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1.運の悪い社員旅行 (受)
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二日目も観光地をいくつか回って、お土産なんかも買った。普段あまり人とつるまないけど、部長たちとワイワイお土産を選ぶのも楽しいもんだなと、ちょっと認識を改めることができた……かもしれない。
なんて、少し楽しい気分でいたのに、帰りになぜかまたバスの中のカラオケが回ってきて顔がひきつった。やんわり断ってるのに、しつこい進藤はなんなんだ……。
「榛名先輩! 昨日のと違うの歌えます? みんな期待してるんで!」
「は?」
「いや、昨日めっちゃいい声だからみんなびびってましたよ。是非お願いします」
チラッと車内を見回せば、ニコニコしながら小さく拍手している人たちが目に入る。
──え、引かれてたわけじゃない?
でも恥ずかしいことには変わりない。またしても部長からも言われてしまって、俺は人を見ないようにしながら、数少ないレパートリーの中から、昨日のとは別のラブソングを歌うことにした。
──♪
間奏の合間も、昨日とはうって変わって拍手が起こる。顔が熱い……人に注目されるのはやっぱり苦手だ。歌い終わるとささっとマイクを返して窓の外を見ていた。心臓がものすごく早く打っていて、熱くてしょうがない。
そのあとも何回かリクエストされたけど、苦手だからって断ってたらそっとしておいてくれたから助かった。
なんだかんだと騒々しいままバスは走り、日が暮れたくらいに職場にバスが着いて社員旅行はお開きになる。 職場の駐車場なのにみんな荷物を持っていて、ラフな私服で、なんか変な感じだ。
それにしても、どうも醜態を晒しただけのような気もしなくもない。原則全員参加とか言われてなかったら、行かなかったはずなのに……なんてこった。
でも、一応解散となったし、さて帰ろうかと思ったところで、なぜか進藤に呼び止められた。
「榛名先輩、これから予定あります?」
「ない、けど……。あ、夕べ酔って迷惑をかけたよな……お詫びを」
「お詫びとかどうでもいいです。カラオケ行きません? もっと歌聞きたいっす」
「苦手だし……レパートリー少ないから」
「じゃあそれ全部聞かせてください。それがお詫びとやらでいいです」
そんなふうに『それがお詫び』なんて言われてしまうと断れない。けどなぁ、酔っ払ったのは俺が悪いけど、ここまでゴリ押しされるほどなんかしたっけ?
そして二人で行ったカラオケボックスで、進藤相手にラブソングを歌う俺……意味がわからない。
以前、それなりに大事に思っていた彼女に向けて、気持ちを込めて歌っていた曲ばかりだ。きっかけは彼女が好きな歌ってことだったからだけど、自分の気持を表しているようで何度も歌ったんだ。今はその彼女も『元彼女』なわけだけど。
「あー、やっぱいい声っすね……ここに響く」
進藤が肋骨の上を人差し指でトントンしていた。ちょっと目が潤んでいて、気持ち悪……いや、うん。
ていうか、元彼女以外の前で歌ったことがなかったから、こういった評価をもらうこともなかったんだよな。俺ってそんなに上手いほうなのか? だからなんだって感じだけど。
「やっぱ恋人さんとかに歌ってるんです、よね?」
「今はいないけど、昔は」
「フリーってことですか?」
進藤が食いつきすぎで怖い。なんで自分のプライベートをこんなに聞かれているんだろう。リア充の話のネタってことか?
職場の人には今までこんなこと話したことないんだけど。
「俺なんて、そんなモテないから。彼女に振られてからはないなぁ。そういう進藤はモテるんだろ?」
「モテないわけじゃないです。すぐに人と仲良くなれるし、でも……」
おー、余裕の台詞ってやつ。わかってて聞いたから、納得でもある。ただ、なんていうか、歯切れの悪い感じだ。
「オレ、実は……不全気味で……」
「は?」
「できなかったり中折れしたりで傷つけちゃって……それでそういうの避けてたら、振られたりとかもあって……」
「不全って……ほんとに?」
若いのに不憫……っていうか、そんなこともあるんだな。俺なんか前も後ろも、いつでも足りないくらいムラムラしてるっていうのに。
俺のことはまあいいや。お悩み相談室みたいになってるのはどうしてなんだろう。それにしても、進藤みたいなやつでも悩むことがあるのかとちょっと同情してしまった。
「でも……は、は、榛名先輩! その、フリーなら……オレと、あー……付き合いませんかっ?」
「…………………………へ?」
「声、が、響くんですっ」
「意味がわから──」
「こんなの初めてで。お願いしますっ! 付き合ってください!」
めちゃくちゃかぶせ気味にお願いされちゃったけど、どういうことだよ……。え、なに? 女の子がだめだから男で……みたいな、やけっぱちとか?
進藤は今までは俺をそんな目で見たことなかったけど、この社員旅行で急に意識しだしちゃって、とか言ってジリジリと寄ってくる。あの歌声で女子社員も何人かは狙いだしてるはずだから、今日どうしても二人になりたかったとかなんとかと訴えてきて。
……おいおい。
どこに意識しだす要素があったのかわからない。歌? 声? が多少良くたって付き合うとかまで考えが飛躍するか? しかも、俺は昨夜酔って迷惑をかけたはずだ。
「あ、と……謝らないといけなくて……」
「謝るのは俺の方では?」
「いえ、その、えっと……そのー……あのー……」
「何……怖い」
「ご、ごめんなさい! 本当に! 我慢できなくなっちゃって……順番が逆になりました、けど……その、昨夜……抱きました」
声が出ない。進藤はなんて言った?
え、ダキマシタ? ダキマシタって「抱きました」?
抱くって、つまり……。
「はっ? はぁぁぁぁぁぁ!?」
「すいませんすいませんっ! で、でも、だって、先輩、えっちくて……」
待って待って待って待って。
俺は男をそういう目で見たことはないんだけど! アナニーは趣味として嗜んでいるだけで……。
「オレが温泉から戻ってきたら、あんな……自分で触ってるなんて……」
「ぎゃぁぁぁ!」
どうやら俺は酔って朦朧とした頭で、無意識にやらかしたようだ。進藤が言うには、俺は喘ぎながら前や後ろをいじっていて、進藤が温泉から戻ってきてるのに気づいていないのか、『とってもえっちな姿』とやらを晒していたらしい。
その声と痴態に、不全気味だったはずの進藤はフル勃起してしまい、どうしても抑えられなくてヤッてしまったとのこと。
「し……死ぬ……恥ずか死ぬ……」
「オレ以外の人に見られなくて良かったです、マジで」
いや、進藤に見られてるじゃん! ヤラれてるじゃん!
気のせいかと思ってたけど、穴がなんだかピリピリするのは……気のせいではなくて、その……掘られた、と。
待って……玩具は突っ込んでいたけど、俺は本物はバージンだったのに!
ぎゃああああ!
「お、俺は女の子が好きなんで……」
「そんなのオレもですっ! でも、今は榛名先輩のことで頭の中パンクしそうですし、どうやったって意識しかできないです……どうしてくれるんです? 無理ぃぃ! 仕事にならなかったら先輩のせいです! 付き合ってくださいよぉぉ」
半泣きで悲壮な声を上げている進藤を見ても戸惑いしかない。
だって、お前は抱いたほうだろうが! 俺は記憶になくても掘られた方なんだけど!? こういうときどうしたらいいんだ……。
でも涙目の進藤は少しだけかわいそうにも思える。昨夜たまたま勃っちゃって、その状況に興奮したってことなんだろうか。
昨日の今日で、今も混乱して思考が麻痺したまんまってところなんじゃ? 時間が経って落ち着いたら「俺を意識してる」とか、気の迷いだってわかるんじゃないか?
俺はテンパりつつも、業務中のごとく必死に分析をしていた。いや、こういうときだから、なのかもしれない。
でも、進藤は付き合ってほしいという要望を取り下げる気はなさそうだ。まいったな。
「男と付き合うとか考えたこともないんだけど、進藤がどうしてもっていうなら……うーん、お試しで期間決めて……」
「え!? 本当に!?」
「だって必死過ぎて怖いから」
俺もヤられた被害者ではあるけど、元はといえば泥酔して醜態をさらした自分が原因なわけだし、お詫びの一環としてというか。おかしな選択してる自覚はあるんだけど、どう話をまとめたらいいのかさっぱりわからない。
「えっと、ちなみにスキンシップは……」
「それはちょっと無理かな」
進藤が打ちひしがれた顔をするからつい笑ってしまった。なんだこれ。 とりあえず、お試しという名のクールダウン期間を設ければ、進藤も落ち着くだろう。それまでの辛抱だ。
そして、そんな俺を見て顔を覆ってしまう進藤……どうした?
「やばい。先輩が、めちゃくちゃ可愛く見える。もうオレだめかも……」
「進藤ってほだされやすいやつだったんだな」
それから、俺と進藤は少しだけ、ただの同僚よりは仲のいい立場で過ごしている。
でも、進藤の気持ちはクールダウン……してないっぽいのはなんでなんだ。
お試し交際って言ったって男同士なんてよくわからなくて、人目も気になるから映画見に行ったり、カラオケ行ったりだけど。あとは、お互いの家には寄ってるか……主に進藤に押し切られて。
「えっと……報告、だけど。松野さんにカラオケに誘われた」
「断りましたよね?」
「まあ、一応……今はお試しといっても進藤がいるし」
社員旅行のあとから、進藤が言ったとおり、ときどき女性陣からカラオケに誘われるようになっていた。そして、それを全部報告させられている。
最初はそんなことにはならないだろと言ったんだけど、進藤は絶対に誘われるから行かないでほしいし、ちゃんと誘われたらその都度教えてほしいなんて頼まれていたんだ。
本当にそうなったときは驚いたけど。そのときも「やっぱ、速攻で動いておいて良かったです」なんて言ってたな。
なんて、少し楽しい気分でいたのに、帰りになぜかまたバスの中のカラオケが回ってきて顔がひきつった。やんわり断ってるのに、しつこい進藤はなんなんだ……。
「榛名先輩! 昨日のと違うの歌えます? みんな期待してるんで!」
「は?」
「いや、昨日めっちゃいい声だからみんなびびってましたよ。是非お願いします」
チラッと車内を見回せば、ニコニコしながら小さく拍手している人たちが目に入る。
──え、引かれてたわけじゃない?
でも恥ずかしいことには変わりない。またしても部長からも言われてしまって、俺は人を見ないようにしながら、数少ないレパートリーの中から、昨日のとは別のラブソングを歌うことにした。
──♪
間奏の合間も、昨日とはうって変わって拍手が起こる。顔が熱い……人に注目されるのはやっぱり苦手だ。歌い終わるとささっとマイクを返して窓の外を見ていた。心臓がものすごく早く打っていて、熱くてしょうがない。
そのあとも何回かリクエストされたけど、苦手だからって断ってたらそっとしておいてくれたから助かった。
なんだかんだと騒々しいままバスは走り、日が暮れたくらいに職場にバスが着いて社員旅行はお開きになる。 職場の駐車場なのにみんな荷物を持っていて、ラフな私服で、なんか変な感じだ。
それにしても、どうも醜態を晒しただけのような気もしなくもない。原則全員参加とか言われてなかったら、行かなかったはずなのに……なんてこった。
でも、一応解散となったし、さて帰ろうかと思ったところで、なぜか進藤に呼び止められた。
「榛名先輩、これから予定あります?」
「ない、けど……。あ、夕べ酔って迷惑をかけたよな……お詫びを」
「お詫びとかどうでもいいです。カラオケ行きません? もっと歌聞きたいっす」
「苦手だし……レパートリー少ないから」
「じゃあそれ全部聞かせてください。それがお詫びとやらでいいです」
そんなふうに『それがお詫び』なんて言われてしまうと断れない。けどなぁ、酔っ払ったのは俺が悪いけど、ここまでゴリ押しされるほどなんかしたっけ?
そして二人で行ったカラオケボックスで、進藤相手にラブソングを歌う俺……意味がわからない。
以前、それなりに大事に思っていた彼女に向けて、気持ちを込めて歌っていた曲ばかりだ。きっかけは彼女が好きな歌ってことだったからだけど、自分の気持を表しているようで何度も歌ったんだ。今はその彼女も『元彼女』なわけだけど。
「あー、やっぱいい声っすね……ここに響く」
進藤が肋骨の上を人差し指でトントンしていた。ちょっと目が潤んでいて、気持ち悪……いや、うん。
ていうか、元彼女以外の前で歌ったことがなかったから、こういった評価をもらうこともなかったんだよな。俺ってそんなに上手いほうなのか? だからなんだって感じだけど。
「やっぱ恋人さんとかに歌ってるんです、よね?」
「今はいないけど、昔は」
「フリーってことですか?」
進藤が食いつきすぎで怖い。なんで自分のプライベートをこんなに聞かれているんだろう。リア充の話のネタってことか?
職場の人には今までこんなこと話したことないんだけど。
「俺なんて、そんなモテないから。彼女に振られてからはないなぁ。そういう進藤はモテるんだろ?」
「モテないわけじゃないです。すぐに人と仲良くなれるし、でも……」
おー、余裕の台詞ってやつ。わかってて聞いたから、納得でもある。ただ、なんていうか、歯切れの悪い感じだ。
「オレ、実は……不全気味で……」
「は?」
「できなかったり中折れしたりで傷つけちゃって……それでそういうの避けてたら、振られたりとかもあって……」
「不全って……ほんとに?」
若いのに不憫……っていうか、そんなこともあるんだな。俺なんか前も後ろも、いつでも足りないくらいムラムラしてるっていうのに。
俺のことはまあいいや。お悩み相談室みたいになってるのはどうしてなんだろう。それにしても、進藤みたいなやつでも悩むことがあるのかとちょっと同情してしまった。
「でも……は、は、榛名先輩! その、フリーなら……オレと、あー……付き合いませんかっ?」
「…………………………へ?」
「声、が、響くんですっ」
「意味がわから──」
「こんなの初めてで。お願いしますっ! 付き合ってください!」
めちゃくちゃかぶせ気味にお願いされちゃったけど、どういうことだよ……。え、なに? 女の子がだめだから男で……みたいな、やけっぱちとか?
進藤は今までは俺をそんな目で見たことなかったけど、この社員旅行で急に意識しだしちゃって、とか言ってジリジリと寄ってくる。あの歌声で女子社員も何人かは狙いだしてるはずだから、今日どうしても二人になりたかったとかなんとかと訴えてきて。
……おいおい。
どこに意識しだす要素があったのかわからない。歌? 声? が多少良くたって付き合うとかまで考えが飛躍するか? しかも、俺は昨夜酔って迷惑をかけたはずだ。
「あ、と……謝らないといけなくて……」
「謝るのは俺の方では?」
「いえ、その、えっと……そのー……あのー……」
「何……怖い」
「ご、ごめんなさい! 本当に! 我慢できなくなっちゃって……順番が逆になりました、けど……その、昨夜……抱きました」
声が出ない。進藤はなんて言った?
え、ダキマシタ? ダキマシタって「抱きました」?
抱くって、つまり……。
「はっ? はぁぁぁぁぁぁ!?」
「すいませんすいませんっ! で、でも、だって、先輩、えっちくて……」
待って待って待って待って。
俺は男をそういう目で見たことはないんだけど! アナニーは趣味として嗜んでいるだけで……。
「オレが温泉から戻ってきたら、あんな……自分で触ってるなんて……」
「ぎゃぁぁぁ!」
どうやら俺は酔って朦朧とした頭で、無意識にやらかしたようだ。進藤が言うには、俺は喘ぎながら前や後ろをいじっていて、進藤が温泉から戻ってきてるのに気づいていないのか、『とってもえっちな姿』とやらを晒していたらしい。
その声と痴態に、不全気味だったはずの進藤はフル勃起してしまい、どうしても抑えられなくてヤッてしまったとのこと。
「し……死ぬ……恥ずか死ぬ……」
「オレ以外の人に見られなくて良かったです、マジで」
いや、進藤に見られてるじゃん! ヤラれてるじゃん!
気のせいかと思ってたけど、穴がなんだかピリピリするのは……気のせいではなくて、その……掘られた、と。
待って……玩具は突っ込んでいたけど、俺は本物はバージンだったのに!
ぎゃああああ!
「お、俺は女の子が好きなんで……」
「そんなのオレもですっ! でも、今は榛名先輩のことで頭の中パンクしそうですし、どうやったって意識しかできないです……どうしてくれるんです? 無理ぃぃ! 仕事にならなかったら先輩のせいです! 付き合ってくださいよぉぉ」
半泣きで悲壮な声を上げている進藤を見ても戸惑いしかない。
だって、お前は抱いたほうだろうが! 俺は記憶になくても掘られた方なんだけど!? こういうときどうしたらいいんだ……。
でも涙目の進藤は少しだけかわいそうにも思える。昨夜たまたま勃っちゃって、その状況に興奮したってことなんだろうか。
昨日の今日で、今も混乱して思考が麻痺したまんまってところなんじゃ? 時間が経って落ち着いたら「俺を意識してる」とか、気の迷いだってわかるんじゃないか?
俺はテンパりつつも、業務中のごとく必死に分析をしていた。いや、こういうときだから、なのかもしれない。
でも、進藤は付き合ってほしいという要望を取り下げる気はなさそうだ。まいったな。
「男と付き合うとか考えたこともないんだけど、進藤がどうしてもっていうなら……うーん、お試しで期間決めて……」
「え!? 本当に!?」
「だって必死過ぎて怖いから」
俺もヤられた被害者ではあるけど、元はといえば泥酔して醜態をさらした自分が原因なわけだし、お詫びの一環としてというか。おかしな選択してる自覚はあるんだけど、どう話をまとめたらいいのかさっぱりわからない。
「えっと、ちなみにスキンシップは……」
「それはちょっと無理かな」
進藤が打ちひしがれた顔をするからつい笑ってしまった。なんだこれ。 とりあえず、お試しという名のクールダウン期間を設ければ、進藤も落ち着くだろう。それまでの辛抱だ。
そして、そんな俺を見て顔を覆ってしまう進藤……どうした?
「やばい。先輩が、めちゃくちゃ可愛く見える。もうオレだめかも……」
「進藤ってほだされやすいやつだったんだな」
それから、俺と進藤は少しだけ、ただの同僚よりは仲のいい立場で過ごしている。
でも、進藤の気持ちはクールダウン……してないっぽいのはなんでなんだ。
お試し交際って言ったって男同士なんてよくわからなくて、人目も気になるから映画見に行ったり、カラオケ行ったりだけど。あとは、お互いの家には寄ってるか……主に進藤に押し切られて。
「えっと……報告、だけど。松野さんにカラオケに誘われた」
「断りましたよね?」
「まあ、一応……今はお試しといっても進藤がいるし」
社員旅行のあとから、進藤が言ったとおり、ときどき女性陣からカラオケに誘われるようになっていた。そして、それを全部報告させられている。
最初はそんなことにはならないだろと言ったんだけど、進藤は絶対に誘われるから行かないでほしいし、ちゃんと誘われたらその都度教えてほしいなんて頼まれていたんだ。
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