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しおりを挟む「俺の大切な番に、乱暴はやめてもらおうか」
「なんだ貴様は──! 離せ、わたしを誰だと思っている。外交問題にしてもいいんだぞっ!」
驚いて目をあけると、レオナード様がエリック殿下の背後から腕を掴んでいた。それから、暴れるエリック殿下の腕を勢いよく離して、私を庇うようにレオナード様が隣に立った。
「っ、レオナード様、……あ、ありがとうございます」
レオナード様の姿を見たら緊張の糸が切れて身体がかたかた震えていく。
「遅くなってすまない。アイリーン、もう大丈夫だから安心して」
優しく体を抱き寄せられて、背中をそっと撫でられる。
「……レオナード? まさか王太子の……?」
「ああ、俺はレオナード・クラウト──ここ、クラウト王国の王太子で間違いない。サルーテ国は、クラウト王国に不満があると聞こえたが?」
エリック殿下の顔が青ざめていく。先ほどのエリック殿下の発言は、サルーテ国と比べものにならない大国のクラウト王国に喧嘩を売ったのと同じ。
「と、と、とんでもない……っ! わ、わたしはアイリーンと少し行き違いがあったので、迎えに来ただけです。アイリーンは今は綺麗に化けてますが、元々は瓶底眼鏡で冴えなくて、頭でっかちで可愛げのない女なんです。レオナード殿下の番なんて間違えてるかと……? もっと美人で胸のある相応しい方がいるはずです! そ、そんなわけで、このアイリーンは、わたしがすぐに連れて帰りますので……」
早口で捲し立てるエリック殿下と連鎖するように、まわりの温度が急激に冷えていく。
レオナード様の身体がまぶしく光りはじめる。
「黙れ」
光が収まると、レオナード様のいた場所に銀色のドラゴンが現れた。
クラウト王族がドラゴンになるのは知っていても、いざ本物を目の前にすると驚いて声も出ない。ドラゴンは大きな爪でエリック殿下の首根っこを掴むと、顔まで高く持ち上げて睨みつける。
「今後、アイリーンを名前で呼ぶことも、侮辱することも絶対に許さない。もし今度アイリーンに近づいたら──お前もサルーテ国も覚悟しておくんだな」
「……ひぃぃぃ」
大きな口をあけて牙を見せるドラゴンにエリック殿下が悲鳴をあげる。青ざめたエリック殿下を地面に放り投げると「助けてえぇ~~」と走り去って行った。
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