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俺はもうなにもしないから大丈夫だよな?
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店員がカタログを数冊持ってくるとローテーブルに置いてくれた。その中から適当に一冊を手に取ると、パラパラと中を確認していく。
クローククラスプの性能や模様の種類や意味などが事細かに記されていてわかりやすい。
「たくさんあって迷っちゃうね」
そう言いながらルーカスは鼻歌でも歌い出しそうなほど楽しそうに選んでいる。
その気持ちがゼンにも少しだけわかる。
人に贈るものを選ぶのは、自分の物とは違って悩むことも多い。
どんなふうに使ってくれるのか。渡したらどんな反応をしてくれるだろう。
そんなことを考えながら選ぶ時間は案外楽しいものだ。
(これなんか良さそうだ)
ルーカスはゴールドが良く似合うから、アンティークゴールドのクローククラスプに目が止まった。
細やかな羽の模様が刻まれたそれは、華やかで目を引く。だが派手すぎることもなく公的な場でも充分使用できそうなデザインだ。
「良いのあった?」
「あぁ、お前は見つけたのか?」
「そうだな~。迷っていたけど今決めたよ」
店員に声をかけたルーカスがカタログを指差しながら注文を始めた。注文が終わるとゼンも同じようにカタログを見せて注文する。
オーダーメイドのため多少時間がかかるから屋敷に配達してもらうことにした。
「いいものが選べてよかったよ」
「満足そうだな」
店を出るとご機嫌そうなルーカスの顔を見て笑みをこぼした。
最近は笑うことが増えた気がする。
「次はどこに行こうか?」
「そうだな……──」
次の目的地を見つけるために辺りを見渡したとき、ふと家の扉に掛けられたオブリーの枝で作られたリースが目に入った。
毎年秋の手前に差し掛かると、扉にオブリーの枝のリースを飾り収穫を祈る伝統がある。
(……なんだか見覚えがあるな。たしかこの時期になにかが起こったはず……)
オブリーのリースは小説内でも出てきたはずだ。
ルーカスとシャノンが一緒にリースを作り心を通わせていく可愛らしいエピソードで、とても穏やかに話が進んでいく。
けれどこの胸のざわつきは穏やかさとはかけ離れている気がした。
「オブリーの枝のリースだね。もうすぐ王太子様の視察が行われる」
「っ!」
ルーカスがつぶやいた言葉がゼンの記憶を甦らせた。
王太子が街へ視察に来た際に強盗に襲われてしまう事件が起きる。黒幕はレゲンデア伯爵家の長男。つまりゼンが仕組んだ事件だった。
王太子の護衛を務めていたルーカスに痛手を負わせるために計画した作戦だ。まだ幼い王太子に怪我を負わせるつもりなどなく、誘拐してしばらくしたら解放する予定だったはずだ。
──でも俺はそんなことはしない。だから今回はなにも起こらないはず。
そう結論を出したとき、ルーカスがゼンへ視線を向けていることに気がついた。
「なんだ?」
「王太子様の護衛は俺が行うことになると思う。それに予定よりも数を増やして護衛を行うつもりだよ」
「それがいいだろう」
「……ねぇ、ゼンはまだ俺のことを憎んでいる?」
唐突過ぎる質問を投げかけられて言葉が詰まった。
クローククラスプの性能や模様の種類や意味などが事細かに記されていてわかりやすい。
「たくさんあって迷っちゃうね」
そう言いながらルーカスは鼻歌でも歌い出しそうなほど楽しそうに選んでいる。
その気持ちがゼンにも少しだけわかる。
人に贈るものを選ぶのは、自分の物とは違って悩むことも多い。
どんなふうに使ってくれるのか。渡したらどんな反応をしてくれるだろう。
そんなことを考えながら選ぶ時間は案外楽しいものだ。
(これなんか良さそうだ)
ルーカスはゴールドが良く似合うから、アンティークゴールドのクローククラスプに目が止まった。
細やかな羽の模様が刻まれたそれは、華やかで目を引く。だが派手すぎることもなく公的な場でも充分使用できそうなデザインだ。
「良いのあった?」
「あぁ、お前は見つけたのか?」
「そうだな~。迷っていたけど今決めたよ」
店員に声をかけたルーカスがカタログを指差しながら注文を始めた。注文が終わるとゼンも同じようにカタログを見せて注文する。
オーダーメイドのため多少時間がかかるから屋敷に配達してもらうことにした。
「いいものが選べてよかったよ」
「満足そうだな」
店を出るとご機嫌そうなルーカスの顔を見て笑みをこぼした。
最近は笑うことが増えた気がする。
「次はどこに行こうか?」
「そうだな……──」
次の目的地を見つけるために辺りを見渡したとき、ふと家の扉に掛けられたオブリーの枝で作られたリースが目に入った。
毎年秋の手前に差し掛かると、扉にオブリーの枝のリースを飾り収穫を祈る伝統がある。
(……なんだか見覚えがあるな。たしかこの時期になにかが起こったはず……)
オブリーのリースは小説内でも出てきたはずだ。
ルーカスとシャノンが一緒にリースを作り心を通わせていく可愛らしいエピソードで、とても穏やかに話が進んでいく。
けれどこの胸のざわつきは穏やかさとはかけ離れている気がした。
「オブリーの枝のリースだね。もうすぐ王太子様の視察が行われる」
「っ!」
ルーカスがつぶやいた言葉がゼンの記憶を甦らせた。
王太子が街へ視察に来た際に強盗に襲われてしまう事件が起きる。黒幕はレゲンデア伯爵家の長男。つまりゼンが仕組んだ事件だった。
王太子の護衛を務めていたルーカスに痛手を負わせるために計画した作戦だ。まだ幼い王太子に怪我を負わせるつもりなどなく、誘拐してしばらくしたら解放する予定だったはずだ。
──でも俺はそんなことはしない。だから今回はなにも起こらないはず。
そう結論を出したとき、ルーカスがゼンへ視線を向けていることに気がついた。
「なんだ?」
「王太子様の護衛は俺が行うことになると思う。それに予定よりも数を増やして護衛を行うつもりだよ」
「それがいいだろう」
「……ねぇ、ゼンはまだ俺のことを憎んでいる?」
唐突過ぎる質問を投げかけられて言葉が詰まった。
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