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先程のおっとりした空気感はどこへいったのやら、鼻息を立て始める。
「弘斗さん…お兄さんとパーティーで何度かお会いしたことがあるんだけど、本当に憧れてるんだ!あ!もちろん大和さんにも!」
「あー兄さんたちと会ったことあるんだ」
「うん!…その、正直な話ね。みんなには内緒なんだけど、藤崎家の人たちを近くで拝んだ僕からすると本当にカーネリーとか生徒会とか凡人にしか見えないんだ…それにしてもやっぱり、千紘くん似てるね…!お兄さんたちに…!!お二人を足して二で割った感じで…やばい、鼻血でそう…」
荒木が壊れた。身近に身内のファンがいたとは驚きだ。
だが兄さんたちは海外にいる両親の代わりとしてパーティーを主催したりお呼ばれしていたり面倒と口にしていたことを思い出す。それにしてもまた出てきた『カーネリー』という単語。
「なあ荒木、聞きたいことがあるんだけど…」
「はっ!喋り方といいそのお声といい…お二人に似ている…!」
ちょっと鬱陶しくなってきた。ちょうど職員室にも到着したため、俺は荒木をスルーしてさっさと入室した。
室内を見渡すと端の席に黒鉄を見つけ、近づくとニッと笑った。
「お、ご苦労ご苦労。悪いなあ入学初日に呼び出して」
「別に大丈夫です。どうしたんですか?」
「学級委員には委員長と副委員長ってあるんだけど、どっちがするか決めてなかったと思ってな。個人的には荒木が無難だと思うんだけどどうだ?」
俺と黒鉄が荒木の方を見ると、慌てたように首を振り、その時に俺の顔が視界に入ったのか顔を赤く染めて自分の上履きを見つめ始めた。
「む、無理です…!藤崎様を差し置いて僕なんかが委員長になれるわけがないです!!」
「様ってなんだ?」
「…さあ」
「藤崎お前、この数分の間に荒木みたいな純朴な青年を虜にするって将来有望だなあ」
ニヤニヤと口元を歪ませながら弄ってくる教師は放っておいて、委員長なんてそんな面倒な仕事したくない。何とかして荒木を説得しなければ。
「荒木は初等部からいるから学校のこととかよくわかってるはずだし適任だと思うけどな。それに差し置いてって言うけど、兄さんたちのフィルターが俺にもかかっただけで、最初は普通にしてたじゃないか。荒木、お前は兄さんたちが好きなのであって俺じゃないだろう?だから学級委員を…」
「何を!違う!!ます!!確かにご兄弟と知ってからはお二人と重ねていたけど!!でも僕は最初から藤崎様…!いや!千紘様のことをかっこいいと思ってたんだ!!すごく整ったお顔立ちをしていて、あの瀬川先輩と並んでも遜色ないどころか逆に引き立て役にするほど凄まじいオーラを放っていて、同じ学級委員になったときは僕に翼が生えていればすぐにでも空へ羽ばたいてしまうほど嬉しかったし、それを隠すにも必死で…!!」
勘弁してほしい。黒鉄どころか近くのデスクにいる教師たちもニヤつきながらこちらの様子を窺っている。
「ぷ、…ゴホン。わかったわかった。落ち着け荒木。鼻血出てるぞ」
「あっ…」
「それじゃあ学級委員は千紘様でいいか?」
「良くないです」
「なんだよ往生際が悪いなあ。今日会ってこんなにも夢中になるって相当じゃないか。その調子でみんなを魅了していけば立派な委員長になれるぞ」
やばい。もう決定みたいな流れになってきた。俺が何か言ってもこの無精ひげ男からは屁理屈しか返ってこないだろうし、荒木は会話にならない。だとしたら、もう荒木に自分がやると宣言させるしかない。
俺は鼻血をティッシュで拭っている荒木に気づかれないよう、ゆっくり静かに口を相手の耳に近づけた。背中を押されれば、思ったよりも小さなその耳に軽く口付けしてしまうだろう。俺は閉じていた唇を緩め、荒木にだけ聞こえる声量で呟いた。
「委員長やってよ。荒木のかっこいいとこ、俺に見せて」
「ひゃあ!は、はいぃ!やります!!僕が委員長です!!!」
黒鉄の何か言いたげな目を無視して、千紘は颯爽と職員室を出た。
これにて一件落着とほくほく顔で昇降口に向かう本人を差し置いて、この日人知れず藤崎千紘親衛隊が爆誕した。
「弘斗さん…お兄さんとパーティーで何度かお会いしたことがあるんだけど、本当に憧れてるんだ!あ!もちろん大和さんにも!」
「あー兄さんたちと会ったことあるんだ」
「うん!…その、正直な話ね。みんなには内緒なんだけど、藤崎家の人たちを近くで拝んだ僕からすると本当にカーネリーとか生徒会とか凡人にしか見えないんだ…それにしてもやっぱり、千紘くん似てるね…!お兄さんたちに…!!お二人を足して二で割った感じで…やばい、鼻血でそう…」
荒木が壊れた。身近に身内のファンがいたとは驚きだ。
だが兄さんたちは海外にいる両親の代わりとしてパーティーを主催したりお呼ばれしていたり面倒と口にしていたことを思い出す。それにしてもまた出てきた『カーネリー』という単語。
「なあ荒木、聞きたいことがあるんだけど…」
「はっ!喋り方といいそのお声といい…お二人に似ている…!」
ちょっと鬱陶しくなってきた。ちょうど職員室にも到着したため、俺は荒木をスルーしてさっさと入室した。
室内を見渡すと端の席に黒鉄を見つけ、近づくとニッと笑った。
「お、ご苦労ご苦労。悪いなあ入学初日に呼び出して」
「別に大丈夫です。どうしたんですか?」
「学級委員には委員長と副委員長ってあるんだけど、どっちがするか決めてなかったと思ってな。個人的には荒木が無難だと思うんだけどどうだ?」
俺と黒鉄が荒木の方を見ると、慌てたように首を振り、その時に俺の顔が視界に入ったのか顔を赤く染めて自分の上履きを見つめ始めた。
「む、無理です…!藤崎様を差し置いて僕なんかが委員長になれるわけがないです!!」
「様ってなんだ?」
「…さあ」
「藤崎お前、この数分の間に荒木みたいな純朴な青年を虜にするって将来有望だなあ」
ニヤニヤと口元を歪ませながら弄ってくる教師は放っておいて、委員長なんてそんな面倒な仕事したくない。何とかして荒木を説得しなければ。
「荒木は初等部からいるから学校のこととかよくわかってるはずだし適任だと思うけどな。それに差し置いてって言うけど、兄さんたちのフィルターが俺にもかかっただけで、最初は普通にしてたじゃないか。荒木、お前は兄さんたちが好きなのであって俺じゃないだろう?だから学級委員を…」
「何を!違う!!ます!!確かにご兄弟と知ってからはお二人と重ねていたけど!!でも僕は最初から藤崎様…!いや!千紘様のことをかっこいいと思ってたんだ!!すごく整ったお顔立ちをしていて、あの瀬川先輩と並んでも遜色ないどころか逆に引き立て役にするほど凄まじいオーラを放っていて、同じ学級委員になったときは僕に翼が生えていればすぐにでも空へ羽ばたいてしまうほど嬉しかったし、それを隠すにも必死で…!!」
勘弁してほしい。黒鉄どころか近くのデスクにいる教師たちもニヤつきながらこちらの様子を窺っている。
「ぷ、…ゴホン。わかったわかった。落ち着け荒木。鼻血出てるぞ」
「あっ…」
「それじゃあ学級委員は千紘様でいいか?」
「良くないです」
「なんだよ往生際が悪いなあ。今日会ってこんなにも夢中になるって相当じゃないか。その調子でみんなを魅了していけば立派な委員長になれるぞ」
やばい。もう決定みたいな流れになってきた。俺が何か言ってもこの無精ひげ男からは屁理屈しか返ってこないだろうし、荒木は会話にならない。だとしたら、もう荒木に自分がやると宣言させるしかない。
俺は鼻血をティッシュで拭っている荒木に気づかれないよう、ゆっくり静かに口を相手の耳に近づけた。背中を押されれば、思ったよりも小さなその耳に軽く口付けしてしまうだろう。俺は閉じていた唇を緩め、荒木にだけ聞こえる声量で呟いた。
「委員長やってよ。荒木のかっこいいとこ、俺に見せて」
「ひゃあ!は、はいぃ!やります!!僕が委員長です!!!」
黒鉄の何か言いたげな目を無視して、千紘は颯爽と職員室を出た。
これにて一件落着とほくほく顔で昇降口に向かう本人を差し置いて、この日人知れず藤崎千紘親衛隊が爆誕した。
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