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ミドウ村
第407話 ダンジョンとギルド
しおりを挟む「わぁ! お魚だ」
「ああ、ここは海の側だからな。というかこの島は余程内陸以外は海に面しているから魚は豊富だぞ。肉が食いたきゃダンジョンに潜ればいいしな」
元気になって一週間、この島に来てから二週間半が過ぎていた。
大分体力も戻り、食事も通常食が出されるようになった今朝は魚の塩焼きだった。とても美味しかったんだけど、そうか島国って言ってたもんね。けど海は魔魚が多いと聞くけど大丈夫なのかな?
「チアキさんこの島にもダンジョンがあるんですか?」
「あるぞ~。あっちの大陸程ではないが、それなりにあるな。特殊なダンジョンが多いんだが、大陸の奴らよりも強い住民が多いからな、こっちではスタンピードは起きたことがないらしい」
特殊ダンジョンですとな? それはあっちでもまだ入った事がないですけど、特殊ダンジョンはスタンピードが起きないんじゃなかったかな。こっちとは違うのかもしれないけど、一度は入ってみたいね。
ちなみに冒険者ギルドはこの島にもあるらしい。
まあ大陸のギルドシステムを作った二人がこの島に来たのだ、作らない理由がないよね。
ただ、あっちのギルドのように行き来をすることはないし、ギルド会議に出席をすることもないから、ギルド本部の会長くらいしかこの島の事は知らないのではないかという事だった。
「そうだ、一応転移陣も設置しているからな、大陸に届くのかは分からんが、ヴィオの家族に連絡をしておくか?」
「!?」
送りたい!
そう思ってふと思い止まる。お兄ちゃんたちは金ランク試験の為にメネクセス王国にいるだろう。もしかしたらもうダンジョンも終わってるかもしれない。
きっとその結果を早く知らせたいと手紙を書いてくれているだろうことも分かる。けど、きっとその返信にはお父さんのことが書かれているのは間違いないだろう。それを知ったお兄ちゃんたちがどう思うだろうか。私のうっかりで連れ去られてしまい、それを助けに来たお父さんが亡くなってしまったのだ。
それこそ怪我もせずに助けに来てもらえたのに、私が止めを刺さなかったが為に危機に陥り、それを助ける為にだ。二度も私のミスのせいでお父さんは死んでしまった。そんな私が……。
「ヴィオ、ヴィオの生死も分からないままでいるよりは、生存していることを伝えてやるのは優しさじゃないか? もしあちらの大陸に戻りたくないのであれば、ずっとこっちに住めばいい。今のところ大陸間の移動は翼人族か、竜人族に飛んでもらうくらいしかないからな」
また闇落ちしそうになったところでチアキさんから声をかけられて正気に戻る。
そうか、そうだよね。きっと今は私だけが忽然と消えた状態だもの。下手にあの森の奥を探しに回られる方が皆を危険に晒してしまうよね。
「そうですよね、お手紙を書きたいと思います。どんな結果になっても……」
手紙の道具が必要かと聞かれたけれど、マジックバッグにはお手紙セットが入っている。お兄ちゃんたちに旅先で見たアレコレを伝える為にメモしておく必要があるからね。手紙として送るのは纏めて数枚を封筒に入れるんだけど、便せんは沢山用意しているのだ。
あの日からずっと寝起きしている和室は、そのまま私のお部屋として使わせていただいている。炊飯器はまだ釜の完成待ち状態なんだけど、体力の回復と共にミケさんにお願いして、炊事場でお料理を少し振舞わせてもらっているのだ。
家は和風なんだけど、料理の味付けは普通だったんだよね。チアキさんなら味噌も醤油も絶対に好きだと思って、ハズレ素材を使って料理を作ったら泣いて喜ばれたんだよね。
ここまでの滞在のお礼として作ったんだけど、これから先もあの部屋を使っていいから時々和食が食べたいと言われたら断る理由もなかったんだよ。
どうやらチアキさんがダンジョンに入ったのはスタンピードが起きた時だけだったらしく、分かりやすい木の実は採集して食べていたけど、それ以外の素材を採集した事はなかったんだって。
まあ、確かにスタンピードが起きた直後のダンジョンで、そんなピクニックをするような余裕はないかもしれないね。
この島にある豊作ダンジョンでは野菜類が取れる事も知っているけど、まさかそこに醤油や味噌があるなんて考えたこともなかったんだって。
「大豆は見つけたからな、豆腐は作ったんだ。で、味噌と醤油を作ろうとしたんだけど、米がないから米麹もないだろう? どうやって発酵食品を作ればいいかと思って色々試行錯誤したんだけどな」
「わざわざ腐らせる食材を作りたいと聞いて、チャーキの気が狂ったのかと思ったんじゃが、本当に其方らがいた世界ではそのようなモノを食しておったんか」
白雪さんはどうやらチアキさんが嘘を言っていると思っていたのだろう。まあ確かに敢えて腐らせる食品とか意味不明だよね。腐るのと発酵は違うと思うけど、臭いも凄いし、私も臭豆腐と塩辛は駄目だったもんな。
「まあしかし、この世界ではそのハッコウというのは出来んようになっておるな。腐るのは瘴気が発生する元になるからな」
なんと!?
白雪さんの発言に、この世界では納豆を作ることが不可能であることが分かりました。でもあれは茹でた豆を藁に包んでるだけだしワンチャン無理かな。
いや、それで瘴気が発生したら……いや、私にはプリヒケーチョンという浄化の魔法があるじゃないか。一度くらい挑戦してみてもいいんじゃない?
これに関しては家主の許可をもらわないとだからね、チアキさんに提案してみたら乗り気になった。だがしかし、ここでも白雪さんのストップがかかる。
「どうしてもやりたいなら止めんがな、やるなら一つだけにしておけ。神々からの忠告がある可能性もあるが、我は止めたからな?」
なぬ? そんな大それた事なのですか? 他の人が言うなら「ハイハイ」で終わることだけど、聖獣という方が言うなら、それは本当に神々が介入するかもって事ですか?
「白雪さん、神様ってやっぱりいる感じですか?」
「そりゃそうじゃろう。創世神話は知らんか?」
当り前のように言われたけど、日本での神様はお腹が痛い時と、受験の時と、年始くらいしか祈らない相手でしたしね、この世界では居そうだなって思ってたけど、いたらいいなっていう願望に近かったんですよ。
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