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不法侵入者め!
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自室の扉を開けると勢い良く閉めた。
──入らせてなるものか!
自分史上最速の扉閉めを記録したはずだ。そのはずだったのに、ルーカスのほうが一瞬早かったのか、扉の隙間に足を差し込まれて閉めるのを阻止されてしまった。
「お邪魔します」
「入っていいとは言っていない」
「もうお邪魔しちゃったもん」
もん、なんて可愛く言っても気持ちが悪いだけだ。無駄に顔がいいせいでなにをしても許されると思っているのだろうか。
「不法侵入だ。消えろ」
シッシッと犬にするように手を振る。
その手を握られて、手の甲に唇を寄せられた。ゾワッと背筋に鳥肌が走る。
慌てて手を引っ込めると、ルーカスが「あれ?こうして欲しかったんじゃないの?」とわけのわからないことを口走り出した。
「話がないなら帰ってくれないか……」
前世の記憶が蘇る前のゼンなら、魔術の一つや二つ食らわせていたことだろう。
そうしないのは一応婚約者であり、小説にハマっていたときにルーカスが割と好きなキャラだったからだ。
期待とは正反対に、ルーカスは備え付けのカウチソファーに腰掛けてしまった。対面に椅子はないため、座るためには隣に腰掛ける必要がある。
ゼンは迷わず立っていることを選択した。
「もうすぐ大規模な角狼の討伐が行われるんだ。今回の繁殖期で異常繁殖が起こったみたいでね。近隣被害が多発しているのは知っているでしょう」
「あぁ、話だけはな」
魔獣討伐は基本的に騎士団が担当している。魔術師は魔術の研究や呪いの類、そして治癒魔術による救護などが専門だ。たまに魔術しか効果のない魔獣も出現するため、そういう場合のみ討伐に参加する。
「心配してくれないの?」
「お前が角狼ごときにやられるとは思えないな」
「ふふ、ゼンならそう言ってくれると思ってた」
普段の態度からは感じられないが、ルーカスは騎士団長の称号を持つにふさわしい実力者だ。それをゼンも認めている。認めているから嫌いだ。
ルーカスが討伐にあたるときには魔術師の救護要請はほとんど来ない。怪我をする前にルーカスがすべて討伐してしまうから。その点だけでいえばありがたくもある。
魔術師の中にはシャノンのように攻撃系魔術を使えない者も多い。救護では魔獣と鉢合わせることもあるため、要請された魔術師も命がけだ。
「ゼンはどうして俺を婚約者に選んだんだって思っているんでしょう?」
言い当てられて喉奥が詰まる感覚がした。
──入らせてなるものか!
自分史上最速の扉閉めを記録したはずだ。そのはずだったのに、ルーカスのほうが一瞬早かったのか、扉の隙間に足を差し込まれて閉めるのを阻止されてしまった。
「お邪魔します」
「入っていいとは言っていない」
「もうお邪魔しちゃったもん」
もん、なんて可愛く言っても気持ちが悪いだけだ。無駄に顔がいいせいでなにをしても許されると思っているのだろうか。
「不法侵入だ。消えろ」
シッシッと犬にするように手を振る。
その手を握られて、手の甲に唇を寄せられた。ゾワッと背筋に鳥肌が走る。
慌てて手を引っ込めると、ルーカスが「あれ?こうして欲しかったんじゃないの?」とわけのわからないことを口走り出した。
「話がないなら帰ってくれないか……」
前世の記憶が蘇る前のゼンなら、魔術の一つや二つ食らわせていたことだろう。
そうしないのは一応婚約者であり、小説にハマっていたときにルーカスが割と好きなキャラだったからだ。
期待とは正反対に、ルーカスは備え付けのカウチソファーに腰掛けてしまった。対面に椅子はないため、座るためには隣に腰掛ける必要がある。
ゼンは迷わず立っていることを選択した。
「もうすぐ大規模な角狼の討伐が行われるんだ。今回の繁殖期で異常繁殖が起こったみたいでね。近隣被害が多発しているのは知っているでしょう」
「あぁ、話だけはな」
魔獣討伐は基本的に騎士団が担当している。魔術師は魔術の研究や呪いの類、そして治癒魔術による救護などが専門だ。たまに魔術しか効果のない魔獣も出現するため、そういう場合のみ討伐に参加する。
「心配してくれないの?」
「お前が角狼ごときにやられるとは思えないな」
「ふふ、ゼンならそう言ってくれると思ってた」
普段の態度からは感じられないが、ルーカスは騎士団長の称号を持つにふさわしい実力者だ。それをゼンも認めている。認めているから嫌いだ。
ルーカスが討伐にあたるときには魔術師の救護要請はほとんど来ない。怪我をする前にルーカスがすべて討伐してしまうから。その点だけでいえばありがたくもある。
魔術師の中にはシャノンのように攻撃系魔術を使えない者も多い。救護では魔獣と鉢合わせることもあるため、要請された魔術師も命がけだ。
「ゼンはどうして俺を婚約者に選んだんだって思っているんでしょう?」
言い当てられて喉奥が詰まる感覚がした。
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