563 / 659
続編2 北支部の戦い
鬼市のルール
しおりを挟む
「そりゃそうだ。だがな、こいつは冥王の子息だぞ。
まさか、それに手をかけようなどとは言わんよな? 」
「!! 」
鬼達が真っ青になり、牧野から離れた。
牧野は鬼が離れたのを見て、籠から女の子を抱き上げた。
見た所六、七歳の子供だ。
その時奥から凛々しい顔つきの鬼が、
野次馬をかき分けるように歩いてきた。
どうやら鬼市を仕切る元締めのようだ。
「騒がしいと思ったら、懐かしい顔を見つけた」
鬼はそう言ってクロを見た。
そして子供を守るように抱く牧野の姿に、
「こんなガキがいずれ冥王になるのか?
まぁ、この国はもう沈みかかっているからな。
丁度いいか」
と馬鹿にするように笑った。
市場では鬼ともめる牧野達を客が遠巻きに見ていた。
「おい、坊ちゃんよ。そのガキはもうここから出られんよ。
人間に売られてきたんだ」
「だったら俺がその分の金を払う」
「はははは。面白い坊ちゃんだ」
鬼は笑うと向井を見た。
「ほぉ~お前の連れにはいい男もいるんだな。
こりゃ女たちが騒ぐはずだ」
遠巻きに女達が噂を楽しむように向井を見ていた。
向井は彼女たちに微笑むと、
鬼の方に向き直り静かに頭を下げた。
「不躾をお許しください。
彼にはきちんと説明いたしますので」
「分かりゃいいさ」
鬼が頷くのを見て、向井はフゥと小さく息を吐き口を開いた。
「あの、お騒がせついでに一つご相談がございます」
「ほぉ~土足で入り込み、主導権を握ろうってか?
俺達相手にいい度胸じゃないか」
鬼は皮肉ともとれる笑みを浮かべると言った。
「輪鬼よ。その辺で勘弁してくれ。
冥界人は俺達とは違うんだ。
特に牧野はすれちゃいないんだよ」
「冥王に甘やかされてるってわけだ」
彼はそう言うと牧野を振り返った。
「で、あんたは俺に何をくれるんだ? 」
と今度は向井を見た。
「何も」
その一言に輪鬼は片眉をあげた。
向井はその顔つきに安心した様子で話し始めた。
「私も肉を食します。
あなた方もそれと同じく魂を食する。
これを止めることはできません」
その言葉にその場にいる者達の表情が変わった。
「あんた面白いね~輪鬼の人には敵わないけど、
度胸のあるいい男は好きだよ」
奥から気の強そうな鬼が歩いてきた。
「お前が口を出すことじゃねえだろ」
「いいじゃないの。いい男が困ってる姿に、
女心は揺れるんだよ」
美しい橋姫は笑うと、
「で、何を手土産にするんだい? 」
と向井に聞いた。
「私の一存で今、決定づけることはできませんが、
現在、衣領樹が動いております。
冥王の許可が取れましたらそちらをお渡しします」
まさか、それに手をかけようなどとは言わんよな? 」
「!! 」
鬼達が真っ青になり、牧野から離れた。
牧野は鬼が離れたのを見て、籠から女の子を抱き上げた。
見た所六、七歳の子供だ。
その時奥から凛々しい顔つきの鬼が、
野次馬をかき分けるように歩いてきた。
どうやら鬼市を仕切る元締めのようだ。
「騒がしいと思ったら、懐かしい顔を見つけた」
鬼はそう言ってクロを見た。
そして子供を守るように抱く牧野の姿に、
「こんなガキがいずれ冥王になるのか?
まぁ、この国はもう沈みかかっているからな。
丁度いいか」
と馬鹿にするように笑った。
市場では鬼ともめる牧野達を客が遠巻きに見ていた。
「おい、坊ちゃんよ。そのガキはもうここから出られんよ。
人間に売られてきたんだ」
「だったら俺がその分の金を払う」
「はははは。面白い坊ちゃんだ」
鬼は笑うと向井を見た。
「ほぉ~お前の連れにはいい男もいるんだな。
こりゃ女たちが騒ぐはずだ」
遠巻きに女達が噂を楽しむように向井を見ていた。
向井は彼女たちに微笑むと、
鬼の方に向き直り静かに頭を下げた。
「不躾をお許しください。
彼にはきちんと説明いたしますので」
「分かりゃいいさ」
鬼が頷くのを見て、向井はフゥと小さく息を吐き口を開いた。
「あの、お騒がせついでに一つご相談がございます」
「ほぉ~土足で入り込み、主導権を握ろうってか?
俺達相手にいい度胸じゃないか」
鬼は皮肉ともとれる笑みを浮かべると言った。
「輪鬼よ。その辺で勘弁してくれ。
冥界人は俺達とは違うんだ。
特に牧野はすれちゃいないんだよ」
「冥王に甘やかされてるってわけだ」
彼はそう言うと牧野を振り返った。
「で、あんたは俺に何をくれるんだ? 」
と今度は向井を見た。
「何も」
その一言に輪鬼は片眉をあげた。
向井はその顔つきに安心した様子で話し始めた。
「私も肉を食します。
あなた方もそれと同じく魂を食する。
これを止めることはできません」
その言葉にその場にいる者達の表情が変わった。
「あんた面白いね~輪鬼の人には敵わないけど、
度胸のあるいい男は好きだよ」
奥から気の強そうな鬼が歩いてきた。
「お前が口を出すことじゃねえだろ」
「いいじゃないの。いい男が困ってる姿に、
女心は揺れるんだよ」
美しい橋姫は笑うと、
「で、何を手土産にするんだい? 」
と向井に聞いた。
「私の一存で今、決定づけることはできませんが、
現在、衣領樹が動いております。
冥王の許可が取れましたらそちらをお渡しします」
2
あなたにおすすめの小説
完結 王族の醜聞がメシウマ過ぎる件
音爽(ネソウ)
恋愛
王太子は言う。
『お前みたいなつまらない女など要らない、だが優秀さはかってやろう。第二妃として存分に働けよ』
『ごめんなさぁい、貴女は私の代わりに公儀をやってねぇ。だってそれしか取り柄がないんだしぃ』
公務のほとんどを丸投げにする宣言をして、正妃になるはずのアンドレイナ・サンドリーニを蹴落とし正妃の座に就いたベネッタ・ルニッチは高笑いした。王太子は彼女を第二妃として迎えると宣言したのである。
もちろん、そんな事は罷りならないと王は反対したのだが、その言葉を退けて彼女は同意をしてしまう。
屈辱的なことを敢えて受け入れたアンドレイナの真意とは……
*表紙絵自作
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。
すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。
だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。
イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。
変わり果てた現実を前に、
夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。
深い後悔と悲しみに苛まれながら、
失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。
しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。
贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。
そして、母の心を知っていく子供たち。
イネスが求める愛とは、
そして、幸せとは――。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
何もしない公爵夫人ですが、なぜか屋敷がうまく回っています
鷹 綾
恋愛
辺境公爵カーネル・クリスの妻となったフィレ・バーナード。
けれど彼女は、屋敷を仕切ることも、改革を行うことも、声高に意見を述べることもしなかった。
指示を出さない。
判断を奪わない。
必要以上に関わらない。
「何もしない夫人」として、ただ静かにそこにいるだけ。
それなのに――
いつの間にか屋敷は落ち着き、
使用人たちは迷わなくなり、
人は出入りし、戻り、また進んでいくようになる。
誰かに依存しない。
誰かを支配しない。
それでも確かに“安心できる場所”は、彼女の周りに残っていた。
必要とされなくてもいい。
役に立たなくてもいい。
それでも、ここにいていい。
これは、
「何もしない」ことで壊れなかった関係と、
「奪わない」ことで続いていった日常を描く、
静かでやさしい結婚生活の物語。
転生皇女セラフィナ
秋月真鳥
恋愛
公爵家のメイド・クラリッサは、幼い主君アルベルトを庇って十五歳で命を落とした。
目覚めたとき、彼女は皇女セラフィナとして生まれ変わっていた——死の、わずか翌日に。
赤ん坊の身体に十五歳の記憶を持ったまま、セラフィナは新しい人生を歩み始める。
皇帝に溺愛され、優しい母に抱かれ、兄に慈しまれる日々。
前世で冷遇されていた彼女にとって、家族の愛は眩しすぎるほどだった。
しかし、セラフィナの心は前世の主・アルベルトへの想いに揺れ続ける。
一歳のお披露目で再会した彼は、痩せ細り、クラリッサの死を今も引きずっていた。
「わたしは生涯結婚もしなければ子どもを持つこともない。わたしにはそんな幸福は許されない」
そう語るアルベルトの姿に、セラフィナは決意する。
言葉も満足に話せない。自由に動くこともできない。前世の記憶を明かすこともできない。
それでも、彼を救いたい。彼に幸せになってほしい。
転生した皇女が、小さな身体で挑む、長い長い物語が始まる。
※ノベルアップ+、小説家になろうでも掲載しています。
【完】あの、……どなたでしょうか?
桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー
爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」
見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は………
「あの、……どなたのことでしょうか?」
まさかの意味不明発言!!
今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!!
結末やいかに!!
*******************
執筆終了済みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる