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ノハシム鉱山ダンジョン
第178話 ノハシム鉱山ダンジョン その9
しおりを挟む「うん、ヴィオの魔法は大分規格外だな」
「でも 使えるようになれば 凄く 攻略は捗るよ」
「使いこなせるようになるには 魔力操作の訓練が必須って事だな」
現在12階の セフティーゾーンで 夕食中です。
個室に十匹ほどいた ロックラットは この階では見なかったので ちょっと追い出すのが可哀想な気もしたけど、48時間後には またここに登場するのだと思えば 一時撤退をしてもらうという事で 容赦なく討伐させていただきました。
色んな魔法を試してみた結果、12階の魔獣たちは およそ半分になりました。
13階への階段に向かう後半は手付かずなので、明日は討伐した前半部分で 採掘を行う予定です。
カンコンしてたら 寄ってきてくれるかもしれないし、来なければこちらから迎えに行くだけだしね。
そして 美味しい夕食を食べながら お兄ちゃんたちから 使用した魔法についてツッコまれてます。
私が使うボール系は 全て圧縮しているので、森の討伐でも 毛皮などを殆ど傷付けることなく倒すことが出来るので、是非覚えてもらいたいところ。
ゴーレムに効果的だったのは ボール系は全般、カッターも属性が違うだけで エアカッターと同じ使い方なので 問題なし。
ランス系は 下からか 横からか 上からかしか私は出せないので、トカゲには 地面からの串刺しが効果的だったけど、ゴーレムの核には届かなかった。
バレット系は 無駄に魔力を使うだけで 魔法耐性を持っている2体には あまり効果が無かった。一点集中型のボールの方が良かったね。バレットは 複数の敵が出た時にしか使えそうにないね。
一応お兄ちゃんたちの得意属性に合わせて使ったので、風、水、土、火の4つだけだけど、どの属性でも ゴーレムと トカゲには 効果的な魔法があったので 上々の出来ではなかろうか。
規格外とか言われているけど、これは サブマスと ギルマスから教えてもらった魔法だから 既にあるやつなのになぁ。
「いや、ちっちゃくするやつとか知らねーし、聞いた事ねーよ」
「ああ、それは ちっちゃい方が 素材に傷がつかないでしょ? それでどうしたらいいかなーって思ったらできたの」
「ヴィオは すげえなぁ」
ルンガお兄ちゃんに 頭をワシワシされる。
他の冒険者が居ないので 帽子は脱いでる。ずっと被ってたら蒸れるからね。あぁ そろそろお風呂に入りたい。クリーン浴だと スッキリはするんだけど、シャンプーじゃないから 髪がゴワゴワしてくるんだよね。くせ毛が広がるから 二つ結びの三つ編みにして 広がらないようにしているけど やっぱり気になる。
ということで、お兄ちゃんたちとファイアで 青くするのと、小さくする練習です。
「まずは 普通にファイアを出してみてね」
三人とも手元にファイアを出す。 トンガお兄ちゃんは火魔法が得意属性ではないけど、ファイアくらいは作れるというので 一緒に練習してもらっている。
学び舎の生徒たちのお陰で、得意属性でなくても使えるのは分かっているし、使い続ければ 得意属性になることも分かっているからね。
どうせ始めるなら 一緒にやればいいのだ。
「そしたら 今のファイアに空気を少しずつ送り込むように想像してみてね」
私の手の上にあるファイアの赤い炎が 少しずつ青い炎に変化していく。
それを見て 三人も 自分の手の上の炎を見つめているけど 中々色は変わらない。
「空気を送ったら 火の色が変わるってのがよく分かんねー」
クルトさんの言葉に もっと最初の実験をすべきだったと反省する。
火をつけた蝋燭にコップで蓋をして酸素を無くすあの実験をやってみよう。皆のファイアは一度消してもらって 蝋燭を準備する。
三人がジッとその様子を見ているので ちょっと緊張します。
そういえば 家ではないので 透明のコップが無いね。仕方がないので 風魔法で蓋をしましょう。
「ガラスのコップと同じだと思ってね。こうやって火のついた蝋燭に蓋をして 空気が入らない様にしたら……」
「消えたな」
「夜営の火を消すのも 蓋をするか砂をかけるかしているから それと同じだな」
そうそう、同じです。
ここには 過酸化水素水も二酸化マンガンもないから 言葉で説明するしかないけど、実際にやっている事と似ていれば理解してもらいやすそうだ。
「火おこしの時、野営地ではそうでもないけど 家の竈を使う時、ふいごを使うでしょう?あれは 空気を送り込んでるんだけど、火が強くなるでしょ? あれと同じことをして欲しいのね」
酸素って 簡単な言葉で説明するのは難しすぎる。
空気の中に燃えやすい気体があるとか 義務教育の実験しか記憶にない私には 危険性が無い感じで説明はできん。
ということで『空気』という非常に大まかな言葉で説明です。ってか お父さんはそれで理解して実践できてるから大丈夫な筈。
「あー、ってことは このファイアに 下から空気をぶち込む気持ちで……、お?こうか」
流石ルンガお兄ちゃん、天才肌です。
ふいごを使うという説明で 直ぐに理解できたお兄ちゃんのファイアは さっきよりも 炎が大きく膨らみ 中心部分が青くなっている。
「うわぁ、ちょっと悔しいんだけど。
でも そういうことだね、うん、えっと こうかな。いや、下からのイメージの方が消えないね」
ルンガお兄ちゃんの手元を見て 悔し気な表情をした トンガお兄ちゃんも 試行錯誤しながら コツを掴んだらしく、炎の色が赤からオレンジ、青に変化していく。
静かにしていたクルトさんも 真剣に 炎を見つめながら 徐々に青い炎を作り出している。
今日まで毎日 魔力操作をしていたからなのか、こんなに直ぐに出来るようになるなんて、すごいね。
だけど、今日の練習はここまでになった。
一気に慣れない魔法を使った事で、三人の魔力が かなり減ってしまったみたい。
夕食を食べたばっかりだったのに 空腹を訴える三人に 練習中に パスタシチューを仕込んでくれていたお父さんが 熱々の器を配る。
焚火台の周囲に立てられた肉串も、速攻で三人の腹の中に消えていった。正にイリュージョンである。
「今日は 儂が見張り番をしておくから、魔力切れのお前たちは まず寝て回復しろ」
「父さんありがと、起きたら交代するから 今日は甘えさせてもらうね」
「ん、父さん ヴィオ おやすみ」
「アルクさん すんません、ヴィオ ありがとな」
「うん、クルトさんも お兄ちゃんたちも おやすみなさい」
珍しく 私より早く寝るお兄ちゃんたち。魔力切れの眠気は 私も何度も経験しているからよく分かる。
あれだけ大量に食べた直後に寝るというのは ちょっと理解できないけど、空腹も来るとはよく聞くからどっちを先に摂取するかって事なのかもね。
私は断然眠気が先にくるんだけどね。
モゾモゾとテントに潜って行った三人を見送って 使った食器を片付ける。
「今日中に青い炎にできるとは思わんかったなぁ」
やっぱりですか? 私も まさか あんな言葉だけで出来るようになるとは正直思ってなかったです。
まあでも お父さんの子っていうか、感覚で魔法を使っている人らしく、見て 納得して 何となくやってみるが出来る人たちだよね。
多分 魔力操作の練習をしてなければ それでも再現は難しかったと思うけど、見張り中ずっと 色んな魔法の練習をしているらしいから、見張り番最後の人は 翌朝 魔力が回復しきってないから 最初の人が 【索敵】をするって変更してたくらいだもんね。
「お兄ちゃんたち凄いね。金ランクになる人達って こういう人たちなんだね」
「まあそうじゃな、勤勉、努力家、素直、そういう奴らが多いと思う。共和国を巡って 色んな冒険者と出会って、嫌な思いもしてきたじゃろうが、それらが 今のあいつらを形作っておるんじゃろうな。
どんな経験も無駄にはならん、このダンジョンで負けて 踏破できんかった悔しい思いも、今回で払拭できたようじゃしな」
お父さんは 私の髪をブラッシングしながら とても楽しそうだ。
5年ぶりに 一緒に旅をする子供達の成長度合いを 目で見て 肌で感じることができるのが とても楽しいんだろう。
私も 少し大きくなったら 一度 お父さんと離れて 旅をした方がいいのかな。 それで 成長してから 一緒に旅をして 成長したな!って思ってもらう?
いや、でもやっぱり お父さんとの旅は辞めたくないな。
だったら、お兄ちゃんたちと 離れることにはなるだろうから、お兄ちゃんたちに感動してもらえるように頑張ろう。
そう伝えたら 「それは楽しそうじゃな、その感動されるときには ヴィオと儂は金ランクになっとるかもしれんなぁ」だって。
うんうん、それがいいね。金ランクファミリーで 一緒に冒険も楽しそうだもん。
またやりたい事リストに追記しなきゃだね。
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