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ヴィオの冒険
第122話 ルエメイ遺跡ダンジョン その1
しおりを挟む「今週は 毎日お弁当で良いんだったね?」
「いや、今日と明日で5階まで確認し、3日目は休息日、聖の日から ダンジョンで寝泊まりしながら ボス部屋を目指すつもりじゃ」
「へぇ~、確かに6階からは 森だから その方が効率は良いだろうけど、ヴィオちゃん、あんたはダンジョンで寝泊まりするのが怖くないのかい?」
資料確認をした日の夕食時、女将さんから お弁当の予定を確認された。
お父さんとも相談して、森の散策は ゆっくりじっくり行おうという事になり、リポップの事も考えたら、無駄に外に出ず、森のセフティーゾーンで野営をしながらボス部屋を目指すことにしたんだよね。
女将さんは心配してくれるけど、村と村の間の移動は徒歩だから 野営に慣れているし、ダンジョンでの野営も初めてではない。
「女将さん、心配してくれてありがとうございます。
でもね、ダンジョンでのお泊りは何回かしているし、お父さんがいるから怖くないの。大丈夫」
「まぁ、そうかいそうかい、そうだねぇ。お父さんが居れば怖くはないね。
それじゃあ、聖の日の朝には しっかりお弁当を作ってやるからね。保存食もいくつか作っておいてやるから、それを持っていきな」
女将さんに心配無用と胸を張って言ったら、頭をワシワシ撫でられた。マジックバッグに色々食材はあるから大丈夫だけど、保存食を作ってくれるというのであれば、それも有難く持っていこう。
そんなお話をした翌朝、今日のお弁当を持たせてもらって 初めてのルエメイ遺跡ダンジョンに行ってきます。
◆◇◆◇◆◇
「おお!入口からして違うよ、お父さん!」
「ははっ、楽しそうで何よりじゃ。遺跡型のダンジョンは、元々あった古い建築物なんかがダンジョン化したもんじゃから、入口というか見た目は千差万別じゃ。
ここは元々 神殿のようなものがあったらしいから、柱が多くて、像が沢山立っておるんじゃ。
1階は 遺跡の名残が多く残っておるぞ」
今までの洞窟ダンジョンとは あまりにも違う外観に 大興奮で 思わず飛び跳ねて喜びを全身で表現してしまう。
なんだろうね、こういう時は本当に子供に戻ったみたいになっちゃう。
風化しているからか 真っ白ではないけれど、きっと過去には白かったのだろうと思わせる石で作られた建築物。柱が多く、その柱の上下にも 装飾があり、外観だけでも観光名所になりそうだ。
まあ、見て回るというには小さいけどね。
その神殿っぽい入口が 真っ黒で中が見えないダンジョン仕様になっていて、お父さんと二人で足を踏み入れる。
「へぇ~、中も神殿っぽいままなんだね。
でも、外から見た広さとは全然違うね。おお、ここもやっぱりスライムなんだね」
今まで行ったことのある洞窟ダンジョンは、どれも同じような明るさだったけど、ここはそれよりも少し明るい。
直射日光ではないけど、建築物の中に 外の光が気持ちよく 差し込んでいるというくらいの明るさだ。
そして中の広さは お察しの通り、外観を裏切る広さだ。
まあ、ダンジョン化しているんだし、10階もあるんだし、しかも後半は森だもんね。1階の広さが違うことくらいなんてことないね。
それでも 今までは何の見どころもなかった洞窟ダンジョンだっただけに、神様なのか、偉人なのかよく分からない人達の石像があったり、壁画があるのは とても楽しい。
これで魔獣がわんさかいれば楽しめないけど、1階にいるのはスライムだけだし、彼らはアクティブに襲ってくることはないから、存分に見て回っている。
「お父さん、この像は偉い人なの?それとも神様なの?」
神殿に関わるつもりがないからウッカリしてたけど、この世界の宗教観とか、世界の歴史とかは知っておきたいかもしれない。
知らずに過ごすこともできるだろうけど、知っておいた方が 身の振り方とかも考えられそうだし。
「いや、儂もそんなに熱心に神殿には行かんからなぁ。ギル…いや、サブマスか ドゥーア先生なら知っておるかもしれんな」
そっか、そうだよね。
「来年 ドゥーア先生の所に行った時に、歴史の勉強と 神様の勉強もちょっとできるかな」
「なんじゃ、ヴィオは教会に興味があったんか? 避けとるんかと思っておったが」
「属性がバレたら面倒そうだし、教会には興味はないよ。
でもこの世界の神様がどんな人かは興味があるかな。信仰するかは別だけど、知っておいた方が 冒険者として旅をするのに便利そうでしょう?」
お父さんには 水晶玉ピカーのイベントを回避するために 教会に行く気はないと言っているけど、それさえなければ教会も行ってみたいとは思っている。
でも 今は自分で自分の身を護れるとも思えないので、もっと大人になってからで良いと思ってる。
「まあ、確かに そうかもしれんな。冒険者で教会に 足繫く通うような信心深い者は然程多くはないが、自分が大切にしている神をお守りにしている者はそれなりに居るな。
命がけの仕事でもあるから、神頼みっちゅうのは馬鹿に出来んからな。
まあ、一般的な教会の事ならミミーでも知っとるはずじゃから、ギルドの勉強会で教えてもらえばええじゃろ」
ん?ということは、教会にいるであろう神様以外にも 信仰する神様がいるって事かな?
多宗教なのか、オリュンポスの12神みたく、神様が沢山いるのか、それとも日本の八百万の神々みたく、数えきれないくらいいるのか……。
まあ、それは帰ってからのお勉強だね。
今日の散策は 2階と3階まで。
1階から下も 同じように 壁画とかを楽しめるのかと思ったけど、2階と3階は 洞窟ダンジョンと変わらない感じだった。
土の道ではなく、石畳って違いはあったけどね。
2階はスモールラットだけ、3階はゴブリンが出てきたくらい。
初級ダンジョンだけあって、出てくる魔獣は今までと変わらないので、お父さんのお助けもなく、サクサク倒していくだけ。腰布も、鼠の尻尾もいらないから 本当に倒すだけ。
「1階を見て回る時間の方が長かったなぁ」
今日のダンジョンを終えて 外に出た時にお父さんからそんな事を言われたけど、仕方がないと思います。
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