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失った愛
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結局、ラルは本気で僕を婚約者選びに参加させることに決めたようだった。
毎日の食事は豪華な物に変わり、複雑な気持ちと相まって僕の身体は少しずつ標準へと戻って行った。
使用人の女性達に全身を洗われて、ボサボサだった髪を整えられると、火傷をした顔に付けておくようにと美しい装飾の施された仮面を手渡された。
それを嵌めてマナーの先生の授業を受ける毎日は正直辛くて苦しいものだった。
王太子様の婚約者選びの為だけにこんなことをさせられていると思うと更に辟易としてくる。それなのに、お父様もお母様もラルのことを止める気は無いようで、それにも胸が傷んだ。
誰も僕の話なんて聞いてはくれない。
僕の身嗜みを整えるメイドさんですら僕から顔を逸らす始末。
まるで生贄に捧げられる下準備のために檻の中に入れられている気分だった。
……いや、もしかしたらずっと前から僕は檻の中に閉じ込められていたのかもしれない。
悲しいけれど、僕の顔が醜いから仕方ないんだ。
そう思うことで自分の心を自分の手で護ろうとしている。
「いよいよ明日ね」
ラルが勉強をしている僕に話しかけてきた。
部屋の蝋燭に照らされてラルの赤い瞳が暗闇に浮き上がっている。その妖艶な姿に僕はゴクリと喉を鳴らした。
彼女は美しい。
その美しさで何もかもを思い通りに動かしている。唯一の双子の兄妹ですら思いのままに操るのだから彼女は本当に残酷だ。
それでも、大切な僕の半身だから嫌いたくても嫌いきれず、憎むことも出来ない。
「……満足?」
思わずでた嫌味を受けて、彼女はふっと鼻で笑い返してきた。
「貴方は本当に卑屈ね」
「……そうかもしれない」
なにも反論する気が起きなかった。
きっと、この火傷が無いまま成長していたなら僕はラルよりももっと傲慢で無知で我儘な公爵子息になっていただろうから。
これで良かったと思う反面、この醜い火傷を憎む気持ちもあるから。
それに何を言ったってラルには僕の気持ちはわかりっこない。
「……どうせ選ばれることは無いよ。きっと今していることは無駄に終わる」
「そんなの分からないわ。それに私はどちらでもいいの。だって、貴方が行くことに意味があるのだから」
「……どういうこと?」
「……」
僕の疑問の言葉にラルは何も答えてはくれなかった。その代わりと言うように蝋燭の火を水魔法で消して部屋を暗くし、もう寝ろと言ってくる。
それに従って渋々手元の本を閉じた。
字だけは幼い頃から習っていたから知っている。だから明日恥をかかないためにも知識を付けておこうと思ったのだけれど、彼女の言うことには逆らえないから大人しくベッドへと横になった。
毎日の食事は豪華な物に変わり、複雑な気持ちと相まって僕の身体は少しずつ標準へと戻って行った。
使用人の女性達に全身を洗われて、ボサボサだった髪を整えられると、火傷をした顔に付けておくようにと美しい装飾の施された仮面を手渡された。
それを嵌めてマナーの先生の授業を受ける毎日は正直辛くて苦しいものだった。
王太子様の婚約者選びの為だけにこんなことをさせられていると思うと更に辟易としてくる。それなのに、お父様もお母様もラルのことを止める気は無いようで、それにも胸が傷んだ。
誰も僕の話なんて聞いてはくれない。
僕の身嗜みを整えるメイドさんですら僕から顔を逸らす始末。
まるで生贄に捧げられる下準備のために檻の中に入れられている気分だった。
……いや、もしかしたらずっと前から僕は檻の中に閉じ込められていたのかもしれない。
悲しいけれど、僕の顔が醜いから仕方ないんだ。
そう思うことで自分の心を自分の手で護ろうとしている。
「いよいよ明日ね」
ラルが勉強をしている僕に話しかけてきた。
部屋の蝋燭に照らされてラルの赤い瞳が暗闇に浮き上がっている。その妖艶な姿に僕はゴクリと喉を鳴らした。
彼女は美しい。
その美しさで何もかもを思い通りに動かしている。唯一の双子の兄妹ですら思いのままに操るのだから彼女は本当に残酷だ。
それでも、大切な僕の半身だから嫌いたくても嫌いきれず、憎むことも出来ない。
「……満足?」
思わずでた嫌味を受けて、彼女はふっと鼻で笑い返してきた。
「貴方は本当に卑屈ね」
「……そうかもしれない」
なにも反論する気が起きなかった。
きっと、この火傷が無いまま成長していたなら僕はラルよりももっと傲慢で無知で我儘な公爵子息になっていただろうから。
これで良かったと思う反面、この醜い火傷を憎む気持ちもあるから。
それに何を言ったってラルには僕の気持ちはわかりっこない。
「……どうせ選ばれることは無いよ。きっと今していることは無駄に終わる」
「そんなの分からないわ。それに私はどちらでもいいの。だって、貴方が行くことに意味があるのだから」
「……どういうこと?」
「……」
僕の疑問の言葉にラルは何も答えてはくれなかった。その代わりと言うように蝋燭の火を水魔法で消して部屋を暗くし、もう寝ろと言ってくる。
それに従って渋々手元の本を閉じた。
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