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学び舎に参加
第36話 アルクの娘
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~ギルマス・ザックス視点~
「サブマスに回復魔法をかけてもらいたいんじゃが、ええか?」
朝イチにアルクからそう言われて 何があったのかと思えば、娘が筋肉痛で動けないと言う。
随分過保護な事だと思ったが、アスランは嬉々としてかけに行ったので 俺も見物がてら下におりる。
「ヴィオさん、これから足にかけるのが回復魔法の【ヒール】です。ご自身の身体にどのような変化があるのか体感してみてくださいね。
〈聖なる力で彼の者の回復を願う【ヒール】〉 どうですか?わかりましたか?」
ヴィオの足元に跪き、滅多に使わない聖魔法を嬉しそうにかけているが、かけられている方も真剣に自分の足を眺めている。
白っぽいキラキラが両足に吸い込まれるようにして消えていく。
ヴィオはアルクの腕の中から飛び降りて その場で屈伸をし始め、軽く飛び跳ねる。
「サブマスさん、ありがとうございます!すっかり重たいのも痛いのもなくなりました。
温かい感じがしましたが、あれはどんな風に考えて呪文を唱えるのですか?
ただ呪文を唱えるだけですか?それとも、どこの傷をどうやって治そうとか考えて唱えてますか?」
は?
魔法は呪文を唱えるだけだろ?
アスランは詠唱短縮が巧みで、今のヒールも その呪文の短さに驚くところじゃないのか?こんな短い詠唱 普通は無いぞ?
「うふふふふ、そうですか、そうですか。ヴィオさんはやはり面白いですね。そうですね……」
「あぁ~、サブマス、悪いがヴィオはこれから学び舎じゃ。その話はまた後で頼む」
気持ち悪い笑い声を上げたアスランだったが、アルクに止められた。ふぅ 助かったぜ。
残念そうな顔してるんじゃねぇよ、まったく。
扉を出る前に『この後ヴィオの事で相談がある。時間をとってくれ』とアルクからコソリと言われた。
子供用の採集ハサミに関してはもう鍛冶屋に依頼してるし、今急ぎの事はないからな。
ヴィオの事で何か分かったことが増えたんだろう。
二人で資料室の会議室をおさえ アルクが戻るのを待つ。
「マジックバッグは使えたって言ってたから、母ちゃんの事が分かったんだろうけど、あとは何だろうな」
「そうですね、まだ学び舎も今日で4日目ですからね、そこまで何か困ったことが起きたようには思えませんが。しかし、ヴィオさんは子供達から大変尊敬を集めているようですよ?
教育担当の者たちからも非常に高評価を受けていますね。愛らしくて、魔術の才能もあって、勤勉だなんて素晴らしい」
ハイハイ。本当に他人に興味ない奴だったのに、こんなに気に掛けるとは凄いな、確かに可愛らしいとは思うけどな。
「待たせてすまん」
そんな事を考えてたらアルクが入ってきた。
アスランが直ぐに防音魔法をかけたので、アルクも鍵をかけて座る。
「で?両親のことが分かったのか?」
「うむ、母親のギルドタグが入っておった。
銀の上級、パーティー名は削っておったから分からんかったが、名前はアイリス。
回復魔法が得意で、ピンク髪のアイリスと言えば、臨時パーティーに引っ張りだこじゃった【マンジュリカ】のアイリスじゃろう」
「まさかっ!? 確かマンジュリカはメネクセス王国での依頼が最後で 消息を絶ったんじゃなかったか?」
「7~8年前だったんじゃなかったでしょうか。確かその頃に 隣国でクーデターが起きた筈。
次期国王と言われていた 王太子が死亡し、クーデターを先導した第二王子も死亡し、それまで表に出ることがなかった第三王子が立太子されたと大騒ぎになっていました」
「そうだったか?なんか流行病がどうとか言ってた気がするけど、それでうちでも回復薬以外の薬も薬局では取り扱うようになったんじゃなかったか?」
「クーデターが先で、その後の流行病で跡継ぎが居なくなったんじゃなかったかの?
まぁ、第三王子は 子供の頃に出奔し、冒険者として身を立てていたと言われておったな。目の色から マンジュリカのフィルが王子だったんじゃないかと言われたんも、パーティー解散後に即位したメネクセス王が似ていると噂になったからじゃな」
「「「…………」」」
「いやいやいや、ヴィオは5歳だろ? 年齢が合わないだろ? 流石に違うだろ?」
「いえ、第三王子が即位したのは 大陸歴581年です。パーティー解散がアイリスさんの妊娠を切っ掛けにしたのだとしたら、おかしくは有りませんよ。
パーティーのままだとアイリスさんへの指名依頼をされる可能性もありますから、もしお二人が夫婦だったのであれば 一時パーティー解散は十分あり得ます」
「うむ、産まれてすぐにいなくなった。というのも城から呼び出されてという事であれば仕方がないのかもしれん。
少し顔を見せるつもりか、後で呼び寄せるつもりじゃったんかは分からんが、あの大国の王の隣に冒険者を、というのは難しいじゃろうしな」
「……という事は、ヴィオさんの母君が逃げていたのは、もしかしたら王の子が他に居ては困ると思った者による暗殺者から逃れるためだったのかもしれませんね」
ヴィオの髪は綺麗なピンクに澄んだ紫の目だ。
確かあの国の王を継ぐ者は菫色の瞳だってんじゃなかったか?あの紫色は菫色と言えるんじゃないのか?
「ヴィオは髪色だけを変えておったと思っておったようじゃが、多分目の色も変えておったんじゃろうな」
「えぇ、その可能性は十分高いかと。あぁ、魔導学園から連絡があって 色変えの魔道具が手に入るそうですよ。しかし、髪色だけだと思ってましたので 髪飾り型の道具を送ってもらうように依頼してしまいました。あの小さな子に眼鏡は違和感がありますよね」
「まぁ、でも髪色が違うだけでも分かんねぇだろ。目線が同じの大人ならともかく、ちびっ子のヴィオの目を知らない奴が覗き込むなんて早々ないだろうよ」
知らない顔が集まる時期には 眼鏡か深めの帽子を被らせればいいだろうという事になった。
まさか、『冒険者の聖女』と名高かったアイリスと、『王族』だったかもしれないフィル、その娘かもしれないなんて。
それが事実だとしたら狙われても仕方がないとしか言えないだろう。
アルクが心配する気持ちも分かるし、ヴィオの属性がおかしいのも納得だ。
ちっ、この村は顔見知りしかいないし、皆が自衛力もあるし、なにより皆ヴィオの事を可愛がってるから然程心配はしてねぇが、風の季節には他所モンが増える。
そいつらから下手な噂が回れば村ごと危険だ。
「ヴィオの正体が判明したら アイリスを狙った輩が村に来るかもしれん。どのレベルが来るかは知らんが、その時に皆に迷惑をかけるようなら困る。ある程度ヴィオを鍛えるまではこのまま村におりたいが……」
「おい アルク、てめえ村を出るつもりとか言うんじゃねえだろうな。
俺らがヴィオを見捨てると思ってんのか? 村の奴らもそうだ。チビ共もすっかり懐いてやがる。
そんな奴を狙われるかもしれねぇ、やべえ奴が来るかもしれねぇからって追い出すと思ってんのか?
舐めんなよ? 狙われても返り討ちに出来るぐらい 鍛えてやろうじゃねえか」
「そうですよ アルク。あんな育て甲斐のあるヴィオさんを連れて行くなんて許しません。
こうなれば 聖女アイリスを越える素晴らしい回復魔法を使えるように鍛えて差し上げたいですね。さて、回復の使い手と言えばあの方ですが、今どこにいるか分からないのですよね……」
ブツブツと考え込み始めたアスランは置いておいて、アルクも村を出るという考えを改めたようだ。
うちの村の住人となった奴らは家族と同じだ。
どんな奴の子供だったとしても、今はアルクの子供だ。俺らが守ってやるしかないだろ。
そう思ったんだけど、その後に聞かされたアルクの話に、俺たちでどこまで教えてやれるか、ちょっと自信を無くしたぞ?
いや、護るつもりがあるのは変わらないんだけど、聖女と王子の子供って、そんな天才になるもんなのか?
「サブマスに回復魔法をかけてもらいたいんじゃが、ええか?」
朝イチにアルクからそう言われて 何があったのかと思えば、娘が筋肉痛で動けないと言う。
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ヴィオの足元に跪き、滅多に使わない聖魔法を嬉しそうにかけているが、かけられている方も真剣に自分の足を眺めている。
白っぽいキラキラが両足に吸い込まれるようにして消えていく。
ヴィオはアルクの腕の中から飛び降りて その場で屈伸をし始め、軽く飛び跳ねる。
「サブマスさん、ありがとうございます!すっかり重たいのも痛いのもなくなりました。
温かい感じがしましたが、あれはどんな風に考えて呪文を唱えるのですか?
ただ呪文を唱えるだけですか?それとも、どこの傷をどうやって治そうとか考えて唱えてますか?」
は?
魔法は呪文を唱えるだけだろ?
アスランは詠唱短縮が巧みで、今のヒールも その呪文の短さに驚くところじゃないのか?こんな短い詠唱 普通は無いぞ?
「うふふふふ、そうですか、そうですか。ヴィオさんはやはり面白いですね。そうですね……」
「あぁ~、サブマス、悪いがヴィオはこれから学び舎じゃ。その話はまた後で頼む」
気持ち悪い笑い声を上げたアスランだったが、アルクに止められた。ふぅ 助かったぜ。
残念そうな顔してるんじゃねぇよ、まったく。
扉を出る前に『この後ヴィオの事で相談がある。時間をとってくれ』とアルクからコソリと言われた。
子供用の採集ハサミに関してはもう鍛冶屋に依頼してるし、今急ぎの事はないからな。
ヴィオの事で何か分かったことが増えたんだろう。
二人で資料室の会議室をおさえ アルクが戻るのを待つ。
「マジックバッグは使えたって言ってたから、母ちゃんの事が分かったんだろうけど、あとは何だろうな」
「そうですね、まだ学び舎も今日で4日目ですからね、そこまで何か困ったことが起きたようには思えませんが。しかし、ヴィオさんは子供達から大変尊敬を集めているようですよ?
教育担当の者たちからも非常に高評価を受けていますね。愛らしくて、魔術の才能もあって、勤勉だなんて素晴らしい」
ハイハイ。本当に他人に興味ない奴だったのに、こんなに気に掛けるとは凄いな、確かに可愛らしいとは思うけどな。
「待たせてすまん」
そんな事を考えてたらアルクが入ってきた。
アスランが直ぐに防音魔法をかけたので、アルクも鍵をかけて座る。
「で?両親のことが分かったのか?」
「うむ、母親のギルドタグが入っておった。
銀の上級、パーティー名は削っておったから分からんかったが、名前はアイリス。
回復魔法が得意で、ピンク髪のアイリスと言えば、臨時パーティーに引っ張りだこじゃった【マンジュリカ】のアイリスじゃろう」
「まさかっ!? 確かマンジュリカはメネクセス王国での依頼が最後で 消息を絶ったんじゃなかったか?」
「7~8年前だったんじゃなかったでしょうか。確かその頃に 隣国でクーデターが起きた筈。
次期国王と言われていた 王太子が死亡し、クーデターを先導した第二王子も死亡し、それまで表に出ることがなかった第三王子が立太子されたと大騒ぎになっていました」
「そうだったか?なんか流行病がどうとか言ってた気がするけど、それでうちでも回復薬以外の薬も薬局では取り扱うようになったんじゃなかったか?」
「クーデターが先で、その後の流行病で跡継ぎが居なくなったんじゃなかったかの?
まぁ、第三王子は 子供の頃に出奔し、冒険者として身を立てていたと言われておったな。目の色から マンジュリカのフィルが王子だったんじゃないかと言われたんも、パーティー解散後に即位したメネクセス王が似ていると噂になったからじゃな」
「「「…………」」」
「いやいやいや、ヴィオは5歳だろ? 年齢が合わないだろ? 流石に違うだろ?」
「いえ、第三王子が即位したのは 大陸歴581年です。パーティー解散がアイリスさんの妊娠を切っ掛けにしたのだとしたら、おかしくは有りませんよ。
パーティーのままだとアイリスさんへの指名依頼をされる可能性もありますから、もしお二人が夫婦だったのであれば 一時パーティー解散は十分あり得ます」
「うむ、産まれてすぐにいなくなった。というのも城から呼び出されてという事であれば仕方がないのかもしれん。
少し顔を見せるつもりか、後で呼び寄せるつもりじゃったんかは分からんが、あの大国の王の隣に冒険者を、というのは難しいじゃろうしな」
「……という事は、ヴィオさんの母君が逃げていたのは、もしかしたら王の子が他に居ては困ると思った者による暗殺者から逃れるためだったのかもしれませんね」
ヴィオの髪は綺麗なピンクに澄んだ紫の目だ。
確かあの国の王を継ぐ者は菫色の瞳だってんじゃなかったか?あの紫色は菫色と言えるんじゃないのか?
「ヴィオは髪色だけを変えておったと思っておったようじゃが、多分目の色も変えておったんじゃろうな」
「えぇ、その可能性は十分高いかと。あぁ、魔導学園から連絡があって 色変えの魔道具が手に入るそうですよ。しかし、髪色だけだと思ってましたので 髪飾り型の道具を送ってもらうように依頼してしまいました。あの小さな子に眼鏡は違和感がありますよね」
「まぁ、でも髪色が違うだけでも分かんねぇだろ。目線が同じの大人ならともかく、ちびっ子のヴィオの目を知らない奴が覗き込むなんて早々ないだろうよ」
知らない顔が集まる時期には 眼鏡か深めの帽子を被らせればいいだろうという事になった。
まさか、『冒険者の聖女』と名高かったアイリスと、『王族』だったかもしれないフィル、その娘かもしれないなんて。
それが事実だとしたら狙われても仕方がないとしか言えないだろう。
アルクが心配する気持ちも分かるし、ヴィオの属性がおかしいのも納得だ。
ちっ、この村は顔見知りしかいないし、皆が自衛力もあるし、なにより皆ヴィオの事を可愛がってるから然程心配はしてねぇが、風の季節には他所モンが増える。
そいつらから下手な噂が回れば村ごと危険だ。
「ヴィオの正体が判明したら アイリスを狙った輩が村に来るかもしれん。どのレベルが来るかは知らんが、その時に皆に迷惑をかけるようなら困る。ある程度ヴィオを鍛えるまではこのまま村におりたいが……」
「おい アルク、てめえ村を出るつもりとか言うんじゃねえだろうな。
俺らがヴィオを見捨てると思ってんのか? 村の奴らもそうだ。チビ共もすっかり懐いてやがる。
そんな奴を狙われるかもしれねぇ、やべえ奴が来るかもしれねぇからって追い出すと思ってんのか?
舐めんなよ? 狙われても返り討ちに出来るぐらい 鍛えてやろうじゃねえか」
「そうですよ アルク。あんな育て甲斐のあるヴィオさんを連れて行くなんて許しません。
こうなれば 聖女アイリスを越える素晴らしい回復魔法を使えるように鍛えて差し上げたいですね。さて、回復の使い手と言えばあの方ですが、今どこにいるか分からないのですよね……」
ブツブツと考え込み始めたアスランは置いておいて、アルクも村を出るという考えを改めたようだ。
うちの村の住人となった奴らは家族と同じだ。
どんな奴の子供だったとしても、今はアルクの子供だ。俺らが守ってやるしかないだろ。
そう思ったんだけど、その後に聞かされたアルクの話に、俺たちでどこまで教えてやれるか、ちょっと自信を無くしたぞ?
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