24 / 24
24
しおりを挟む
賑やかだった昇降口が、水を打ったように静まり返る。
そんな中でも大和兄さんは周りの空気や状況を歯牙にもかけず、いつもの口調で話しかけてきた。
「びっくりした?サプラーイズ!!」
「こんな人類史上最も価値のないサプライズはじめてされた」
「えっ!千紘のはじめてを!?どんな形でももらえるなんて、嬉しいっ嬉しいよっ!」
「気持ち悪い…」
家でならともかく、外でそれを出すのは恥ずかしいのでやめてほしい。特に周りにこんなに人間がいて、藤崎家に悪評が立ったらどうするのだろうか。周囲をこっそり見渡すと、やはり誰も彼もが口を小さく開けて呆けた顔をしている。この家の恥を早く連れ出さなければ。
「じいやが待ってるし早く行くぞ」
「えっ!ちょっと待って!」
「なんだよ?」
「急に千紘のリードを浴びて胸の高まりが止まりません!」
思わず白目になりながら、一家の癌を置いてもう車に移動することにした。
大和兄さんが普段外でどんな風に振舞っているのかはわからないが、荒木を熱狂的にさせるあたり、それなりに猫は被っているだろう。化けの皮が剥がれ、中から奇妙な変態が暴れ始めた今、千紘にはもうどう対処することもできない。
後ろをちらりと見ると、しっかり癌はついてきているため、これ以上悪目立ちすることはないだろう。もうすぐ校門を抜ければ、すぐに横にじいやは待機しているはずだ。
ほっと息を吐き、無意識に早歩きになっていたところで、今度は大和兄さんを呼び止める声が聞こえてきた。
二人して振り返ると、そこにはあの生徒会長が立っていた。千紘がこれまで見た生徒会長は、いつも洗練されていたため、長い髪が少し乱れて息を切らす姿に少し目を丸くする。
「大和先輩…、お、お久しぶりです…」
「あれ、綾瀬。久しぶり。そんなに息を切らして何かあった?」
そういえば大和兄さんは去年ここを卒業したばかりだから、生徒会長とは一年間在籍期間が被っていたのか。外部組で構成される生徒会と、幼稚園からエスカレーターの大和兄さんに交流があったとは驚いた。
「玄関付近で騒ぎがあり、大和先輩がいらっしゃっていると聞いて慌てて来たんですよ…!もうお帰りになるんですか?」
「うん。弟を迎えに来ただけだし」
「弟?」
「そう。家の自慢の弟の千紘」
大和兄さんは心から誇らしげに生徒会長に紹介してくる。何気に腰に添えようとした手をはたき落としてから、生徒会長に目を向けると、瞳が大きく見開かれていた。
「千紘、こっちは綾瀬静佳。兄さんの後輩だよ」
「よろしくお願いします。生徒会長」
「うん…よろしく。…大和先輩に弟がいたなんて知りませんでした」
「中学まではカナダに住んでたからね。日本に来て間もないし、気に掛けてやって欲しい」
「それはもちろん。一応生徒会長ですし、力になれることは多いと思います。いつでも頼ってね」
「ありがとうございます」
生徒会長は端正な顔立ちだからこそ少し冷たい印象があったのだが、意外にもその笑みは柔らかい。
「それでは、お忙しいところ引き留めてしまいすみませんでした」
「うん。じゃあまたね」
別れる直前に千紘が一礼すると、生徒会長は柔和な笑みを浮かべて小さく手を振ってくれた。
そんな中でも大和兄さんは周りの空気や状況を歯牙にもかけず、いつもの口調で話しかけてきた。
「びっくりした?サプラーイズ!!」
「こんな人類史上最も価値のないサプライズはじめてされた」
「えっ!千紘のはじめてを!?どんな形でももらえるなんて、嬉しいっ嬉しいよっ!」
「気持ち悪い…」
家でならともかく、外でそれを出すのは恥ずかしいのでやめてほしい。特に周りにこんなに人間がいて、藤崎家に悪評が立ったらどうするのだろうか。周囲をこっそり見渡すと、やはり誰も彼もが口を小さく開けて呆けた顔をしている。この家の恥を早く連れ出さなければ。
「じいやが待ってるし早く行くぞ」
「えっ!ちょっと待って!」
「なんだよ?」
「急に千紘のリードを浴びて胸の高まりが止まりません!」
思わず白目になりながら、一家の癌を置いてもう車に移動することにした。
大和兄さんが普段外でどんな風に振舞っているのかはわからないが、荒木を熱狂的にさせるあたり、それなりに猫は被っているだろう。化けの皮が剥がれ、中から奇妙な変態が暴れ始めた今、千紘にはもうどう対処することもできない。
後ろをちらりと見ると、しっかり癌はついてきているため、これ以上悪目立ちすることはないだろう。もうすぐ校門を抜ければ、すぐに横にじいやは待機しているはずだ。
ほっと息を吐き、無意識に早歩きになっていたところで、今度は大和兄さんを呼び止める声が聞こえてきた。
二人して振り返ると、そこにはあの生徒会長が立っていた。千紘がこれまで見た生徒会長は、いつも洗練されていたため、長い髪が少し乱れて息を切らす姿に少し目を丸くする。
「大和先輩…、お、お久しぶりです…」
「あれ、綾瀬。久しぶり。そんなに息を切らして何かあった?」
そういえば大和兄さんは去年ここを卒業したばかりだから、生徒会長とは一年間在籍期間が被っていたのか。外部組で構成される生徒会と、幼稚園からエスカレーターの大和兄さんに交流があったとは驚いた。
「玄関付近で騒ぎがあり、大和先輩がいらっしゃっていると聞いて慌てて来たんですよ…!もうお帰りになるんですか?」
「うん。弟を迎えに来ただけだし」
「弟?」
「そう。家の自慢の弟の千紘」
大和兄さんは心から誇らしげに生徒会長に紹介してくる。何気に腰に添えようとした手をはたき落としてから、生徒会長に目を向けると、瞳が大きく見開かれていた。
「千紘、こっちは綾瀬静佳。兄さんの後輩だよ」
「よろしくお願いします。生徒会長」
「うん…よろしく。…大和先輩に弟がいたなんて知りませんでした」
「中学まではカナダに住んでたからね。日本に来て間もないし、気に掛けてやって欲しい」
「それはもちろん。一応生徒会長ですし、力になれることは多いと思います。いつでも頼ってね」
「ありがとうございます」
生徒会長は端正な顔立ちだからこそ少し冷たい印象があったのだが、意外にもその笑みは柔らかい。
「それでは、お忙しいところ引き留めてしまいすみませんでした」
「うん。じゃあまたね」
別れる直前に千紘が一礼すると、生徒会長は柔和な笑みを浮かべて小さく手を振ってくれた。
81
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(1件)
あなたにおすすめの小説
ビッチです!誤解しないでください!
モカ
BL
男好きのビッチと噂される主人公 西宮晃
「ほら、あいつだろ?あの例のやつ」
「あれな、頼めば誰とでも寝るってやつだろ?あんな平凡なやつによく勃つよな笑」
「大丈夫か?あんな噂気にするな」
「晃ほど清純な男はいないというのに」
「お前に嫉妬してあんな下らない噂を流すなんてな」
噂じゃなくて事実ですけど!!!??
俺がくそビッチという噂(真実)に怒るイケメン達、なぜか噂を流して俺を貶めてると勘違いされてる転校生……
魔性の男で申し訳ない笑
めちゃくちゃスロー更新になりますが、完結させたいと思っているので、気長にお待ちいただけると嬉しいです!
最可愛天使は儚げ美少年を演じる@勘違いってマジ??
雨霧れいん
BL
《 男子校の華 》と呼ばれるほどにかわいく、美しい少年"依織のぞ"は社会に出てから厳しさを知る。
いままでかわいいと言われていた特徴も社会に出れば女々しいだとか、非力だとか、色々な言葉で貶された。いつまでもかわいいだけの僕でいたい!いつしか依織はネットにのめり込んだ。男の主人公がイケメンに言い寄られるゲーム、通称BLゲーム。こんな世界に生まれたかった、と悲しみに暮れ眠りについたが朝起きたらそこは大好きなBLゲームのなかに!?
可愛い可愛い僕でいるために儚げ男子(笑)を演じていたら色々勘違いされて...!?!?
呪われた辺境伯は、異世界転生者を手放さない
波崎 亨璃
BL
ーーー呪われた辺境伯に捕まったのは、俺の方だった。
異世界に迷い込んだ駆真は「呪われた辺境伯」と呼ばれるレオニスの領地に落ちてしまう。
強すぎる魔力のせいで、人を近づけることができないレオニス。
彼に触れれば衰弱し、最悪の場合、命を落とす。
しかしカルマだけはなぜかその影響を一切受けなかった。その事実に気づいたレオニスは次第にカルマを手放さなくなっていく。
「俺に触れられるのは、お前だけだ」
呪いよりも重い執着と孤独から始まる、救済BL。です!
平凡なぼくが男子校でイケメンたちに囲まれています
七瀬
BL
あらすじ
春の空の下、名門私立蒼嶺(そうれい)学園に入学した柊凛音(ひいらぎ りおん)。全寮制男子校という新しい環境で、彼の無自覚な美しさと天然な魅力が、周囲の男たちを次々と虜にしていく——。
政治家や実業家の子息が通う格式高い学園で、凛音は完璧な兄・蒼真(そうま)への憧れを胸に、新たな青春を歩み始める。しかし、彼の純粋で愛らしい存在は、学園の秩序を静かに揺るがしていく。
****
初投稿なので優しい目で見守ってくださると助かります‼️ご指摘などございましたら、気軽にコメントよろしくお願いしますm(_ _)m
黒獅子の愛でる花
なこ
BL
レノアール伯爵家次男のサフィアは、伯爵家の中でもとりわけ浮いた存在だ。
中性的で神秘的なその美しさには、誰しもが息を呑んだ。
深い碧眼はどこか憂いを帯びており、見る者を惑わすと言う。
サフィアは密かに、幼馴染の侯爵家三男リヒトと将来を誓い合っていた。
しかし、その誓いを信じて疑うこともなかったサフィアとは裏腹に、リヒトは公爵家へ婿入りしてしまう。
毎日のように愛を囁き続けてきたリヒトの裏切り行為に、サフィアは困惑する。
そんなある日、複雑な想いを抱えて過ごすサフィアの元に、幼い王太子の世話係を打診する知らせが届く。
王太子は、黒獅子と呼ばれ、前国王を王座から引きずり降ろした現王と、その幼馴染である王妃との一人息子だ。
王妃は現在、病で療養中だという。
幼い王太子と、黒獅子の王、王妃の住まう王城で、サフィアはこれまで知ることのなかった様々な感情と直面する。
サフィアと黒獅子の王ライは、二人を取り巻く愛憎の渦に巻き込まれながらも、密かにゆっくりと心を通わせていくが…
この僕が、いろんな人に詰め寄られまくって困ってます!〜まだ無自覚編〜
小屋瀬
BL
〜まだ無自覚編〜のあらすじ
アニメ・漫画ヲタクの主人公、薄井 凌(うすい りょう)と、幼なじみの金持ち息子の悠斗(ゆうと)、ストーカー気質の天才少年の遊佐(ゆさ)。そしていつもだるーんとしてる担任の幸崎(さいざき)teacher。
主にこれらのメンバーで構成される相関図激ヤバ案件のBL物語。
他にも天才遊佐の事が好きな科学者だったり、悠斗Loveの悠斗の実の兄だったりと個性豊かな人達が出てくるよ☆
〜自覚編〜 のあらすじ(書く予定)
アニメ・漫画をこよなく愛し、スポーツ万能、頭も良い、ヲタク男子&陽キャな主人公、薄井 凌(うすい りょう)には、とある悩みがある。
それは、何人かの同性の人たちに好意を寄せられていることに気づいてしまったからである。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
【超重要】
☆まず、主人公が各キャラからの好意を自覚するまでの間、結構な文字数がかかると思います。(まぁ、「自覚する前」ということを踏まえて呼んでくだせぇ)
また、自覚した後、今まで通りの頻度で物語を書くかどうかは気分次第です。(だって書くの疲れるんだもん)
ですので、それでもいいよって方や、気長に待つよって方、どうぞどうぞ、読んでってくだせぇな!
(まぁ「長編」設定してますもん。)
・女性キャラが出てくることがありますが、主人公との恋愛には発展しません。
・突然そういうシーンが出てくることがあります。ご了承ください。
・気分にもよりますが、3日に1回は新しい話を更新します(3日以内に投稿されない場合もあります。まぁ、そこは善処します。(その時はまた近況ボード等でお知らせすると思います。))。
BLゲームの脇役に転生したはずなのに
れい
BL
腐男子である牧野ひろは、ある日コンビニ帰りの事故で命を落としてしまう。
しかし次に目を覚ますと――そこは、生前夢中になっていた学園BLゲームの世界。
転生した先は、主人公の“最初の友達”として登場する脇役キャラ・アリエス。
恋愛の当事者ではなく安全圏のはず……だったのに、なぜか攻略対象たちの視線は主人公ではなく自分に向かっていて――。
脇役であるはずの彼が、気づけば物語の中心に巻き込まれていく。
これは、予定外の転生から始まる波乱万丈な学園生活の物語。
⸻
脇役くん総受け作品。
地雷の方はご注意ください。
随時更新中。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
こんにちは‼️‼️
素敵なお話でイッキ読みしちゃいました😻😻✨️💓💓✨️💞︎🔥🔥💕︎︎💕︎
大好きです‼️‼️‼️更新待ってます😻😻😻😻😻😻😻
こんにちは!感想ありがとうございます🙏嬉しいお言葉をありがとうございます🫶励みになります!
更新が遅く大変申し訳ないです…(言い訳ですが仕事と資格の勉強でバタついておりまして…)完結は目指しておりますので、最後までお付き合いいただけますと嬉しいです!