14 / 584
冒険者ギルド登録
第14話 ギルマスたちとの相談 その3
しおりを挟む「魔道具に関しては、購入できるんじゃったら儂が買うから教えて欲しい」
そうサブマスに依頼したところで腕の中のヴィオが身動ぎをした。コアラやゴリラの子供らは、小さいときは親にしがみ付いて寝ることがあると聞いたことがあるが、今のヴィオもそれに近い。ただ、儂の体が大きすぎるから両手を伸ばしてもしがみ付くことが出来ないんじゃろう。膝に乗せて片手で抱きしめておったからか、腕にしがみ付いておる。
「かわいいな……」
「えぇ、こうして寝ている姿は普通の5歳の子供ですね」
2人もヴィオの姿を見て呟く。そうじゃろ、そうじゃろ、ヴィオは可愛いんじゃ。こんな可愛い娘を置いて出奔した父親は阿呆じゃな。和みかけたところでもう一つの相談事を思い出した。
「おぉ、そうじゃ。ヴィオが川で流れておったといったじゃろ? その時身に着けておったんは白いワンピース1枚と、ペラペラの肩掛け鞄だけじゃったんじゃ」
「は? 靴は? ……あぁ、流されたのか」
「鞄……ですか?」
「靴は捨てられる時に 『浮浪者に見えるように』 と捨てられたらしい。
サブマス、そうじゃ、鞄じゃ。パッと見は丈夫な布で作られただけの汚れた鞄じゃったから、多分浮浪児らしくて良いと思われたんじゃと思うが、マジックバッグじゃった」
「「…………は?」」
「多分な。魔力の感じからするとそうじゃ。ダンジョンで出たもので同じ感じがあった。ただ、儂が触ってもただの布袋じゃったから、多分使用者制限がかかっておるんじゃと思う」
「いやいやいや、そんな付与魔術かけられるって……。あぁ、ヴィオの母ちゃんか? 色変えの魔道具と言い、どんな母ちゃんだったんだ?」
「興味深いですね。ヴィオさんが使えば中にあるものを取り出せますよね。 そうしたら何か両親に繋がるものが入っているのでは? ヴィオさんは知っているのですよね?」
拾った翌日にヴィオ自身が鞄を触って何も入っていないと確認したことでワンピースと一緒に箪笥に仕舞ってある。あの時はマジックバッグだと思っておらんかったからな。マジックバッグであれば、ヴィオが魔力を流して触ることで使うことが可能になる。明日一緒に確認してみるか。
「まぁ、何にせよ アルクが保護してくれて良かったんじゃないか。
一先ずは明日……は休みだから木の日から 学び舎に通うんだろ? お前が送り迎えするんだろうから、その時にでも分かった事を教えてくれればいい」
「そうですね。私は明日には魔導学園にいるあの方に連絡を取りますから、分かり次第お伝えしましょう。
ヴィオさんの魔法練習は、そうですね。学び舎にいる時はアリアナから基礎を学んでもらいましょうか。彼女は水と木は得意属性ですし、聖も切り傷を治す程度の適正は有ります。ある程度学べたら、私が他の属性も教えましょう。人の子では水、風、木はある程度使える者も多いですから、ギルドカードにもその3つ……いや、火も入れて4つを載せておけば優秀な魔法使いという事になるでしょう」
2人が明日以降の事を提案してくれる。
そうじゃな、木魔法じゃったら儂も教えることが出来るし、体術なんかも教えることが出来る。ヴィオにはぬくぬくと育ってほしいと思うが、多分能力的にも自衛力をつけてやった方が良さそうじゃ。無理はさせんように、楽しいと思えるように、さて どうしようかの。
ギルマスたちとの相談は3時間程続き、後は追々という事になった。泣き疲れたヴィオが起きる様子はない。
「ずっと家におったんが、今日は朝から村をアチコチ見て回ったから疲れたんじゃろ」
「いやいや、ずっとお前が抱っこしていたって噂だったぞ?」
「幼子にとっては、見知らぬ場所で、見知らぬ人々との出会いは、それだけで精神的にも疲れるものですよ? 冒険者登録で魔力も動かしていますし、明日の朝まではぐっすりでしょう」
おぉ、確かにそうじゃな。ヴィオにとっては大冒険の1日だったかもしれん。
しっかりした受け答えが出来るから、ついつい5歳ではないような気になってしまっておったが、この小さな体で頑張ったんじゃな。
ギルマスたちには、また後日。という挨拶を残して、ヴィオを抱っこしたまま家路についた。
1,245
あなたにおすすめの小説
私を裏切った夫が、後悔しているようですが知りません
藤原遊
恋愛
政略結婚として、公爵家に嫁いだ私は
愛のない夫婦関係を「仕事」だと思い、正妻の役目を果たしてきた。
夫が愛人を持つことも、
その子を屋敷に迎え入れることも、黙って受け入れてきた。
けれど――
跡取りを、正妻の子ではなく愛人の子にする。
その言葉を、人前で軽く口にした瞬間。
私は悟ったのだ。
この家では、息子を守れないと。
元々、実家との間には
「嫡子以外の子は実家の跡取りにする」という取り決めがあった。
ならば話は簡単だ。
役目を終えた私は、離縁を選ぶ。
息子と共に、この家を去るだけ。
後悔しているようですが――
もう、私の知るところではありません。
【書籍化決定】アシュリーの願いごと
ましろ
恋愛
「まあ、本当に?」
もしかして。そう思うことはありました。
でも、まさか本当だっただなんて。
「…それならもう我慢する必要は無いわね?」
嫁いでから6年。まるで修道女が神に使えるが如くこの家に尽くしてきました。
すべては家の為であり、夫の為であり、義母の為でありました。
愛する息子すら後継者として育てるからと産まれてすぐにとりあげられてしまいました。
「でも、もう変わらなくてはね」
この事を知ったからにはもう何も我慢するつもりはありません。
だって。私には願いがあるのだから。
✻基本ゆるふわ設定です。
気を付けていますが、誤字脱字などがある為、あとからこっそり修正することがあります。
✻1/19、タグを2つ追加しました
✻1/27、短編から長編に変更しました
✻2/2、タグを変更しました
私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。
小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。
「マリアが熱を出したらしい」
駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。
「また裏切られた……」
いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。
「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」
離婚する気持ちが固まっていく。
婚約者チェンジ? 義理の妹は公爵令嬢の地位もチェンジされました』 ~三日で破談、家ごと褫奪の末路です~
ふわふわ
恋愛
「お姉様の婚約者、私がいただきますわ。だって“公爵令嬢”ですもの」
義理の妹コンキュはそう言って、王太子との婚約を奪いました。
父はそれを容認し、私は静かに受け入れます。
けれど――
公爵令嬢とは“地位”ではなく、“責任”の継承者。
王宮で礼儀も実務も拒み、「未来の王太子妃」を名乗った義妹は、わずか三日で婚約破棄。
さらに王家への不敬と統治能力の欠如が問題視され、父の監督責任が問われます。
そして下されたのは――家ごとの褫奪。
一方で私は、領地を守り、帳簿を整え、静かに家を支え続ける。
欲しがったのは肩書。
継いだのは責任。
正統は叫びません。
ただ、残るだけ。
これは、婚約を奪われた公爵令嬢が
“本当に継がれるべきもの”を証明する物語。
【完結】聖女になり損なった刺繍令嬢は逃亡先で幸福を知る。
みやこ嬢
恋愛
「ルーナ嬢、神聖なる聖女選定の場で不正を働くとは何事だ!」
魔法国アルケイミアでは魔力の多い貴族令嬢の中から聖女を選出し、王子の妃とするという古くからの習わしがある。
ところが、最終試験まで残ったクレモント侯爵家令嬢ルーナは不正を疑われて聖女候補から外されてしまう。聖女になり損なった失意のルーナは義兄から襲われたり高齢宰相の後妻に差し出されそうになるが、身を守るために侍女ティカと共に逃げ出した。
あてのない旅に出たルーナは、身を寄せた隣国シュベルトの街で一人の騎士と運命的な出会いをする。
【2024年3月16日完結、全58話】
侯爵家の婚約者
やまだごんた
恋愛
侯爵家の嫡男カインは、自分を見向きもしない母に、なんとか認められようと努力を続ける。
7歳の誕生日を王宮で祝ってもらっていたが、自分以外の子供を可愛がる母の姿をみて、魔力を暴走させる。
その場の全員が死を覚悟したその時、1人の少女ジルダがカインの魔力を吸収して救ってくれた。
カインが魔力を暴走させないよう、王はカインとジルダを婚約させ、定期的な魔力吸収を命じる。
家族から冷たくされていたジルダに、カインは母から愛されない自分の寂しさを重ね、よき婚約者になろうと努力する。
だが、母が死に際に枕元にジルダを呼んだのを知り、ジルダもまた自分を裏切ったのだと絶望する。
17歳になった2人は、翌年の結婚を控えていたが、関係は歪なままだった。
そんな中、カインは仕事中に魔獣に攻撃され、死にかけていたところを救ってくれたイレリアという美しい少女と出会い、心を通わせていく。
全86話+番外編の予定
取り巻き令嬢Aは覚醒いたしましたので
モンドール
恋愛
揶揄うような微笑みで少女を見つめる貴公子。それに向き合うのは、可憐さの中に少々気の強さを秘めた美少女。
貴公子の周りに集う取り巻きの令嬢たち。
──まるでロマンス小説のワンシーンのようだわ。
……え、もしかして、わたくしはかませ犬にもなれない取り巻き!?
公爵令嬢アリシアは、初恋の人の取り巻きA卒業を決意した。
(『小説家になろう』にも同一名義で投稿しています。)
恋は、母をやめてから始まる――正体を隠したまま、仮の婚約者になりました
あい
恋愛
両親を失ったあの日、
赤子の弟を抱いて家を出た少女がいた。
それが、アリア。
世間からは「若い母」と呼ばれながらも、
彼女は否定しなかった。
十六年間、弟を守るためだけに生きてきたから。
恋も未来も、すべて後回し。
けれど弟は成長し、ついに巣立つ。
「今度は、自分の人生を生きて」
その一言が、
止まっていた時間を動かした。
役目を終えた夜。
アリアは初めて、自分のために扉を開く。
向かった先は、婚姻仲介所。
愛を求めたわけではない。
ただ、このまま立ち止まりたくなかった。
――けれどその名前は、
結婚を急かされていた若き当主のもとへと届く。
これは、
十六年“母”だった女性が、
もう一度“ひとりの女”として歩き出す物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる