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銅ランク冒険者
第90話 討伐報告
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「ヴィオ、大丈夫……そうじゃな。さて、解体してしまうか」
短剣を剣帯に収めたところでお父さんが確認しに来てくれる。2体は首チョンパの状態で、1体だけが 繋がっている状態だ。
まずは 繋がっている1体も首を落として吊り下げる。
「肉を素材として持っていくものは 出来るだけ血抜きをしておくとええ。1日森にいる時なんかは 狩った肉を昼食にすることもあるからな。
肉を素材にせんウルフ系は 毛皮と魔石だけを回収しておけばええ」
言いながら 解体ナイフで 見本を見せてくれる。
お肉屋さんの解体依頼が入っているときは積極的に受けるようにして、解体の練習もしてきた。
ビッグピッグは屋台で人気の肉焼きなんだけど、大型二輪車くらいの大きさがある豚で、豚というよりは猪に似ている狂暴な顔だった。
ボアは別にいるんだけど、牙の有り無しだけが違いではないかと思っている。
ビッグピッグに比べれば ホーンラビットはお父さんの両手から少し出るくらいのサイズだからね、大分小さい。いや、日本で見たことのあるウサギの倍以上はあるから大きいのか?
首は既に切り落としているので、両手足の関節から先を切り落とし、腹から肛門部分まで切り裂いて 内臓を取り出す。まだ温かいので臭いは少ないけど 内臓は直ぐに腐るので、肉を素材にするなら最初に取り出す必要がある。
「随分手慣れて来たな」
「うん、お肉屋さんで鍛えてもらったからね」
血みどろになった甲斐があるというモノだ。
皮を剥いだら 3体分の皮に【クリーン】をかけて余計な汚れと血液を落とす。
強い魔獣の場合は 肉から余分な魔力を抜くこともあるけど、このレベルの魔獣に含まれる残存魔力はそのままでも魔力酔いを起こすことはないので、汚れと血液だけを【クリーン】で落として マジックバッグに入れる。
この肉は 我が家の食卓に上がるので、鮮度は気にしない。
取り出した内臓を探れば、心臓の辺りで カツン と音がする。指を入れて取り出せば 私の小指の爪ほどの大きさ(0.5センチもない)の魔石が出てきた。
婚約指輪のダイアモンドくらいか? この世界の宝飾品はよく分からないけど、私が身に着けている髪飾りと 眼鏡の魔石はもう少し大きい。
この魔石に需要はあるのだろうか。
「お父さん、こんな大きさの魔石でも買取してもらえるの?」
「まあ屑魔石の扱いにはなるから、値段はつかんかもしれんな」
「じゃあ、これは私が個人的に集めてもいい?」
同じ色と大きさを揃えたら、アクセサリーとして使えるかもしれないし、何かの魔道具を作る時の実験で使えるかもしれない。
既にガラクタと言えそうなものも収集しているのを知っているお父さんは 笑いながら許可をしてくれたよ。
「じゃあ残りは焼却するぞ」
「あっ!私がやる!」
【アースホール】で地面に穴を空け、内臓と切り落とした足先などを入れる。
生活魔法の着火【バーン】で火をつけるのが定番らしいんだけど、火の始末も必要になるからね。
私はドゥーア先生が教えてくれた【ファイア】で穴の中の素材全部を一気に燃やす。
ボッ!と青い火が上がったと思えば 穴の中は黒い煤しか残っていない。
「前に見た時は驚いたが、野外での解体処理後の焼却には便利じゃな。直ぐに移動できるのが一番安全じゃからな」
最初に見せた時は赤くない火に驚かれて、その効果にも驚かれたんだけど、理由を説明したら納得してくれたんだよね。
普通のファイアよりも魔力は少し多めにいるみたいだけど、お父さんも使えるようになったからね。
穴を元に戻したら 煤も土に混ざってなくなる。
内臓や肉をそのままにしていると、他の魔獣が集まってくることになるので、必ず焼却処分が必要だ。
街道にある休憩所などには 決められた場所があり、そこも使用後は必ず【クリーン】で綺麗にする必要がある。
冒険者以外の人が近づく場所では そういったマナーが大事だよね。
残念ながら折れた角は 買取価格がつかないだろうけど、討伐数にはカウントされるので持って帰る。
討伐したホーンラビットは、水攻め(1)、短剣(2)、ウッドランス(1)、ファイアボール(3)、ウインドカッター(1)、ウォーターカッター(1)合計9体。
ファイアボールだけ多い理由は、1体目は火だるまになってしまい、肉と皮どころか 素材が採れなかったから。
2回目は少し小さめのボールにしたけど、やっぱり毛皮の素材が駄目になったので、3回目はBB弾くらいの小ささにして、その代わりにソフトボール大の大きさをギュギュっと小さくしたものだから威力は強く、3回の中で一番早く攻撃することが出来た。
後頭部からぶち抜いた炎の玉は 角の根元を少し溶解してしまっていたけれど、毛皮もほとんど傷付けることなく、敵を絶命させていた。
ウッドランスは木の枝が串刺しにしたことで、毛皮も大きく破損し、魔石も一緒に砕かれてしまっていた。
カッター系の二つは首チョンパに効果的で、水と風の違いはあまり分からなかった。
柔らか素材のホーンラビット相手だからだろうとお父さんに言われたので、今後も他の魔獣でどれが一番効果的か試す予定だ。
という事で、今回納品できた毛皮は6体分、魔石は小さいから自分用に持って帰る。
ウッドランスの物もお肉は食べることに問題なかったので、捌いてマジックバックに入れている。これはシチューに使ってもらおう。
納品した時には 毛皮の綺麗さを褒めてもらえたけど、3体分は粗相しているので ちょっと素直に喜び難い。
でも肉屋のマコールさんには報告しておこう。
「じゃあホーンラビットの討伐として、8体分で80ラリ、角の納品が6本分で120ラリ、毛皮が6体分で300ラリ、合計500ラリだね。
初めての討伐でこれだけ稼げるのは凄いね!ヴィオちゃん将来有望だね」
査定してくれたタキさんが褒めてくれる。
ホーンラビットは討伐したことが分かれば1体10ラリ、角は綺麗なら20ラリ、かけ具合で値段は下がる。半分になっているのと下が熔けたのは 私のコレクションとしてマジックバックだ。
毛皮は1枚20~50ラリで、今回は破れもなく綺麗なので50ラリだった。
肉は1体20~30ラリらしいけど、自宅の食卓用なので売ってない。
「ありがとうタキさん。今日からの討伐で貰えるお金は全部ギルドカードに貯金したいです」
「そうなのかい? それもいいかもしれないね。よし、じゃあギルドタグをもらえるかい?」
青銅までは毎回お金をもらっていた。
そのお金は 自宅のビッグタートル貯金箱に貯めている。今後も子供薬草採取会には参加するときがあるので、そこで採集したお金は 貯金箱に貯めるつもりだけど、討伐の分は ギルドカードに貯めて 今後の冒険者としての活動に使うように お父さんから言われているのだ。
こないだ貰ったばかりの銅色に輝くタグを首から取り出し、タキさんに渡す。
ツルンとした銅のタグには、名前だけしか書いていない。
だけどこのタグにも何やら複雑なアレコレがあるらしく、銀行カードのかわりに使えるようだ。
ギルドカードが通帳で、タグがキャッシュカードみたいな扱いなのかもしれないね。
操作が終わったようで返してもらったタグを 再び首に下げる。冒険者になった感じがしてテンションが上がる。
「ああ そうだ、アルクさん、タディさんから水の日の午後は 訓練場を予約したとの事でした」
「ああ、分かった。ヴィオ、明後日はまたタディさんとの訓練が出来るようじゃが、明日はどうする? 連日じゃと疲れも残っとるじゃろうし、明日は採集にするか?」
ケーテさんは 先週の風の日にダンジョンに挑戦してくると言っていた。
初めてのダンジョンだから初級からだろうけど、移動時間もあるもんね。今日帰ってきたという事だろう。
明日休息して、明後日特訓して、またダンジョンに行くのかな?
あの家族も大概スパルタだよね。
「今日しっかり寝れば大丈夫だと思う。明日も討伐に行きたい!」
今日はホーンラビットだけを狙って動いたけど、もう少し奥には 少し大きな魔獣の存在もあった。
多分ウルフだと思う。お父さん的にはウルフも問題ないだろうという事だったので、明日はウルフも討伐してみたい。
明日の朝の時点で筋肉痛とか酷くなければと許可が出たので、帰りにシチューの為の材料を買って帰る。
芋に玉ねぎ、人参、ミルク、名前は微妙に違うけど、見た目は大きく違わないので、買う時に困ることはない。
炒めるのは台所が高いので お父さんがやるんだけど、最近は野菜を切ったりする下拵えは私も手伝っている。お父さんは料理上手なので、私が出来なくても問題ないんだけど、できることはやりたいとお願いしているんだ。
ウッドランスでど真ん中に穴が開いたのと、ファイアボールで毛皮が焦げた2体分を使う。
皮だけが焦げて、肉は大丈夫だったけど 何となく 火が入ってしまった気がする肉なので 早めに消費しておきたいよね。
「うん、新鮮な肉だけあって柔らかいな」
シチューを食べながらお父さんが褒めてくれる。
自分で初めて狩ったお肉だからか、いつもより美味しく感じるけど、感動補正だと分かってるからね。
だけど、この感動は忘れない様にしよう。
短剣を剣帯に収めたところでお父さんが確認しに来てくれる。2体は首チョンパの状態で、1体だけが 繋がっている状態だ。
まずは 繋がっている1体も首を落として吊り下げる。
「肉を素材として持っていくものは 出来るだけ血抜きをしておくとええ。1日森にいる時なんかは 狩った肉を昼食にすることもあるからな。
肉を素材にせんウルフ系は 毛皮と魔石だけを回収しておけばええ」
言いながら 解体ナイフで 見本を見せてくれる。
お肉屋さんの解体依頼が入っているときは積極的に受けるようにして、解体の練習もしてきた。
ビッグピッグは屋台で人気の肉焼きなんだけど、大型二輪車くらいの大きさがある豚で、豚というよりは猪に似ている狂暴な顔だった。
ボアは別にいるんだけど、牙の有り無しだけが違いではないかと思っている。
ビッグピッグに比べれば ホーンラビットはお父さんの両手から少し出るくらいのサイズだからね、大分小さい。いや、日本で見たことのあるウサギの倍以上はあるから大きいのか?
首は既に切り落としているので、両手足の関節から先を切り落とし、腹から肛門部分まで切り裂いて 内臓を取り出す。まだ温かいので臭いは少ないけど 内臓は直ぐに腐るので、肉を素材にするなら最初に取り出す必要がある。
「随分手慣れて来たな」
「うん、お肉屋さんで鍛えてもらったからね」
血みどろになった甲斐があるというモノだ。
皮を剥いだら 3体分の皮に【クリーン】をかけて余計な汚れと血液を落とす。
強い魔獣の場合は 肉から余分な魔力を抜くこともあるけど、このレベルの魔獣に含まれる残存魔力はそのままでも魔力酔いを起こすことはないので、汚れと血液だけを【クリーン】で落として マジックバッグに入れる。
この肉は 我が家の食卓に上がるので、鮮度は気にしない。
取り出した内臓を探れば、心臓の辺りで カツン と音がする。指を入れて取り出せば 私の小指の爪ほどの大きさ(0.5センチもない)の魔石が出てきた。
婚約指輪のダイアモンドくらいか? この世界の宝飾品はよく分からないけど、私が身に着けている髪飾りと 眼鏡の魔石はもう少し大きい。
この魔石に需要はあるのだろうか。
「お父さん、こんな大きさの魔石でも買取してもらえるの?」
「まあ屑魔石の扱いにはなるから、値段はつかんかもしれんな」
「じゃあ、これは私が個人的に集めてもいい?」
同じ色と大きさを揃えたら、アクセサリーとして使えるかもしれないし、何かの魔道具を作る時の実験で使えるかもしれない。
既にガラクタと言えそうなものも収集しているのを知っているお父さんは 笑いながら許可をしてくれたよ。
「じゃあ残りは焼却するぞ」
「あっ!私がやる!」
【アースホール】で地面に穴を空け、内臓と切り落とした足先などを入れる。
生活魔法の着火【バーン】で火をつけるのが定番らしいんだけど、火の始末も必要になるからね。
私はドゥーア先生が教えてくれた【ファイア】で穴の中の素材全部を一気に燃やす。
ボッ!と青い火が上がったと思えば 穴の中は黒い煤しか残っていない。
「前に見た時は驚いたが、野外での解体処理後の焼却には便利じゃな。直ぐに移動できるのが一番安全じゃからな」
最初に見せた時は赤くない火に驚かれて、その効果にも驚かれたんだけど、理由を説明したら納得してくれたんだよね。
普通のファイアよりも魔力は少し多めにいるみたいだけど、お父さんも使えるようになったからね。
穴を元に戻したら 煤も土に混ざってなくなる。
内臓や肉をそのままにしていると、他の魔獣が集まってくることになるので、必ず焼却処分が必要だ。
街道にある休憩所などには 決められた場所があり、そこも使用後は必ず【クリーン】で綺麗にする必要がある。
冒険者以外の人が近づく場所では そういったマナーが大事だよね。
残念ながら折れた角は 買取価格がつかないだろうけど、討伐数にはカウントされるので持って帰る。
討伐したホーンラビットは、水攻め(1)、短剣(2)、ウッドランス(1)、ファイアボール(3)、ウインドカッター(1)、ウォーターカッター(1)合計9体。
ファイアボールだけ多い理由は、1体目は火だるまになってしまい、肉と皮どころか 素材が採れなかったから。
2回目は少し小さめのボールにしたけど、やっぱり毛皮の素材が駄目になったので、3回目はBB弾くらいの小ささにして、その代わりにソフトボール大の大きさをギュギュっと小さくしたものだから威力は強く、3回の中で一番早く攻撃することが出来た。
後頭部からぶち抜いた炎の玉は 角の根元を少し溶解してしまっていたけれど、毛皮もほとんど傷付けることなく、敵を絶命させていた。
ウッドランスは木の枝が串刺しにしたことで、毛皮も大きく破損し、魔石も一緒に砕かれてしまっていた。
カッター系の二つは首チョンパに効果的で、水と風の違いはあまり分からなかった。
柔らか素材のホーンラビット相手だからだろうとお父さんに言われたので、今後も他の魔獣でどれが一番効果的か試す予定だ。
という事で、今回納品できた毛皮は6体分、魔石は小さいから自分用に持って帰る。
ウッドランスの物もお肉は食べることに問題なかったので、捌いてマジックバックに入れている。これはシチューに使ってもらおう。
納品した時には 毛皮の綺麗さを褒めてもらえたけど、3体分は粗相しているので ちょっと素直に喜び難い。
でも肉屋のマコールさんには報告しておこう。
「じゃあホーンラビットの討伐として、8体分で80ラリ、角の納品が6本分で120ラリ、毛皮が6体分で300ラリ、合計500ラリだね。
初めての討伐でこれだけ稼げるのは凄いね!ヴィオちゃん将来有望だね」
査定してくれたタキさんが褒めてくれる。
ホーンラビットは討伐したことが分かれば1体10ラリ、角は綺麗なら20ラリ、かけ具合で値段は下がる。半分になっているのと下が熔けたのは 私のコレクションとしてマジックバックだ。
毛皮は1枚20~50ラリで、今回は破れもなく綺麗なので50ラリだった。
肉は1体20~30ラリらしいけど、自宅の食卓用なので売ってない。
「ありがとうタキさん。今日からの討伐で貰えるお金は全部ギルドカードに貯金したいです」
「そうなのかい? それもいいかもしれないね。よし、じゃあギルドタグをもらえるかい?」
青銅までは毎回お金をもらっていた。
そのお金は 自宅のビッグタートル貯金箱に貯めている。今後も子供薬草採取会には参加するときがあるので、そこで採集したお金は 貯金箱に貯めるつもりだけど、討伐の分は ギルドカードに貯めて 今後の冒険者としての活動に使うように お父さんから言われているのだ。
こないだ貰ったばかりの銅色に輝くタグを首から取り出し、タキさんに渡す。
ツルンとした銅のタグには、名前だけしか書いていない。
だけどこのタグにも何やら複雑なアレコレがあるらしく、銀行カードのかわりに使えるようだ。
ギルドカードが通帳で、タグがキャッシュカードみたいな扱いなのかもしれないね。
操作が終わったようで返してもらったタグを 再び首に下げる。冒険者になった感じがしてテンションが上がる。
「ああ そうだ、アルクさん、タディさんから水の日の午後は 訓練場を予約したとの事でした」
「ああ、分かった。ヴィオ、明後日はまたタディさんとの訓練が出来るようじゃが、明日はどうする? 連日じゃと疲れも残っとるじゃろうし、明日は採集にするか?」
ケーテさんは 先週の風の日にダンジョンに挑戦してくると言っていた。
初めてのダンジョンだから初級からだろうけど、移動時間もあるもんね。今日帰ってきたという事だろう。
明日休息して、明後日特訓して、またダンジョンに行くのかな?
あの家族も大概スパルタだよね。
「今日しっかり寝れば大丈夫だと思う。明日も討伐に行きたい!」
今日はホーンラビットだけを狙って動いたけど、もう少し奥には 少し大きな魔獣の存在もあった。
多分ウルフだと思う。お父さん的にはウルフも問題ないだろうという事だったので、明日はウルフも討伐してみたい。
明日の朝の時点で筋肉痛とか酷くなければと許可が出たので、帰りにシチューの為の材料を買って帰る。
芋に玉ねぎ、人参、ミルク、名前は微妙に違うけど、見た目は大きく違わないので、買う時に困ることはない。
炒めるのは台所が高いので お父さんがやるんだけど、最近は野菜を切ったりする下拵えは私も手伝っている。お父さんは料理上手なので、私が出来なくても問題ないんだけど、できることはやりたいとお願いしているんだ。
ウッドランスでど真ん中に穴が開いたのと、ファイアボールで毛皮が焦げた2体分を使う。
皮だけが焦げて、肉は大丈夫だったけど 何となく 火が入ってしまった気がする肉なので 早めに消費しておきたいよね。
「うん、新鮮な肉だけあって柔らかいな」
シチューを食べながらお父さんが褒めてくれる。
自分で初めて狩ったお肉だからか、いつもより美味しく感じるけど、感動補正だと分かってるからね。
だけど、この感動は忘れない様にしよう。
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