『アンダーワールド・続編』冥王VS人間~魑魅魍魎の戦が今始まる~

八雲翔

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続編2 狙われる白狐

黒地に残る神社

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簡単に悪霊退治を済ませると、

更に奥へと進んだ。

町には日本語の看板があるところを見ると、

一応日本なのだろう。

住民の数は少ないが、

外国人に占拠されていないので、

うまみのある土地ではないようだ。

「大災害から取り残されてるのかな。

地割れしたままだね」

「ここ出身の議員はいないようですね。

危険な土地ですし、

住むには適さないんでしょう」

新田と向井は町並みを見渡しながら話した。

最低限のライフラインはあるらしく、

生活は出来ているようだ。

昔の過疎化した村に近いが、

人口も多く老若男女が生活していた。

「下区みたいだね」

新田がスマートゴーグルスマゴ姿の若者を、

不思議そうに見ていた。

向井がバングルを開くと、

「別に保護マークがないので、

観察対象になりますね」

と言い神社に向かった。


神社はすでにさびれていて、

辛うじて鳥居が立っていた。

災害から崩れたまま復興もされていない。

「これは酷いな。ここの住民は誰も近寄らないんだね」

新田も顔を顰め、頭を下げると鳥居をくぐった。

向井は土に触れると、

「こんな状態でも神の想いは少し感じられます」

「えっ? 」

新田が驚いて振り返った。

「恐らく災害が起こるまでは、

ここにも宮司がいたんでしょうね。

今の住民は以前から住まわれているというより、

中心部から移動してきたものが多いようです」

向井はバングルから送られた画像を見ながら言った。

住民の魂にはそれぞれの出身国、出身地が刻まれている。

「ということは追い出されてここに来たって事? 」

「みたいですね」

「捨て地には移住できなかったんだ」

「そう………なりますね。魂が黒いままですから、

利己主義な人間が多いんでしょうね」

浮かぶ画像を見つめながら向井が説明した。

「だったら神社の復興なんてしないか」

新田は笑うと社を確認した。

「既に神もいませんし………あ………」

向井はそこまで言ってタバコの吸い殻を見て苦い顔をした。

「不良のたまり場なんでしょうか」

「ホントだ。この銘柄だと………三十代位かな。

若者じゃないね」

新田が屈むとタバコを見て言った。

そんな二人が神社に入った姿が見えたのか、

一人の男が仲間と話していた輪からこちらを見た。

「俺達の姿が見えてるのか」

新田が向井を見た。

「姿を消しても霊感のある人に見えちゃうんですね」

「だけど帯刀さん並みの霊感じゃなきゃ無理でしょ? 

という事はあれは能力高い人間てこと? 」

「そういうのが一番厄介なんですよ。

しかも黒地の人間ですからね。

これからは霊玉で二重に膜を張らないと」

「そうすれば絶対に見えない? 」

「と冥王には言われました」

「それでも見えたら? 」

「もう人間じゃないでしょう? 」

「えっ? 悪魔? 」

「それか他の国から来ている死神だと思います」

「そうか」

二人は声をあげて笑った。

そんな姿をじっと見ていた男は眉間にシワを寄せた。

あれ? どこかで見た顔………!? 新田涼? えっ?

彼は驚くと近くにいた仲間に声をかけた。

「なぁ? あそこにいるの新田涼じゃねえ? 」

「新田? あいつは死んでるだろ? 」

「新田涼の幽霊? だったらあたし見たい~

いい男の幽霊なら怖くないもん」

彼らは笑うとどこ~と男の指さす神社を振り返った。

「えっ誰もいないじゃん」

えっ? 見えてるのは俺だけ? 

じゃあ、あれは本物の幽霊………?

向井達はいたずら心で瞬間移動すると、

男の目の前に現れた。

幽霊だ。新田涼の幽霊………

誰にも見えない二人の姿に男は気を失った。

「えっ? ナオキ? ちょっと!! 」

「なんだよ。本当に幽霊見たのかよ」

その場にいた仲間たちが慌てた様子で、

彼をのぞき込んだ。

向井と新田は笑うとその場を去った。
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