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続編2 狙われる白狐
山口と安田は?
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「で、どうするんですか? 」
安田が山口を見た。
「ど、どうする? そりゃおんしの仕事やろう!! 」
がなり立てる山口にうるさそうに顔を顰めると、
「俺はただの見習い。
あんたらの仕事でしょ。
俺自身海外で移民問題の渦中にいたから、
イヤなんですよね。
俺が住んでた国は60%以上が移民で、
そこに住んでる自国民は40%いませんでしたよ」
安田の話に山口だけでなく向井達も驚いて聞いていた。
「じいちゃんがうるさく言う理由が、
帰国して分かったけど、
あんたらこんな状況でも全然気にしてないでしょう。
うちの親もそうだけど、階級区で平気で暮らして、
国民の事なんか考えてもいない。
黒地国民もそう。
反吐が出るんですけど」
ディッセがその話に笑いをこらえて、
呆然としている山口を見た。
「俺はこの国を変えようなんて気はないよ。
ここまで悪化させられたらもう無理。
すでに日本じゃないから。
でも、捨て地は気になってたんで、
帰国してすぐに入ろうとしたんだよね」
「!! 」
その話には山口の顔色が変わった。
「ど、どうやった? 」
「どうって、俺も弾き飛ばされましたからね。
病院送りにならなかっただけマシだったけど、
俺も神には認めてもらえない人間てことでしょう。
よくわかりました」
平然と言って笑う安田に向井達は清々しさすら感じた。
そんな山口達の言い合う間も、
外国人の喚き声が響いている。
「この日常が黒地では普通なんだよね。
なんで怒鳴るんだろうね」
キャトルもうるさそうに苦い顔をした。
「昔はスパイ選別って言ってましたけどね」
「何それ? 」
キャトルが向井を見た。
「要するに大きな声で話すことで、
私にやましいことはありませんって証明するんですよ。
聞かれたくないことは小声で話すでしょ?
もう、何十年も前に最初のSNS法が出来た時に、
国中に監視カメラと盗聴器が付けられたんですが、
それを国が好きに利用する法律です。
室内も室外もどこからでも国民を監視できるので、
その法案を可決しようと動いていたことがあったんです」
「ひえ~」
キャトルの驚く顔に向井とディッセが笑った。
「その頃からメディアの偏向報道が酷くなって、
新しく法案を通す時には、
どうでもいいようなエンタメを流してたんです。
俺も特別室担当で大沢に同じようなことを提言してるので、
こうやって働くことは一種の罪滅ぼしですね」
向井は笑うと、
「ただ、SNSも多くなってきた時代もあって、
国のやり方に諍う国民もいて、
直ぐに拡散されたんです。
さすがにメディアも誤魔化せなくなったのか、
報道せざるを得なくなって今に至ってます」
「でも監視システムでドローンは飛んでるよ」
キャトルが空を動き回る機械を見ながら話した。
「それは長い年月をかけて娯楽脳になってるからだろ。
ドローンには爆薬も積まれてるからね。
海外製品を使うってことはそう言う事なんだよ。
いざとなったら皆殺しできる。
今だってTVやスマゴ、タブレットの機種によっては、
国民は電源が入っている間は監視されてるからね」
「えっ? 」
キャトルが声をあげる。
「日本はもうそういう国なんだよ。
だから日本人ばかりヘイト法で逮捕されてるんだろう。
捨て地のおかげで一部の国民は助かったけどね」
「………こうやって見てると、
黒地の同調圧力って殺人だよな。
悪人であればあるほどヒーローになれるって、
やっぱおかしいよ」
「そうですね」
向井も騒ぎが大きくなる集団を見つめながら呟いた。
安田が山口を見た。
「ど、どうする? そりゃおんしの仕事やろう!! 」
がなり立てる山口にうるさそうに顔を顰めると、
「俺はただの見習い。
あんたらの仕事でしょ。
俺自身海外で移民問題の渦中にいたから、
イヤなんですよね。
俺が住んでた国は60%以上が移民で、
そこに住んでる自国民は40%いませんでしたよ」
安田の話に山口だけでなく向井達も驚いて聞いていた。
「じいちゃんがうるさく言う理由が、
帰国して分かったけど、
あんたらこんな状況でも全然気にしてないでしょう。
うちの親もそうだけど、階級区で平気で暮らして、
国民の事なんか考えてもいない。
黒地国民もそう。
反吐が出るんですけど」
ディッセがその話に笑いをこらえて、
呆然としている山口を見た。
「俺はこの国を変えようなんて気はないよ。
ここまで悪化させられたらもう無理。
すでに日本じゃないから。
でも、捨て地は気になってたんで、
帰国してすぐに入ろうとしたんだよね」
「!! 」
その話には山口の顔色が変わった。
「ど、どうやった? 」
「どうって、俺も弾き飛ばされましたからね。
病院送りにならなかっただけマシだったけど、
俺も神には認めてもらえない人間てことでしょう。
よくわかりました」
平然と言って笑う安田に向井達は清々しさすら感じた。
そんな山口達の言い合う間も、
外国人の喚き声が響いている。
「この日常が黒地では普通なんだよね。
なんで怒鳴るんだろうね」
キャトルもうるさそうに苦い顔をした。
「昔はスパイ選別って言ってましたけどね」
「何それ? 」
キャトルが向井を見た。
「要するに大きな声で話すことで、
私にやましいことはありませんって証明するんですよ。
聞かれたくないことは小声で話すでしょ?
もう、何十年も前に最初のSNS法が出来た時に、
国中に監視カメラと盗聴器が付けられたんですが、
それを国が好きに利用する法律です。
室内も室外もどこからでも国民を監視できるので、
その法案を可決しようと動いていたことがあったんです」
「ひえ~」
キャトルの驚く顔に向井とディッセが笑った。
「その頃からメディアの偏向報道が酷くなって、
新しく法案を通す時には、
どうでもいいようなエンタメを流してたんです。
俺も特別室担当で大沢に同じようなことを提言してるので、
こうやって働くことは一種の罪滅ぼしですね」
向井は笑うと、
「ただ、SNSも多くなってきた時代もあって、
国のやり方に諍う国民もいて、
直ぐに拡散されたんです。
さすがにメディアも誤魔化せなくなったのか、
報道せざるを得なくなって今に至ってます」
「でも監視システムでドローンは飛んでるよ」
キャトルが空を動き回る機械を見ながら話した。
「それは長い年月をかけて娯楽脳になってるからだろ。
ドローンには爆薬も積まれてるからね。
海外製品を使うってことはそう言う事なんだよ。
いざとなったら皆殺しできる。
今だってTVやスマゴ、タブレットの機種によっては、
国民は電源が入っている間は監視されてるからね」
「えっ? 」
キャトルが声をあげる。
「日本はもうそういう国なんだよ。
だから日本人ばかりヘイト法で逮捕されてるんだろう。
捨て地のおかげで一部の国民は助かったけどね」
「………こうやって見てると、
黒地の同調圧力って殺人だよな。
悪人であればあるほどヒーローになれるって、
やっぱおかしいよ」
「そうですね」
向井も騒ぎが大きくなる集団を見つめながら呟いた。
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