40 / 584
学び舎に参加
第37話 娘の相談
しおりを挟む
~熊獣人 アルク視点~
ヴィオの両親についての仮説は、二人に相談したことで ほぼ決まりだろうという事になった。
もしかしたら違うかもしれんが、そうだったと仮定しておいた方が 対策はやりやすいじゃろう。
ある程度ヴィオの基礎体力がついて、銅ランクになったら 村を出て 依頼を受けながらダンジョンで鍛えさせるべきかと思ったんじゃが、そんな事はせんでええと怒ってくれた。ありがたいことじゃな。
「母親というか、両親の事はそれで終わりじゃ。あくまでも仮定ではあるが、そう思って万全の対策をしておったらええと思っとる」
「そうですね、また暗殺者が来るかもしれない、と思っていないと 後手後手に回ってしまいますからね。そうしておきましょう」
「そうだな。ヴィオもヤル気みてぇだし、鍛えてやらねえとな」
二人を味方につけることが出来たのは非常に心強いことじゃ。
「あとは、そうじゃな。いくつかあるんじゃが、植物採集の事は進んでおるじゃろ?
そもそもあれの始まりが、学び舎のチビ共との話が切っ掛けじゃったんは言うたか?」
「あぁ、タキから聞いた。洗礼前は登録してねえから依頼も受けれねえし、そうでなくても 弟らが居たら世話がいるから出来ねえって 言ってたんを、薬草の種類を覚えるのを 遊びながら勉強したら良いって言ったんだってな」
おぉ 流石はギルマス、タキ経由で聞いておったんじゃな。
サブマスは「流石ヴィオさん、目の付け所が違いますね」じゃと。
「まあそういう訳じゃ。
でな、同じように授業でチビ共が計算と言葉で迷ったんを、どうやって教えたらいいかと考えて、二つの手遊びを考えて作ろうとしておるんじゃ。
ひとつはトランプ、ひとつはカルタじゃ。
トランプは王都で貴族から流行ってたんが、今じゃ冒険者でも知っとるくらいの玩具じゃろ?うちの村にはないが トランプ自体はあることを言うたら、それが数の勉強にええから作りたいんじゃと。
カルタというのは、言葉を覚えるための玩具らしい。これは儂には記憶にないんじゃが、貴族の玩具にあったか分かるか?
もしあれば、既得権益で目をつけられても困るからの、内緒で使うしかないと思っとるんじゃ。あとそれからな」
「ちょ、ちょっと、ちょっと待て」
なんじゃ?
右手で額を押さえたギルマスが、左手を前に突き出しながら待ったをかけて来た。
「ヴィオさんはトランプをご存じなのですね。作れるくらいなのであれば、使ったことがあるという事でしょう?やはり母親の、いえ父親の影響でしょうか。
カルタについては調べてみましょう」
冷静なサブマスがそう言ってくれたことで、確かに ヴィオはいつトランプで遊んだんじゃろうかと考える。マジックバッグにあればそれを出したじゃろうが、そうせんかったちゅうことは持ってないんじゃろう。考えても仕方ない事は 考えんことじゃな。
ギルマスに続きを話して良いかと確認したら、少し疲れた顔で許可をもらえたんで続きを話す。
「先程のチビ共の話じゃが、7歳で洗礼式を受けるじゃろ?ヴィオは既に冒険者登録をしておるから住民登録は問題ない。
じゃから受ける必要も特にはないと思うんじゃが、あれは任意じゃったよな?
もし絶対に受けないといかんとなると、ヴィオは危険じゃないかと言われてな」
「「……‼‼」」
二人も今 気付いたようじゃな。
「任意……だった筈ですが、調べましょう。
確かにあの水晶では魔力の強さによって 水晶の光が強く出ます。
今現在のヴィオさんの魔力がどれくらいか分かりませんが、これから2年努力をしていれば、通常の7歳より十二分の量になることは間違いないでしょう」
「うむ、それにな、多分今でもそれなりにあるはずじゃ。
ヴィオは昨日の授業で 聴力と視力の強化魔法を自分に使っておったらしい。
しかも昨日の依頼達成後、ここから家までは自分の足に身体強化をかけて歩いて帰ったんじゃ。今朝の回復は その反動で筋肉痛になった事が原因じゃ」
「は? ……はぁ? えっ?身体強化って、結構大変じゃないか?魔力操作が……って、それは3歳からやってたんだったか。
それで? でも強化魔法の呪文なんて勉強しに来てたか?学び舎では教えてない筈だぞ?」
それが儂も驚いた理由じゃ。
儂だって木魔法のいくつかは無詠唱でやっておるが、それは 何度も何年もやってきて やっとじゃ。
「ヴィオ曰く、腹の中心にあるふわふわを、強化したい部分に移動して、どうなりたいかを考えたら出来たそうじゃ」
「ぷっ、くっくっくっく、素晴らしい、流石はヴィオさん!
既に完全無詠唱を身に着けていらっしゃるのですね。成程なるほど、それは 私の回復魔法であの質問が出る訳ですね。
もしかしたら、ヴィオさんなら、回復魔法も詠唱無しもしくはトリガーのみで出来るかもしれませんね。
ふっふっふ、見てみたいですね。幼子だからこそ、素直に起こしたい現象を想像できるのでしょう。
そうだ!私が使える魔法を色々見せてみましょう。現象を先に見せれば、ヴィオさんなら再現できる可能性があるのではありませんか?」
楽しそうなサブマスと、頭が痛そうなギルマス。この二人は対照的じゃな。
しかし、1人で抱えるには大変じゃと思ったことを伝えられただけでもスッキリしたのう。
魔法を見せてみる、か。それは確かに良さそうじゃな。
結局、トランプを作るのは問題ないこととなり、カルタは商業ギルドに登録があるかを調べてもらうことになった。
洗礼式に関しては 村長がとりまとめをしておるから、ハサミの件で今度会うっちゅうんで 確認してもらうことになった。
ふぅ、これで一先ず話しておくことは終わりかの?
ヴィオの両親についての仮説は、二人に相談したことで ほぼ決まりだろうという事になった。
もしかしたら違うかもしれんが、そうだったと仮定しておいた方が 対策はやりやすいじゃろう。
ある程度ヴィオの基礎体力がついて、銅ランクになったら 村を出て 依頼を受けながらダンジョンで鍛えさせるべきかと思ったんじゃが、そんな事はせんでええと怒ってくれた。ありがたいことじゃな。
「母親というか、両親の事はそれで終わりじゃ。あくまでも仮定ではあるが、そう思って万全の対策をしておったらええと思っとる」
「そうですね、また暗殺者が来るかもしれない、と思っていないと 後手後手に回ってしまいますからね。そうしておきましょう」
「そうだな。ヴィオもヤル気みてぇだし、鍛えてやらねえとな」
二人を味方につけることが出来たのは非常に心強いことじゃ。
「あとは、そうじゃな。いくつかあるんじゃが、植物採集の事は進んでおるじゃろ?
そもそもあれの始まりが、学び舎のチビ共との話が切っ掛けじゃったんは言うたか?」
「あぁ、タキから聞いた。洗礼前は登録してねえから依頼も受けれねえし、そうでなくても 弟らが居たら世話がいるから出来ねえって 言ってたんを、薬草の種類を覚えるのを 遊びながら勉強したら良いって言ったんだってな」
おぉ 流石はギルマス、タキ経由で聞いておったんじゃな。
サブマスは「流石ヴィオさん、目の付け所が違いますね」じゃと。
「まあそういう訳じゃ。
でな、同じように授業でチビ共が計算と言葉で迷ったんを、どうやって教えたらいいかと考えて、二つの手遊びを考えて作ろうとしておるんじゃ。
ひとつはトランプ、ひとつはカルタじゃ。
トランプは王都で貴族から流行ってたんが、今じゃ冒険者でも知っとるくらいの玩具じゃろ?うちの村にはないが トランプ自体はあることを言うたら、それが数の勉強にええから作りたいんじゃと。
カルタというのは、言葉を覚えるための玩具らしい。これは儂には記憶にないんじゃが、貴族の玩具にあったか分かるか?
もしあれば、既得権益で目をつけられても困るからの、内緒で使うしかないと思っとるんじゃ。あとそれからな」
「ちょ、ちょっと、ちょっと待て」
なんじゃ?
右手で額を押さえたギルマスが、左手を前に突き出しながら待ったをかけて来た。
「ヴィオさんはトランプをご存じなのですね。作れるくらいなのであれば、使ったことがあるという事でしょう?やはり母親の、いえ父親の影響でしょうか。
カルタについては調べてみましょう」
冷静なサブマスがそう言ってくれたことで、確かに ヴィオはいつトランプで遊んだんじゃろうかと考える。マジックバッグにあればそれを出したじゃろうが、そうせんかったちゅうことは持ってないんじゃろう。考えても仕方ない事は 考えんことじゃな。
ギルマスに続きを話して良いかと確認したら、少し疲れた顔で許可をもらえたんで続きを話す。
「先程のチビ共の話じゃが、7歳で洗礼式を受けるじゃろ?ヴィオは既に冒険者登録をしておるから住民登録は問題ない。
じゃから受ける必要も特にはないと思うんじゃが、あれは任意じゃったよな?
もし絶対に受けないといかんとなると、ヴィオは危険じゃないかと言われてな」
「「……‼‼」」
二人も今 気付いたようじゃな。
「任意……だった筈ですが、調べましょう。
確かにあの水晶では魔力の強さによって 水晶の光が強く出ます。
今現在のヴィオさんの魔力がどれくらいか分かりませんが、これから2年努力をしていれば、通常の7歳より十二分の量になることは間違いないでしょう」
「うむ、それにな、多分今でもそれなりにあるはずじゃ。
ヴィオは昨日の授業で 聴力と視力の強化魔法を自分に使っておったらしい。
しかも昨日の依頼達成後、ここから家までは自分の足に身体強化をかけて歩いて帰ったんじゃ。今朝の回復は その反動で筋肉痛になった事が原因じゃ」
「は? ……はぁ? えっ?身体強化って、結構大変じゃないか?魔力操作が……って、それは3歳からやってたんだったか。
それで? でも強化魔法の呪文なんて勉強しに来てたか?学び舎では教えてない筈だぞ?」
それが儂も驚いた理由じゃ。
儂だって木魔法のいくつかは無詠唱でやっておるが、それは 何度も何年もやってきて やっとじゃ。
「ヴィオ曰く、腹の中心にあるふわふわを、強化したい部分に移動して、どうなりたいかを考えたら出来たそうじゃ」
「ぷっ、くっくっくっく、素晴らしい、流石はヴィオさん!
既に完全無詠唱を身に着けていらっしゃるのですね。成程なるほど、それは 私の回復魔法であの質問が出る訳ですね。
もしかしたら、ヴィオさんなら、回復魔法も詠唱無しもしくはトリガーのみで出来るかもしれませんね。
ふっふっふ、見てみたいですね。幼子だからこそ、素直に起こしたい現象を想像できるのでしょう。
そうだ!私が使える魔法を色々見せてみましょう。現象を先に見せれば、ヴィオさんなら再現できる可能性があるのではありませんか?」
楽しそうなサブマスと、頭が痛そうなギルマス。この二人は対照的じゃな。
しかし、1人で抱えるには大変じゃと思ったことを伝えられただけでもスッキリしたのう。
魔法を見せてみる、か。それは確かに良さそうじゃな。
結局、トランプを作るのは問題ないこととなり、カルタは商業ギルドに登録があるかを調べてもらうことになった。
洗礼式に関しては 村長がとりまとめをしておるから、ハサミの件で今度会うっちゅうんで 確認してもらうことになった。
ふぅ、これで一先ず話しておくことは終わりかの?
1,023
あなたにおすすめの小説
私を裏切った夫が、後悔しているようですが知りません
藤原遊
恋愛
政略結婚として、公爵家に嫁いだ私は
愛のない夫婦関係を「仕事」だと思い、正妻の役目を果たしてきた。
夫が愛人を持つことも、
その子を屋敷に迎え入れることも、黙って受け入れてきた。
けれど――
跡取りを、正妻の子ではなく愛人の子にする。
その言葉を、人前で軽く口にした瞬間。
私は悟ったのだ。
この家では、息子を守れないと。
元々、実家との間には
「嫡子以外の子は実家の跡取りにする」という取り決めがあった。
ならば話は簡単だ。
役目を終えた私は、離縁を選ぶ。
息子と共に、この家を去るだけ。
後悔しているようですが――
もう、私の知るところではありません。
【書籍化決定】アシュリーの願いごと
ましろ
恋愛
「まあ、本当に?」
もしかして。そう思うことはありました。
でも、まさか本当だっただなんて。
「…それならもう我慢する必要は無いわね?」
嫁いでから6年。まるで修道女が神に使えるが如くこの家に尽くしてきました。
すべては家の為であり、夫の為であり、義母の為でありました。
愛する息子すら後継者として育てるからと産まれてすぐにとりあげられてしまいました。
「でも、もう変わらなくてはね」
この事を知ったからにはもう何も我慢するつもりはありません。
だって。私には願いがあるのだから。
✻基本ゆるふわ設定です。
気を付けていますが、誤字脱字などがある為、あとからこっそり修正することがあります。
✻1/19、タグを2つ追加しました
✻1/27、短編から長編に変更しました
✻2/2、タグを変更しました
私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。
小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。
「マリアが熱を出したらしい」
駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。
「また裏切られた……」
いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。
「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」
離婚する気持ちが固まっていく。
婚約者チェンジ? 義理の妹は公爵令嬢の地位もチェンジされました』 ~三日で破談、家ごと褫奪の末路です~
ふわふわ
恋愛
「お姉様の婚約者、私がいただきますわ。だって“公爵令嬢”ですもの」
義理の妹コンキュはそう言って、王太子との婚約を奪いました。
父はそれを容認し、私は静かに受け入れます。
けれど――
公爵令嬢とは“地位”ではなく、“責任”の継承者。
王宮で礼儀も実務も拒み、「未来の王太子妃」を名乗った義妹は、わずか三日で婚約破棄。
さらに王家への不敬と統治能力の欠如が問題視され、父の監督責任が問われます。
そして下されたのは――家ごとの褫奪。
一方で私は、領地を守り、帳簿を整え、静かに家を支え続ける。
欲しがったのは肩書。
継いだのは責任。
正統は叫びません。
ただ、残るだけ。
これは、婚約を奪われた公爵令嬢が
“本当に継がれるべきもの”を証明する物語。
【完結】聖女になり損なった刺繍令嬢は逃亡先で幸福を知る。
みやこ嬢
恋愛
「ルーナ嬢、神聖なる聖女選定の場で不正を働くとは何事だ!」
魔法国アルケイミアでは魔力の多い貴族令嬢の中から聖女を選出し、王子の妃とするという古くからの習わしがある。
ところが、最終試験まで残ったクレモント侯爵家令嬢ルーナは不正を疑われて聖女候補から外されてしまう。聖女になり損なった失意のルーナは義兄から襲われたり高齢宰相の後妻に差し出されそうになるが、身を守るために侍女ティカと共に逃げ出した。
あてのない旅に出たルーナは、身を寄せた隣国シュベルトの街で一人の騎士と運命的な出会いをする。
【2024年3月16日完結、全58話】
侯爵家の婚約者
やまだごんた
恋愛
侯爵家の嫡男カインは、自分を見向きもしない母に、なんとか認められようと努力を続ける。
7歳の誕生日を王宮で祝ってもらっていたが、自分以外の子供を可愛がる母の姿をみて、魔力を暴走させる。
その場の全員が死を覚悟したその時、1人の少女ジルダがカインの魔力を吸収して救ってくれた。
カインが魔力を暴走させないよう、王はカインとジルダを婚約させ、定期的な魔力吸収を命じる。
家族から冷たくされていたジルダに、カインは母から愛されない自分の寂しさを重ね、よき婚約者になろうと努力する。
だが、母が死に際に枕元にジルダを呼んだのを知り、ジルダもまた自分を裏切ったのだと絶望する。
17歳になった2人は、翌年の結婚を控えていたが、関係は歪なままだった。
そんな中、カインは仕事中に魔獣に攻撃され、死にかけていたところを救ってくれたイレリアという美しい少女と出会い、心を通わせていく。
全86話+番外編の予定
取り巻き令嬢Aは覚醒いたしましたので
モンドール
恋愛
揶揄うような微笑みで少女を見つめる貴公子。それに向き合うのは、可憐さの中に少々気の強さを秘めた美少女。
貴公子の周りに集う取り巻きの令嬢たち。
──まるでロマンス小説のワンシーンのようだわ。
……え、もしかして、わたくしはかませ犬にもなれない取り巻き!?
公爵令嬢アリシアは、初恋の人の取り巻きA卒業を決意した。
(『小説家になろう』にも同一名義で投稿しています。)
恋は、母をやめてから始まる――正体を隠したまま、仮の婚約者になりました
あい
恋愛
両親を失ったあの日、
赤子の弟を抱いて家を出た少女がいた。
それが、アリア。
世間からは「若い母」と呼ばれながらも、
彼女は否定しなかった。
十六年間、弟を守るためだけに生きてきたから。
恋も未来も、すべて後回し。
けれど弟は成長し、ついに巣立つ。
「今度は、自分の人生を生きて」
その一言が、
止まっていた時間を動かした。
役目を終えた夜。
アリアは初めて、自分のために扉を開く。
向かった先は、婚姻仲介所。
愛を求めたわけではない。
ただ、このまま立ち止まりたくなかった。
――けれどその名前は、
結婚を急かされていた若き当主のもとへと届く。
これは、
十六年“母”だった女性が、
もう一度“ひとりの女”として歩き出す物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる