緑宝は優しさに包まれる〜癒しの王太子様が醜い僕を溺愛してきます〜

天宮叶

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幸せのお裾分け

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フェリクス様を見つめながら、もしかしたらラナの偽物だってバレたから呼び出されたのかもしれないってふと思った。

そうだとしたら僕は捕まってしまうのかな……。それとも罰を受けさせられるのだろうか。

イマイチ、このお茶会に招待された理由が分からない。

「そんなに緊張しなくても大丈夫だよ。今日は君とお話をしたかっただけだから」

「……話し?」

「そう。例えば君の好きな食べ物の話とか、ね」

そう言ってフェリクス様が僕の何も乗っていない皿にクッキーやケーキを乗せてくれる。

ヒョイヒョイと次から次に乗せられていくお茶菓子を見つめながら、そんなに食べれないよ!?って内心で突っ込んで慌てる。

「……そんなに食べれないです」

「あ……ごめん、つい乗せすぎちゃった。どれが好きか分からなくて」

申し訳なさそうに眉を垂れさせてそう言ってくるフェリクス様がなんだか可愛く思えて、その不思議な感覚に内心で首を傾げた。

「これが好きです」

皿に盛られたお菓子の中から、甘いいちごの乗ったタルトを指さすとパァァっと花が咲くみたいに笑みを浮かべたフェリクス様が凄く美味しいいちごタルトのお店を知っているから今度買ってくると言ってくれた。

それに慌てる。

そんなことしてもらう程の価値は自分にはない気がしたからだ。

「……お気づかいなく……。その、僕なんかには勿体無いですから……」

「どうしてそう思うの?」

「だって……」

こんな見た目だからって言葉は喉の奥につっかえて出てこない。前に彼と話した時、彼は僕に美しいと言ってくれたから。その言葉を否定するみたいで戸惑われたんだ。

「ねえ、私は君になにかしてあげたいんだよ」

「……え……?」

「誰でもなく、君に笑って欲しい。喜んで欲しい。その気持ちはね私の勝手な好意だから堂々と受け取って欲しいな」

微かに顔を赤くして照れながらふにゃりと笑って、甘い砂糖みたいな言葉をくれる彼のことをじっと見つめる。

どうして彼はこんなに優しいんだろう。

どうして僕なんかに優しくできるんだろう。

僕は最低な人間で、だから火傷を負って今はその罰を受けている。それなのに、彼が僕に優しさをくれるから罰を受けていることを忘れそうになるんだ。

火傷を負って10年。

あの日のことを1度たりとも忘れたことなんて無いのに。

「……優しいんですね」

「君には特別甘いかもしれないね」

ほらやっぱり、彼は僕に砂糖をふりかける。
その砂糖は普通のものよりももっともっと甘く感じるんだ。
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