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番外編 動き出す
魔境との戦い
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「中央区と北、西の中心地は真っ黒だからね。
まともな人も周りの陰にやられて、
死亡者も増えてるでしょ。
今までは多少なりとも光はあったのよ。
でも今はそれすら灯。
牧野には可哀想だけど、
その光の灯の地だけ、
悪霊退治してもらってるの」
「人食いビルに近いアーケードやその近辺にも、
点々とだけど光はあるの。
それもなくなったら本当の魔境になっちゃうでしょ」
トリアと弥生が説明した。
「このあと神様が結界を強化してくれるので、
俺達も捨て地の人が希望を捨てないでくれれば、
それに答えてお手伝いします。
牧野君もヘロヘロになっても働いてもらいます」
向井が平然と言って笑う様子に、
「なんか笑いながら恐ろしいこと言ってんだけど」
黒谷の顔が引きつる笑顔になった。
「まあしょうがないのよ。打つ手がないんだもん。
黒谷君も死んだ後は特例になってもらうよ」
「へっ? 」
素っ頓狂な声を出すとトリアを見た。
「その魂だもん。当然でしょう。
冥王だってそのつもりでいるよ」
「よかったじゃないですか。
死んだ後の就職先も決まって」
向井の言葉にトリアと弥生が笑った。
「みんなは若いからいいけど、
年取ってそんなきつい仕事ヤダよ」
「大丈夫よ。源じいは八十代だけど、
お仕事してるもの」
弥生が笑顔で言うと、
「そういえばちびちゃん連れて、
よくここに来てるもんな」
「でしょ。霊銃も訓練してるから、
ここに来るたび、
小さな負は片づけて綺麗にしてるのよ」
とトリアが黒谷を見た。
「それに、弥生ちゃんとお仕事できますよ。
田所さんと同じで、
特例もそのまま継続で働かされてますからね」
「!! 」
向井の言葉に黒谷が笑顔になる。
弥生は苦笑しながらカップに口を付けた。
「でもやっぱヤダよ。弥生ちゃんは若いけど、
俺おじいちゃんじゃん」
黒谷はむくれて珈琲を飲んだ。
向井達が笑うと、
「まあ、黒谷君が特例になる頃は、
私が消えてるかもしれないしね」
とトリアが言い、黒谷が驚いた。
「えっ? いなくなっちゃうの? 」
「死神にだって寿命はあるからね。
人間みたいに短命じゃないだけ」
口をすぼめる黒谷を見て、
「大丈夫だと思いますよ。
ニットンさんの話では、
ハンマーで叩いても、
トリアさんの核は壊せないそうですから」
「えっ? そうなの? ヤダ~
やっぱりあの汚らしい前冥王の核だから? 」
トリアが向井を見て悲鳴を上げた。
「よかったじゃないですか。
黒谷君が特例になってもトリアさんはいますよ」
「なんか複雑………」
ため息をつく黒谷に向井達は笑った。
次の日――――――――
向井と牧野、エナトとシェデム、エハがアーケードにいた。
式神課の仕事も忙しいのと、
今日は黒谷のキッチンカーに、
ディッセとアートンが一緒に出掛けて行った。
少しだけキャラクターのグッズ販売もするので、
その調査も兼ねているようだ。
アーケードでは未だ開発反対の看板があるが、
中に足を踏み入れると、
かなりの個人営業のお店が消えていた。
「ここはレギュラーチェーンは残ってるけど、
大臣が脅しをかけるような法案を通してるから、
個人の店舗は出られるうちにと、
それぞれ捨て地に移って行ったから、
今やこんな状態」
シェデムがため息まじりに話した。
「ポップアップストアの店舗はまだやっているの? 」
エハが聞いた。
「一応、予約があるうちはって言ってた。
せっかく軌道に乗ってきたのにね」
「ここはそれほど酷くないから、
俺とシェデムで除去して結界張るよ。
向井さん達は人食いビルをお願い」
エナトが言った。
「わかりました」
向井は返事をすると牧野とエハと歩き出した。
まともな人も周りの陰にやられて、
死亡者も増えてるでしょ。
今までは多少なりとも光はあったのよ。
でも今はそれすら灯。
牧野には可哀想だけど、
その光の灯の地だけ、
悪霊退治してもらってるの」
「人食いビルに近いアーケードやその近辺にも、
点々とだけど光はあるの。
それもなくなったら本当の魔境になっちゃうでしょ」
トリアと弥生が説明した。
「このあと神様が結界を強化してくれるので、
俺達も捨て地の人が希望を捨てないでくれれば、
それに答えてお手伝いします。
牧野君もヘロヘロになっても働いてもらいます」
向井が平然と言って笑う様子に、
「なんか笑いながら恐ろしいこと言ってんだけど」
黒谷の顔が引きつる笑顔になった。
「まあしょうがないのよ。打つ手がないんだもん。
黒谷君も死んだ後は特例になってもらうよ」
「へっ? 」
素っ頓狂な声を出すとトリアを見た。
「その魂だもん。当然でしょう。
冥王だってそのつもりでいるよ」
「よかったじゃないですか。
死んだ後の就職先も決まって」
向井の言葉にトリアと弥生が笑った。
「みんなは若いからいいけど、
年取ってそんなきつい仕事ヤダよ」
「大丈夫よ。源じいは八十代だけど、
お仕事してるもの」
弥生が笑顔で言うと、
「そういえばちびちゃん連れて、
よくここに来てるもんな」
「でしょ。霊銃も訓練してるから、
ここに来るたび、
小さな負は片づけて綺麗にしてるのよ」
とトリアが黒谷を見た。
「それに、弥生ちゃんとお仕事できますよ。
田所さんと同じで、
特例もそのまま継続で働かされてますからね」
「!! 」
向井の言葉に黒谷が笑顔になる。
弥生は苦笑しながらカップに口を付けた。
「でもやっぱヤダよ。弥生ちゃんは若いけど、
俺おじいちゃんじゃん」
黒谷はむくれて珈琲を飲んだ。
向井達が笑うと、
「まあ、黒谷君が特例になる頃は、
私が消えてるかもしれないしね」
とトリアが言い、黒谷が驚いた。
「えっ? いなくなっちゃうの? 」
「死神にだって寿命はあるからね。
人間みたいに短命じゃないだけ」
口をすぼめる黒谷を見て、
「大丈夫だと思いますよ。
ニットンさんの話では、
ハンマーで叩いても、
トリアさんの核は壊せないそうですから」
「えっ? そうなの? ヤダ~
やっぱりあの汚らしい前冥王の核だから? 」
トリアが向井を見て悲鳴を上げた。
「よかったじゃないですか。
黒谷君が特例になってもトリアさんはいますよ」
「なんか複雑………」
ため息をつく黒谷に向井達は笑った。
次の日――――――――
向井と牧野、エナトとシェデム、エハがアーケードにいた。
式神課の仕事も忙しいのと、
今日は黒谷のキッチンカーに、
ディッセとアートンが一緒に出掛けて行った。
少しだけキャラクターのグッズ販売もするので、
その調査も兼ねているようだ。
アーケードでは未だ開発反対の看板があるが、
中に足を踏み入れると、
かなりの個人営業のお店が消えていた。
「ここはレギュラーチェーンは残ってるけど、
大臣が脅しをかけるような法案を通してるから、
個人の店舗は出られるうちにと、
それぞれ捨て地に移って行ったから、
今やこんな状態」
シェデムがため息まじりに話した。
「ポップアップストアの店舗はまだやっているの? 」
エハが聞いた。
「一応、予約があるうちはって言ってた。
せっかく軌道に乗ってきたのにね」
「ここはそれほど酷くないから、
俺とシェデムで除去して結界張るよ。
向井さん達は人食いビルをお願い」
エナトが言った。
「わかりました」
向井は返事をすると牧野とエハと歩き出した。
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