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続編 新年の呪い
新たな政党
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通信ルーム――――――――
向井達は画像を見ながら考え込んでいた。
怨霊塚の周りがかなり大きく膨れ上がっている。
その理由は槇村の演説だ。
この日、ミデンが結界を張った後に、
福永と一緒に登場し、
捨て地指示本部は盛り上がりを見せていた。
おかげで怨霊塚の周りの悪霊に負が引き込まれ、
邪念が大きく広がってしまった。
佐久間がその時の状況を説明しながら、
画像に印をつけた。
「向井さんが鎮めてくれたので、
結界は守られているんですけど、
反対にその周囲に悪霊が膨張して除去が難しい状態になってます。
今日はミデンさんの結界のお陰で、
抑えられたんですけど」
「………」
向井達はその映像を見ながら黙り込んだ。
「で、そのミデンは? 」
トリアが聞いた。
「様子を見るために北で待機するそうです。
田所さんも北に残ってます」
「そうですか」
向井がじっと見ている姿に、
「何か問題ある? 」
アートンが聞いた。
「ミデンさんが今年何か起こるって言ってたでしょう。
多分、この妄執が引き起こすのかもしれませんね」
トリア達の顔が青ざめた。
「槇村が新党を焦る理由の一つに、
黒地で人気の出てきた党があるんですよ」
「えっ? 」
「槇村の新党旗揚げの話を聞いた時に、
その党を思い出したんですけどね」
去年の夏ごろから少しずつ支持を増やしてきた、
その名も『ひとりの党』
これは父子家庭、母子家庭を中心に、
ヤングケアラーも政策に掲げている党だ。
老い先の短い老人や両親のいる子育て家庭より、
ひとり親にこそ支援の輪をと支持者を増やしてきた。
子育て支援は平等の筈だが、
実際には捨て地や下区などには不平等である。
それを政策の要に黒地では平等をと訴えている。
これは裏を返せばひとり親が多いということを意味する。
この国はあの大災害から人口は激変。
国の極秘の対策で貧民街、老人への支援は打ち切られ、
今から十年ほど前には老人と若者の数が逆転。
それでも中心地で暮らす者にとっては、
下区、貧民街の現状には無関心。
そこに住まう者達は老人に限らず、
国が推奨する姥捨て山へと自ら移動するものが増加。
現在バリアで守られている捨て地が、
国に間引きされた国民たちだ。
アートンはため息をつくと、
「こんな状況の国で選挙って意味ないと思うんだけど。
票も操作されてるって言うし」
と言った。
「そうなんですけど、
国民に選ばれたという美名のもとに、
私腹を肥やす口実が欲しいんですよ」
向井も息をついて笑った。
「問題は黒地の人間がどう動くのかですね」
佐久間も考え込んだ。
「そういえばディッセは?
こういう時にはいつもいるのに」
トリアが向井を見た。
「来週のイベントの事で黒谷君の団地にいます。
シェデムさんとアンさんもそちらに」
「あぁそうだよね。
西の怨霊塚は岸本君から連絡が来てないから、
イベントの時で問題ないのかな」
アートンが確認するように頷いた。
「動きがあるとしたら、
北と中央かもしれないわね。
ひとまず今日は綺麗に片づけたから、
アラームが鳴らなければ大丈夫でしょ。
北で動きがあれば田所さんから連絡あるだろうし、
今のうちに少し休憩しよう」
トリアはあくびをして大きく両手を伸ばすと、
皆の顔を見た。
「そうですね。田口も今の所鳴りをひそめていますから、
休息できるうちに休んでおかないと、
毒が抜けませんね」
「そうでしょう~」
トリアの言葉に向井もふぅ~と息をつくと、
四人は通信ルームを出た。
向井達は画像を見ながら考え込んでいた。
怨霊塚の周りがかなり大きく膨れ上がっている。
その理由は槇村の演説だ。
この日、ミデンが結界を張った後に、
福永と一緒に登場し、
捨て地指示本部は盛り上がりを見せていた。
おかげで怨霊塚の周りの悪霊に負が引き込まれ、
邪念が大きく広がってしまった。
佐久間がその時の状況を説明しながら、
画像に印をつけた。
「向井さんが鎮めてくれたので、
結界は守られているんですけど、
反対にその周囲に悪霊が膨張して除去が難しい状態になってます。
今日はミデンさんの結界のお陰で、
抑えられたんですけど」
「………」
向井達はその映像を見ながら黙り込んだ。
「で、そのミデンは? 」
トリアが聞いた。
「様子を見るために北で待機するそうです。
田所さんも北に残ってます」
「そうですか」
向井がじっと見ている姿に、
「何か問題ある? 」
アートンが聞いた。
「ミデンさんが今年何か起こるって言ってたでしょう。
多分、この妄執が引き起こすのかもしれませんね」
トリア達の顔が青ざめた。
「槇村が新党を焦る理由の一つに、
黒地で人気の出てきた党があるんですよ」
「えっ? 」
「槇村の新党旗揚げの話を聞いた時に、
その党を思い出したんですけどね」
去年の夏ごろから少しずつ支持を増やしてきた、
その名も『ひとりの党』
これは父子家庭、母子家庭を中心に、
ヤングケアラーも政策に掲げている党だ。
老い先の短い老人や両親のいる子育て家庭より、
ひとり親にこそ支援の輪をと支持者を増やしてきた。
子育て支援は平等の筈だが、
実際には捨て地や下区などには不平等である。
それを政策の要に黒地では平等をと訴えている。
これは裏を返せばひとり親が多いということを意味する。
この国はあの大災害から人口は激変。
国の極秘の対策で貧民街、老人への支援は打ち切られ、
今から十年ほど前には老人と若者の数が逆転。
それでも中心地で暮らす者にとっては、
下区、貧民街の現状には無関心。
そこに住まう者達は老人に限らず、
国が推奨する姥捨て山へと自ら移動するものが増加。
現在バリアで守られている捨て地が、
国に間引きされた国民たちだ。
アートンはため息をつくと、
「こんな状況の国で選挙って意味ないと思うんだけど。
票も操作されてるって言うし」
と言った。
「そうなんですけど、
国民に選ばれたという美名のもとに、
私腹を肥やす口実が欲しいんですよ」
向井も息をついて笑った。
「問題は黒地の人間がどう動くのかですね」
佐久間も考え込んだ。
「そういえばディッセは?
こういう時にはいつもいるのに」
トリアが向井を見た。
「来週のイベントの事で黒谷君の団地にいます。
シェデムさんとアンさんもそちらに」
「あぁそうだよね。
西の怨霊塚は岸本君から連絡が来てないから、
イベントの時で問題ないのかな」
アートンが確認するように頷いた。
「動きがあるとしたら、
北と中央かもしれないわね。
ひとまず今日は綺麗に片づけたから、
アラームが鳴らなければ大丈夫でしょ。
北で動きがあれば田所さんから連絡あるだろうし、
今のうちに少し休憩しよう」
トリアはあくびをして大きく両手を伸ばすと、
皆の顔を見た。
「そうですね。田口も今の所鳴りをひそめていますから、
休息できるうちに休んでおかないと、
毒が抜けませんね」
「そうでしょう~」
トリアの言葉に向井もふぅ~と息をつくと、
四人は通信ルームを出た。
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