弟を溺愛していたら、破滅ルートを引き連れてくる攻めに溺愛されちゃった話

天宮叶

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安心した

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日が暮れて来たころ二人は帰宅することにした。
 並んで歩きながら沈みかけている夕日を見つめる。
 本当なら今からが大人にとっては楽しい時間のはずだが、ゼンが酒を飲むことができないため帰宅せざるを得ない。

「賑やかだね」

 酒を飲みながらはしゃいでいる大人達へ視線を向けながらルーカスがつぶやく。

「ああいう場は苦手だ」

 遠回しに二人でいる時間が好きだと伝えてみる。
 遠回し過ぎて伝わるとは思っていない。自分がルーカスに惹かれ始めている事実が割と自分自身に衝撃を与えていた。

「ゼンは一人でいることが多かったもんね」

「知っているような口ぶりだな」

「もちろん知っているよ」

 夕日に染められたアメジスト色の瞳がゼンのことを真っ直ぐに見つめてきた。その瞳に映る瞬間は少しだけ落ち着かない気持ちになる。

「まるで俺の過去でも見てきたような言い方だ」

「……ゼンは思い出せないんだね」

唐突に立ち止まったルーカスを勢いのまま追い越してからその場で止まった。
 振り返ると、悲しそうに眉をハの字に垂れさせたルーカスの姿が視界に入ってくる。

「ルーカス?」

「ゼンが忘れていても俺は覚えているよ。同じ出来事も変わってしまったものも……それにまだ俺は俺の疑問を解消できていない」

「それはどういう意味だ?もっとわかるように言え」

「……俺は──」

 ルーカスがなにかを言おうとしたとき、ルーカスの背後から青年が走ってきてルーカスに声をかけた。
 そのせいで言葉は途切れてしまった。

「団長、こんなところで会うなんて思わなかったッス」

「……アーノルドか」

 アーノルドと呼ばれた青年には見覚えがある。ゼンが近づくとアーノルドが丸い一重のブラウンの瞳を大きく見開いた。

「ゼン・レゲンデア様!?」

「そうだが。どこかで会ったことがあったか?」

「お、俺、お二人に命を助けられたんです!」

 よくわからず疑問が浮かんだ。

 人助けなどした覚えがなかったからだ。

「ゼンが角狼の巣に来てくれたときに倒れていた騎士だよ」

 ルーカスに説明してもらってようやく思い出すことができた。あの後どうなったのか聞かされてもいなかったためすっかり忘れてしまっていた。

「傷は癒えたようだな」

 シャノンが治癒したのだから当然だろうが、こうして元気な姿を目の当たりにすると安心できる。
 同時に、自分が人助けをした事実が不思議にも感じられた。
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