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俺とお前が運命の相手?そんなの絶対的拒否だ!
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「初めて会った頃、君はまだ三級魔術師だった。魔術協会との交流パーティーでゼンは有望株として人に囲まれていたね。一目見てオメガだと気が付いたよ。魔術協会はオメガに厳しいことで有名だ。三級魔術師といえば幹部クラスの実力があると認められている証だし、とても驚いたんだ」
魔術協会には五級~一級までの位がある。その中でも三級は中堅クラスで、実力もそこそこあって小隊のリーダーを任されるくらいの地位だ。十代で三級魔術師になるというのは異例だし、かなりの有望株といえる。
「オメガだと口にするのはやめろ」
「その言い方は認めたってことかな?君はいつもすました顔をしていて捉えどころがなかった。でもその裏で誰よりも努力してきたことを知ったのは君が去年一級魔術師の地位を手に入れたときだ。一級魔術師は一人にしか与えられない特別な地位。手に入れるには現一級魔術師と魔術で競い合い、周りに認めさせるしかない」
「なにが言いたいんだ」
捉えどころがないのはルーカスも同じだ。いまだに婚約者に選んだ理由もわからない。
「君が一級魔術師になったとき、俺は君が欲しくなった。騎士団長として交流するうちにその気持ちは膨れ上がっていったし、君が俺に敵意むき出しの眼差しを向けてくるのも嬉しかった。どんな形であれ君は俺のことを特別に思ってくれていると思えたから」
「気持ち悪いやつだな」
思わず悪態ついてしまう。
嫌われていると分かれば普通離れていくものだ。それにルーカスの思考回路はゼンには、やはり理解できなかった。
「心配しないで。君がオメガだということは誰にも言わないし、教えたくもない。君の秘密は俺だけが知っていればいい」
「やっぱり引くほど気持ち悪いなお前」
突然独占欲をぶつけられて戸惑ってしまった。
立ち上がったルーカスがゆっくりと近づいてくる。慌てて後ろに下がると、すぐに背中が壁にぶつかってしまった。
顔の横に手をついたルーカスが美しすぎる顔を近づけてくる。
「いつか俺のことを好きになって。そう思ってもらえるように努力するから」
「……む──」
無理だと言おうとした瞬間、額にキスをされて言葉が止まった。
頬の次は額か! と言いたくなったが、ルーカスがあまりにも真剣な表情を浮かべているから言えなくなってしまった。
本気だと気づかされてしまった。ルーカスがゼンを好きになった理由はあまり理解できないが、彼がシャノンには見向きもしていないことも、ゼンと婚約を破棄する可能性が低いことだけはわかる。
──それじゃ困る!
どうしてこんなにも小説の流れが変わってしまったのかはわからないが、とにかく困るものは困る。
「シャノンはお前の運命の相手じゃないのか?」
思わず言わなくてもいいことを口走ってしまった。
「シャノン君?むしろ俺はゼンのほうが運命の番だと感じるけどね」
「……は?」
思考が停止する。
空いていた手を掴まれると、ルーカスの体温がやけに熱く感じられた。
「こうしているとゼンと繋がっている気がする。いつもよりフェロモンも漏れ出してしまうんだ。ゼンも体に変化が起きたりしないかい?」
たしかにルーカスから漂うフェロモンが段々濃くなっている。それに彼と関わるといつも体が熱くなって、この間のように軽いヒートを起こすことは日常茶飯事だった。
「っ、離れろ」
胸を押すと睨みつける。
少しだけルーカスと距離ができると動悸がおさまってくる。
「認めてくれたらいいのに」
「絶対的拒否」
「言葉がおかしくなってるよ」
「……いいから、今日は帰ってくれ」
懇願するような弱々しい声になってしまう。こんな姿をルーカスに見られるのは嫌だと思うのに、どうにも全身が熱くて耐えられない。
「わかったよ。また会いに来るからね」
「二度と来るな」
部屋を去っていくルーカスの背に拒否の言葉を浴びせる。
扉が閉まると、壁に背を預けて座り込んだ。
(クソ野郎……)
心の中で暴言を吐くと、ゆっくりと目を閉じて熱が去るのをひたすら待つ。これでは人前に出られない。
番でも見つければいいのだろうが、秘密を明かせる相手がいないのが問題だ。
それを考えるとルーカスは適任なのかもしれない。けれど、小説内でゼンはルーカスに討たれて死ぬ。
その結末を知っているから容易には受け入れられなかった。
魔術協会には五級~一級までの位がある。その中でも三級は中堅クラスで、実力もそこそこあって小隊のリーダーを任されるくらいの地位だ。十代で三級魔術師になるというのは異例だし、かなりの有望株といえる。
「オメガだと口にするのはやめろ」
「その言い方は認めたってことかな?君はいつもすました顔をしていて捉えどころがなかった。でもその裏で誰よりも努力してきたことを知ったのは君が去年一級魔術師の地位を手に入れたときだ。一級魔術師は一人にしか与えられない特別な地位。手に入れるには現一級魔術師と魔術で競い合い、周りに認めさせるしかない」
「なにが言いたいんだ」
捉えどころがないのはルーカスも同じだ。いまだに婚約者に選んだ理由もわからない。
「君が一級魔術師になったとき、俺は君が欲しくなった。騎士団長として交流するうちにその気持ちは膨れ上がっていったし、君が俺に敵意むき出しの眼差しを向けてくるのも嬉しかった。どんな形であれ君は俺のことを特別に思ってくれていると思えたから」
「気持ち悪いやつだな」
思わず悪態ついてしまう。
嫌われていると分かれば普通離れていくものだ。それにルーカスの思考回路はゼンには、やはり理解できなかった。
「心配しないで。君がオメガだということは誰にも言わないし、教えたくもない。君の秘密は俺だけが知っていればいい」
「やっぱり引くほど気持ち悪いなお前」
突然独占欲をぶつけられて戸惑ってしまった。
立ち上がったルーカスがゆっくりと近づいてくる。慌てて後ろに下がると、すぐに背中が壁にぶつかってしまった。
顔の横に手をついたルーカスが美しすぎる顔を近づけてくる。
「いつか俺のことを好きになって。そう思ってもらえるように努力するから」
「……む──」
無理だと言おうとした瞬間、額にキスをされて言葉が止まった。
頬の次は額か! と言いたくなったが、ルーカスがあまりにも真剣な表情を浮かべているから言えなくなってしまった。
本気だと気づかされてしまった。ルーカスがゼンを好きになった理由はあまり理解できないが、彼がシャノンには見向きもしていないことも、ゼンと婚約を破棄する可能性が低いことだけはわかる。
──それじゃ困る!
どうしてこんなにも小説の流れが変わってしまったのかはわからないが、とにかく困るものは困る。
「シャノンはお前の運命の相手じゃないのか?」
思わず言わなくてもいいことを口走ってしまった。
「シャノン君?むしろ俺はゼンのほうが運命の番だと感じるけどね」
「……は?」
思考が停止する。
空いていた手を掴まれると、ルーカスの体温がやけに熱く感じられた。
「こうしているとゼンと繋がっている気がする。いつもよりフェロモンも漏れ出してしまうんだ。ゼンも体に変化が起きたりしないかい?」
たしかにルーカスから漂うフェロモンが段々濃くなっている。それに彼と関わるといつも体が熱くなって、この間のように軽いヒートを起こすことは日常茶飯事だった。
「っ、離れろ」
胸を押すと睨みつける。
少しだけルーカスと距離ができると動悸がおさまってくる。
「認めてくれたらいいのに」
「絶対的拒否」
「言葉がおかしくなってるよ」
「……いいから、今日は帰ってくれ」
懇願するような弱々しい声になってしまう。こんな姿をルーカスに見られるのは嫌だと思うのに、どうにも全身が熱くて耐えられない。
「わかったよ。また会いに来るからね」
「二度と来るな」
部屋を去っていくルーカスの背に拒否の言葉を浴びせる。
扉が閉まると、壁に背を預けて座り込んだ。
(クソ野郎……)
心の中で暴言を吐くと、ゆっくりと目を閉じて熱が去るのをひたすら待つ。これでは人前に出られない。
番でも見つければいいのだろうが、秘密を明かせる相手がいないのが問題だ。
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その結末を知っているから容易には受け入れられなかった。
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