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After care at home
安堵
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高橋は葵の身を綺麗にするとソファに腰かけ「『来い』」と自分の膝をポンと叩きながら言う。
葵はのろのろと近づき、向かい合わせになるように高橋の膝に跨ると、高橋に身体を預けるように肩口に頭を押し付けた。
高橋は目を細め、ポンポンと優しく葵の頭を撫でる。
その大きな手から与えられる温かさに、葵は、ほうっ、と息をつく。
───くそ…
先程まで自分に苦痛を与えていたのはこの男だと言うのに……、温かさを感じる瞳で見つめられ優しく撫でられると何故か温かいお湯に浸かったような安心感を感じてしまう。
ちょっと高橋の言うことをスルーして失敗しただけで、あそこまでする必要があるのか…?と疑問に思わない訳では無いが、褒美のように与えられる視線も、腕の中も、まぁ…、悪くない……。
そう思ってしまうのが腹立たしい。
そう思っていても口に出す気を削がれてしまうのだ。
それも腹立たしい。
「夜は何が食べたい」
複雑な感情を抱き悶々としている葵に、高橋が問う。
「ピザ」
「夜に?」
「ピザ!」
「……じゃあ出前頼んで、映画でも見ながら食べるか」
高橋の提案に、葵はコクリと頷いた。
「それまでゆっくり休んどけよ」
満足するまで撫でたのか、葵を丁寧にソファに下ろしながら高橋が言う。
お前のせいだろ…!?と喉元まで出かかった言葉を何とか飲み込み、葵は「うん」と返事をすると、高橋が持ってきてくれたブランケットにくるまりながらソファに横になった。
元々疲れが溜まっていた身体にはキツい追い打ちをかけられ、葵は瞼を閉じるとそのままスウッと眠りに落ちた。
葵はのろのろと近づき、向かい合わせになるように高橋の膝に跨ると、高橋に身体を預けるように肩口に頭を押し付けた。
高橋は目を細め、ポンポンと優しく葵の頭を撫でる。
その大きな手から与えられる温かさに、葵は、ほうっ、と息をつく。
───くそ…
先程まで自分に苦痛を与えていたのはこの男だと言うのに……、温かさを感じる瞳で見つめられ優しく撫でられると何故か温かいお湯に浸かったような安心感を感じてしまう。
ちょっと高橋の言うことをスルーして失敗しただけで、あそこまでする必要があるのか…?と疑問に思わない訳では無いが、褒美のように与えられる視線も、腕の中も、まぁ…、悪くない……。
そう思ってしまうのが腹立たしい。
そう思っていても口に出す気を削がれてしまうのだ。
それも腹立たしい。
「夜は何が食べたい」
複雑な感情を抱き悶々としている葵に、高橋が問う。
「ピザ」
「夜に?」
「ピザ!」
「……じゃあ出前頼んで、映画でも見ながら食べるか」
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「それまでゆっくり休んどけよ」
満足するまで撫でたのか、葵を丁寧にソファに下ろしながら高橋が言う。
お前のせいだろ…!?と喉元まで出かかった言葉を何とか飲み込み、葵は「うん」と返事をすると、高橋が持ってきてくれたブランケットにくるまりながらソファに横になった。
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