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完
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「父の意思が固いことを知っていたから、どうにか兄が自滅してくれないかと思って色々していたが、思った以上に上手く行きすぎて最初は信じられなかったよ」
「色々していたんですか?」
帰りの馬車の中、送りのために乗っていたクロードがリュシエルに教えてくれる。
「ああ。モルガナを必要以上に大事にしていたのもそのうちの一つだ。彼女を過剰に褒めれば、兄のことだ。きっと私から奪いたくなるだろうと思って」
「そんな……歪んでいます。弟から恋人を奪おうなんて」
「事実、歪んでいたんだ。……ある意味可哀想な人だよ。偉大な父と、自分より優秀な弟の圧力で、おかしくなってしまったんだろうな……。けれど、リュシーという宝を手にしておきながら、大事にしようとしないなんて自業自得としか言えない。でもおかげで、私が君と結婚するチャンスをつかめた。もう君のことは離さないつもりだから、覚悟していてくれ」
大真面目に言うクロードに、リュシエルは赤面した。
「それはきっと……どちらかというとクロード様の方が変わっているのです。私はその、以前は自分でもスナギツネに似ていると思いましたし」
「なんでだ? そもそも、スナギツネは可愛いだろう」
クロードは一向に意見を曲げる気はないようだった。
「それにしても残念だ……。リュシーはとても綺麗になったが、もうあの頃の君には会えないのは寂しいな。笑うと目が細くなって、とても可愛かったのに」
放っておけば延々と語り続けそうなクロードに、リュシエルは恥ずかしくなって話を変えることにした。
「そういえば、結局あの魔法使いの方達はどなただったんですか? 結局、最後までお名前もお顔も拝見することができませんでした」
「ああ、それはね……長くなるから、君の家に着いてから話そうか」
送ってもまだ離れないつもりのクロードに、リュシエルはまた笑みをこぼした。
「色々していたんですか?」
帰りの馬車の中、送りのために乗っていたクロードがリュシエルに教えてくれる。
「ああ。モルガナを必要以上に大事にしていたのもそのうちの一つだ。彼女を過剰に褒めれば、兄のことだ。きっと私から奪いたくなるだろうと思って」
「そんな……歪んでいます。弟から恋人を奪おうなんて」
「事実、歪んでいたんだ。……ある意味可哀想な人だよ。偉大な父と、自分より優秀な弟の圧力で、おかしくなってしまったんだろうな……。けれど、リュシーという宝を手にしておきながら、大事にしようとしないなんて自業自得としか言えない。でもおかげで、私が君と結婚するチャンスをつかめた。もう君のことは離さないつもりだから、覚悟していてくれ」
大真面目に言うクロードに、リュシエルは赤面した。
「それはきっと……どちらかというとクロード様の方が変わっているのです。私はその、以前は自分でもスナギツネに似ていると思いましたし」
「なんでだ? そもそも、スナギツネは可愛いだろう」
クロードは一向に意見を曲げる気はないようだった。
「それにしても残念だ……。リュシーはとても綺麗になったが、もうあの頃の君には会えないのは寂しいな。笑うと目が細くなって、とても可愛かったのに」
放っておけば延々と語り続けそうなクロードに、リュシエルは恥ずかしくなって話を変えることにした。
「そういえば、結局あの魔法使いの方達はどなただったんですか? 結局、最後までお名前もお顔も拝見することができませんでした」
「ああ、それはね……長くなるから、君の家に着いてから話そうか」
送ってもまだ離れないつもりのクロードに、リュシエルはまた笑みをこぼした。
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✕ もう君のことは話さない
○ もう君のことは離さない
折角のいいシーンなので、是非早めの修正をお願いいたしますm(_ _)m
>pinkmoonさん
ありがとうございます!とんでもないところで……!修正いたしました( ;ᵕ; )
誤字報告です
17ページの最初、クロードお前の王位継承権を〜になってます。
クロードでは無いと思いますm(_ _)m
ハージェスが王位継承権を剥奪されたのでは無いでしょうか…
17の冒頭部分、クロード→ハージェスですよね?