緑宝は優しさに包まれる〜癒しの王太子様が醜い僕を溺愛してきます〜

天宮叶

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婚約と養子

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周りなんか気にせずにラルと僕は抱きしめ合って沢山泣いて、ごめんとありがとうを繰り返し伝え合っう。

そんな僕達のことをフェリクス様とオスマン様はただ黙って見守ってくれていた。

「ラル、僕これからもっと沢山ラルと一緒に居た
い」

「……いいの?」

「当たり前だよ」

不安そうに潤んだ瞳を向けてくるラルをもう一度ぎゅっと抱きしめた。
昔は容姿も背も何もかも同じだったはずなのに、今はこんなにもラルは小さかったんだって驚かされる。

「ねえ……ルダって呼んでもいいかしら……」

恐る恐る尋ねてきたラルに、もちろんって微笑みながら返事を返した。

昔はずっとそんな風に呼びあっていたのに、僕が怪我をしてからラルは僕のことをエスメラルダと呼ぶようになった。

そんな些細なことでさえ気が付けていなかったんだと後悔する。

幼い頃、お互いの愛称を決めようと、公爵家の庭で話し合ったことを思い出す。

『私のことはラルって呼んで!えーとっ、エスメラルダは……あれ?エスメラルダもラルね!』

『本当だねっ!僕達名前まで同じだ』

そんな会話をして、それならルダって呼ぼうってラルが言ってくれたんだ。

懐かしくて大切な思い出。

「……ラル、僕ねずっとこうして話をしたかった。嫌われてるって思いながらも、嫌いにはなれなかったんだよ」

「……私は貴方に嫌いだって言って欲しかった」

「そんなこと嘘でだって言えるわけないよ」

「……そう、よね」

いつも気丈に振舞っていたラルは、そんな姿の裏で沢山泣いていたのかもしれない。

「お取り込み中悪いがそろそろいいか」

「……オスマン様」

僕からラルを取り返すみたいに自分の方に引き寄せたオスマン様が僕のことを睨みつけてくる。

その顔にあの時の嫌な笑みは浮かんでいなかった。

「兄上」

「なんだい?」

「そいつと婚約する気か?」

「オスマン、そのことは私だけでは決められないんだよ。私はルダの意志を尊重したいと思っているんだ」

「はやく婚約してくれ」

オスマン様が真剣な顔で婚約しろとフェリクス様に迫るから、フェリクス様は困り顔を浮かべて僕の方を見た。

それに釣られるようにオスマン様も僕の方に視線を向ける。

「今すぐ返事しろ」

「……へ!?」

「オスマン、やめなさい」

「そいつが兄上と婚約しないと俺が困るんだよ」

「ルダ気にしなくていいからね」

2人に挟まれてどうしたらいいのか戸惑っていると、抱き寄せられていたラルがオスマン様を睨みつけて、離せと暴れ始めた。

熟れたリンゴみたいに真っ赤なラルの顔を見て、もしかして?って思う。

「フェリクス様、後でお話があるんです」

「……ルダ」

真剣な顔でフェリクス様を見つめたら、フェリクス様は眉を垂れさせて小さく頷いてくれた。

「後と言わずに今すぐ話をしてこい。それから兄上、優しすぎると逃げられるぞ」

オスマン様がそう言って僕達に部屋から出て行けと言ってくるから、僕とフェリクス様は仕方なく言われたとおり部屋から出た。

「気にしなくていいから」

ずっと困り顔を浮かべているフェリクス様が僕にそう言って苦笑いを向けてくるから、僕はそっとフェリクス様の手を取って、お話しましょうって勇気を出して言ったんだ。
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