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招待状
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「失礼いたします。アルビー様宛にお手紙が届いています」
タイミングを見計らったように、アリアが話しかけてきた。銀盆の上に一通の手紙が乗せられている。手に取ると、見覚えのある封蝋印を確認して動きを止めた。
ラミレス男爵家の家紋が刻まれたそれを見つめながら、唇を噛みしめる。送り主はオリビア。細く丁寧な文字は、どこか懐かしさを感じさせる。
「実家からか。俺が確認しようか?」
「……いいえ。ありがとうございます」
デューク様の優しさがありがたい。けれどこの手紙は、自分で開けるべきだと思う。
封を開けると、手紙と招待状が入れられていた。
「婚約パーティー?」
ジルバート様とオリビアの婚約発表パーティーを行うため、参加してほしいという内容だ。震える指先を無理矢理動かして、手紙を便箋へとしまう。
「大丈夫か?」
様子のおかしい僕の背を、デューク様が労るように撫でてくれる。そのおかげか、辛うじて感情を抑えることが出来ていた。
お腹の奥から湧いてきたのは怒り。それから悔しさ。あまりにも図々しいと思ってしまう。それでも、兄としての僕はオリビアの幸せを祝ってあげたい。
「オリビアから婚約発表パーティーの招待状が届きました」
自然と声が固くなる。困り顔をデューク様へ向けると、彼も同じように難しい表情を浮かべた。
「……どうするんだ?」
「……どうしたらいいのかわからないんです。弟に会うのは少しだけ怖いですし、パーティーには両親も参加するはずですから」
それにジルバート様も……。
僕は未だにジルバート様のことをデューク様に話すことができていない。婚約破棄をして嫁いできたなど、口が裂けても言えない気がした。
嫌われてしまうんじゃないかと、不安でたまらない。
「もし少しでも祝いたい気持ちがあるなら行くべきだ。その気持ちを大切にしてほしい。後悔しない選択をしろよ」
「……はい」
キュッと唇を噛みしめる。
手紙を握る手に力が篭った。その手をデューク様がそっと包み込んでくれる。
「もしも参加するなら俺も一緒に行く。一人にはさせないから」
目頭が熱くなり、視界が曇っていく。いつも僕の心は一人ぼっちだった。いつも人に囲まれているオリビアが憧れだった。
だからデューク様の言葉が嬉しくてたまらない。その言葉一つで、僕はなんだって出来る気がする。
「っ、ありがとうございます。僕、婚約発表パーティーに参加しようと思います」
流れる涙を、デューク様が親指で拭ってくれた。荒々しいのに、優しさが伝わってきて、ますます涙が出る。
嬉しくて、幸せで、止まってくれないんだ。
「泣き虫だな」
「えへへ、僕、デューク様の前だと泣き虫になっちゃうみたいです」
抱き寄せられて、背をポンポンと撫でてもらう。
側で様子をうかがっていたアリアも、一緒に瞳を潤ませてくれている。
伯爵家へ嫁いできてから、僕は寂しくなくなった。デューク様がいて、アリアがいる。騎士団の皆も優しい。
大勢で食事を囲う瞬間や、こうやって抱き締めてもらうとき、人の温かさに触れて僕の心も熱を持つ。
「ありがとうございます」
伝えきれない感謝の気持ちを言葉に出してみる。
目一杯の笑顔を浮かべた僕に、デューク様もニカッと笑い返してくれた。
タイミングを見計らったように、アリアが話しかけてきた。銀盆の上に一通の手紙が乗せられている。手に取ると、見覚えのある封蝋印を確認して動きを止めた。
ラミレス男爵家の家紋が刻まれたそれを見つめながら、唇を噛みしめる。送り主はオリビア。細く丁寧な文字は、どこか懐かしさを感じさせる。
「実家からか。俺が確認しようか?」
「……いいえ。ありがとうございます」
デューク様の優しさがありがたい。けれどこの手紙は、自分で開けるべきだと思う。
封を開けると、手紙と招待状が入れられていた。
「婚約パーティー?」
ジルバート様とオリビアの婚約発表パーティーを行うため、参加してほしいという内容だ。震える指先を無理矢理動かして、手紙を便箋へとしまう。
「大丈夫か?」
様子のおかしい僕の背を、デューク様が労るように撫でてくれる。そのおかげか、辛うじて感情を抑えることが出来ていた。
お腹の奥から湧いてきたのは怒り。それから悔しさ。あまりにも図々しいと思ってしまう。それでも、兄としての僕はオリビアの幸せを祝ってあげたい。
「オリビアから婚約発表パーティーの招待状が届きました」
自然と声が固くなる。困り顔をデューク様へ向けると、彼も同じように難しい表情を浮かべた。
「……どうするんだ?」
「……どうしたらいいのかわからないんです。弟に会うのは少しだけ怖いですし、パーティーには両親も参加するはずですから」
それにジルバート様も……。
僕は未だにジルバート様のことをデューク様に話すことができていない。婚約破棄をして嫁いできたなど、口が裂けても言えない気がした。
嫌われてしまうんじゃないかと、不安でたまらない。
「もし少しでも祝いたい気持ちがあるなら行くべきだ。その気持ちを大切にしてほしい。後悔しない選択をしろよ」
「……はい」
キュッと唇を噛みしめる。
手紙を握る手に力が篭った。その手をデューク様がそっと包み込んでくれる。
「もしも参加するなら俺も一緒に行く。一人にはさせないから」
目頭が熱くなり、視界が曇っていく。いつも僕の心は一人ぼっちだった。いつも人に囲まれているオリビアが憧れだった。
だからデューク様の言葉が嬉しくてたまらない。その言葉一つで、僕はなんだって出来る気がする。
「っ、ありがとうございます。僕、婚約発表パーティーに参加しようと思います」
流れる涙を、デューク様が親指で拭ってくれた。荒々しいのに、優しさが伝わってきて、ますます涙が出る。
嬉しくて、幸せで、止まってくれないんだ。
「泣き虫だな」
「えへへ、僕、デューク様の前だと泣き虫になっちゃうみたいです」
抱き寄せられて、背をポンポンと撫でてもらう。
側で様子をうかがっていたアリアも、一緒に瞳を潤ませてくれている。
伯爵家へ嫁いできてから、僕は寂しくなくなった。デューク様がいて、アリアがいる。騎士団の皆も優しい。
大勢で食事を囲う瞬間や、こうやって抱き締めてもらうとき、人の温かさに触れて僕の心も熱を持つ。
「ありがとうございます」
伝えきれない感謝の気持ちを言葉に出してみる。
目一杯の笑顔を浮かべた僕に、デューク様もニカッと笑い返してくれた。
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