90 / 584
夏の訓練
第81話 武器が出来たぞ その2
しおりを挟むケーテさんのママ、テーアさんが武器の試し切りをしているのを 皆で見ている。
ケーテさんのお父さんの武器は、槍と斧が一緒になっている感じの武器だった。ハルバートって言うんだっけ?ケーテさんが槍で訓練していたのは、お父さんの影響なのかもね。
お兄さんの武器は、所謂片手剣というタイプの剣だ。長くて両方に刃がついていて、先も三角に尖がっている。
もしかしたら小柄な人なら両手剣として使うのかもしれないけど、お兄さんはマッチョだから片手でヒョイって持ってる。
んで、スレンダー美人のテーアさんは、大剣っていうの?
あの最後の幻想シリーズに出てくる 主人公の金髪ツンツンが抱えてた あのデカイ剣みたいな大きさだ。
「お父さん、あの大きな剣 なんていうの?」
「ロングソードとも言うが、あそこまで分厚くて斬るというより 叩き壊すに近い剣はバスタードソードと呼ばれるな」
バスターソードではないんだね?
何だろうね、弓矢とか、それこそ鞭とかで戦ってそうな人が、誰よりも先陣を切りそうな武器を持ってるって、イケナイ扉を開けてしまいそうだわ。
背中に構えたバスタードソードのグリップを握り、抜いたと思った時には 的が粉砕されていました。
「か、かぁっこいい~~~~~!!!!」
「母さん、すごい!ヴィオ、私もそう思う、母さんとっても格好良かったよね!」
「あらそう? あなた達にそう言ってもらえるのも悪くないわね」
振り返りながらのウインク頂きました!ありがとうございます!
姐さん、一生ついて行きます!
「ギレン、もう少し先端に重さが欲しいわ。 グリップは丁度良い感じね。調整よろしく」
「はいはい、相変わらず鈍ってないようで安心しましたよ」
的を片付けながら苦笑いをしているギレンさん、仲良しなんですねぇ。
続いてお試しはケーテさん。こちらは武術訓練でも練習していたように 槍を武器にするようで パパさんが木の棒を使って 手合わせするみたい。
「お父さん、木の棒じゃ 流石に切れちゃうんじゃない?」
「技量がなければそうじゃろうが、ケーテの腕じゃ まだまだ相手にはならんじゃろ」
ケーテさんが持つ槍は 勿論刃があるし、横なぎにすれば断ち切れるだろう。だけどお父さんは只の棒でも切れることはないという。
そう言われたので静かに見ているんだけど、確かに突こうが、薙ごうが、振りかぶろうが、全ていなされている。
「ほれほれ、そんな正面から真っすぐ来たら、ほれっ」
連続突きで攻めようとしても、槍の支柱を木の棒の先端でチョイチョイ叩くことで、全くタディさんにかすりもしない。
ケーテさんの動きは 結構な早さなのに、タディさんは片手で楽しそうに、というかおちょくりながらヒョイヒョイ避けるのだ。
これが金ランクなのか……。
「ほれ、これで何度足を切られた? 足元を疎かにするなと言ってるだろう?」
ケーテさんもだんだんムキになって、動きがどんどん単調化していき 木の棒で太ももや ふくらはぎをペシペシされている。
お父さんの訓練もそうだけど、冒険者の英才教育って中々ハードなんだね。
結局一カスリもできないまま、ケーテさんの体力が切れたところで終了となった。
大の字で倒れているケーテさんを抱っこして壁際に置かれた椅子に移動したタディさんは、嬉しそうにケーテさんを膝に乗せている。
「ヴィオ」
「あっ!そっか、次は私だね、お父さん行ってくるね」
ケーテさん達を眺めていたらお父さんに声を掛けられ、自分の番だった事を思い出す。
ギレンさんの元へ駆けて行けば 箱に入った剣を見せてもらった。
「右と左で少し刃の大きさを変えてる。その辺も確かめてくれ」
「うん、すごい!格好良い! ギレンさんありがとう!」
お店で見せてもらった短剣は 三角形というか、左右対称の尖がった剣だったんだけど、お願いしたのは片刃の反りがある短剣だ。
刃の長さだけで10センチくらいはあると思う。
持ち手にはグリップっていうのかな、取手が着いてて 手がすっぽ抜けないようになってる。
両手に其々剣を持ち、握りを確認する。
うん、握りやすいね。
次にそのまま素振りをしてみる。
重さも左右で変えたというけど違和感はない。右の方が少し刃の先端が太いね。
次は的で……と思って移動しようとしたら待ったがかかった。
「折角だ、珍しい武器だし うちの息子は暇しているからな、こいつを的にして組み手をしてみないか?」
「ええっ?父さん こんな小さな子供に何言ってんの? 流石に可哀想だろ」
突然振られた お兄さんのガルスさんは驚いているけど、ギレンさんもテーアさんも頷いているし、どうしたら良いかと思ってお父さんを見つめてみる。
「ははっ、まあ ええんじゃないか?
ヴィオは 強化と鎧を外さんようにやってみればええ。
動かん的相手よりは ヴィオも楽しいじゃろうし、ガルスが嫌でなければ相手をしてやってもらえると嬉しい。ただし、ヴィオは武器での手合わせはしたことがないが 身体能力はそれなりに高いから、気は抜かんようにな」
お父さんからもOKが出てしまいました。
まあ銀ランクの冒険者さんだもん、私如きが傷をつけられるとは思っておりません。胸をお借りいたします!
「ええっ、ほんとかよ。 ヴィオちゃんだったよね?こちらは木の棒を使うけど 手足を狙っていくから 無理だと思ったら直ぐに “待った” を宣言してね」
「はい!ガルスさん よろしくお願いします」
周りの大人に味方がいない事が分かったガルスさんは、渋々ながら受けてくれることになりました。
待ったを宣言すれば終わりらしいけど、ケーテさんみたく体力が終わって倒れても終わりらしい。
なんと脳筋なトレーニングなのでしょうか。
お庭の中心に立ったガルスさんは 普段使っている剣と同じ長さの棒を使うらしい。
ぶらんと下げた右手に棒を持ち、いつでもおいでと言ってくれる。
両手に短剣を構え、腕と足に身体強化をかけ、全身には結界鎧を纏わせる。
「おや?」
「ほぉ」
成人しているガルスさんはお父さんよりは小柄だけど、身長180センチほどの長身だ、対して私は120センチ弱。
屈んで小さくならなくても十分なので、そのままガルスさんの足元まで跳躍するようにダッシュする。
「はっ?」
そのまま足元を狙うように右、左と短剣を振るうけど、飛退いたガルスさんの木の棒で逸らされる。
「まじかよ」
気合を入れ直したらしいガルスさんの身体から魔力が溢れた。多分身体強化魔法かな? お肌を硬くする系?
だったら多少刃が当たっても大丈夫ってことだよね?
飛退かれた分、直ぐにこちらも体勢を整えて 再び剣を振るう。右、左、右、
カン カン カン
ただの木の棒のはずなのに、剣撃を逸らされる、ムムウ。
ガルスさんからも棒で私の足を払おうとしてくるけど、これは私が飛んで避ける。
何度かそんな打ち合いをしていれば、ガルスさんがクルっと振り返った。
と思えばその尻尾が私を横なぎにしようとして来たので、とっさに転がりながら反対側に避ける。
「おお!」
「なっ!これも避けるのか?」
避けた先から ガルスさんの背後に回り込み、脚力強化で飛びあがり ガルスさんの頭上から両手剣を振り下ろす。
「参った!」
振りかぶったところで宣言されたので、剣を胸の前でクロスさせるように持ち直してから着地した。ふう、危なかった~。
「ガルスさん、ありがとうございました! お父さん、どうだった?」
「想像での練習が上手くできておったんじゃないか? 最後の飛び上がるのは 魔獣相手では危険な可能性もあるから、よく見極める必要があるな」
おお、確かに正面がら空きだもんね。気を付けよう。
「ガルス、お前 全然ダメだったな」
「父さん、無茶言うなよ。あの子本当に5歳なの?ドワーフとかじゃないの?」
またドワーフ疑いが出ているね。タディさんからおちょくられているけど、結局一撃も入れることが出来なかったのに、全然ダメとか言われちゃうんだね。
流石金ランクのスパルタ教育。
「ヴィオ、お前さん もう一つの武器はどうするんだ?」
其々の家族との会話をしてたら ギレンさんから声が。
え?まさか もう一つって 鞭もできたの?
647
あなたにおすすめの小説
私を裏切った夫が、後悔しているようですが知りません
藤原遊
恋愛
政略結婚として、公爵家に嫁いだ私は
愛のない夫婦関係を「仕事」だと思い、正妻の役目を果たしてきた。
夫が愛人を持つことも、
その子を屋敷に迎え入れることも、黙って受け入れてきた。
けれど――
跡取りを、正妻の子ではなく愛人の子にする。
その言葉を、人前で軽く口にした瞬間。
私は悟ったのだ。
この家では、息子を守れないと。
元々、実家との間には
「嫡子以外の子は実家の跡取りにする」という取り決めがあった。
ならば話は簡単だ。
役目を終えた私は、離縁を選ぶ。
息子と共に、この家を去るだけ。
後悔しているようですが――
もう、私の知るところではありません。
【書籍化決定】アシュリーの願いごと
ましろ
恋愛
「まあ、本当に?」
もしかして。そう思うことはありました。
でも、まさか本当だっただなんて。
「…それならもう我慢する必要は無いわね?」
嫁いでから6年。まるで修道女が神に使えるが如くこの家に尽くしてきました。
すべては家の為であり、夫の為であり、義母の為でありました。
愛する息子すら後継者として育てるからと産まれてすぐにとりあげられてしまいました。
「でも、もう変わらなくてはね」
この事を知ったからにはもう何も我慢するつもりはありません。
だって。私には願いがあるのだから。
✻基本ゆるふわ設定です。
気を付けていますが、誤字脱字などがある為、あとからこっそり修正することがあります。
✻1/19、タグを2つ追加しました
✻1/27、短編から長編に変更しました
✻2/2、タグを変更しました
私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。
小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。
「マリアが熱を出したらしい」
駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。
「また裏切られた……」
いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。
「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」
離婚する気持ちが固まっていく。
婚約者チェンジ? 義理の妹は公爵令嬢の地位もチェンジされました』 ~三日で破談、家ごと褫奪の末路です~
ふわふわ
恋愛
「お姉様の婚約者、私がいただきますわ。だって“公爵令嬢”ですもの」
義理の妹コンキュはそう言って、王太子との婚約を奪いました。
父はそれを容認し、私は静かに受け入れます。
けれど――
公爵令嬢とは“地位”ではなく、“責任”の継承者。
王宮で礼儀も実務も拒み、「未来の王太子妃」を名乗った義妹は、わずか三日で婚約破棄。
さらに王家への不敬と統治能力の欠如が問題視され、父の監督責任が問われます。
そして下されたのは――家ごとの褫奪。
一方で私は、領地を守り、帳簿を整え、静かに家を支え続ける。
欲しがったのは肩書。
継いだのは責任。
正統は叫びません。
ただ、残るだけ。
これは、婚約を奪われた公爵令嬢が
“本当に継がれるべきもの”を証明する物語。
【完結】聖女になり損なった刺繍令嬢は逃亡先で幸福を知る。
みやこ嬢
恋愛
「ルーナ嬢、神聖なる聖女選定の場で不正を働くとは何事だ!」
魔法国アルケイミアでは魔力の多い貴族令嬢の中から聖女を選出し、王子の妃とするという古くからの習わしがある。
ところが、最終試験まで残ったクレモント侯爵家令嬢ルーナは不正を疑われて聖女候補から外されてしまう。聖女になり損なった失意のルーナは義兄から襲われたり高齢宰相の後妻に差し出されそうになるが、身を守るために侍女ティカと共に逃げ出した。
あてのない旅に出たルーナは、身を寄せた隣国シュベルトの街で一人の騎士と運命的な出会いをする。
【2024年3月16日完結、全58話】
侯爵家の婚約者
やまだごんた
恋愛
侯爵家の嫡男カインは、自分を見向きもしない母に、なんとか認められようと努力を続ける。
7歳の誕生日を王宮で祝ってもらっていたが、自分以外の子供を可愛がる母の姿をみて、魔力を暴走させる。
その場の全員が死を覚悟したその時、1人の少女ジルダがカインの魔力を吸収して救ってくれた。
カインが魔力を暴走させないよう、王はカインとジルダを婚約させ、定期的な魔力吸収を命じる。
家族から冷たくされていたジルダに、カインは母から愛されない自分の寂しさを重ね、よき婚約者になろうと努力する。
だが、母が死に際に枕元にジルダを呼んだのを知り、ジルダもまた自分を裏切ったのだと絶望する。
17歳になった2人は、翌年の結婚を控えていたが、関係は歪なままだった。
そんな中、カインは仕事中に魔獣に攻撃され、死にかけていたところを救ってくれたイレリアという美しい少女と出会い、心を通わせていく。
全86話+番外編の予定
取り巻き令嬢Aは覚醒いたしましたので
モンドール
恋愛
揶揄うような微笑みで少女を見つめる貴公子。それに向き合うのは、可憐さの中に少々気の強さを秘めた美少女。
貴公子の周りに集う取り巻きの令嬢たち。
──まるでロマンス小説のワンシーンのようだわ。
……え、もしかして、わたくしはかませ犬にもなれない取り巻き!?
公爵令嬢アリシアは、初恋の人の取り巻きA卒業を決意した。
(『小説家になろう』にも同一名義で投稿しています。)
恋は、母をやめてから始まる――正体を隠したまま、仮の婚約者になりました
あい
恋愛
両親を失ったあの日、
赤子の弟を抱いて家を出た少女がいた。
それが、アリア。
世間からは「若い母」と呼ばれながらも、
彼女は否定しなかった。
十六年間、弟を守るためだけに生きてきたから。
恋も未来も、すべて後回し。
けれど弟は成長し、ついに巣立つ。
「今度は、自分の人生を生きて」
その一言が、
止まっていた時間を動かした。
役目を終えた夜。
アリアは初めて、自分のために扉を開く。
向かった先は、婚姻仲介所。
愛を求めたわけではない。
ただ、このまま立ち止まりたくなかった。
――けれどその名前は、
結婚を急かされていた若き当主のもとへと届く。
これは、
十六年“母”だった女性が、
もう一度“ひとりの女”として歩き出す物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる