緑宝は優しさに包まれる〜癒しの王太子様が醜い僕を溺愛してきます〜

天宮叶

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幸せの在り方

1〜フェリクス視点〜

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婚約発表から数日後、私はアルスタッド公爵家へと足を運んでいた。ルダが前に進もうと頑張っている姿を見て私なりに彼の手助けをしてあげたいと思ったからだ。

「これはこれは王太子様」

「突然押しかけてしまい申し訳ありません」

客間に通されるとアルスタッド公爵が来て私と対面するようにソファーに腰かけた。

「どんなご要件でしょうか」

余裕の笑みを浮かべるアルスタッド公爵を見据えながら、頭の中でルダの顔を思い浮かべる。

「ルダから手を引いてください。それからコーラル嬢のことも自由にしてあげて欲しいのです」

「それは出来ない御相談ですね」

「……アルスタッド公爵、よくお考えになられた方がいい」

「考えていますとも。私があの美しい宝石達を手放すとでも?それに、あの子達は私の子供だ」

余裕の笑みを浮かべながらそう言い切る彼を見て埒が明かないと判断すると、私は持ってきていた書類をアルスタッド公爵の前へと置いた。

「これはなんでしょうか」

「貴方が資金を横領していた証拠です」

「……何を言われるかと思えば、横領など私はしておりませんよ」

「そこに証拠が記載されています。私が何も知らないとでも?」

「……っ」

アルスタッド公爵は資料を手に取ると中身を確認して、ははっと空笑いを漏らす。

元々おかしいとは思っていたのだ。

コーラル嬢はよく、オスマンやルダに公爵家の宝物について話を聞かせていたらしく、オスマンから怪しいと聞かされて調べて見て驚いた。

彼が長年集めていた宝石類は相当な額を必要とするものばかりで、いくら公爵家とはいえ買うには資金が足りないことは明白だったからだ。

アルスタッド公爵家は私の祖父の代からずっと国庫の管理を任されており、そこが怪しいと睨んで調べたところ今回の横領が発覚した。

「こ、これは……」

「それを公にすれば公爵家は終わりです」

「フェリクス王太子様っ、どうかご慈悲をっ!お優しい王太子様ならば許してくださるでしょう?もう二度とこのようなことは致しませんから……」

突然態度を変えたアルスタッド公爵を冷めた目で見ながら、私はもう一度ルダとコーラル嬢の話を切り出す。

「では、私が先程お願いしたことに同意して頂けますか」

「……っ、そ、それは」

「出来ないのであれば話は以上です」

そう言って書類へと手を伸ばすと、彼はそれを奪い取ってから、分かりました、とか細く答えた。

それに内心で安堵する。

「承諾して頂けて良かった。それでは契約書にサインを」

「け、契約書、ですか?」

「ええ、2人に今後一切関わらないこと。それから2人の身元引き受け先もこちらで選んでおきました。サインして頂けますよね」

笑みを貼り付けて伝えれば、アルスタッド公爵は心底悔しそうな顔をしながら私の取りだした契約書にサインをしてくれた。
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