竜族への生贄かと思ったら、王子の愛妻になったのですが。

高城

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(21)愛の伝え方

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 明け方の屋敷は、まだ静寂の中に沈んでいた。

 遠く東の空が、ゆっくりと薄紅色に染まり始めている。けれど、鳥たちの囀りはまだ聞こえず、庭木の葉は夜露に濡れたまま、風もなく凛とした冷気が肌を刺していた。

 そんな静けさの中、重い扉を開ける微かな音が、廊下にこだました。
 玄関先に立つアイザックとテオは、旅装束の襟を整えながら、互いに目配せして頷き合う。空気の張り詰めた早朝に似つかわしくない緊張と名残惜しさが、二人の背に漂っていた。

 だが、その扉を開けた途端――

「よっ。門まで送るぜ」

 そこに立っていたのは、エルマーだった。

 肩を組むように壁にもたれ、片手をポケットに突っ込んだまま、どこか得意げに笑みを浮かべている。にかっと歯を見せて笑うその姿に、アイザックもテオも一瞬きょとんとしたが、すぐに肩を落として笑った。

「本当、お前ってやつは……」

 呆れたようにアイザックが息を吐く。その隣で、コツコツと一定のリズムで鳴る小走りの足音が近づいてきた。

「僕も見送ります」

 息を乱すことなく姿を現したのは、レオンハルトだった。胸元をきちんと留めた服装に、整った寝癖のない髪――どうやら彼もまた、初めからこの時間に備えていたのだろう。わずかに冷たい朝の空気の中でも、彼の気配は穏やかだった。

 それに続くように、廊下の奥からふわりと風が吹き抜け、小柄な影が駆けてくる。

「待って……! 私も……!」

 リアだった。ほどけかけた三つ編みを背に揺らし、片袖だけ通した外套を抱えるように羽織っている。そのまま止まらず駆け寄ってくる姿に、皆の頬が自然と緩んだ。
 眠たげな瞳、慌てて引っかけたブーツ、少しはだけた襟元。そんな乱れさえ、今朝のひんやりとした空気に似合っていた。だからこそ、胸の奥に引っかかるような切なさが残る。

「じゃ、みんなで行きますか」

 エルマーの一言で、門へと続く小道を、五人がゆっくりと歩き出す。
 両脇には夜明けの薄明かりに染まる木々が静かに佇み、葉の間からこぼれる光がまだ眠たげに足元を照らしていた。誰も言葉を交わさずとも、背中には確かな温もりがあった。

 やがて、遠くに木製の門の影が見えてくる頃――

「何かあれば、連れ戻すからな」

 ぽつりと呟いたのはアイザックだった。冗談とも本気ともつかない口調だったが、その言葉にリアは頬を膨らませてむっとする。

「大丈夫だってば。ねぇ、テオもお兄ちゃんに何か言ってよ」
「いいじゃないか。アイザックも可愛い妹が心配なんだよ」
「もう……!」

 リアが小さく頬を赤らめて視線を逸らすと、エルマーが吹き出した。皆がその空気に和んだように笑い合う。別れがまだ先にあるような気さえしてしまう、そんなひとときだった。

 けれど、その空気を切り裂くように――

「……待て」

 静かに、だが確かに響いた低い声。
 振り返った一同の視線の先に、見送りには加わらなかったはずのギルフォードが、朝の靄の向こうから現れた。

 歩みはゆっくりと、だが迷いのないままこちらへ向かってくる。肩越しの風が、彼の服の裾を揺らした。
 片手に抱えているのは紙袋、そしてもう片方の手には、ペンダントが握られている。それは、朝日を浴びて微かに金色の光を反射していた。

「やる。持ってけ」

 ギルフォードは、声も表情も変えず、ペンダントと紙袋をまとめてアイザックへ放り投げた。

「うわっ……ちょ、待っ……!」

 紙袋を抱え直しながら受け取ったアイザックは、すぐに中を覗き込み、目を瞬かせる。

 中には、丁寧に包まれたサンドイッチが数種、そして行動中でも片手で食べられるような軽食が、きちんと分けて詰め込まれていた。まだわずかに温かさが残っており、作られてから時間が経っていないことが伝わる。

「昨日の夜……話、聞いてたんだな」

 テオがそう呟くと、エルマーが口の端を吊り上げて笑った。

「ギルはそういう奴なんだよ」
「お前は黙ってろ」
「はいはい。しかし、うちの王子様から鱗貰うなんてやるなぁ。最後まで、リアの兄ちゃんって感じだわ」
「え? どういうことだ。これ、何か特別なものなのか?」

 アイザックが手にしたペンダントを見つめる。革紐に通されたペンダントトップの鱗は、見るからにギルフォードの背にある翼と同じ色だ。実際、それは美しい彼の金の鱗を削ったもので、薄く、だが力強く光っていた。鱗には小さな刻印が浮かび、肌に触れる部分には何かの力の流れが微かに感じられる。

「竜族の鱗は特別です。鱗の主と持ち主の精神を微弱に繋ぎ、持ち主に危険が迫れば、先に感じ取れるようになるんです」

 レオンハルトが淡々と二人に説明すると、エルマーが続ける。

「そ。簡単に言えば、ギルがアイザックたちの危険を感知できるようになるってわけ。当然、そんなの滅多に作るもんじゃねえよ。命の恩人とか、婚礼の贈り物とか、そういうレベルの話だ」
「そんな……そんな、大事なものを……」

 リアがギルフォードを見上げる。その表情は驚きと戸惑いに揺れていたが、ギルフォードは変わらぬ無表情で、ぽつりと呟いた。

「お前の大事な家族、なんだろ。なら、俺には守る義務がある」

 その素直ではない言葉が、リアの胸の奥へすとんと落ちた。
 目頭が熱くなるのを、ぐっと堪える。言葉では表せない何かを飲み込みながら、リアは一歩前に出て、頭を下げた。

「……ありがとう、ございます……」
「別に。やることあっから、俺はもう行く」

 ギルフォードはそっけなく言い残し、踵を返した。その背を、皆が無言で見送る。

 だがその時――

「ギルフォード……様!」

 突然の呼びかけに、ギルフォードの肩が一瞬ぴくりと動いた。

「はあ!? てめぇが“様”とか付けんな、気持ち悪ィ!」
「じゃあ……ギルフォード! 改めて、いろいろ世話になった。リアをよろしく頼む。あとは……まだすぐ来る!」
「こんなとこまで、またすぐ来んじゃねえ! さっさと帰れ!」

 口調は乱暴でも、声の温度は冷たくなかった。ギルフォードは手を払うような仕草をして、顔を背けたまま、屋敷の方へと戻っていった。
 その背が里の影に溶けていくのを見届けてから、リアはそっと振り返る。

 目の前にいる兄と幼馴染を、ぎゅっと抱きしめた。

「……本当に、来てくれてありがとう。気をつけて帰ってね」

 涙をこぼす代わりに、その細い腕に全ての想いを込めて。

 空が、ゆっくりと朝に変わっていく。木々の間を吹き抜けた風が、三人をそっと包み込み、別れの言葉を遠く高く運んでいった。



 門を背に、ギルフォードは足早に歩き出した。振り返ることなく、屋敷にも戻らず、向かうのは――里の奥、森を切り拓いたその先にある、王宮だった。

 早朝の冷たい空気のなか、まだ完全に陽が昇りきらぬ道を、彼は迷いなく進んでいく。里の民が朝の支度を始めるにはまだ早い時間だが、王宮の周囲だけは違った。外壁を覆う蔦の間からは赤い薔薇がこぼれ、手入れの行き届いた中庭では、すでに数羽の鳥が枝から枝へと舞っていた。

 その姿を横目に、ギルフォードは王宮の正門前に立ち、無言で手元の鐘を鳴らす。早朝の静けさを破るようなその音は、すぐに中へと届いたらしい。
 やがて、年老いた使用人が静かに姿を現した。背筋をしゃんと伸ばした、小柄な老婆――カミラだった。彼が十二歳までこの屋敷で暮らしていた頃から、王宮に仕えている者だ。

「あらまぁ、坊ちゃん。お見送りはもう済んだのですか?」

 穏やかな笑みを浮かべたカミラの声に、ギルフォードは気まずそうに首の後ろを掻いた。

「ああ。そんで、ちっとあいつに用があってな」

 サンドイッチの一件を思い返しながら、目を逸らすように言う。昨夜、王宮の厨房に一言だけ伝えておいたのだ。早朝に軽食を用意しておいてくれ、と。寝ている者も多い時間帯だったが、言葉一つで即座に動き出すのが、この場所の変わらぬ在り方だった。

「料理長に、礼を伝えといてくれ。直接言えなくて悪りぃ」
「ええ、ええ。坊ちゃんの頼みとあらば、誰よりも早く起き出して、腕を振るっておりましたよ。あの方にも、その姿を見せて差し上げたいくらい」
「……いいから、起こせるか」

 ぶっきらぼうに言うと、カミラは微笑を絶やさず頷いた。

「まだお休み中とは思いますが、坊ちゃんがお越しとあれば、すぐにお目覚めになりますとも。さあ、お入りなさい」

 ギルフォードは黙って頷き、カミラの後に続いて王宮の中へ足を踏み入れた。

 大理石の床が、靴音を柔らかく返す。壁にかかった絵画も、天井から吊るされた水晶の燭台も、昔と変わらない。だが、ここが自分の“家”だったと素直に思えるほどには、ギルフォードの中にもう居心地の良さはなかった。

「アルフレッド様。坊ちゃんがお見えです。お目覚めくださいませ」

 カミラが静かに扉をノックし、声を掛けた途端――

「ギルフォード……!?」

 まるで待ちわびていたかのように、寝間着姿の男が飛び出してきた。年齢を感じさせぬ、だがどこか柔らかさを感じさせる顔立ちの中年――この里の現王であり、ギルフォードの父、アルフレッドだった。

「私に会いに来てくれたのか……!?」
「なわけねーだろ」

 嬉しそうな父に、ギルフォードは顔をしかめ、問答無用で話をぶった斬る。

「てめぇ、昨日――勝手にあいつに会いに行きやがったな」
「さて……あいつとは、一体誰のことかな?」

 どこかとぼけたように返す父に、ギルフォードの眉がぴくりと動く。

「分かってんだろうが」
「いや? どうも、身に覚えがなくてね」
「…………リア」
「ああ、ギルフォードの嫁になる人間の子か」
「しらばっくれんなっつってんだろ!」

 廊下に響く怒声にも、アルフレッドは少しも動じる様子を見せなかった。逆に、寂しげな笑みを浮かべて、まるでいじけるように言う。それを見たギルフォードは、さらに苛立ちを募らせた。

「おい、気持ち悪ィ顔すんな」
「ひどいなあ。確かにお前は母さん似だが……」
「そういう問題じゃねえんだよ」

 拳を握りしめたギルフォードは、苛立ちをごまかすように早口で続けた。

「この前、式の準備が整うまでは、お前はリアに会わねえっつー話だっただろ。余計なちょっかい出すなとも言ってあったよな?」
「私が誰だかは言っていないんだよ? 少し話すくらい、いいじゃないか」
「屁理屈言ってんじゃねぇ!」

 バン、と廊下の壁に手のひらを打ちつけた音が、静けさのなかに鋭く響いた。
 それでもアルフレッドは微笑を崩さず、今度は少しだけ真面目な声で言った。

「ギルフォード。リアがこの里に来ると決まってから、お前はずっとそうだ。どうしてそんな頑なに、私を会わせたくないんだ?」

 その言葉に、ギルフォードは即座に答え返すことができなかった。喉が詰まり、拳が無意識に震える。だがすぐに目を逸らし、吐き捨てるように言う。

「……てめぇが人間をどう扱うか、信用できねぇからだ」

 声は低かったが、剣呑さを孕んでいた。だがアルフレッドは、それを受け流すように口元をゆるめる。

「私はただ、彼女がどんな娘か、知りたかっただけだよ」

 まるで息子の怒りの芯に気づかないかのように軽い調子でそう言われて、ギルフォードの肩が僅かに跳ねた。
 噛み締めるように始まった言葉が、途切れ途切れに続いていく。

「いつもお前は……自分のやりたいように動いて、誰かを……」

 そこまで言って、ギルフォードは口をつぐんだ。

 脳裏に浮かんだのは、過ぎた幼少期だった。早々に両親のもとを離され、教育係とばかり時間を過ごしていた日々。誰の膝にも座らず、誰の胸にも甘えず、ただ静かに叱責や指導を受け続けた記憶。
 そして、リーゼロッテとの婚約――本人の意思など一度も問われず、気付けば決まっていた。しかし自身が誕生日を迎える一ヶ月前、突然の破談。そして過去の規約に倣い、人間を嫁に迎えろと言われ、リアと出会った。

 父の決定が、自分の人生をいとも簡単に変えていく現実。それでも、異を唱えることは許されない。

 ギルフォードは、アルフレッドの顔を、まともに見られなかった。昔から――この男は、人を“駒”のように扱っている。アルフレッドにそんなつもりはなくとも、少なくともギルフォードの目にはそう映っていた。

 アルフレッドは、そんな息子の心の揺らぎに気付いたかのように、口調を和らげて静かに声を落とした。

「……ギルフォード。すまなかった。お前がそんなに言うなら、私はもう何も口は出さんよ」

 穏やかな声音だった。けれど、その言葉の輪郭には、微かに滲んだ隔たりがあった。手を差し伸べることも、踏み込むこともできずに、ただそっと線を引いたような声音。距離を詰めすぎない。それが、今の彼なりの思いやりでもあった。

「お前が小さい頃、怒る顔なんて一度も見られなかったからな」

 不意にこぼれた懐古の言葉に、ギルフォードの肩がほんの僅かに揺れた。唇を噛み、息を飲んだように動きを止める。視線は前を向いたままだが、その眼差しは、ほんの少し遠くを見ていた。

 アルフレッドの瞳が、そっと彼の横顔を追う。目の奥には押し隠せない懐かしさと、寂しさと、戸惑いが宿っていた。

「私が見ていたのは、眠るお前の寝顔ばかりだ。深夜に寝室に行って……声もかけずに、ただ、そばで見ていることしかできなかった」

 僅かに潤んだ声が、空気に溶けていく。王宮の廊下は重厚な静けさに包まれ、その言葉の余韻だけが、絨毯と石壁に染み渡るように残った。

「だからこんな形でも、お前が、私に会いに来てくれて嬉しいよ」

 ギルフォードは顔を伏せ、視線を床へと落とす。胸の奥に鈍く響いた何かを、すぐには飲み込めなかった。ただ背けたその顔に、決して見せるつもりのなかった揺らぎが微かに滲む。

「……余計なことばっか言ってんじゃねえよ」

 低く呟いて背を向ける。ブーツの踵が絨毯を踏む音だけが、ひときわはっきりと響いた。広い廊下に、彼の歩調だけが淡く打ち込まれていく。

 ギルフォードは怒っていた。確かに怒っていたのだ。
 だが、その怒りの奥に沈んでいたものは、言葉にできない何かだった。説明も整理もつかない、けれど確かにそこにある感情――苛立ち、照れ、そして胸を締めつけるような痛み。どれかひとつではなく、すべてがないまぜになって、言葉の奥底でくすぶっていた。

 そうしてギルフォードが姿を消しても、アルフレッドはしばらくその背中があった場所を見つめていた。やがて扉が閉まる音が響き、その音すらも静けさに吸い込まれる。だが、名を呼ぶことはしなかった。呼べなかった。そうするには、彼の背があまりに遠く感じられた。

「私は、間違っていたのかな」

 ふと背後に立っていた老女に向けるように、ぽつりと漏らす。言葉は誰にともなく放たれたようでいて、確かにカミラへと届いていた。

 老女は細い目をさらに細めて、深く刻まれた皺の間にやわらかな笑みを湛えた。

「坊ちゃんも、誰かを愛すれば、いつか分かってくださいますよ」

 その声は、長年この家に仕えてきた者にしか持ち得ない穏やかさと、確かな信頼で満ちていた。アルフレッドは静かに瞬き、目を細める。

 そして、ほんの少しだけ照れくさそうに、懐かしむように呟く。

「ギルフォードの寝顔を……久しぶりに見たくなったよ」

 一言には、薄氷のように繊細な後悔が滲んでいた。誤った手段でしか愛を伝えられなかった過去。長い歳月を経て、ようやく目の前に現れてくれた、怒りを纏った息子の姿。その背に触れることはできなかったが、それでも、確かに近くにいたという実感だけが胸に残った。

「不器用でございますね。アルフレッド様も、貴方によく似た坊ちゃんも」

 誰もいない廊下に、カミラの声音がよく通る。石造りの壁がその言葉を静かに反響させた。

 アルフレッドは、ばつが悪そうに頭を掻きながら、肩をすくめた。

「多少寂しくても、いいと思っていた。ギルフォードが強くなれば、将来何にも困らなければそれでいいと……でも、あんな目で睨まれると、やっぱり少し胸が痛む」

 ほんの僅か唇の端を持ち上げる。笑ったというにはあまりに小さく、照れを隠すために浮かべた苦笑だった。

「愛していたつもりだったが、あの子に伝える方法を、私は間違えていたようだ」

 声が、微かに震えていた。思い出は、静かに胸の奥に沈む。

 遠ざかる足音も、怒りの残響も、すでに何も残っていない。重厚な廊下に静けさが戻ると、アルフレッドは瞼を閉じた。

 己の愛が届かなかったこと。これほどまでに、信頼されていなかったという現実。

 ――それでも。

 あの息子が、わざわざ自分のもとに来て、怒りをぶつけてくれたという事実。それを心のどこかで、嬉しく思っている自分がいた。

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