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ノハシム鉱山ダンジョン
第183話 帰還
しおりを挟むトンガお兄ちゃんの笑いが落ち着いたところで 宝箱を開けることに。
「あ!ボスのお宝は大丈夫だって事なんだけど、宝箱の索敵で安全確認 試してみるって言ってなかった?」
「お~、やべっ!まんま開けるとこだったわ。ヴィオありがとな」
どういたしましてですよ。
対ボス戦で活躍できなかったという事で トンガお兄ちゃんが確認することに。
「……おぉ!確かに これ中身見えるね。罠がどんな感じで仕掛けられてるのかも確認してみたいけど これからは索敵確認必須だね。ちなみに 中身インゴットだわ」
確かに 今まで見つけた宝箱は 全部罠なしだったからね。
初級に罠があることはまずないらしい。中級は 1/3の確率、上級は ダンジョン内に 複数個所ありとの事。そういうリスクも含めて上級に指定されてるって事なんだろうね。
そしてお兄ちゃんが言った通り 開けた中身は キラッキラのインゴット。あれですよ所謂 金の延べ棒的なやつ。
鑑定眼鏡で確認しましょうかね。
分類:インゴット
素材名:ミスリル塊
成分詳細:純ミスリル 200グラム
採集地:ダンジョン
はい、分かってたけどミスリルでした。
ボス部屋の宝箱のアイテムは ダンジョン所在地のギルド職員なら知っていること。ボス部屋到達した人たちは これを大抵は売るんだろう。
だって14階の採掘はほとんどできない筈だから。
200グラムのミスリルインゴットが5本。
人数分とは 素敵なお土産ですね。ありがとうございます。
おや? 私の中の ダンジョンボスの宝箱 階級ごとにお値段決まってる説が 崩れるぞ?
だって、絶対にミスリルインゴットが 回復薬三本分と一緒な訳ないよね。
これは 更なる検証が必要かもしれないね……。
「ヴィオ~、行くぞ~」
「あ、は~い」
考えてるうちに お兄ちゃんたちは転移のお部屋に移動しているし。ダッシュで向かえば 全員で魔法陣の上に乗り込みます。
ダンジョンの扉と同じで 全員が乗れば 稼働するような仕組みだけど、例えば ボス戦で亡くなってしまって 数が減った時はどうなんだろうか。
ボス部屋の中に生者が残ってなければ動くのかな。
うん、多分そうだろう。ダンジョンは 次の人たちの準備もあるくらいだから きっと確認している者がいる筈。
そればっかりは確認 出来そうにないから想像だけどね。
キラキラと周辺が光り、眩しくてお父さんの脚に掴まれば 顔を大きな手が塞いで 眩しい光を遮ってくれる。
「「「「おぉぉ~‼」」」」
「あいつら 話に出てた家族じゃねえか?」
「おぉ、戻ってきたぞ」
「ということは ミスリルが売り出されるぞ、こうしちゃいられねえ。
おいっ、親方に今すぐ報告しに行ってこい!」
「はっはい!」
一瞬の浮遊感のあと 地についたと思えば 周辺がザワザワとやかましい。
ウレアのダンジョンは 誰も居なくて、それこそスライムだけがお出迎えしてくれたから静かだったけど、1階で採掘作業をしている人達もいるこのダンジョンだ。キラキラの転移陣は目立ったことだろう。
周辺の作業員が一気に騒がしく 動き始めた。
これは早々に町を出た方が良さそうだね。
うっかり忘れてた帽子を取り出して被り直せば お父さんが抱き上げてくれた。
話しかけようとしてくる人もいるけれど、お兄ちゃんたちの視線にたじろぎ 一定の距離を保ったままついてくる。
『お父さん、あの人たちついてくるよ』
『あぁ、ボス部屋まで行ったのが分かっとるからな。ミスリルは確実にボス部屋でもらえておるし、魔鉄、魔鋼が売り出されれば 直ぐに買い付けたいと思うんじゃろう』
『まさか僕たちが大量に販売するとは思ってないだろうし、数が少なければ 早いもの順になるだろうから 多分 これからギルドの1階は 受付に行列ができる筈だよ』
あぁ、もしかしたら 私たちが来た日に昼なのに人が多かったのはそういうあれだったのかな。
ギルドからの販売代金は一律だと言ってたから、それこそ早いもの順なんだろうね。
あの人たちが直接私たちに声をかけてこないのは それがこの町のルールだからだ。
例えば 私たちが潜る前に 依頼をしていた場合は 勿論優先的に その人へ最初に決められた数は 取引できるけど、依頼料がかかるし、確実にその鉱石を 数分取ってこられるとも限らない。
魔鉱石に関しては 数分採掘できなくても 依頼料は支払わなければいけないのだから、並んで買える可能性があるなら そうするんだろう。
サッサさんは 私たちがボス部屋に到達する可能性は口にしていたけど、依頼は出さなかった。
まさかこんなに採掘するとは思ってなかっただろうけど、数少ない鉱石を自分だけが手にするのではなく、町に循環させたいって言ってたからね。
とりあえず 帰還報告は リーダー同士が揃ってするべきなので 全員でギルドに入る。
これだけついてくる人がいる中で 別行動は怖くてできないから お父さんの抱っこのままである。
「え?」
ギルドの受付にいたのは 行くときに手続きをしてくれたお兄さんだった。
私の姿を見て 一瞬驚いたけど “あぁ” という顔をして、後ろについて来ているドワーフの量を見て“ え?” という顔になる。百面相が中々素晴らしい。
「踏破報告をしたいんじゃが 2階でええか?」
「え? え? 踏破? は? まだ2週間も……」
何だか壊れたマリオネットみたいになっているけど、お父さんは 必要な事だけ言って 2階に上がる。
後ろにいたお姉さんたちが頷いていたから 誰か担当者が来てくれるだろう。
言う間に 待っていたかのようにドワーフたちが受付カウンターに押しかけて 「ミスリルと魔鋼」「魔鉄、魔鋼」「銀鉱石、魔鋼」と競りですか?というような声が聞こえてくる。
2階に上がれば 追いついてきた受付のお姉さんが 会議室に案内してくれた。
「驚きました、まだ たった11日ですのに 踏破されるとは、銀ランク冒険者パーティーと聞いておりましたが、流石サマニア村ご出身の皆様ですね」
お姉さんの褒め言葉に サマニアンズの三人が 何となく視線を逸らしている。
無双しまくってたんだから ドヤ顔したらいいのに謙虚だねぇ。
「お姉さん、下で 鉱石の名前をワーって言ってたのは なあに?」
「うふふ、驚いたでしょう? ボス部屋からの転移があれば 特殊な鉱石が持ち込まれる可能性が高いから ああして 自分たちが求めている鉱石の整理券を手に入れるの。
昔は 早いもの順にしていたのだけど、暴力事件が起きやすくてね……。
今は整理券を手にした人たちが 販売された鉱石を求めて 穏便な方法で 振り分けるようにしているの」
それでも整理券に数の限りがあるらしく、ある程度の早いもの順ではあるようだけど、随分マシになったらしい。
ちなみに穏便な方法とは じゃんけん大会らしいので、確かに穏便な方法である。
まあ今回は 喧嘩せずに済みそうだよね。
「踏破の記録を付けてもらったら 父と妹は先に町を出ることになりましたので、鉱石の支払いは僕が一旦預かります。
受領証だけ作ってもらえますか?」
「そうでしたか、確かに 踏破者の皆様に あれこれ聞きに来る人は多いですから 小さな娘さんを連れたお父様としてはご心配ですよね。
分かりましたわ。では ギルドカードをお預かりいたしますね」
前回の旅では 記録を遠慮してたけど、お父さんたちと一緒の今回は 遠慮する理由もないので一緒に提出する。
戦ったかどうかは 分からない、ただボス部屋に入って 出てきたら “踏破” という記録が付くだけだから。きっとお姉さんは 私が戦っているなんて思ってもないだろう。
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