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銅ランク冒険者
第86話 目標ポイント達成
しおりを挟む学び舎の武術訓練の授業でチーム戦をすることはなかったけど、足場の悪い中での対戦は子供達からも大いにウケた。
羊三姉妹は元々 コース作成だけの参加だったので、勿論この対戦も見学だけだ。
チームを作ることはないけど、毎回対戦相手と 対戦場所をくじで決めている。
初回、私の対戦相手になったのはナチ君で、非常に心配されたんだよね。
「ヴィオが それなりに体力もついて来たのは見てて知ってるけど、戦いは流石に無理じゃない?
俺は冒険者志願じゃないけど、ギルド職員はそれなりに戦える必要があるから鍛えてるし、怪我させちゃいそうで怖いんだけど?」
「あ~ ナチ、心配は無用だぞ。
ここの武器は大きくてヴィオが装備できないから使ってないけど、本人の専用武器もあるし、ケーテの家族と毎日訓練できるレベルだからな」
ナチ君の不安に答えたのはエデル先生だ。
ここの訓練場で特訓しているから、先生も見学してるし、時々先生も相手をしてくれているので 私の実力は知ってくれている。
「えっ?ヴィオ 銀ランクと練習してるのか?」
「え~、びお、そんなことしてるの?僕も参加したい!」
「は?え? 訓練って聞いてたけど、体力作りじゃなくて?」
「ケーテだけじゃなくて、家族と? どういうこと?」
ちなみにガルスさんではなく、テーアさんとタディさんが相手ですけどね。
盛大に驚いている人たちを置いておいて、ナチ君とは水溜りの丸太ゾーンで対戦でした。
ナチ君は片手剣を使うらしく 木剣で、私は鞭だと危険だし、短剣も刃があるので無手で対戦だ。
先生が大丈夫とはいっても、見た目は5歳女児だからね。 優しいナチ君は 様子見をしながら切りかかってきたので、剣を避けるようにナチ君の懐に入り込み、肩を支えに飛び越えて 背後に回り込み、膝裏に掌底を軽く当てる。所謂膝カックンですね。
「え?わ!おぉぉぉ~!」
バシャーン‼
足場は小さな丸太ゾーンだ。踏ん張ることもできずに ナチ君は水溜りに正面から落ちた。
「嘘だろ?」
「え?まじで?」
「あらぁ、ヴィオ凄いわぁ」
「まあ、すばしっこいのね」
「あらまあ、ナチったら大丈夫かしら」
自分たちの対戦を始めていなかった組みや、見学組から声が上がる。
顔面から水溜りに落ちたけど ナチ君大丈夫かな? 直ぐに起き上がってこないことに心配して覗き込めば ムクリと起き上がってきてくれた。
「びっくりした~!マジかぁ!
ヴィオ、お前凄いな。ちょっと様子見をしようって思ったけど、全然必要なかったな」
水も滴るいい男、黒髪から ポタポタと雫を垂らしながら、超絶良い笑顔で 凄いと褒められた。
大きな怪我がなくって良かった。
それを見て ハチ君も大興奮だし、レン君も飛び跳ねながら大喜びだった。
1回目の授業で大丈夫だと分かってからは、皆も本気で飛び掛かってくるようになった。
流石獣人族だけあって 身体能力が高いんだけど、タディさんの力強さよりは弱いし、ガルスさんのスピードほどではないので対応が出来る。
三姉妹以外の生徒たちはそれを見て、時々午後の訓練の見学をするようになった。
ケーテさんとの手合わせは時々しているけど、ガルスさんやタディさん、テーアさんとの手合わせはとてもじゃないけど無理だと見学に徹しているみたい。
そんな脳筋的な濃い1か月が終わりそうな週末、冒険者防具が完成し、聖の日にカルタセットを2つ納品したことで、100ポイントの目標を達成することが出来た。
「ヴィオちゃん、最年少での銅ランク昇格 おめでとう!」
検品をしてくれたタキさんから祝福の言葉をもらう。
ある程度の年齢になってからの登録をする人たちは、効率よく納品依頼を熟していくので1~2か月でのランクアップはあるらしい。
だけど5歳で3か月という短期での昇格は初めてだと教えてもらった。
まあ、普通の子供は7歳の洗礼後の登録だもんね。
7歳以下は流浪の冒険者家族が 住民登録用に行うくらいで、活動はしないって言うのが普通らしいし、かなり特殊だとは自分でも理解している。
「ハチも学び舎で会えなくなるのは寂しがるだろうけど、お陰様で 魔法も算術も文字の勉強もできるようになったからね。これからも 訓練場での特訓はするのかい?」
そっか、銅ランクになったら学び舎は卒業なんだよね。
週明けの明日、最後の授業になるんだね。
特訓はどうだろう、私も来月から お外の討伐に行くって話だったし、ケーテさん家族との特訓は今月いっぱいの予定って言ってたよね?
「お父さん?」
「そうじゃな、ケーテ達は討伐ポイントも大分貯まってきたから、来月からダンジョンに挑戦すると言っておったからなあ」
「そっか、それは残念だけど 仕方がないね。まあずっと出ずっぱりという訳じゃないだろうし、時々訓練するときは 子供達の相手もしてやってくれると助かるよ。
ヴィオちゃん、来週から討伐も始めるんだろう? 魔獣相手は最初は慣れないと思うから、無理はしないで気を付けるんだよ?」
「うん、タキさんありがとう!」
登録の時にお世話になったからこそ、タキさんは受付の中でも一番頼りにしてしまうね。
ケーテさん達もダンジョンから戻った時には、ギルドで訓練をするつもりだと言われたので、これからもしばらくは 訓練場での特訓は続けられそうだ。
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