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番外編 騒ぐ下界
天上界へ
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天上界に出向いた向井達は、
そのまま本殿に向かった。
花の香、鳥のさえずり、
美しい光景が広がっている。
いつもながらの眩しすぎる景色に、
向井とトリアが顔を見合わせて笑った。
「この感じ。いつまでたっても慣れないわね」
「そうですよね」
二人の会話に冥王が顔を顰めながら片笑んだ。
屋敷に着くと尊神達が、
嬉しそうに近づいてきた。
「おぉ~向井ではないか。よぅ来たの~」
「これからお茶にしようとしていたところだ」
はしゃぐ様子の神々に、
「では、こちらを」
向井がケーキの箱を側仕えに渡した。
天上界に来るという事で、
神様たちがお気に入りのケーキを、
急遽用意すると持ってきた。
「いつもすまんの~」
「いいえ。この前伺った時に、
このケーキを喜ばれていましたので、
今回は味の違うものをお持ち致しました」
「ほぉ~では早速皆で頂こう。
トリアも一緒にどうじゃ? 」
神の一人が満面の笑みで話すと、
向井の横に立つ冥王を見た。
「そなたは、はよぅいかれよ。
今日は天照大御神様が話を聞かれるそうじゃ」
尊神達が手をぞんざいに振った。
向井は困った様子で笑うと
冥王は不機嫌そうな顔で、
案内人に連れられ歩いて行った。
「今日はカードゲームをしておったんだよ」
「カードゲームですか? 」
向井が神様たちとサロンに向かいながら話を聞く。
「この前安達にカードをもらっての。
それがバトルカードでな。
対戦してカードを集めるんじゃ。
面白いぞ」
「私はカードと言ったら、
トランプくらいしかできません」
向井が笑いながら言う。
そんな姿を後ろから見ていたトリアが微笑んだ。
向井君は本当に不思議な人だ。
自然と輪の中にいて、
気がつくと隣にいる。
いい意味で懐に入るのが上手い。
空気を読みながら相手をフォローし、
安心させる笑顔に神様も魅了される。
詐欺師の典型なんだけど、
向井君には裏表がない。
真面目過ぎるくらい穏健だ。
だから今の冥界には、
なくてはならない存在なのだろう。
トリアは小さく息をついて笑うと、
サロンへと向かった。
大広間に通された冥王は、
上段の間まで進むと裾を広げその場に座った。
一礼して天照大御神の顔を動じることなく見た。
その様子にアマテラスは片眉をあげると、
突然笑い出した。
広い部屋に笑い声が響き渡る。
「そなたは変わらぬな。
私も下界の事は聞き及んでおる。
誠に人間は醜い。
が、しかし私も鬼ではない。
そなたの願い………聞き届けよう」
「心より感謝いたします」
冥王が深く頭を下げた。
「私がそなたをここに呼んだのは、
分かっておろう」
天照大御神は脇息に肘をつくと、
冥王をじっと見た。
「はて、何のことでございましょう」
すっとぼけるしぐさの冥王に天照大御神が笑う。
「ふん。まぁいい。
私の一存で許可したことだからな。
だが、いずれ返してもらおうぞ」
冥王は何も言わずに微笑むと、
頭を静かに下げた。
そんな向井達が天上界から戻ると、
チビ達が走ってきた。
「どこにいってたの? 」
こんが走ってくると泣きそうな顔で抱きついた。
「何も言わずに姿を消したから、
こんが大騒ぎして。
クロウ達もうるさかったのよ」
弥生が後からチビと一緒に歩いてきた。
「すいませんね。急用でちょっと天上界に」
向井は申し訳なさそうに言うと、
抱きつくこんを抱き上げた。
「ずるい~」
他のチビ達がブーブー文句を言うのを見て、
「そうだ。毘沙のじいじからお土産貰いましたよ。
夕食の後にデザートで頂きましょう」
向井は笑顔で手にしていた袋を弥生に渡した。
そのまま本殿に向かった。
花の香、鳥のさえずり、
美しい光景が広がっている。
いつもながらの眩しすぎる景色に、
向井とトリアが顔を見合わせて笑った。
「この感じ。いつまでたっても慣れないわね」
「そうですよね」
二人の会話に冥王が顔を顰めながら片笑んだ。
屋敷に着くと尊神達が、
嬉しそうに近づいてきた。
「おぉ~向井ではないか。よぅ来たの~」
「これからお茶にしようとしていたところだ」
はしゃぐ様子の神々に、
「では、こちらを」
向井がケーキの箱を側仕えに渡した。
天上界に来るという事で、
神様たちがお気に入りのケーキを、
急遽用意すると持ってきた。
「いつもすまんの~」
「いいえ。この前伺った時に、
このケーキを喜ばれていましたので、
今回は味の違うものをお持ち致しました」
「ほぉ~では早速皆で頂こう。
トリアも一緒にどうじゃ? 」
神の一人が満面の笑みで話すと、
向井の横に立つ冥王を見た。
「そなたは、はよぅいかれよ。
今日は天照大御神様が話を聞かれるそうじゃ」
尊神達が手をぞんざいに振った。
向井は困った様子で笑うと
冥王は不機嫌そうな顔で、
案内人に連れられ歩いて行った。
「今日はカードゲームをしておったんだよ」
「カードゲームですか? 」
向井が神様たちとサロンに向かいながら話を聞く。
「この前安達にカードをもらっての。
それがバトルカードでな。
対戦してカードを集めるんじゃ。
面白いぞ」
「私はカードと言ったら、
トランプくらいしかできません」
向井が笑いながら言う。
そんな姿を後ろから見ていたトリアが微笑んだ。
向井君は本当に不思議な人だ。
自然と輪の中にいて、
気がつくと隣にいる。
いい意味で懐に入るのが上手い。
空気を読みながら相手をフォローし、
安心させる笑顔に神様も魅了される。
詐欺師の典型なんだけど、
向井君には裏表がない。
真面目過ぎるくらい穏健だ。
だから今の冥界には、
なくてはならない存在なのだろう。
トリアは小さく息をついて笑うと、
サロンへと向かった。
大広間に通された冥王は、
上段の間まで進むと裾を広げその場に座った。
一礼して天照大御神の顔を動じることなく見た。
その様子にアマテラスは片眉をあげると、
突然笑い出した。
広い部屋に笑い声が響き渡る。
「そなたは変わらぬな。
私も下界の事は聞き及んでおる。
誠に人間は醜い。
が、しかし私も鬼ではない。
そなたの願い………聞き届けよう」
「心より感謝いたします」
冥王が深く頭を下げた。
「私がそなたをここに呼んだのは、
分かっておろう」
天照大御神は脇息に肘をつくと、
冥王をじっと見た。
「はて、何のことでございましょう」
すっとぼけるしぐさの冥王に天照大御神が笑う。
「ふん。まぁいい。
私の一存で許可したことだからな。
だが、いずれ返してもらおうぞ」
冥王は何も言わずに微笑むと、
頭を静かに下げた。
そんな向井達が天上界から戻ると、
チビ達が走ってきた。
「どこにいってたの? 」
こんが走ってくると泣きそうな顔で抱きついた。
「何も言わずに姿を消したから、
こんが大騒ぎして。
クロウ達もうるさかったのよ」
弥生が後からチビと一緒に歩いてきた。
「すいませんね。急用でちょっと天上界に」
向井は申し訳なさそうに言うと、
抱きつくこんを抱き上げた。
「ずるい~」
他のチビ達がブーブー文句を言うのを見て、
「そうだ。毘沙のじいじからお土産貰いましたよ。
夕食の後にデザートで頂きましょう」
向井は笑顔で手にしていた袋を弥生に渡した。
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