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再会と嫉妬
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パーティー当日、不安に駆られながら馬車を降りた。目の前にはラミレス子爵家が聳え建っている。
婚約発表パーティーは、子爵家内にある大広間で行われる。大商人の権力と富を惜しみなく利用し作られた大広間は、豪華絢爛で他貴族と比べても立派だ。
緊張で震えながら門から子爵家内へと足を踏み入れようとしたとき、隣に立っていたデューク様に手を取られた。
「一人で行こうとするな」
「っ、ありがとうございます」
デューク様が隣に立ってくれているだけで、何倍も勇気が湧いてくる。
中庭を通り、大広間へ直接向かう。
すでに会場入りした貴族達で会場内は賑わいを見せていた。
わっと会場が湧くと、階段から腕を組んだジルバート様とオリビアが降りてくる。本当ならオリビアの立つ場所には僕が居たはず。それを思うと複雑な心地にもなる。
子爵家を出るときには恨みもあった。悲しくて、こんな扱いは耐えられないとすら思ったほどだ。
それでも、今はデューク様に出会えてよかったと本気で感じる。
未だに繋がっている手に力を込めると、デューク様が僕へ視線を向けてくれる。ふわりと、赤い瞳が細められる。不安な僕の心を汲み取り、落ちつかせようとしてくれている気がした。
「皆様、この度は私達の婚約発表パーティーに参加いただきありがとうございます。存分に楽しんでいかれてください」
久しぶりに聞くジルバート様の声には、微かな喜びが含まれているように聞こえる。幸せそうに、隣に立つオリビアへと視線を向けていた。
僕は彼のあんな表情を見たことがない。
いつだって完璧な婚約者として振る舞ってくれた。僕を励まし、ジルバート様の婚約者として立ててくれていた。優しくて、非の打ち所がない。けれど、一度として僕に感情の篭った視線を向けてくれたことはない。
それは僕も同じだったのだと今ならわかる。
──だから僕はジルバート様を責めることなどできない。
僕はジルバート様に居場所を求めていた。味方のいない子爵家で唯一の拠り所。政略的な婚姻。愛などなかった。
きっと依存を愛だと勘違いしていたんだ。
ジルバート様にとって僕から与えられる依存は負担でしかなかったのかもしれない。そんなとき、無邪気で純粋なオリビアがジルバート様を求めた。
きっと誰だって惹かれてしまう。
「あれがアルビーの弟か」
「っ……」
ポツリとデューク様が呟く。僕を見ていたはずの瞳が真っ直ぐにオリビアへと向けられている。
美しい純白の衣装を身に纏うオリビアは、まるで舞い降りた女神のように輝いている。燕尾の部分に入ったプリーツには、光を取り込み反射する軽い素材が使用されている。胸元を飾るジャボも、顔を覗かせるチーフですら上等品だと一目でわかった。
お父様達はオリビアに最高の衣装を仕立ててあげたのだろう。
ジルバート様も、対になるように同じ模様が刺繍されたタキシードを身に纏っている。
僕の憧れる美しさがそこにはあった。
デューク様もオリビアの美貌に目を奪われたのかもしれない。胸が酷く痛む。
(僕だけを見ていてください……)
胸の中を黒い煙が渦巻く。これは嫉妬だ。
婚約発表パーティーは、子爵家内にある大広間で行われる。大商人の権力と富を惜しみなく利用し作られた大広間は、豪華絢爛で他貴族と比べても立派だ。
緊張で震えながら門から子爵家内へと足を踏み入れようとしたとき、隣に立っていたデューク様に手を取られた。
「一人で行こうとするな」
「っ、ありがとうございます」
デューク様が隣に立ってくれているだけで、何倍も勇気が湧いてくる。
中庭を通り、大広間へ直接向かう。
すでに会場入りした貴族達で会場内は賑わいを見せていた。
わっと会場が湧くと、階段から腕を組んだジルバート様とオリビアが降りてくる。本当ならオリビアの立つ場所には僕が居たはず。それを思うと複雑な心地にもなる。
子爵家を出るときには恨みもあった。悲しくて、こんな扱いは耐えられないとすら思ったほどだ。
それでも、今はデューク様に出会えてよかったと本気で感じる。
未だに繋がっている手に力を込めると、デューク様が僕へ視線を向けてくれる。ふわりと、赤い瞳が細められる。不安な僕の心を汲み取り、落ちつかせようとしてくれている気がした。
「皆様、この度は私達の婚約発表パーティーに参加いただきありがとうございます。存分に楽しんでいかれてください」
久しぶりに聞くジルバート様の声には、微かな喜びが含まれているように聞こえる。幸せそうに、隣に立つオリビアへと視線を向けていた。
僕は彼のあんな表情を見たことがない。
いつだって完璧な婚約者として振る舞ってくれた。僕を励まし、ジルバート様の婚約者として立ててくれていた。優しくて、非の打ち所がない。けれど、一度として僕に感情の篭った視線を向けてくれたことはない。
それは僕も同じだったのだと今ならわかる。
──だから僕はジルバート様を責めることなどできない。
僕はジルバート様に居場所を求めていた。味方のいない子爵家で唯一の拠り所。政略的な婚姻。愛などなかった。
きっと依存を愛だと勘違いしていたんだ。
ジルバート様にとって僕から与えられる依存は負担でしかなかったのかもしれない。そんなとき、無邪気で純粋なオリビアがジルバート様を求めた。
きっと誰だって惹かれてしまう。
「あれがアルビーの弟か」
「っ……」
ポツリとデューク様が呟く。僕を見ていたはずの瞳が真っ直ぐにオリビアへと向けられている。
美しい純白の衣装を身に纏うオリビアは、まるで舞い降りた女神のように輝いている。燕尾の部分に入ったプリーツには、光を取り込み反射する軽い素材が使用されている。胸元を飾るジャボも、顔を覗かせるチーフですら上等品だと一目でわかった。
お父様達はオリビアに最高の衣装を仕立ててあげたのだろう。
ジルバート様も、対になるように同じ模様が刺繍されたタキシードを身に纏っている。
僕の憧れる美しさがそこにはあった。
デューク様もオリビアの美貌に目を奪われたのかもしれない。胸が酷く痛む。
(僕だけを見ていてください……)
胸の中を黒い煙が渦巻く。これは嫉妬だ。
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