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癒しの王太子
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無害そう。
それが彼への第一印象だった。
微笑みを浮かべながら階段を降りきった彼がゆっくりと周りを見渡してから、挨拶を始める。
「本日はお集まり頂き有難うございます。表上は私の婚約者を決めるために開かれた催しですが、その様なことはお気になさらず肩の力を抜いて好きな様にお楽しみください」
良く通るゆったりとした聞き心地のいい声で彼はそう言ってお辞儀をする。そのもの越しの柔らかさと王太子でありながらも傲った所のない様に思わず感心してしまう。
それと同時にもっと彼の声を聞いていたいなと思った。あの心地のいい声を聞いていると心が癒される気がする。
ラルは格好よくないと言っていたけれど、あの優しそうな雰囲気と物腰は貴族子女達には好感触だった様で彼の周りにはすでに多くの貴族子女達が群がっていた。
僕はそれを遠巻きに眺めながら、やっぱり僕の出番は無いなと安堵する。同時に少しだけ寂しさも覚えた。
どうしてそんなことを思うのかは分からない。けれど、少しだけ王太子様と話してみたいと思ったのは確かだ。
それでも、あれだけ囲まれているとその中に入っていく勇気も出てこない。仕方なく、息を吐き出して息苦しい会場から出てしまおうと庭へと向かった。
王宮の中庭は建物の中にあり、誰でも使用出来るようになっているみたいだ。ガーデンテーブルと椅子が用意してあり、その椅子に腰掛けて全身に入っていた力を抜く。
真ん中に置かれた噴水から水が溢れてくる音を耳に入れながら、静かなこの空間にいると先程の騒がしさが嘘だったかのように思えてくる。
噴水の音を聴いていると、少しだけそちらが気になって噴水へと近づいた。
淵に腰掛けて覗き込むと水面に仮面をつけた自分の顔が映り込む。仮面で隠れていない左半分は色以外はラナと全く同じ顔だ。
そっと仮面を取ると、醜い火傷痕が残る右側も水面に映る。
噴水の流れによって歪む自身の顔を見つめながら、やはり自分は醜い欠陥品だと苦笑いを浮かべた。
けれど、この傷を負ったからこそ人の心の痛みに気がつくことが出来た。その対価だと思えばこの傷は安いものなのかもしれない。
「そんな所に居たら濡れてしまいますよ」
「……っ!」
じっと噴水を覗き込んでいたら、突然背後から話しかけられて驚いてバランスを崩してしまった。
落ちる!と危険信号が脳内を走って、咄嗟に身を守るために顔の前に手をやると力強い何かに引き寄せられて想像していた衝撃は訪れることはなかった。
「すみません。驚かせてしまいましたね」
柔らかく、それでいて少しだけ申し訳なさを含んだ声が降ってきて驚いて身を引くと、目の前に先程無害そうだと思った顔があって驚いてしまう。
「……王太子様……?」
僕の言葉に彼が頬笑みを浮かべた。
それと同時に、自分が仮面を付けていないことに気がついて慌てて彼から離れようと身を捩る。
そうしたら彼が直ぐに腕を離してくれて、僕は立ち上がって彼から離れると近くに落ちていた仮面をサッと取って付け直した。
それが彼への第一印象だった。
微笑みを浮かべながら階段を降りきった彼がゆっくりと周りを見渡してから、挨拶を始める。
「本日はお集まり頂き有難うございます。表上は私の婚約者を決めるために開かれた催しですが、その様なことはお気になさらず肩の力を抜いて好きな様にお楽しみください」
良く通るゆったりとした聞き心地のいい声で彼はそう言ってお辞儀をする。そのもの越しの柔らかさと王太子でありながらも傲った所のない様に思わず感心してしまう。
それと同時にもっと彼の声を聞いていたいなと思った。あの心地のいい声を聞いていると心が癒される気がする。
ラルは格好よくないと言っていたけれど、あの優しそうな雰囲気と物腰は貴族子女達には好感触だった様で彼の周りにはすでに多くの貴族子女達が群がっていた。
僕はそれを遠巻きに眺めながら、やっぱり僕の出番は無いなと安堵する。同時に少しだけ寂しさも覚えた。
どうしてそんなことを思うのかは分からない。けれど、少しだけ王太子様と話してみたいと思ったのは確かだ。
それでも、あれだけ囲まれているとその中に入っていく勇気も出てこない。仕方なく、息を吐き出して息苦しい会場から出てしまおうと庭へと向かった。
王宮の中庭は建物の中にあり、誰でも使用出来るようになっているみたいだ。ガーデンテーブルと椅子が用意してあり、その椅子に腰掛けて全身に入っていた力を抜く。
真ん中に置かれた噴水から水が溢れてくる音を耳に入れながら、静かなこの空間にいると先程の騒がしさが嘘だったかのように思えてくる。
噴水の音を聴いていると、少しだけそちらが気になって噴水へと近づいた。
淵に腰掛けて覗き込むと水面に仮面をつけた自分の顔が映り込む。仮面で隠れていない左半分は色以外はラナと全く同じ顔だ。
そっと仮面を取ると、醜い火傷痕が残る右側も水面に映る。
噴水の流れによって歪む自身の顔を見つめながら、やはり自分は醜い欠陥品だと苦笑いを浮かべた。
けれど、この傷を負ったからこそ人の心の痛みに気がつくことが出来た。その対価だと思えばこの傷は安いものなのかもしれない。
「そんな所に居たら濡れてしまいますよ」
「……っ!」
じっと噴水を覗き込んでいたら、突然背後から話しかけられて驚いてバランスを崩してしまった。
落ちる!と危険信号が脳内を走って、咄嗟に身を守るために顔の前に手をやると力強い何かに引き寄せられて想像していた衝撃は訪れることはなかった。
「すみません。驚かせてしまいましたね」
柔らかく、それでいて少しだけ申し訳なさを含んだ声が降ってきて驚いて身を引くと、目の前に先程無害そうだと思った顔があって驚いてしまう。
「……王太子様……?」
僕の言葉に彼が頬笑みを浮かべた。
それと同時に、自分が仮面を付けていないことに気がついて慌てて彼から離れようと身を捩る。
そうしたら彼が直ぐに腕を離してくれて、僕は立ち上がって彼から離れると近くに落ちていた仮面をサッと取って付け直した。
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