6 / 24
6
しおりを挟む
入学式がこんなにも退屈だなんて思っていなかった。さっきから無駄に立たされてお辞儀させられて面倒くさい。そのうえ登壇する重役の話は長い上につまらない。もっと面白いことを言ってほしい。ぜひうちの担任にユーモアのセンスをご教授願ってほしい。
お偉いさんがたのありがたい話を右から左へと聞き流していると、大人の時間は終わり、いつの間にか在校生の祝辞が始まろうとしていた。登壇してきた生徒はかなりの美人で長髪なのに、なぜか女性だとは思わない男らしい雰囲気を感じる。今朝の大名行列で先頭を歩いていた生徒だ。
弛んでいた空気も一変して、緊張が走る。
「祝辞。桜の花が咲き始め、温かい日差しが―――」
落ち着きのある綺麗な声が講堂を包み込み、来場者全員に安らぎを与える。
「―――在校生代表、綾瀬静佳」
最後に名前で締め括り、綾瀬は綺麗なお辞儀をして降壇していく。歩く動作さえ洗練されている。隣に座っていた飛鳥は拍手しそうになっていた。
この後に喋る新入生は可哀想だなと思っていると、司会のアナウンスがかかり、新入生代表が登ってくる。だがこちらも綾瀬程ではないものの、どこか威厳が感じられ、名家の嫡男なのだろうと想像できる。
しかし彼にとっては綾瀬の空気を自分のものに変えることができなかったからか、答辞を読み終わり、降壇していく背中から悔しさを感じた。
さて、ようやくすべてのプログラムが終了した。指示が出され新入生一同は順番に教室へ戻っていく。
講堂を出て校舎を観察しながら歩いていると、後ろに並んでいた飛鳥が横に来た。
「千紘くん!在校生代表の綾瀬先輩、超かっこよくなかった!?あの人多分生徒会長だよね?今朝騒いでた生徒会の親衛隊の人見てて、やばいなーと思ってたけど全部理解した!あれは惚れちゃうわ…」
「いや、わかる。かっこよかったよな。空気が一気に変わった感じした」
「そうそう!顔とか声ももちろん最高なんだけど、持ってる雰囲気がすさまじかった…よし、俺決めたよ!生徒会に入る!!」
なるほど、ゲームで飛鳥が生徒会に入った理由はあの人だったのか。確かに綾瀬が会長なら他にも生徒会に入りたい志望者はたくさんいそうだ。
「あと親衛隊にも入ろうか迷うな~!でも俺は推しっていうより憧れだし…うわー!悩む!!」
「さっきから言ってる親衛隊ってなんだ?」
「あぁ。俺も小耳に挟んだだけだけど、鷹耀には人気の生徒に親衛隊がついてて、秩序と安全を守っているらしい」
「なんだそれ。具体的に何するんだよ」
「安心安全な学校生活を送れるようにサポートしたり?俺もよくわからないけど」
逆に不安で危険な学校生活ってなんだろうか。と思ったが、今朝の行進といいこの学校は独特な文化が多いから、いろいろあるのかもしれない。
千紘は深く考えるのをやめて、飛鳥の興奮した喋りをラジオに校内の観察に戻った。
お偉いさんがたのありがたい話を右から左へと聞き流していると、大人の時間は終わり、いつの間にか在校生の祝辞が始まろうとしていた。登壇してきた生徒はかなりの美人で長髪なのに、なぜか女性だとは思わない男らしい雰囲気を感じる。今朝の大名行列で先頭を歩いていた生徒だ。
弛んでいた空気も一変して、緊張が走る。
「祝辞。桜の花が咲き始め、温かい日差しが―――」
落ち着きのある綺麗な声が講堂を包み込み、来場者全員に安らぎを与える。
「―――在校生代表、綾瀬静佳」
最後に名前で締め括り、綾瀬は綺麗なお辞儀をして降壇していく。歩く動作さえ洗練されている。隣に座っていた飛鳥は拍手しそうになっていた。
この後に喋る新入生は可哀想だなと思っていると、司会のアナウンスがかかり、新入生代表が登ってくる。だがこちらも綾瀬程ではないものの、どこか威厳が感じられ、名家の嫡男なのだろうと想像できる。
しかし彼にとっては綾瀬の空気を自分のものに変えることができなかったからか、答辞を読み終わり、降壇していく背中から悔しさを感じた。
さて、ようやくすべてのプログラムが終了した。指示が出され新入生一同は順番に教室へ戻っていく。
講堂を出て校舎を観察しながら歩いていると、後ろに並んでいた飛鳥が横に来た。
「千紘くん!在校生代表の綾瀬先輩、超かっこよくなかった!?あの人多分生徒会長だよね?今朝騒いでた生徒会の親衛隊の人見てて、やばいなーと思ってたけど全部理解した!あれは惚れちゃうわ…」
「いや、わかる。かっこよかったよな。空気が一気に変わった感じした」
「そうそう!顔とか声ももちろん最高なんだけど、持ってる雰囲気がすさまじかった…よし、俺決めたよ!生徒会に入る!!」
なるほど、ゲームで飛鳥が生徒会に入った理由はあの人だったのか。確かに綾瀬が会長なら他にも生徒会に入りたい志望者はたくさんいそうだ。
「あと親衛隊にも入ろうか迷うな~!でも俺は推しっていうより憧れだし…うわー!悩む!!」
「さっきから言ってる親衛隊ってなんだ?」
「あぁ。俺も小耳に挟んだだけだけど、鷹耀には人気の生徒に親衛隊がついてて、秩序と安全を守っているらしい」
「なんだそれ。具体的に何するんだよ」
「安心安全な学校生活を送れるようにサポートしたり?俺もよくわからないけど」
逆に不安で危険な学校生活ってなんだろうか。と思ったが、今朝の行進といいこの学校は独特な文化が多いから、いろいろあるのかもしれない。
千紘は深く考えるのをやめて、飛鳥の興奮した喋りをラジオに校内の観察に戻った。
74
あなたにおすすめの小説
ビッチです!誤解しないでください!
モカ
BL
男好きのビッチと噂される主人公 西宮晃
「ほら、あいつだろ?あの例のやつ」
「あれな、頼めば誰とでも寝るってやつだろ?あんな平凡なやつによく勃つよな笑」
「大丈夫か?あんな噂気にするな」
「晃ほど清純な男はいないというのに」
「お前に嫉妬してあんな下らない噂を流すなんてな」
噂じゃなくて事実ですけど!!!??
俺がくそビッチという噂(真実)に怒るイケメン達、なぜか噂を流して俺を貶めてると勘違いされてる転校生……
魔性の男で申し訳ない笑
めちゃくちゃスロー更新になりますが、完結させたいと思っているので、気長にお待ちいただけると嬉しいです!
最可愛天使は儚げ美少年を演じる@勘違いってマジ??
雨霧れいん
BL
《 男子校の華 》と呼ばれるほどにかわいく、美しい少年"依織のぞ"は社会に出てから厳しさを知る。
いままでかわいいと言われていた特徴も社会に出れば女々しいだとか、非力だとか、色々な言葉で貶された。いつまでもかわいいだけの僕でいたい!いつしか依織はネットにのめり込んだ。男の主人公がイケメンに言い寄られるゲーム、通称BLゲーム。こんな世界に生まれたかった、と悲しみに暮れ眠りについたが朝起きたらそこは大好きなBLゲームのなかに!?
可愛い可愛い僕でいるために儚げ男子(笑)を演じていたら色々勘違いされて...!?!?
呪われた辺境伯は、異世界転生者を手放さない
波崎 亨璃
BL
ーーー呪われた辺境伯に捕まったのは、俺の方だった。
異世界に迷い込んだ駆真は「呪われた辺境伯」と呼ばれるレオニスの領地に落ちてしまう。
強すぎる魔力のせいで、人を近づけることができないレオニス。
彼に触れれば衰弱し、最悪の場合、命を落とす。
しかしカルマだけはなぜかその影響を一切受けなかった。その事実に気づいたレオニスは次第にカルマを手放さなくなっていく。
「俺に触れられるのは、お前だけだ」
呪いよりも重い執着と孤独から始まる、救済BL。です!
平凡なぼくが男子校でイケメンたちに囲まれています
七瀬
BL
あらすじ
春の空の下、名門私立蒼嶺(そうれい)学園に入学した柊凛音(ひいらぎ りおん)。全寮制男子校という新しい環境で、彼の無自覚な美しさと天然な魅力が、周囲の男たちを次々と虜にしていく——。
政治家や実業家の子息が通う格式高い学園で、凛音は完璧な兄・蒼真(そうま)への憧れを胸に、新たな青春を歩み始める。しかし、彼の純粋で愛らしい存在は、学園の秩序を静かに揺るがしていく。
****
初投稿なので優しい目で見守ってくださると助かります‼️ご指摘などございましたら、気軽にコメントよろしくお願いしますm(_ _)m
黒獅子の愛でる花
なこ
BL
レノアール伯爵家次男のサフィアは、伯爵家の中でもとりわけ浮いた存在だ。
中性的で神秘的なその美しさには、誰しもが息を呑んだ。
深い碧眼はどこか憂いを帯びており、見る者を惑わすと言う。
サフィアは密かに、幼馴染の侯爵家三男リヒトと将来を誓い合っていた。
しかし、その誓いを信じて疑うこともなかったサフィアとは裏腹に、リヒトは公爵家へ婿入りしてしまう。
毎日のように愛を囁き続けてきたリヒトの裏切り行為に、サフィアは困惑する。
そんなある日、複雑な想いを抱えて過ごすサフィアの元に、幼い王太子の世話係を打診する知らせが届く。
王太子は、黒獅子と呼ばれ、前国王を王座から引きずり降ろした現王と、その幼馴染である王妃との一人息子だ。
王妃は現在、病で療養中だという。
幼い王太子と、黒獅子の王、王妃の住まう王城で、サフィアはこれまで知ることのなかった様々な感情と直面する。
サフィアと黒獅子の王ライは、二人を取り巻く愛憎の渦に巻き込まれながらも、密かにゆっくりと心を通わせていくが…
この僕が、いろんな人に詰め寄られまくって困ってます!〜まだ無自覚編〜
小屋瀬
BL
〜まだ無自覚編〜のあらすじ
アニメ・漫画ヲタクの主人公、薄井 凌(うすい りょう)と、幼なじみの金持ち息子の悠斗(ゆうと)、ストーカー気質の天才少年の遊佐(ゆさ)。そしていつもだるーんとしてる担任の幸崎(さいざき)teacher。
主にこれらのメンバーで構成される相関図激ヤバ案件のBL物語。
他にも天才遊佐の事が好きな科学者だったり、悠斗Loveの悠斗の実の兄だったりと個性豊かな人達が出てくるよ☆
〜自覚編〜 のあらすじ(書く予定)
アニメ・漫画をこよなく愛し、スポーツ万能、頭も良い、ヲタク男子&陽キャな主人公、薄井 凌(うすい りょう)には、とある悩みがある。
それは、何人かの同性の人たちに好意を寄せられていることに気づいてしまったからである。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
【超重要】
☆まず、主人公が各キャラからの好意を自覚するまでの間、結構な文字数がかかると思います。(まぁ、「自覚する前」ということを踏まえて呼んでくだせぇ)
また、自覚した後、今まで通りの頻度で物語を書くかどうかは気分次第です。(だって書くの疲れるんだもん)
ですので、それでもいいよって方や、気長に待つよって方、どうぞどうぞ、読んでってくだせぇな!
(まぁ「長編」設定してますもん。)
・女性キャラが出てくることがありますが、主人公との恋愛には発展しません。
・突然そういうシーンが出てくることがあります。ご了承ください。
・気分にもよりますが、3日に1回は新しい話を更新します(3日以内に投稿されない場合もあります。まぁ、そこは善処します。(その時はまた近況ボード等でお知らせすると思います。))。
BLゲームの脇役に転生したはずなのに
れい
BL
腐男子である牧野ひろは、ある日コンビニ帰りの事故で命を落としてしまう。
しかし次に目を覚ますと――そこは、生前夢中になっていた学園BLゲームの世界。
転生した先は、主人公の“最初の友達”として登場する脇役キャラ・アリエス。
恋愛の当事者ではなく安全圏のはず……だったのに、なぜか攻略対象たちの視線は主人公ではなく自分に向かっていて――。
脇役であるはずの彼が、気づけば物語の中心に巻き込まれていく。
これは、予定外の転生から始まる波乱万丈な学園生活の物語。
⸻
脇役くん総受け作品。
地雷の方はご注意ください。
随時更新中。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる