声に出さずにアクションしていますわ。
階段を降りて、再度、声をかけてみる。
「セオ様?」
「ルナ。なんて素敵なんだ。女神が僕の前に降りたったかと思ったよ。素敵過ぎて僕の心は鷲掴みされてしまった。こんなに素敵なルナを誰にも見せたくないな。あぁ、オペラを中止してお茶にしたほうがいい。」
テラはこうなると分かっていたのね。凄いわテラ。父もセオ様が来た事を知り、玄関ホールへやって来た。
「セオ様。せっかくのチケットなのですからオペラへ行きましょう?私、素敵なセオ様と一緒にオペラを見に行きたいです。お父様、行ってきますわ。」
「あぁ、楽しんでおいで。セオ君、ルナの事を頼んだよ。」
「は、はい!こんなに素敵なルナさんと一緒に行けるなんて光栄です。機会をいただきありがとうございます。」
馬車は会場へと到着。私達は2階のボックス席へ通された。なんて素敵なんでしょう。
「セオ様。今日はありがとうございます。私セオ様と観に来れて良かったです。」
「ルナ。まだオペラは始まってないよ?でも、僕もルナとこの場に居る事が嬉しくて仕方がない。」
オペラが始まりました。やはり人気なだけあって素晴らしい。ヒロインが窮地に立たされる場面ではドキドキ。涙も出ましたが、最後のヒロインがプロポーズされる場面では私事のように嬉しくて照れてしまいましたわ。
会場はスタンディングオベーションの嵐。私も立ち上がり拍手してしまいました。
「セオ様。本当に良いオペラでしたね。私、一杯感動致しました。・・・セオ様?」
セオ様が視界から一瞬消えたかと思い、振り返るとセオ様は薔薇の花束を持ち、私の元へ。
そしてセオ様は私に向き合い、跪く。
「ルナ・ブラウン。僕は貴方を一目見た時からキューピッドの矢に射られました。僕には貴方しかいない。これからも貴方しか見えない。どうか、私と運命を共にしていただけませんか?」
それまで鳴り止まなかった拍手が止み、一斉に視線が降り注ぐ。
「わ、私もセオ様と共に過ごしていきたいです。わ、私こそ、よ、宜しくお願いします。」
緊張で声が震える中、セオ様の手から薔薇の花束を受け取る。周りからは祝福の拍手が送られました。恥ずかしくてこればかりは顔が真っ赤になりましたわ。
オペラ座の団員達は気を利かせてくれたようで、アンコール時に祝福の歌や愛の歌を歌って下さりました。嬉しさのあまりに涙が止まりませんわ。
邸に戻るとセオ様は、お父様にプロポーズした事を報告。ルナが良いならと二つ返事で了承を得ましたの。
それから物凄い速さで婚約発表となりました。後でテラから聞いた話なのだけれど、セオ様は、私がリーヴァイ様やレオ様に取られる前にプロポーズしたかったとか、皆に私との婚約を見せつけたかった、とかどうとか。
学院を卒業して私達はすぐに結婚。セオは宰相補佐官になり、忙しくしているけれど、毎日しっかり帰ってきて家族で過ごす時間を持ってくれていますわ。
私は結婚してすぐに双子を授かり、子育てをしながら王宮内で人が足りない時に医務官として手伝いに行ってるの。
毎日、忙しく過ぎていくけれど、私、凄く幸せですわ。
【セオエンド 完】
ーーーーーーーーー
6話のルナの疑問は何処かの御令嬢とデートしていたのかと思っているようですが、
結婚後、セオ様に姉が3人居て実は姉のパシリに使われており、店を知っていた。という事を知ったルナでした。
セオ様が見せてくれたチケットは今人気のオペラで入手困難とされているチケットだった。
「このオペラは!?是非、観に行きたいです。私、このチケットを取れず、涙していましたの。」
「良かった!では今晩迎えに行くからね。」
「楽しみに待っていますわ。」
そうとなったら急がなきゃ。我が家の馬車に乗り込み、邸へ急いで戻る。邸に戻るとすぐにテラにセオ様と一緒にオペラへ行く事を伝え、オペラに行く準備をしてもらう。
「お嬢様が婚約者候補の方とデートだなんて。旦那様に急ぎ伝えねばなりません!一大事です!今から私がルナ様の魅力を120%引き出すように着飾ってみせます。」
そう言いながらテラは別の侍女に伝え、お父様に今日、セオ様とオペラへ行く事を伝える。私はというと、テラにされるがまま。テラのお人形と化していた。
「ふぅ。これで完璧です。お嬢様、素敵です。今日の主役はやはりお嬢様しかあり得ませんわ。絶対、テラの目に間違いはございません。セオ様はきっと一目見るなり、オペラに行くのを中止しようとしますわ。」
汗だくになったテラは汗を拭きつつ、やり切った感が出ているわ。
「もうっ。テラったら。いくら何でも言い過ぎよ。セオ様はモテる方よ。綺麗な令嬢から沢山声を掛けられているし、見慣れているわ。」
テラと話をしていると、セオ様の馬車が到着し、従者はセオ様を玄関ホールへ案内してくれたようです。
私は階段上からセオ様を見つけた。セオ様は黒のタキシードに髪を上げていて、私には輝いて見えます。なんて素敵。かっこいい。見惚れてしまいますわ。
「お待たせしました。セオ様。」
私はセオ様に声を掛けましたが、セオ様は無言で私を見ています。わ、私、変な服装だったかしら??
大丈夫?と振り返り、テラを見ますが、テラは頑張って!と声に出さずにアクションしていますわ。
階段を降りて、再度、声をかけてみる。
「セオ様?」
「ルナ。なんて素敵なんだ。女神が僕の前に降りたったかと思ったよ。素敵過ぎて僕の心は鷲掴みされてしまった。こんなに素敵なルナを誰にも見せたくないな。あぁ、オペラを中止してお茶にしたほうがいい。」
テラはこうなると分かっていたのね。凄いわテラ。父もセオ様が来た事を知り、玄関ホールへやって来た。
「セオ様。せっかくのチケットなのですからオペラへ行きましょう?私、素敵なセオ様と一緒にオペラを見に行きたいです。お父様、行ってきますわ。」
「あぁ、楽しんでおいで。セオ君、ルナの事を頼んだよ。」
「は、はい!こんなに素敵なルナさんと一緒に行けるなんて光栄です。機会をいただきありがとうございます。」
馬車は会場へと到着。私達は2階のボックス席へ通された。なんて素敵なんでしょう。
「セオ様。今日はありがとうございます。私セオ様と観に来れて良かったです。」
「ルナ。まだオペラは始まってないよ?でも、僕もルナとこの場に居る事が嬉しくて仕方がない。」
オペラが始まりました。やはり人気なだけあって素晴らしい。ヒロインが窮地に立たされる場面ではドキドキ。涙も出ましたが、最後のヒロインがプロポーズされる場面では私事のように嬉しくて照れてしまいましたわ。
会場はスタンディングオベーションの嵐。私も立ち上がり拍手してしまいました。
「セオ様。本当に良いオペラでしたね。私、一杯感動致しました。・・・セオ様?」
セオ様が視界から一瞬消えたかと思い、振り返るとセオ様は薔薇の花束を持ち、私の元へ。
そしてセオ様は私に向き合い、跪く。
「ルナ・ブラウン。僕は貴方を一目見た時からキューピッドの矢に射られました。僕には貴方しかいない。これからも貴方しか見えない。どうか、私と運命を共にしていただけませんか?」
それまで鳴り止まなかった拍手が止み、一斉に視線が降り注ぐ。
「わ、私もセオ様と共に過ごしていきたいです。わ、私こそ、よ、宜しくお願いします。」
緊張で声が震える中、セオ様の手から薔薇の花束を受け取る。周りからは祝福の拍手が送られました。恥ずかしくてこればかりは顔が真っ赤になりましたわ。
オペラ座の団員達は気を利かせてくれたようで、アンコール時に祝福の歌や愛の歌を歌って下さりました。嬉しさのあまりに涙が止まりませんわ。
邸に戻るとセオ様は、お父様にプロポーズした事を報告。ルナが良いならと二つ返事で了承を得ましたの。
それから物凄い速さで婚約発表となりました。後でテラから聞いた話なのだけれど、セオ様は、私がリーヴァイ様やレオ様に取られる前にプロポーズしたかったとか、皆に私との婚約を見せつけたかった、とかどうとか。
学院を卒業して私達はすぐに結婚。セオは宰相補佐官になり、忙しくしているけれど、毎日しっかり帰ってきて家族で過ごす時間を持ってくれていますわ。
私は結婚してすぐに双子を授かり、子育てをしながら王宮内で人が足りない時に医務官として手伝いに行ってるの。
毎日、忙しく過ぎていくけれど、私、凄く幸せですわ。
【セオエンド 完】
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6話のルナの疑問は何処かの御令嬢とデートしていたのかと思っているようですが、
結婚後、セオ様に姉が3人居て実は姉のパシリに使われており、店を知っていた。という事を知ったルナでした。
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