ヒロインは始まる前に退場していました

サクラ マチコ

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学び舎に参加

第21話  休み時間

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 チリ~ン チリ~ン

 始まりと同じようにベルの音が鳴った。

「あぁ休憩時間だね。ヴィオさん、休憩時間は大体20分くらいあるからね。トイレ休憩と水分補給は休憩時間にしっかりとってね。訓練場では適宜水分補給が出来るけど、こっちの教室では一応禁止にしているからね。
 一度のベルは5分前、二度目のベルで休憩終わり、という意味になるよ」

 先生から休憩時間についてのアレコレを教えてもらう。よく考えれば時間割とか、授業の長さとかも全く聞かないまま参加したんだよね。
 まだ時計を見た事が無かったので時間の計算も違うと思いきや、20分という単位があるという事は、世界に時計がないという訳ではないし、何ならベルを鳴らす人は時計を持っているという事か。

「ん? どこ行くんだ?」

 休み時間の間にトイレに行こうと思って席を立てば、レン君に手首を掴まれる。いつの間に懐かれた!?

「あらぁ、レンったら休憩時間の乙女の時間を奪うのは良くないわぁ」
「まぁ、レンはさっきの時間が楽しかったのね、仕方がないわ」
「あらまぁ、次の時間もあるのだから、少しヴィオちゃんは私たちともお話しません事?」

 どうしようかと思っていれば、羊三姉妹が助け舟を出してくれた。レン君も自分の手が私を掴んでいる事に気付き、慌てて手を離す。ニヨニヨ笑っている兄の視線に気付いて、真っ赤な顔で寝たふりをしてしまった。

 三姉妹は、あらあらまぁまぁと楽しそうなんだけど、これはトイレに行っても良いのだろうか。
 三姉妹に手招かれ、教室を出たらトイレに案内してもらえた。所謂連れションというやつですね?
 トイレのある部屋は男女で分かれており、身体の大きさも色々あるからか、壁には大小の丸い蓋がサイズ別に多数用意されている。これはどうやって使うんだろうか。

「あらぁ、やっぱり連れてきてあげて正解だったみたい」
「まぁ、確かにお家では専用になりますもの、初めて見たかもしれないですねぇ」
「あらまぁ、良かったわ。
 ヴィオちゃん、ここでは自分の大きさにあった蓋を持って個室に入るのよ。個室の赤い扉は大型の方専用と思えばよろしいですわ。私たちの大きさの人たちは緑の扉を使うのよ」

 私の為について来てくれたんですね?
 個室は5つ、赤い扉が2つと緑の扉が3つ。お父さん用のあの桶は赤い扉サイズなのかな? いや、並んでいる蓋のサイズを見ればもっと大きな人がいるのかもしれない。しかもお父さんは座る為の蓋のサイズが大きいのであって、桶が大きいわけではない。私のは桶の高さの問題で小さいのを準備してもらったけどね。

 緑の個室に入れば高さ違いの桶が2つ。あぁ、ここでも選べるんだね。【クリーン】で綺麗にするし、排水溝がないからこそ出来ることなんだろう。

 自宅以外での初トイレも粗相することなく無事に出来ました。羊のお姉さま方には感謝しかないです。
 他国では不明だけど、このリズモーニ王国では平民が出入りする公共施設にあるすべてのトイレはこのシステムになっているらしい。貴族なんかは持ち運びのトイレ(壺)があるらしいので知らない可能性が高いけど、平民や冒険者は学び舎で教えてもらう常識だそうです。

「マーレさん、ミーレさん、ムーレさん、教えてくれてありがとうございます」
「あら!「まぁ「あらまぁ、可愛いわぁ~」」」

 わしゃわしゃと撫でられて、順番にギュッとされる。獣人の皆さんって、スキンシップが結構激しめですよね。


 教室に戻れば皆もトイレ休憩に行っているのか閑散としている。不思議に思っていれば、次の授業は訓練場で魔法の授業だと教えてもらった。
 授業は教室での座学と、訓練場での魔法か運動があり、1日の午前に2つを行うようだ。今日は言葉と文字の座学だったから、明日は算術の座学になるとの事。
 座学が先なのは、運動や魔法を先にすると頑張り過ぎて、その後の座学で爆睡する生徒が多かったから、という事らしい。


 訓練場は教室と反対側、階段を下りた左側にあった。訓練場の入り口で、壁に背中をつけて腕組みしている女性がいた。

「あぁ、来たわね。休憩前に声をかけるの忘れてたけど、3人と一緒だったのね」

 トカゲ獣人のケーテさんが私を見て、後ろの三姉妹を見て安心したように笑う。移動教室の事を教えてくれようとしたのかな? 皆優しいよね。
  



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