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ヴィオの冒険
第116話 ケピマルダンジョン その2
しおりを挟む火の日に4階と5階の散策をし、昨日は休日だった。
4・5階はやっぱりゴブリンで、スモールラットとホーンラビットの数が少ない分、ゴブリンたちがいる感じ。
だけど ノーマルゴブリンだから、連携もないし、武器攻撃をしてくるでもない。
あ、そういえばホーンラビットを討伐して ドロップアイテムの ホーンラビットの角を先にゴブリンが拾って、それを武器のように使って攻撃してくるっていうのはあったかな。
まあ 普通に【ファイアボール】を眉間に打ち込んで終了だったんだけど、その時にゴブリンが握ってたホーンラビットの角も一緒に消えたのは驚いたよね。
お父さんに聞いてみたら、ゴブリンの武器のひとつとして認識されたんだろうという事だった。
ダンジョン以外でも ゴブリンやコボルトは 時々武器を使う。それらは死んだ冒険者などの持ち物であることが多いみたい。
それはダンジョンでもあり得るんだけど、ゴブリンナイト以上の上位種が持つ武器には 明らかにそうではないものもあるらしく、そういった武器は討伐した時にドロップアイテムとして出ることもあるんだって。
それを聞いて お母さんのマジックバックにあった不思議な杖はドロップアイテムだったのかもしれないと思った。
あれをお母さんが作ったのであれば ちょっと聞きたいことがあり過ぎるし、作った訳じゃなくても 使っていたのであればちょっと嫌だ。
握り棒が虹色で、上の部分がハート型、ハートの上には何故か王冠みたいなのが付いてるし、ハートの下の部分には天使の羽をイメージしたようなリボンが付いていた。
極めつけにハートの中央部分にはピンクの魔石がついていて、どう見ても魔女っ娘ステッキだったんだもの。
アレが魔獣のドロップアイテムなのだとしたら、どんな魔獣が落とすのかを確認してみたい。
そうじゃなかったことは考えたくないので、魔獣一択でお願いします。
ああ、余計な事を思い出してしまった。
そうか、今回のホーンラビットの角が消えたのは、ゴブリンの武器と認定されたからで、ノーマルゴブリンのドロップアイテムは腰布だけだから 角も消えちゃったってことだね。
せかせか集める必要はないけれど、みすみす無くすのも勿体ないので、次からは気を付けて拾うようにしようと思った。
で、休養日明けの今日は リポップしている階も討伐しながら進んでいくので、ちょっとスピードを上げて進んでいくよ。
4階と5階はまだリポップしていないので、今日は1~3階と6階7階だ。
6階の階段を見つけるところまでは火の日にやってたので、6階に下りるところでお弁当を食べておく。
そのまま腹休めをしつつ、6階に足を付けた状態で【索敵】魔法を展開する。
今までの階よりも 高さと道幅が広くなっているのは、ここから登場する魔獣の為なのだろう。
資料を読んできたけど、思ってた以上に大きいかもしれないね。
お父さんが少し心配しているようだけど、強化魔法も結界鎧もちゃんとつけているから大丈夫。
通路の角からこっそりのぞき込めば、体高1m程のカマキリが土を両手の鎌で掘りながら餌を探しているのが見える。
うん、でかいよね。
シカーマンティスと呼ばれる魔獣は、両手の鎌での攻撃の他、風魔法を使う。両手の鎌を振るうことでカマイタチのような風を飛ばしてくるらしいのだ。
一度体験してみたいのでカマキリと対峙するように通路に飛び出してみた。
「【ウォーターウォール】」
向こうが見えるように水の壁を作った直後、私に気付いたカマキリが胸を開くように立ち上がり、その鎌の腕を右、左と振り下ろしてきた。
空振りではなく、水の壁にバシャバシャと音が跳ねたので、カマイタチを飛ばしてきたことが分かる。
直ぐに効果がなかったと分かったらしいシカーマンティスは、こちらに駆け寄り、物理的に切り裂こうと鎌を振り下ろしてくる。
流石は上階の敵である。
今までのダンジョンにいた魔獣より 余程強いと思う。
ここも初級ダンジョンだけど、ココにはじめに来ていたら怪我する人が多そうだと思う。
私は水の壁の内側からシカーマンティスの頭を落とすように【エアカッター】を唱えて首チョンパしてしまう。
キラキラエフェクトが治まれば、そこにはシカーマンティスの腕?いや、鎌が落ちていた。
武器屋が喜ぶというので、一応集めておくことにした。
6階はシカーマンティスしかいなかったけど、7階はゴブリンやホーンラビットも混ざってた。
スモールラットが居ないと思ったんだけど、奴はシカーマンティスの獲物だったようで、食べられているところを発見してしまった。
ホーンラビットもある意味獲物だけど、奴は角があるからスモールラットよりは狙われにくかったみたいだね。
ダンジョンでも弱肉強食が存在するのは分かった。
翌、風の日は8階、9階のマッピングを目的にダンジョンへ潜る。
4・5階はリポップしているので、通り道で邪魔になる相手だけを討伐していく。
ゴブリンの腰布はいらないから、エフェクトが消えるのも待たずにズンズン進む。
8階と9階は、ハイゴブリンが混ざりつつ、シカーマンティスが縦横無尽に行動している感じだった。
メイジゴブリンとか居てもおかしくなさそうなのにと思ったけど、ココは初級ダンジョンだし、コニベアではボス部屋にしかいなかったメイジゴブリンが普通階層に出てきたら、初心者冒険者なら危険だと思い直した。
パニックルームが9階にあって、見た事のない小さめの魔獣がウジャウジャしているのだけが分かったので 水の壁を裏返した状態で開けてみた。
マジでパニックになりそうなルームだった。
「ギャ~~~!!!お父さん、お父さん、お父さん!」
中が見えるように水の壁にしていたがため、中から押し出されてきた数匹が壁に激突し、腹が見えて大量の脚がウゴウゴしているのが見える。
足が沢山ある虫は苦手だったのだと改めて感じた次第。
軽いパニック状態になりつつも、壁を絶対に壊させないように魔力は流しながらもお父さんを呼ぶ。
勿論すぐ側にいてくれたお父さんだから、驚いて直ぐに抱き上げてくれたけど、私が涙目である事、だけど目の前の巨大ダンゴ虫から目を離していない事から、何にそうなっているのか、直ぐに理解してくれたらしい。
「ヴィオ、大丈夫じゃ。ヴィオの作った壁は強い。レッドウッドラース如きでは破ることは出来ん。
大丈夫じゃ、いつも通り、そうじゃな 魔法で殲滅すればええじゃろ。出来そうか?」
「うん、うん、大丈夫、やる、やるよ!」
お父さんにしがみ付いたままだけど、離れるとかちょっと無理だけど、魔法だったらここからでも大丈夫だもん。ウゴウゴしている大量の赤いダンゴ虫に向けて今使えそうな殲滅魔法を放ってみる。
「【ファイアバレット】」
ドバババババババババババ!!!!!!!
数の指定はせず、今目の前にいる全てのダンゴ虫を殲滅できるようにと考えたおかげで、小さな青い炎の弾が花火を散らしたように爆散した。
「ヴィオ!」
着弾した事による砂煙と、討伐によるエフェクト、それを見た事による安心、大量のバレットでの魔力消費、それらが重なった事で 一気に眠気が襲ってくる。
「お…うさ…、たか…ばこ…てほ…い……」
パニックルームには宝箱があるはず。
あんな嫌な思いをしたんだから、それだけは持って帰りたいけど、そこまで行くのは無理そうだなぁ。
お父さんが焦っている声も聞こえるけど、もう凄く眠くて無理……。
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