35 / 53
母親とのすれ違い
しおりを挟む
ジュリエッタとハンナは、裏庭に面したテラスのソファに座っていた。そこからは騎士たちの朝稽古が良く見える。
侯爵の朝稽古を眺めながら刺繍をするのがジュリエッタの日課となっていた。もちろん、侯爵に渡すハンカチに刺繍を施しており、侯爵のためなら針仕事が苦手なジュリエッタも、針で指を刺しても少しも痛くない。とまではいかないが、痛みも喜びに思えるほどだ。
侯爵と本当の夫婦になって数日、ジュリエッタの頬は緩くたるみ切ったままだ。しかし、すべきことが山積みになっていることも忘れてはいなかった。
ノルラントの奇襲についても、ヌワカロール農法の普及にしても、何ら進展はない。
しかし、当面の問題は公爵夫人のことだった。
「これは単なる反抗期ではないと思うの」
母親に対するモヤモヤは戦勝記念パーティーを経て、やり過ごすことができないほどに高まっている。
「お母さまは、どうして侯爵さまにあんなに失礼な態度を取るのかしら。我が親ながら情けなくなっちゃうわ」
「奥さまも侯爵さまのことを少しでもお知りになったら、きっとわかってくれますわ」
ジュリエッタはうなずいた。
「そうね。そうに違いないわね」
ジュリエッタだって、よく知らないうちは侯爵を疎んじていたのだ。
その午後、ジュリエッタは公爵邸を訪れることにした。
侯爵は王宮に呼ばれているために、公爵家に同行することはなかったが、ジュリエッタとしても母親に無礼な行動をされて侯爵を傷つけてしまうようなことになるのは避けたかったために都合が良かった。
***
「ジュリエッタ、いらっしゃい」
公爵夫人は嬉しそうな顔でジュリエッタを出迎えた。
ジュリエッタは、夫人に誂えてもらった小花柄のドレスを着用していた。可愛らしいデザインが自分には似合うとも思えず引け目を感じていたが、母親が気に入ったドレスだった。
媚びているようでどこか釈然としないものの、服装のことで何か言われて苛立ちたくはない。
夫人は満足げな顔を向けてきた。
「今日はみっともない格好はしていないわね」
みっともないというのは、ズボン姿に、『品のない』ドレス姿なのだろう。早速、ジュリエッタはイラッとするも、優雅な笑みを貼り付かせる。
「お母さま、バルベリ産の一粒栗のマロングラッセです。お茶のお供にちょうどいいのよ」
ジュリエッタは、持参した瓶を開けようとするも、夫人は制してきた。
「まあ、ありがとう。でも、今はクッキーの気分なのよ。あとで頂くわ」
そう言って夫人は侍女に瓶を下げさせようとした。夫人はにこやかな顔のままであるためにその真意が読めない。本当にクッキーの気分なだけなのか、それとも、バルベリ産のものを食べたくはないのか。
「では、私が頂くから、ここに置いておいてくださいな」
ジュリエッタは小皿にマロングラッセを数個移した。
「あら」
夫人はジュリエッタが胸に付けている勲章を見つけて声を上げた。侯爵からもらった勲章だ。夫人は、見るんじゃなかった、というように勲章から目を逸らした。そして、すぐに笑顔を作り、口を開いた。
「今日は王宮から薔薇が届くのよ。フィリップが今年もきれいに咲いたから、姉上にもどうぞって。あなたのお祖母さまが一番のお気に入りだった薔薇よ」
ジュリエッタには祖母の記憶はないが、前王妃の好きな花を集めた花園には何度も入ったことがある。
ジュリエッタは夫人があからさまに勲章から話題を逸らそうとしているように感じて、また、苛ついた。自分の胸を指す。
「陛下から頂いた勲章を侯爵さまが私にくださったの」
「あら、そう」
「叙勲式でみんなの前でくださったのよ。私がどれだけ嬉しくて誇らしかったか、お母さまがあの場にいればご覧になっていただけたはずよ。侯爵さまに続いて、他の騎士さまも、自分の勲章を妻や恋人に捧げ始めたの。素晴らしい光景だったわ」
「あら、そう」
夫人は手にしたティーカップを眺めている。
「それに、侯爵さまは、戦勝記念パーティーで、王太子殿下に嫌なことをされそうになった私を、助けてくださったの。あのときどれだけ私が嬉しかったか。侯爵さまが頼もしくてしようがなかったわ」
ジュリエッタはそのときの喜びを思い出して、ため息をついた。
「それで、私が侯爵さまを幸せにすると決めたの。今はとても幸せよ。侯爵さまと私との関係に何の憂いもなく、心の底から幸せなの」
そんなジュリエッタを夫人は白々しい目つきで見てきた。
「あれは見て見ぬふりをするべきものでした」
ジュリエッタは目を見張った。
「あれって、お母さまもご覧になってたの?」
「ええ、見てました」
「ご覧になってたなら、どうして助けてくれなかったの?」
「助けるほどのことではなかったからです」
ジュリエッタは信じられないもののような目で夫人を見つめた。これまでの夫人とはまるで違っているように感じた。
「私は嫌がっていたわ。見ていたのならわかったはずよ? あのままでは殿下にキスされるところだったわ」
夫人はティーカップを置いて、呆れた顔でジュリエッタを見てきた。
「まさか、エディが本気でやっているとでも? それよりどうして殿下だなんて他人行儀な呼び方をするのです」
「本気ではないですって?」
「エディは王太子の立場を見せつけるために、やっただけのこと。それを大げさにとらえるなんて、みっともない」
母親の言いようにジュリエッタは愕然とする。あれをつまらないこととして片付けようとするのか。
「お母さまは私の味方ではないの?」
これまでずっとそうだったはずだ。いつだってジュリエッタのことを考えていてくれたはずだ。夫人はいぶかしむ顔を向ける。
「あなた、最近、おかしいわ。レディらしくもない。レディであれば、男性にキスを求められても、優雅に避けてみせられたはずです。そもそもレディは男性に言い寄られる隙を作ってはいけないのです」
(私が悪いというの?)
ジュリエッタはあのとき隙を作った覚えはない。無理にダンスに引っ張り出されたため、どうしようもなかった。
ジュリエッタは混乱してしまった。母親とうまく会話できる気がしない。こんなことは初めてだった。
「お母さまは私を責めるの? どうして?」
「責めているのではないわ、レディらしくしなさいと言っているだけです」
「ズボンを穿いたり、お母さまの気に入らないドレスが気に障ったの?」
やがて、夫人は大きな溜息をついた。
「あなたが変わったからよ」
私は変わっていない、と言おうとしたが、ジュリエッタは黙り込んだ。侯爵に出会って、ジュリエッタには自分が変わったと自覚する部分がある。
夫人はまた、これみよがしな溜息をついた。
「こんなことなら、あなたの結婚に反対しておけばよかったわ」
(やはり、お母さまはどうしても侯爵さまが気に入らないのね。元平民だから)
「お母さま、侯爵さまは平民の出ではなく、男爵の生まれです」
「平民も男爵もそう変わりないわ」
「あのとき、結婚を嫌がる私を助けてくれなかったのは、お母さまだわ。私は、この結婚をとても嫌がっていたはずよ。今更そんなことをいうのは、おかしいわ」
「フィリップが言ったのよ。侯爵は戦死するはずだって」
ジュリエッタは息を飲んだ。
侯爵の朝稽古を眺めながら刺繍をするのがジュリエッタの日課となっていた。もちろん、侯爵に渡すハンカチに刺繍を施しており、侯爵のためなら針仕事が苦手なジュリエッタも、針で指を刺しても少しも痛くない。とまではいかないが、痛みも喜びに思えるほどだ。
侯爵と本当の夫婦になって数日、ジュリエッタの頬は緩くたるみ切ったままだ。しかし、すべきことが山積みになっていることも忘れてはいなかった。
ノルラントの奇襲についても、ヌワカロール農法の普及にしても、何ら進展はない。
しかし、当面の問題は公爵夫人のことだった。
「これは単なる反抗期ではないと思うの」
母親に対するモヤモヤは戦勝記念パーティーを経て、やり過ごすことができないほどに高まっている。
「お母さまは、どうして侯爵さまにあんなに失礼な態度を取るのかしら。我が親ながら情けなくなっちゃうわ」
「奥さまも侯爵さまのことを少しでもお知りになったら、きっとわかってくれますわ」
ジュリエッタはうなずいた。
「そうね。そうに違いないわね」
ジュリエッタだって、よく知らないうちは侯爵を疎んじていたのだ。
その午後、ジュリエッタは公爵邸を訪れることにした。
侯爵は王宮に呼ばれているために、公爵家に同行することはなかったが、ジュリエッタとしても母親に無礼な行動をされて侯爵を傷つけてしまうようなことになるのは避けたかったために都合が良かった。
***
「ジュリエッタ、いらっしゃい」
公爵夫人は嬉しそうな顔でジュリエッタを出迎えた。
ジュリエッタは、夫人に誂えてもらった小花柄のドレスを着用していた。可愛らしいデザインが自分には似合うとも思えず引け目を感じていたが、母親が気に入ったドレスだった。
媚びているようでどこか釈然としないものの、服装のことで何か言われて苛立ちたくはない。
夫人は満足げな顔を向けてきた。
「今日はみっともない格好はしていないわね」
みっともないというのは、ズボン姿に、『品のない』ドレス姿なのだろう。早速、ジュリエッタはイラッとするも、優雅な笑みを貼り付かせる。
「お母さま、バルベリ産の一粒栗のマロングラッセです。お茶のお供にちょうどいいのよ」
ジュリエッタは、持参した瓶を開けようとするも、夫人は制してきた。
「まあ、ありがとう。でも、今はクッキーの気分なのよ。あとで頂くわ」
そう言って夫人は侍女に瓶を下げさせようとした。夫人はにこやかな顔のままであるためにその真意が読めない。本当にクッキーの気分なだけなのか、それとも、バルベリ産のものを食べたくはないのか。
「では、私が頂くから、ここに置いておいてくださいな」
ジュリエッタは小皿にマロングラッセを数個移した。
「あら」
夫人はジュリエッタが胸に付けている勲章を見つけて声を上げた。侯爵からもらった勲章だ。夫人は、見るんじゃなかった、というように勲章から目を逸らした。そして、すぐに笑顔を作り、口を開いた。
「今日は王宮から薔薇が届くのよ。フィリップが今年もきれいに咲いたから、姉上にもどうぞって。あなたのお祖母さまが一番のお気に入りだった薔薇よ」
ジュリエッタには祖母の記憶はないが、前王妃の好きな花を集めた花園には何度も入ったことがある。
ジュリエッタは夫人があからさまに勲章から話題を逸らそうとしているように感じて、また、苛ついた。自分の胸を指す。
「陛下から頂いた勲章を侯爵さまが私にくださったの」
「あら、そう」
「叙勲式でみんなの前でくださったのよ。私がどれだけ嬉しくて誇らしかったか、お母さまがあの場にいればご覧になっていただけたはずよ。侯爵さまに続いて、他の騎士さまも、自分の勲章を妻や恋人に捧げ始めたの。素晴らしい光景だったわ」
「あら、そう」
夫人は手にしたティーカップを眺めている。
「それに、侯爵さまは、戦勝記念パーティーで、王太子殿下に嫌なことをされそうになった私を、助けてくださったの。あのときどれだけ私が嬉しかったか。侯爵さまが頼もしくてしようがなかったわ」
ジュリエッタはそのときの喜びを思い出して、ため息をついた。
「それで、私が侯爵さまを幸せにすると決めたの。今はとても幸せよ。侯爵さまと私との関係に何の憂いもなく、心の底から幸せなの」
そんなジュリエッタを夫人は白々しい目つきで見てきた。
「あれは見て見ぬふりをするべきものでした」
ジュリエッタは目を見張った。
「あれって、お母さまもご覧になってたの?」
「ええ、見てました」
「ご覧になってたなら、どうして助けてくれなかったの?」
「助けるほどのことではなかったからです」
ジュリエッタは信じられないもののような目で夫人を見つめた。これまでの夫人とはまるで違っているように感じた。
「私は嫌がっていたわ。見ていたのならわかったはずよ? あのままでは殿下にキスされるところだったわ」
夫人はティーカップを置いて、呆れた顔でジュリエッタを見てきた。
「まさか、エディが本気でやっているとでも? それよりどうして殿下だなんて他人行儀な呼び方をするのです」
「本気ではないですって?」
「エディは王太子の立場を見せつけるために、やっただけのこと。それを大げさにとらえるなんて、みっともない」
母親の言いようにジュリエッタは愕然とする。あれをつまらないこととして片付けようとするのか。
「お母さまは私の味方ではないの?」
これまでずっとそうだったはずだ。いつだってジュリエッタのことを考えていてくれたはずだ。夫人はいぶかしむ顔を向ける。
「あなた、最近、おかしいわ。レディらしくもない。レディであれば、男性にキスを求められても、優雅に避けてみせられたはずです。そもそもレディは男性に言い寄られる隙を作ってはいけないのです」
(私が悪いというの?)
ジュリエッタはあのとき隙を作った覚えはない。無理にダンスに引っ張り出されたため、どうしようもなかった。
ジュリエッタは混乱してしまった。母親とうまく会話できる気がしない。こんなことは初めてだった。
「お母さまは私を責めるの? どうして?」
「責めているのではないわ、レディらしくしなさいと言っているだけです」
「ズボンを穿いたり、お母さまの気に入らないドレスが気に障ったの?」
やがて、夫人は大きな溜息をついた。
「あなたが変わったからよ」
私は変わっていない、と言おうとしたが、ジュリエッタは黙り込んだ。侯爵に出会って、ジュリエッタには自分が変わったと自覚する部分がある。
夫人はまた、これみよがしな溜息をついた。
「こんなことなら、あなたの結婚に反対しておけばよかったわ」
(やはり、お母さまはどうしても侯爵さまが気に入らないのね。元平民だから)
「お母さま、侯爵さまは平民の出ではなく、男爵の生まれです」
「平民も男爵もそう変わりないわ」
「あのとき、結婚を嫌がる私を助けてくれなかったのは、お母さまだわ。私は、この結婚をとても嫌がっていたはずよ。今更そんなことをいうのは、おかしいわ」
「フィリップが言ったのよ。侯爵は戦死するはずだって」
ジュリエッタは息を飲んだ。
318
あなたにおすすめの小説
婚姻契約には愛情は含まれていません。 旦那様には愛人がいるのですから十分でしょう?
すもも
恋愛
伯爵令嬢エーファの最も嫌いなものは善人……そう思っていた。
人を救う事に生き甲斐を感じていた両親が、陥った罠によって借金まみれとなった我が家。
これでは領民が冬を越せない!!
善良で善人で、人に尽くすのが好きな両親は何の迷いもなくこう言った。
『エーファ、君の結婚が決まったんだよ!! 君が嫁ぐなら、お金をくれるそうだ!! 領民のために尽くすのは領主として当然の事。 多くの命が救えるなんて最高の幸福だろう。 それに公爵家に嫁げばお前も幸福になるに違いない。 これは全員が幸福になれる機会なんだ、当然嫁いでくれるよな?』
と……。
そして、夫となる男の屋敷にいたのは……三人の愛人だった。
【完結】「お前とは結婚できない」と言われたので出奔したら、なぜか追いかけられています
22時完結
恋愛
「すまない、リディア。お前とは結婚できない」
そう告げたのは、長年婚約者だった王太子エドワード殿下。
理由は、「本当に愛する女性ができたから」――つまり、私以外に好きな人ができたということ。
(まあ、そんな気はしてました)
社交界では目立たない私は、王太子にとってただの「義務」でしかなかったのだろう。
未練もないし、王宮に居続ける理由もない。
だから、婚約破棄されたその日に領地に引きこもるため出奔した。
これからは自由に静かに暮らそう!
そう思っていたのに――
「……なぜ、殿下がここに?」
「お前がいなくなって、ようやく気づいた。リディア、お前が必要だ」
婚約破棄を言い渡した本人が、なぜか私を追いかけてきた!?
さらに、冷酷な王国宰相や腹黒な公爵まで現れて、次々に私を手に入れようとしてくる。
「お前は王妃になるべき女性だ。逃がすわけがない」
「いいや、俺の妻になるべきだろう?」
「……私、ただ田舎で静かに暮らしたいだけなんですけど!!」
氷の貴婦人
羊
恋愛
ソフィは幸せな結婚を目の前に控えていた。弾んでいた心を打ち砕かれたのは、結婚相手のアトレーと姉がベッドに居る姿を見た時だった。
呆然としたまま結婚式の日を迎え、その日から彼女の心は壊れていく。
感情が麻痺してしまい、すべてがかすみ越しの出来事に思える。そして、あんなに好きだったアトレーを見ると吐き気をもよおすようになった。
毒の強めなお話で、大人向けテイストです。
ご安心を、2度とその手を求める事はありません
ポチ
恋愛
大好きな婚約者様。 ‘’愛してる‘’ その言葉私の宝物だった。例え貴方の気持ちが私から離れたとしても。お飾りの妻になるかもしれないとしても・・・
それでも、私は貴方を想っていたい。 独り過ごす刻もそれだけで幸せを感じられた。たった一つの希望
離婚した彼女は死ぬことにした
はるかわ 美穂
恋愛
事故で命を落とす瞬間、政略結婚で結ばれた夫のアルバートを愛していたことに気づいたエレノア。
もう一度彼との結婚生活をやり直したいと願うと、四年前に巻き戻っていた。
今度こそ彼に相応しい妻になりたいと、これまでの臆病な自分を脱ぎ捨て奮闘するエレノア。しかし、
「前にも言ったけど、君は妻としての役目を果たさなくていいんだよ」
返ってくるのは拒絶を含んだ鉄壁の笑みと、表面的で義務的な優しさ。
それでも夫に想いを捧げ続けていたある日のこと、アルバートの大事にしている弟妹が原因不明の体調不良に襲われた。
神官から、二人の体調不良はエレノアの体内に宿る瘴気が原因だと告げられる。
大切な人を守るために離婚して彼らから離れることをエレノアは決意するが──。
私の願いは貴方の幸せです
mahiro
恋愛
「君、すごくいいね」
滅多に私のことを褒めることがないその人が初めて会った女の子を褒めている姿に、彼の興味が私から彼女に移ったのだと感じた。
私は2人の邪魔にならないよう出来るだけ早く去ることにしたのだが。
【完結】今日も旦那は愛人に尽くしている~なら私もいいわよね?~
コトミ
恋愛
結婚した夫には愛人がいた。辺境伯の令嬢であったビオラには男兄弟がおらず、子爵家のカールを婿として屋敷に向かい入れた。半年の間は良かったが、それから事態は急速に悪化していく。伯爵であり、領地も統治している夫に平民の愛人がいて、屋敷の隣にその愛人のための別棟まで作って愛人に尽くす。こんなことを我慢できる夫人は私以外に何人いるのかしら。そんな考えを巡らせながら、ビオラは毎日夫の代わりに領地の仕事をこなしていた。毎晩夫のカールは愛人の元へ通っている。その間ビオラは休む暇なく仕事をこなした。ビオラがカールに反論してもカールは「君も愛人を作ればいいじゃないか」の一点張り。我慢の限界になったビオラはずっと大切にしてきた屋敷を飛び出した。
そしてその飛び出した先で出会った人とは?
(できる限り毎日投稿を頑張ります。誤字脱字、世界観、ストーリー構成、などなどはゆるゆるです)
【受賞&本編完結】たとえあなたに選ばれなくても【改訂中】
神宮寺 あおい
恋愛
人を踏みつけた者には相応の報いを。
伯爵令嬢のアリシアは半年後に結婚する予定だった。
公爵家次男の婚約者、ルーカスと両思いで一緒になれるのを楽しみにしていたのに。
ルーカスにとって腹違いの兄、ニコラオスの突然の死が全てを狂わせていく。
義母の願う血筋の継承。
ニコラオスの婚約者、フォティアからの横槍。
公爵家を継ぐ義務に縛られるルーカス。
フォティアのお腹にはニコラオスの子供が宿っており、正統なる後継者を望む義母はルーカスとアリシアの婚約を破棄させ、フォティアと婚約させようとする。
そんな中アリシアのお腹にもまた小さな命が。
アリシアとルーカスの思いとは裏腹に2人は周りの思惑に振り回されていく。
何があってもこの子を守らなければ。
大切なあなたとの未来を夢見たいのに許されない。
ならば私は去りましょう。
たとえあなたに選ばれなくても。
私は私の人生を歩んでいく。
これは普通の伯爵令嬢と訳あり公爵令息の、想いが報われるまでの物語。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
読む前にご確認いただけると助かります。
1)西洋の貴族社会をベースにした世界観ではあるものの、あくまでファンタジーです
2)作中では第一王位継承者のみ『皇太子』とし、それ以外は『王子』『王女』としています
→ただ今『皇太子』を『王太子』へ、さらに文頭一文字下げなど、表記を改訂中です。
そのため一時的に『皇太子』と『王太子』が混在しております。
よろしくお願いいたします。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
誤字を教えてくださる方、ありがとうございます。
読み返してから投稿しているのですが、見落としていることがあるのでとても助かります。
アルファポリス第18回恋愛小説大賞 奨励賞受賞
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる