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学び舎での日々
第64話 休日の過ごし方
しおりを挟む風の日の午前中は 黒猫三兄弟と、ナチ ハチ兄弟の5人が我が家にやってくる。
3回目になるからね、レン君のことはルン君が、ハチ君のことはナチ君がしっかり見ながら採集をしてくれる。
私はロン君の採集をお手伝いしながら、お父さんが全体を見てくれている。
リリウムさんたちも付き合うと言ってくれたんだけど、先週の練習を見て 学び舎での二人の事もお父さんは魔術訓練で見てるから、早々無茶な行動はしないと判断。
上の子が見てくれることは前提としてだけど、両親はいなくても大丈夫と言ってくれたんだよね。
かわりにリリウムさんとランダさんが、夏の日差し除けになる鍔のある帽子を作ってくれることになったんだ。
「ロン君 久しぶりだね。 少し間が空いたから、今日はカイフク草の見た目を確認するところから始めようね。どんなのか覚えてる?」
「うん、全部みどりのやつ。それから……丸い先っちょがとんがってる」
うん、間違ってはない。全部緑……、ウラオモテって事だよね?
「うん、合ってるね。じゃあどれがカイフク草か教えてくれる?」
「いいよ~、んとね……あっ、コレ!」
何本か別の雑草と生えている中から、ちゃんとカイフク草を選んで見せてくれるロン君。
え?1週間前の事だよね? 3歳くらいって、葉っぱなんて全部同じに見えてるとかじゃないの?凄くない?
鉛筆の持ち方の時も思ったけど、この子達のスペック高くない?
「ロン君、凄いね! 合ってるよ! よく覚えてたね!」
「やった~、兄ちゃん おれちゃんと褒められた~」
「おお、ロン凄いなぁ」
「ロン、ヴィオはちゃんと頑張ったら褒めてくれるんだぞ、よかったな」
兄弟仲良しか!
褒めたロン君は 喜び勇んで兄弟に報告しに行ってワシワシされている。微笑ましすぎるんですが。
お兄ちゃんたちに褒めてもらって 直ぐに戻ってくるのも可愛い。
では次は採集をしよう!
ハサミの使い方を復習するのに、別の雑草をまずは切ってもらう。
何度か葉っぱを掴んでしまって クシャっとなってしまったけど、注意すればすぐに直すのも素直。
何度か練習してから カイフク草の採集へ。
慎重に葉っぱの茎の部分を左手で掴んで ハサミでチョキン。
「どう?できた?」
「うん、ちゃんと葉っぱも潰れてないし、茎のいい部分で切れているね。これなら下の薬草もちゃんと育つよ。上手に出来たね!」
「兄ちゃ~ん!」
葉っぱを片手にまた兄のところへ駆けていく。
今回は褒めてもらうのも目的だけど、葉を籠に入れるのも目的だったっポイ。
お父さんはレン君とハチ君を見ながら ルン君とナチ君にはカイフク草以外の採集を教えている。
二人も この数日間 資料室で薬草の勉強をしてきたらしく、迷うことなくマリキ草を採集している。マリキ草とよく似たナミダ草も数を増やせたから しっかり混ぜて植えているのに、葉の先端を見ながら 割れていないものを選び取っている。
マリキ草とナミダ草は イチョウによく似た形をしていて、葉は扇形をしている。マリキ草は 綺麗な扇形で、ナミダ草は真ん中位に割れ目がある。
両方とも緑色だけど、黄色だったらナミダ草はイチョウにしか見えないだろう。
ロン君の採集が10本1セット分 採れたところで休憩タイムだ。レン君たちも20本ずつ採集が出来たようなので10本組になるように紐で結んであげている。
ハチ君は ナチ君と一緒に自分の採集した薬草を紐で結んでいる。
「兄ちゃん おれまだ遊びたい!」
「ん~、でもあと10本取ってたらお昼過ぎちゃうぞ」
「ロン、今日はこの後 ナチたちと一緒にギルドに報告に行くんだよ。いっぱい歩くんだから 体力は残しておきな。ギルドに行って、帰ってからお昼ご飯だからね」
ロン君は遊び足りなかったようだけど、まだまだお兄ちゃんたちと一緒にお出かけが出来ることを知って喜んでいる。
まあ普段は一人でお留守番なんだもんね。お兄ちゃんたちと過ごせるのは嬉しいんだろう。
「びお またね~」
「アルクさん、ヴィオちゃん、今日もありがとうね」
「おう、ヴィオありがとうな。アルクさんも ありがとうございます」
「ああ、ナチも ロンも、薬草の取り扱いは丁寧じゃったぞ。あと何度か練習したら村長の森で新しい薬草採取もしてみたらええ」
私は午後から採集と、お父さんとの特訓だからね、皆とはここでお別れだ。
皆が見えなくなるまで手を振って、お家に入る。
「さて、ちょっと早いがお昼にするか」
「うん、お昼ごはんの後に採集だけしてから お昼寝して、それから特訓でいい?」
「ははは、そうじゃな。そうしようか」
お腹いっぱいで直ぐにお昼寝が出来ないのは分かってるからね。
午前に草まみれになってるんだから、お昼寝前に【クリーン】するなら 採集までやっちゃいたい。
お父さんがお昼ご飯を作ってくれている間に 採集の準備をしていく。
籠、手袋、ナイフ、麻紐の4点セットだ。
カイフク草は3人が今日5セット分の納品をしているからね。マリキ草もナチ君たちで4セット納品されている。
だからお昼からの採集は別の薬草の方が良いと思うんだよね。
幸いお父さんの森にはあの2種類以外にも素材は沢山あるからね。
川に近い場所は 他に比べて水気がある分 湿地帯に生える様な素材も生えている。
村長の森にもあったウルル草、セリエグは白い花が咲いているので 花と茎を一緒に3節分で切り取る。
この二つは回復薬の素材だから5本で1セットだ。
「あれ?お父さん、こんな花 咲いてたっけ?コレも回復薬の材料だったよね?」
「ん?ああ オギョウだな。それは昼の温かい日を浴びないと花が咲かんからな。午前中に咲くことは滅多にないから気付かんかったんじゃろ。
花が咲いとるときに採集すればちょっと高い素材になるぞ」
おお、時間制限ありって事だね。
村長の辞典には書いてあったけど、時間の事は書いてたかな?
日中の開花している時に土から5cm程上から採集する。とは書いてたと思うけど、日中の括りが詳しく書いてなかった筈だ。
自分のメモを見直しても書いてなかったので、付け足しでメモをしておく。
カイフク草とマリキ草は10本で1セットだけど、他の薬草は大体5本1セットなので、5本組で纏めていく。ウルル草は密閉容器で保管だよ。
全部1セットずつ採集して、マジックバッグに入れてからお昼寝をして、起きてからはお父さんのアスレチックでの特訓だ。
「おお、それは安全対策としてはええが……」
お父さんが苦笑いをしているのは 木の上の吊り橋だ。
授業でブロックを梯子にしたように、あるもので補助できれば怖くないと思って 橋を渡している木に魔力を流して、反対側の木まで届くように蔦を伸ばしたのだ。
手すりが出来たことで安定して渡れたんだけど、お父さん的に特訓としては駄目だったっポイ。ごめんなさい。
2周目からは 安全蔦は無くしましたよ。落ちてもお父さんが必ず受け止めてくれることも分かったし、身体強化を脚だけじゃなくて全身にかけることで 防御力が上がるっぽくて、丸太から落ちても、ズッコケても怪我しないんだよね。
まあ 油断大敵とも言われているから 気をつけてはいるけど、初回程 高いところも怖くなくなったし、早く動けるのがたのしいから頑張っちゃう。
3周走ったところで訓練は終了。
ギルドに納品に行ったら まだタキさんが居て、今日の採集の事でお礼を言われたよ。
今日の採集物は全部OKだったらしく、お小遣いとしてウキワクでお金を持って帰ったんだって。ナチ君たちは午前だけで2ポイントも稼げたと とても喜んでいたらしい。
ルン君は 50ポイント貯まり 錫から青銅ランクに上がったとの事。
青銅から銅は100ポイントだからね。
私も今日の3ポイントが入って40ポイントになった。あと10ポイントで青銅にランクアップだ。
とりあえず銅ランクまでは薬草採取頑張んないとね。
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