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番外編 龍神向井
悪霊退治の方が楽?
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「て、向井さんが言ってたの」
「………今、少し想像したら、
確かに向井さんの言う通りかも」
アートンがティンを見て笑った。
「私は座り仕事が多いし、
なまった体に悪霊退治は気分転換になっていいかな」
弥生も笑うと皆の顔を見た。
「弥生に比べたら、まだ早紀の方が可愛げがあるぞ。
今まで本性を隠していたってことだな」
牧野が楽しそうな弥生を見た。
「本性って何よ? 私はいつも素のままでしょ。
ただゲームとか勝負になると、
ちょっとスイッチが切り変わっちゃうだけ」
「怖ぇな」
牧野のつぶやきに皆が大笑いした。
「でも、大分綺麗になったし、
今日はこれくらいで大丈夫かな」
坂下がアートンを見た。
「そうだね。あの六階で何かやってるんだね」
建物を見上げると悪霊がへばり付いている。
「悪い奴らは悪霊にもやられないんだから、
凄ぇよな。悪霊すら力に変えてる。
戦争している国のリーダーは、
きっと魔王だな」
そういう牧野の横で弥生は銃を構えると、
へばり付く悪霊をあっという間に冥界へと送った。
アートン達が唖然という表情で弥生を見た。
「片手で確実に仕留めるんだから、
凄腕のスナイパー………殺し屋だね」
ティンが綺麗になった建物を見て笑った。
閣議室――――
ここは窓もなく、入り口は二つだけ。
外で何が起ころうが、
自分達には何の問題もない場所で、
各国とリモート会議も行われている。
AIによる問題はあるが、
トップには金さえ入ればどうということはない。
AI技術が発達はしても、
人間の機微までは判断がつきにくい為、
情報が錯綜していることもあった。
「愚民が何をほざこうが、
この国のリーダーは私だ。
国民はわが党を選び続けているのだから、
何の問題もない」
「ですが、一部の中央の都民も騒ぐものがいますが」
先日若者TVという番組で、
人気タレントと若者の発した言葉が炎上騒ぎになっていた。
政権支持のタレントが、
『俺達は何も困ってないし、生活も楽しいから、
田口トップに不満ないもん』
『そうだよね。政権に文句がある奴は捨て地に行けばいいだけだよ』
そんな放送に下区の住民が怒りを表した事件があったのだ。
黒地の中で炎上した不満だけに、
政府もSNS規制法を理由に逮捕者を出した。
「放っておけばいい。
いざとなれば捨て地の責任において、
処分命令を出せばいい。
問題なのはあの見えない壁だ。
研究者も近づけないうえ、何を使っても破壊できない。
海外からも問題視されている。
何が神の仕業だ。
国を治めるものが神なんだよ」
トップは怒りの拳を握りしめると、
顔をゆがませた。
側近たちもその姿に、
恐ろしいものでも見るように動かなかった。
「中央、西と北の中心部の国民は、
私に逆らうことはない。
愚民同士で間引きしてもらえば、
こんな楽なことはないだろう?
マスコミ共もこっちの言いなりだしな」
トップは円卓に座る者達を見て笑った。
この頃になるとメディアも、
日本だけではなく海外からも金銭の授受が行われ、
金額の大きさによる偏向報道が堂々と流されていた。
捨て地では黒地報道があっても、
信じる者はなく戦う姿勢を取っている。
「た、確かにそうですね。
捨て地が増えたとはいえ、
未だ国土の三分の一」
「そういう事だ。捨て地叩きで、
国民はいくらでも私達に付いてきてくれる。
他国と違い、楽な国民で助かるよ」
トップは笑うと国の様子を映すモニターを、
じっと見つめてほくそ笑んだ。
同じ頃、次期トップの座を狙う大臣達が、
上区の料亭にてそれぞれ会談をしていた。
自分達に付く財界人を何人手中に収めているかで、
流れが変わってくる。
もう、昔の国とは違うのだ。
逆らえば抹殺。
だが、マスコミも動くことはない。
自分の手の中に入れたコマだからだ。
このコマを幾つ持っているかで、
トップすら引きずり落とすことはできるのだ。
SNSを楽しむ国民たちの知らぬ間に、
刻々と地獄への時間は刻まれていた。
「………今、少し想像したら、
確かに向井さんの言う通りかも」
アートンがティンを見て笑った。
「私は座り仕事が多いし、
なまった体に悪霊退治は気分転換になっていいかな」
弥生も笑うと皆の顔を見た。
「弥生に比べたら、まだ早紀の方が可愛げがあるぞ。
今まで本性を隠していたってことだな」
牧野が楽しそうな弥生を見た。
「本性って何よ? 私はいつも素のままでしょ。
ただゲームとか勝負になると、
ちょっとスイッチが切り変わっちゃうだけ」
「怖ぇな」
牧野のつぶやきに皆が大笑いした。
「でも、大分綺麗になったし、
今日はこれくらいで大丈夫かな」
坂下がアートンを見た。
「そうだね。あの六階で何かやってるんだね」
建物を見上げると悪霊がへばり付いている。
「悪い奴らは悪霊にもやられないんだから、
凄ぇよな。悪霊すら力に変えてる。
戦争している国のリーダーは、
きっと魔王だな」
そういう牧野の横で弥生は銃を構えると、
へばり付く悪霊をあっという間に冥界へと送った。
アートン達が唖然という表情で弥生を見た。
「片手で確実に仕留めるんだから、
凄腕のスナイパー………殺し屋だね」
ティンが綺麗になった建物を見て笑った。
閣議室――――
ここは窓もなく、入り口は二つだけ。
外で何が起ころうが、
自分達には何の問題もない場所で、
各国とリモート会議も行われている。
AIによる問題はあるが、
トップには金さえ入ればどうということはない。
AI技術が発達はしても、
人間の機微までは判断がつきにくい為、
情報が錯綜していることもあった。
「愚民が何をほざこうが、
この国のリーダーは私だ。
国民はわが党を選び続けているのだから、
何の問題もない」
「ですが、一部の中央の都民も騒ぐものがいますが」
先日若者TVという番組で、
人気タレントと若者の発した言葉が炎上騒ぎになっていた。
政権支持のタレントが、
『俺達は何も困ってないし、生活も楽しいから、
田口トップに不満ないもん』
『そうだよね。政権に文句がある奴は捨て地に行けばいいだけだよ』
そんな放送に下区の住民が怒りを表した事件があったのだ。
黒地の中で炎上した不満だけに、
政府もSNS規制法を理由に逮捕者を出した。
「放っておけばいい。
いざとなれば捨て地の責任において、
処分命令を出せばいい。
問題なのはあの見えない壁だ。
研究者も近づけないうえ、何を使っても破壊できない。
海外からも問題視されている。
何が神の仕業だ。
国を治めるものが神なんだよ」
トップは怒りの拳を握りしめると、
顔をゆがませた。
側近たちもその姿に、
恐ろしいものでも見るように動かなかった。
「中央、西と北の中心部の国民は、
私に逆らうことはない。
愚民同士で間引きしてもらえば、
こんな楽なことはないだろう?
マスコミ共もこっちの言いなりだしな」
トップは円卓に座る者達を見て笑った。
この頃になるとメディアも、
日本だけではなく海外からも金銭の授受が行われ、
金額の大きさによる偏向報道が堂々と流されていた。
捨て地では黒地報道があっても、
信じる者はなく戦う姿勢を取っている。
「た、確かにそうですね。
捨て地が増えたとはいえ、
未だ国土の三分の一」
「そういう事だ。捨て地叩きで、
国民はいくらでも私達に付いてきてくれる。
他国と違い、楽な国民で助かるよ」
トップは笑うと国の様子を映すモニターを、
じっと見つめてほくそ笑んだ。
同じ頃、次期トップの座を狙う大臣達が、
上区の料亭にてそれぞれ会談をしていた。
自分達に付く財界人を何人手中に収めているかで、
流れが変わってくる。
もう、昔の国とは違うのだ。
逆らえば抹殺。
だが、マスコミも動くことはない。
自分の手の中に入れたコマだからだ。
このコマを幾つ持っているかで、
トップすら引きずり落とすことはできるのだ。
SNSを楽しむ国民たちの知らぬ間に、
刻々と地獄への時間は刻まれていた。
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