21 / 24
21
しおりを挟む
昨日のファーストコンタクトでは、サングラスをかけていた上に、体格が千紘よりも良く少し怖い印象があった。行動の真意が不明だったのも大きい。
しかし今は何だか体の大きい子どもを相手しているような気分になる。そこで昨日のことを振り返っていると、ようやく自分がここに来た理由を思い出した。心地の良い空間と眠気で完全に忘れていた。
千紘は胸ポケットからハンカチに包んでいたブローチを取り出す。そうして机の上に置いた。
「これ、返さないとなと思って。それで今日レオに会いに来たんだ」
レオの手前までブローチを移動させると、先程まで上がっていた口角が今はへの字になっている。目は口ほどに物を言うというが、その逆をいく目の前の男に笑いそうになる。
「カーネリーだっけ?そんな大層なものに入るつもりはないから」
「コレ、チヒロノ」
「え?…どういうことだ?」
「ヨウチエン。カヨッテタラ、モラエル」
「え!?」
確かに俺は十年前、鷹耀の幼稚園に通っていたと両親から聞いている。
つまりこのカーネリアンのブローチは幼稚園に通っていた生徒たちが学校からもらい身に着けているもので、特別な生徒しか持っていないからこそカーネリーというグループが作られたのか。それならば昨日荒木の正式な組織ではないのに人気があるという発言にも納得がいく。
だがまたひとつふたつと疑問が湧いてくる。
「なんでレオが俺のブローチを持ってるんだ?」
「…セツメイ、ムズカシ……」
「じゃあ別に聞きたいことがある。昨日話した時に日本語を褒めてくれたけど、まるで俺が日本にいなかったことを知ってるみたいだなと思ってた。レオは一体何者なんだ?」
ずっと引っかかっていた。俺のことを知っているような発言にも。カーネリーの証であるブローチを初対面の俺に渡してきたことも。
「ヨウチエン、ノコト、ナニカ、オボエテル?」
「えっなんで?」
「オボエテル?」
「…覚えてない」
「………」
正直に答えると、レオは下を向いたまま動かなくなってしまった。
もしかすると幼稚園時代に関わりがあり、覚えていないことにショックを受けているんだろうか。真偽は不明だが何となく肩を落としている姿に罪悪感が湧いてくる。
千紘は少し重くなってしまった空気を入れ替えるべく、ひとつ息を吐いてそのまま口を動かした。
「覚えてないっていうか物心ついてなかったんだと思う」
「…?」
「母さんに子どもの頃、日本にいたときの記憶がないって言ったら、物心ついてなかったんじゃないって言われたんだ。5歳は物心つくべきだけどな」
「フ、…フフ」
「適当だよな、うちの母さん。基本言葉選ばないからよく兄さんが攻撃受けてるんだ。今朝も俺の周りうろうろするからハエって呼んでた。ハエお醤油取って~って」
「フ、…ハ、ははっははは!」
レオはおかしそうに大きく口を開けて笑った。いつも聞いていた可笑しな声よりずっと低く、弾けるような笑い方に、一瞬驚いてしまう。しかし椅子に手をついて首を傾げながら楽しそうに笑うレオを見ていると、こちらまで嬉しくなり、いつの間にか一緒になって笑っていた。
しかし今は何だか体の大きい子どもを相手しているような気分になる。そこで昨日のことを振り返っていると、ようやく自分がここに来た理由を思い出した。心地の良い空間と眠気で完全に忘れていた。
千紘は胸ポケットからハンカチに包んでいたブローチを取り出す。そうして机の上に置いた。
「これ、返さないとなと思って。それで今日レオに会いに来たんだ」
レオの手前までブローチを移動させると、先程まで上がっていた口角が今はへの字になっている。目は口ほどに物を言うというが、その逆をいく目の前の男に笑いそうになる。
「カーネリーだっけ?そんな大層なものに入るつもりはないから」
「コレ、チヒロノ」
「え?…どういうことだ?」
「ヨウチエン。カヨッテタラ、モラエル」
「え!?」
確かに俺は十年前、鷹耀の幼稚園に通っていたと両親から聞いている。
つまりこのカーネリアンのブローチは幼稚園に通っていた生徒たちが学校からもらい身に着けているもので、特別な生徒しか持っていないからこそカーネリーというグループが作られたのか。それならば昨日荒木の正式な組織ではないのに人気があるという発言にも納得がいく。
だがまたひとつふたつと疑問が湧いてくる。
「なんでレオが俺のブローチを持ってるんだ?」
「…セツメイ、ムズカシ……」
「じゃあ別に聞きたいことがある。昨日話した時に日本語を褒めてくれたけど、まるで俺が日本にいなかったことを知ってるみたいだなと思ってた。レオは一体何者なんだ?」
ずっと引っかかっていた。俺のことを知っているような発言にも。カーネリーの証であるブローチを初対面の俺に渡してきたことも。
「ヨウチエン、ノコト、ナニカ、オボエテル?」
「えっなんで?」
「オボエテル?」
「…覚えてない」
「………」
正直に答えると、レオは下を向いたまま動かなくなってしまった。
もしかすると幼稚園時代に関わりがあり、覚えていないことにショックを受けているんだろうか。真偽は不明だが何となく肩を落としている姿に罪悪感が湧いてくる。
千紘は少し重くなってしまった空気を入れ替えるべく、ひとつ息を吐いてそのまま口を動かした。
「覚えてないっていうか物心ついてなかったんだと思う」
「…?」
「母さんに子どもの頃、日本にいたときの記憶がないって言ったら、物心ついてなかったんじゃないって言われたんだ。5歳は物心つくべきだけどな」
「フ、…フフ」
「適当だよな、うちの母さん。基本言葉選ばないからよく兄さんが攻撃受けてるんだ。今朝も俺の周りうろうろするからハエって呼んでた。ハエお醤油取って~って」
「フ、…ハ、ははっははは!」
レオはおかしそうに大きく口を開けて笑った。いつも聞いていた可笑しな声よりずっと低く、弾けるような笑い方に、一瞬驚いてしまう。しかし椅子に手をついて首を傾げながら楽しそうに笑うレオを見ていると、こちらまで嬉しくなり、いつの間にか一緒になって笑っていた。
99
あなたにおすすめの小説
ビッチです!誤解しないでください!
モカ
BL
男好きのビッチと噂される主人公 西宮晃
「ほら、あいつだろ?あの例のやつ」
「あれな、頼めば誰とでも寝るってやつだろ?あんな平凡なやつによく勃つよな笑」
「大丈夫か?あんな噂気にするな」
「晃ほど清純な男はいないというのに」
「お前に嫉妬してあんな下らない噂を流すなんてな」
噂じゃなくて事実ですけど!!!??
俺がくそビッチという噂(真実)に怒るイケメン達、なぜか噂を流して俺を貶めてると勘違いされてる転校生……
魔性の男で申し訳ない笑
めちゃくちゃスロー更新になりますが、完結させたいと思っているので、気長にお待ちいただけると嬉しいです!
最可愛天使は儚げ美少年を演じる@勘違いってマジ??
雨霧れいん
BL
《 男子校の華 》と呼ばれるほどにかわいく、美しい少年"依織のぞ"は社会に出てから厳しさを知る。
いままでかわいいと言われていた特徴も社会に出れば女々しいだとか、非力だとか、色々な言葉で貶された。いつまでもかわいいだけの僕でいたい!いつしか依織はネットにのめり込んだ。男の主人公がイケメンに言い寄られるゲーム、通称BLゲーム。こんな世界に生まれたかった、と悲しみに暮れ眠りについたが朝起きたらそこは大好きなBLゲームのなかに!?
可愛い可愛い僕でいるために儚げ男子(笑)を演じていたら色々勘違いされて...!?!?
呪われた辺境伯は、異世界転生者を手放さない
波崎 亨璃
BL
ーーー呪われた辺境伯に捕まったのは、俺の方だった。
異世界に迷い込んだ駆真は「呪われた辺境伯」と呼ばれるレオニスの領地に落ちてしまう。
強すぎる魔力のせいで、人を近づけることができないレオニス。
彼に触れれば衰弱し、最悪の場合、命を落とす。
しかしカルマだけはなぜかその影響を一切受けなかった。その事実に気づいたレオニスは次第にカルマを手放さなくなっていく。
「俺に触れられるのは、お前だけだ」
呪いよりも重い執着と孤独から始まる、救済BL。です!
平凡なぼくが男子校でイケメンたちに囲まれています
七瀬
BL
あらすじ
春の空の下、名門私立蒼嶺(そうれい)学園に入学した柊凛音(ひいらぎ りおん)。全寮制男子校という新しい環境で、彼の無自覚な美しさと天然な魅力が、周囲の男たちを次々と虜にしていく——。
政治家や実業家の子息が通う格式高い学園で、凛音は完璧な兄・蒼真(そうま)への憧れを胸に、新たな青春を歩み始める。しかし、彼の純粋で愛らしい存在は、学園の秩序を静かに揺るがしていく。
****
初投稿なので優しい目で見守ってくださると助かります‼️ご指摘などございましたら、気軽にコメントよろしくお願いしますm(_ _)m
黒獅子の愛でる花
なこ
BL
レノアール伯爵家次男のサフィアは、伯爵家の中でもとりわけ浮いた存在だ。
中性的で神秘的なその美しさには、誰しもが息を呑んだ。
深い碧眼はどこか憂いを帯びており、見る者を惑わすと言う。
サフィアは密かに、幼馴染の侯爵家三男リヒトと将来を誓い合っていた。
しかし、その誓いを信じて疑うこともなかったサフィアとは裏腹に、リヒトは公爵家へ婿入りしてしまう。
毎日のように愛を囁き続けてきたリヒトの裏切り行為に、サフィアは困惑する。
そんなある日、複雑な想いを抱えて過ごすサフィアの元に、幼い王太子の世話係を打診する知らせが届く。
王太子は、黒獅子と呼ばれ、前国王を王座から引きずり降ろした現王と、その幼馴染である王妃との一人息子だ。
王妃は現在、病で療養中だという。
幼い王太子と、黒獅子の王、王妃の住まう王城で、サフィアはこれまで知ることのなかった様々な感情と直面する。
サフィアと黒獅子の王ライは、二人を取り巻く愛憎の渦に巻き込まれながらも、密かにゆっくりと心を通わせていくが…
この僕が、いろんな人に詰め寄られまくって困ってます!〜まだ無自覚編〜
小屋瀬
BL
〜まだ無自覚編〜のあらすじ
アニメ・漫画ヲタクの主人公、薄井 凌(うすい りょう)と、幼なじみの金持ち息子の悠斗(ゆうと)、ストーカー気質の天才少年の遊佐(ゆさ)。そしていつもだるーんとしてる担任の幸崎(さいざき)teacher。
主にこれらのメンバーで構成される相関図激ヤバ案件のBL物語。
他にも天才遊佐の事が好きな科学者だったり、悠斗Loveの悠斗の実の兄だったりと個性豊かな人達が出てくるよ☆
〜自覚編〜 のあらすじ(書く予定)
アニメ・漫画をこよなく愛し、スポーツ万能、頭も良い、ヲタク男子&陽キャな主人公、薄井 凌(うすい りょう)には、とある悩みがある。
それは、何人かの同性の人たちに好意を寄せられていることに気づいてしまったからである。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
【超重要】
☆まず、主人公が各キャラからの好意を自覚するまでの間、結構な文字数がかかると思います。(まぁ、「自覚する前」ということを踏まえて呼んでくだせぇ)
また、自覚した後、今まで通りの頻度で物語を書くかどうかは気分次第です。(だって書くの疲れるんだもん)
ですので、それでもいいよって方や、気長に待つよって方、どうぞどうぞ、読んでってくだせぇな!
(まぁ「長編」設定してますもん。)
・女性キャラが出てくることがありますが、主人公との恋愛には発展しません。
・突然そういうシーンが出てくることがあります。ご了承ください。
・気分にもよりますが、3日に1回は新しい話を更新します(3日以内に投稿されない場合もあります。まぁ、そこは善処します。(その時はまた近況ボード等でお知らせすると思います。))。
BLゲームの脇役に転生したはずなのに
れい
BL
腐男子である牧野ひろは、ある日コンビニ帰りの事故で命を落としてしまう。
しかし次に目を覚ますと――そこは、生前夢中になっていた学園BLゲームの世界。
転生した先は、主人公の“最初の友達”として登場する脇役キャラ・アリエス。
恋愛の当事者ではなく安全圏のはず……だったのに、なぜか攻略対象たちの視線は主人公ではなく自分に向かっていて――。
脇役であるはずの彼が、気づけば物語の中心に巻き込まれていく。
これは、予定外の転生から始まる波乱万丈な学園生活の物語。
⸻
脇役くん総受け作品。
地雷の方はご注意ください。
随時更新中。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる