18 / 51
一騒動①
しおりを挟む
こんな気持ち初めてで、戸惑いが大きい。もっとデューク様の笑顔を見ていたい。笑いかけてほしい。
微かに生まれた欲は、きっともっと大きく成長していく。
戸惑いがちに、デューク様の空いている方の手を掴む。触れていたかった。僕のことをずっと見ていてほしい。
僕の行動に一瞬驚いたデューク様が、目を丸くさせる。
「アルビーどうした?」
「……手を、繋ぎたくて……駄目ですか?」
背の高いデューク様を見上げながら尋ねる。
一瞬言葉をつまらせたデューク様は、すぐに繋いだ手へと力を込めてくれる。ゆっくりと二人で屋敷内の通路を進んでいく。
この時間がずっと続けばいいと思った。
◇◇◇
使用人選びは相変わらず難航している。
今日はデューク様がお仕事で一時的に不在のため、戻ってくるまでは僕一人で使用人選びを行うことになった。
身支度を整えて、面接用の部屋へと向かう。
僕のために時間を割いて使用人を選んでくれていることに、申し訳なさを感じていた。デューク様は僕に優しい。けれどそれは夫婦になったから優しいだけだということもわかっている。
愛や恋という感情から誘発されたものではないことも理解している。
だからこそ、ますます申し訳なく思ってしまう。
部屋へつく寸前、中から口論をする声が聞こえてきた。慌てて中に入ると、複数の女性が一人の女の子を囲っている姿が目に飛び込んでくる。
僕に気がついた彼女たちがこちらを見るけれど、解散する気はないようだ。逆にヒートアップしたのか、女の子に向かって暴言を吐き始める。
「使用人にだって格ってものが必要なのよ。それなのに見てよこの格好。いかにも貧乏人って感じよね」
よく見れば、女の子の着ている服はところどころ解れていて、自分で手直ししたのか縫われているところもある。高価な化粧品や趣向品の類を使っている形跡もなく、日に焼けた肌や目元のくまが、普段から働き詰めだということを表していた。
一方、女性の方は美しく身なりを整えてている。僕には派手にも感じるけれど、こういった女性は社交界にも多い。
花嫁修業のために使用人を経験する貴族も多い。彼女もお金持ちのご令嬢なのだろう。
「たしかに貴方と比べればみすぼらしいかもしれませんが、募集紙には誰でも歓迎されると書いてありました」
はっきりと反論した女の子のことを女性が睨む。
「私はマルイ大商店の一人娘なのよ!その私に口答えするだなんてっ!身の程知らずね!」
女性が大きく手を振り上げたのがわかった瞬間、僕は勢い良く彼女たちの間に飛び込んでいた。どうしてそうしたのかはわからない。けれど、身体が勝手に動いていたんだ。
頬に衝撃の痛みが走る。
微かに生まれた欲は、きっともっと大きく成長していく。
戸惑いがちに、デューク様の空いている方の手を掴む。触れていたかった。僕のことをずっと見ていてほしい。
僕の行動に一瞬驚いたデューク様が、目を丸くさせる。
「アルビーどうした?」
「……手を、繋ぎたくて……駄目ですか?」
背の高いデューク様を見上げながら尋ねる。
一瞬言葉をつまらせたデューク様は、すぐに繋いだ手へと力を込めてくれる。ゆっくりと二人で屋敷内の通路を進んでいく。
この時間がずっと続けばいいと思った。
◇◇◇
使用人選びは相変わらず難航している。
今日はデューク様がお仕事で一時的に不在のため、戻ってくるまでは僕一人で使用人選びを行うことになった。
身支度を整えて、面接用の部屋へと向かう。
僕のために時間を割いて使用人を選んでくれていることに、申し訳なさを感じていた。デューク様は僕に優しい。けれどそれは夫婦になったから優しいだけだということもわかっている。
愛や恋という感情から誘発されたものではないことも理解している。
だからこそ、ますます申し訳なく思ってしまう。
部屋へつく寸前、中から口論をする声が聞こえてきた。慌てて中に入ると、複数の女性が一人の女の子を囲っている姿が目に飛び込んでくる。
僕に気がついた彼女たちがこちらを見るけれど、解散する気はないようだ。逆にヒートアップしたのか、女の子に向かって暴言を吐き始める。
「使用人にだって格ってものが必要なのよ。それなのに見てよこの格好。いかにも貧乏人って感じよね」
よく見れば、女の子の着ている服はところどころ解れていて、自分で手直ししたのか縫われているところもある。高価な化粧品や趣向品の類を使っている形跡もなく、日に焼けた肌や目元のくまが、普段から働き詰めだということを表していた。
一方、女性の方は美しく身なりを整えてている。僕には派手にも感じるけれど、こういった女性は社交界にも多い。
花嫁修業のために使用人を経験する貴族も多い。彼女もお金持ちのご令嬢なのだろう。
「たしかに貴方と比べればみすぼらしいかもしれませんが、募集紙には誰でも歓迎されると書いてありました」
はっきりと反論した女の子のことを女性が睨む。
「私はマルイ大商店の一人娘なのよ!その私に口答えするだなんてっ!身の程知らずね!」
女性が大きく手を振り上げたのがわかった瞬間、僕は勢い良く彼女たちの間に飛び込んでいた。どうしてそうしたのかはわからない。けれど、身体が勝手に動いていたんだ。
頬に衝撃の痛みが走る。
458
あなたにおすすめの小説
番解除した僕等の末路【完結済・短編】
藍生らぱん
BL
都市伝説だと思っていた「運命の番」に出逢った。
番になって数日後、「番解除」された事を悟った。
「番解除」されたΩは、二度と他のαと番になることができない。
けれど余命宣告を受けていた僕にとっては都合が良かった。
2026/01/23 19:00 アルファポリス版限定SS公開予定
累計で6300♡いいねと累計ポイント285000突破の御礼SSになります
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
✻改稿版を他サイトにて投稿公開中です。
あなたと過ごせた日々は幸せでした
蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。
ウサギ獣人を毛嫌いしているオオカミ獣人後輩に、嘘をついたウサギ獣人オレ。大学時代後輩から逃げたのに、大人になって再会するなんて!?
灯璃
BL
ごく普通に大学に通う、宇佐木 寧(ねい)には、ひょんな事から懐いてくれる後輩がいた。
オオカミ獣人でアルファの、狼谷 凛旺(りおう)だ。
ーここは、普通に獣人が現代社会で暮らす世界ー
獣人の中でも、肉食と草食で格差があり、さらに男女以外の第二の性別、アルファ、ベータ、オメガがあった。オメガは男でもアルファの子が産めるのだが、そこそこ差別されていたのでベータだと言った方が楽だった。
そんな中で、肉食のオオカミ獣人の狼谷が、草食オメガのオレに懐いているのは、単にオレたちのオタク趣味が合ったからだった。
だが、こいつは、ウサギ獣人を毛嫌いしていて、よりにもよって、オレはウサギ獣人のオメガだった。
話が合うこいつと話をするのは楽しい。だから、学生生活の間だけ、なんとか隠しとおせば大丈夫だろう。
そんな風に簡単に思っていたからか、突然に発情期を迎えたオレは、自業自得の後悔をする羽目になるーー。
みたいな、大学篇と、その後の社会人編。
BL大賞ポイントいれて頂いた方々!ありがとうございました!!
※本編完結しました!お読みいただきありがとうございました!
※短編1本追加しました。これにて完結です!ありがとうございました!
旧題「ウサギ獣人が嫌いな、オオカミ獣人後輩を騙してしまった。ついでにオメガなのにベータと言ってしまったオレの、後悔」
「オレの番は、いちばん近くて、いちばん遠いアルファだった」
星井 悠里
BL
大好きだった幼なじみのアルファは、皆の憧れだった。
ベータのオレは、王都に誘ってくれたその手を取れなかった。
番にはなれない未来が、ただ怖かった。隣に立ち続ける自信がなかった。
あれから二年。幼馴染の婚約の噂を聞いて胸が痛むことはあるけれど、
平凡だけどちゃんと働いて、それなりに楽しく生きていた。
そんなオレの体に、ふとした異変が起きはじめた。
――何でいまさら。オメガだった、なんて。
オメガだったら、これからますます頑張ろうとしていた仕事も出来なくなる。
2年前のあの時だったら。あの手を取れたかもしれないのに。
どうして、いまさら。
すれ違った運命に、急展開で振り回される、Ωのお話。
ハピエン確定です。(全10話)
2025年 07月12日 ~2025年 07月21日 なろうさんで完結してます。
最強で美人なお飾り嫁(♂)は無自覚に無双する
竜鳴躍
BL
ミリオン=フィッシュ(旧姓:バード)はフィッシュ伯爵家のお飾り嫁で、オメガだけど冴えない男の子。と、いうことになっている。だが実家の義母さえ知らない。夫も知らない。彼が陛下から信頼も厚い美貌の勇者であることを。
幼い頃に死別した両親。乗っ取られた家。幼馴染の王子様と彼を狙う従妹。
白い結婚で離縁を狙いながら、実は転生者の主人公は今日も勇者稼業で自分のお財布を豊かにしています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる