竜族への生贄かと思ったら、王子の愛妻になったのですが。

高城

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(17)欠伸と未練を噛み殺す②

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 中庭には、明るい日差しが差し込んでいた。

 昨夜の宴の余韻をどこかに残すように、まだ笑い声の記憶が漂っている気がした。だが、その空気とは裏腹に、アイザックは黙々と、崩れかけた花壇の縁に積もった砂利を掃いていた。丸みのある敷石の隙間には土が入り込み、隣の石像の台座には、風で飛ばされた葉や埃が張り付いている。

 傍らではレオンハルトが、同じく箒を持って、ほうほうと控えめに掃除していた。彼の動きは穏やかで、どこか力の入っていない様子にも見えるが、それでいて不思議と掃除の進行具合は悪くなかった。

「これ……直さないのか?」

 アイザックは、ふと立ち止まり、崩れかけた石像の土台と、ヒビの入った花壇を見比べながら尋ねた。

「え? ああ……」

 レオンハルトは顔を上げて、傷んだ石像の顔をちらりと見やる。鼻先が欠け、片耳が落ちた像の顔はどこかすっとぼけて見えて、その姿にどこか彼自身を重ねているかのようだった。

「直せる者が来れるのが、随分後でして。それまではこのまま……という予定です。なので、こうして朝に掃除、風が吹いたら掃除、誰かが来る前も掃除……」
「お、おお……なんか悪い」

 そこまで淡々と語るレオンハルトの横顔はどこか遠い。まるで諦めを越えて、それすら日常の一部として受け入れているようだった。アイザックはその様子に、無意識に眉尻を下げる。

 そして、つい口にしていた。

「材料が用意できるなら、直してやろうか? 花壇なら、村で作ることは良くあるし……石像も、直したことがある」

 すると――

「本当ですか……!?」

 レオンハルトが突然、箒を持ったまま詰め寄ってきた。相変わらず表情は薄いのだが、瞳の奥が光っている。声にも、普段には見られない抑えきれない色が混じっていた。

「あ、ああ。材料があれば……だが」
「倉庫に何でもあります。さ、すぐに始めましょう」

 いつの間にか、彼は掃除道具を手放し、もう歩き出そうとしていた。アイザックは、その極端なまでの素直さに、思わず笑ってしまい後頭部をかく。

 ――このレオンハルトという男は、やはり素直すぎるところがある。
 食堂でのやり取りもそうだった。言葉を真に受けるというより、思い込んだら一直線というか、考えるより先に動いてしまう。まるで忠犬のような純粋さが、少し眩しい。

 その背を追おうとするが、その前に――

「テオ」

 ぽつねんと立ち尽くしていたテオへ、アイザックは静かに声をかけた。
 中庭の中央。小さなベンチの陰で、テオは俯いていた。動きはあるものの、まるで心ここにあらずといった風で、掃除というよりは箒を持ったまま彷徨っているに近い。

 名前を呼ばれると、彼ははっと顔を上げた。けれど、目の焦点はまだ定まらない。

「……ん、ごめん。なに?」
「お前、しっかりしろよ」

 アイザックは一歩近づいて、軽く肩を叩く。

「リアのこと、いろいろショックなのは分かるけど……そんなの、あいつの前で出すな」

 その言葉は、厳しいというよりは静かだった。けれど、核心に触れるような重みがあった。
 テオはぐっと唇を噛み、肩を揺らす。

「……分かってる。分かってるはずなのに……どうしたらいいか、分からないんだ」

 声は細く、掠れていた。心の中でぐちゃぐちゃに絡まった糸を、一生懸命解こうとして、けれどどこから手を付けていいか分からない――そんな不器用な思いが滲んでいた。

 アイザックはそれを聞いて、すぐには何も言わなかった。ただ、少しだけ視線を逸らしてから、小さく呟いた。

「それでも、立て。リアの前では、な」

 その声は、自分自身に言い聞かせるようでもあった。

 風が一度吹き抜け、どこからか花びらを一枚、石像の足元に落とす。
 それを見たテオは、目を細め、そして力なく頷いた。

「……うん」

 まだ立ち上がるには時間がかかるかもしれない。
 それでも、一歩。

 少しだけ笑う横顔を見届けてから、アイザックはレオンハルトの後を追って歩き出した。



 城の一角――厨房の裏手に隣接した、厚い扉の倉庫にたどり着いたとき、アイザックは思わず「すごいな」と呟いた。

 ひんやりとした空気の中には、木の香り、金属の匂い、布や革の粉塵といった、使い込まれた道具たちの気配が充満していた。木材、釘、石材、針金、古いランタンに、よく分からない歯車まで――天井近くまで積み上がった棚に、ありとあらゆる素材や工具が詰め込まれている。整然としてはいないが、どれも清潔に保たれていた。何かの手が、頻繁に入っている証拠だ。

「本当に“何でもある”、だなぁ」

 半ば呆れながら、アイザックは木材の束をひとつ持ち上げてみた。しっかりと乾燥していて、節も少ない。表面を撫でると、僅かに手に馴染むような質の良さがあった。

 レオンハルトはといえば、すでに目をきらきらとさせながら、木材や石材の山を見上げていた。

「すごいでしょう。僕、最初は半分くらいが何のための物か分からなかったんですが、覚えてくると楽しくて」
「何するにしても……よくこの中から、ちゃんと選べてたな」

 冗談交じりに言うと、レオンハルトは少しだけ首を傾げた。

「でも貴方なら、何をどう使えばいいか、すぐ分かるんですよね?」
「そりゃ、多少は。村じゃ、テオと一緒になんでも屋みたいなもんだから」

 言いながら、棚の奥へ足を踏み入れる。厚い木材板と、接着に使える樹脂の壺、それから鉄製の釘と、錆びていない金槌――そういった実用的な道具を次々と取り出し、何も言わずにレオンハルトの腕に積んでいく。

「え、重いです」
「根性だよ、これくらいで音上げるな。花壇直したいんだろ」
「はい……」

 レオンハルトは、ぎこちないながらも真面目に従った。しっかりと鍛え上げられた体で工具を抱え、時折足元を見ながら倉庫を出る。荷物に隠れて顔が見えないのが、後ろにいるアイザックから見ると面白かった。

 中庭へ戻ると、日差しが少し傾き始めていた。修繕する花壇の脇には、掃き掃除の名残で集められた枯葉の山が残っている。アイザックは、木材を置くとさっそく膝をついた。一瞬、レオンハルトをなんて呼ぶか悩むが、結局そのまま名を口にした。

「よし、じゃあまず、壊れてる部分を撤去する。……えーっと、レオンハルト。そこ押さえてくれ」
「分かりました」
「もっと体重かけろ。壊すんだから」
「はい」

 バキン、と音を立てて割れる花壇の縁。
 レオンハルトは目を見開いたまま固まったが、アイザックはその様子に苦笑して、次の作業へと移った。

「お前たち、こういうのはやったことなかったのか?」
「ありません。昔から、鍛錬ばかりでしたので……。でも、アイザックさんが言った通りにやるだけなら、できると思います」
「分かった。じゃあ、ここをこう組んで……この木をこうして噛ませる」

 アイザックは端材で実演しながら説明する。難しい言葉は使わず、実際の動きで教える。レオンハルトは真剣にそれを見つめ、少しでも早く覚えようと目を凝らしていた。

 気づけば、日がぐっと傾き始めていた。
 作業の合間に水を飲ませると、レオンハルトは額の汗を手の甲で拭いながら、ぽつりと呟いた。

「なんだか、変ですね。たったこれだけのことでも、誰かとやると、少し楽しいって思える」
「変じゃない。むしろ、それが普通だ」

 アイザックは木槌を肩に乗せながら、少し笑った。

「この里の奴らは、なんでも一人でやりすぎなんじゃないのか?」

 レオンハルトは、その言葉に黙って頷いた。それ以上は何も言わなかったが、握った金槌に少しだけ力がこもっていた。

「よし。じゃあ、次は石像いくか」
「石も直せるんですか?」
「やってみなきゃ分からないが、でも――ここでやれることは、全部やってから帰る」

 アイザックが言うと、レオンハルトはふっと口元を緩めて、静かに笑った。その笑みは、ごく微細で、だが確かに安心を孕んでいた。

 こうして中庭には、ひとつの修繕の音が刻まれていく。
 カン、と釘を打つ音。ギシ、と板をはめ込む音。そして――誰かと、手を合わせる音。
 それは確かに、城に新しい風が入り込む音だった。



 日が傾き、淡い橙が中庭の石畳に映る頃――
 アイザックは、使い終えた金槌を木箱に戻しながら、肩を軽く回していた。慣れた手つきで釘や接着材を仕分け、順に道具袋へ収めていく。隣ではレオンハルトが、彼の指示に従って無言で道具を拭いていたが、その目元にはどこか達成感が滲んでいた。

「いい腕してますねぇ、アイザックさん」

 そんな茶化すような声が響いたのは、その時だった。
 視線を上げれば、リアが花壇の縁にそっと手をかけるように立っていて、その隣にはニヤついたエルマーがいた。

「壊れる前より、ずっと綺麗になってんじゃん。なあ、リア」
「うん。なんか、元々こうだったみたい」

 リアは修繕された花壇を、嬉しそうにじっと見つめた。土の中には新しい草花が植え直され、まだ小さい蕾が風に揺れている。その静かな様子に、彼女の表情も柔らかくなっていた。

「そりゃ、どうせやるなら丁寧にやるだろ」

 アイザックは少し照れくさそうに鼻をかきながら、それだけ返す。エルマーは肩をすくめながら笑い、レオンハルトの手元をちらりと覗いた。

「レオも、料理は出来ねえのに案外器用じゃん」
「いや。全部、教えてもらっただけ」

 レオンハルトは素直にそう言ったが、その声には少しばかりの誇らしさが混じっていた。

 そこへ、少し離れた場所から、最後の掃き掃除を終えたテオが近づいてくる。彼は立ち止まり、皆の様子をしばし見ていたが、やがてぽつりと呟いた。

「……ごめん。俺、何もしてなかった」

 その言葉にリアが振り向く。
 少し驚いたように目を見開き、けれどすぐに、優しく笑った。

「そんなことないよ。ここまで会いに来てくれただけで、私は嬉しかったから」

 テオは何か言いかけたが、うまく声が出ず、ただ口角を上げて頷くだけに留めた。そのやり取りを見ていたエルマーは、複雑に交差する人間関係のことを考えながら、目を細めて頭を掻いた。

 ――そして、それを見下ろす書斎の窓。

 厚いカーテンの隙間から外を眺めていたギルフォードは、無言のまま、その風景を見つめていた。
 仲間と肩を並べるアイザック。微かに笑うリアと、それに照れたようなテオ。レオンハルトの、珍しく緩んだ口元。なぜか気まずそうにしているエルマー。

 誰もが、少しずつ――けれど確かに、何かを手にしているようだった。

 ギルフォードは少しだけ目を細めると、ふっと僅かに口元を緩める。その表情は、柔らかさを帯びていた。

 そして彼はまた、背を向けて机へと戻る。
 窓の外では、笑い声が、まだ消えずに残っていた。
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