227 / 584
グーダン大山ダンジョン
第199話 グーダン大山ダンジョン その10
しおりを挟むボス部屋を終えて 1階に戻ることは選ばないので 手前のお部屋からそのまま階段を下りてきた。
「すご~!ひろ~~!もり~~~~‼」
「ルエメイも後半は森じゃなかった?」
階段を下りたら 木が鬱蒼と生えている森のど真ん中って感じだった。
トンガお兄ちゃん、確かにルエメイ遺跡ダンジョンも 後半は森だったけど ここまで モサモサしてなかったよ。木々が生えてるけど 歩きやすかったし、ん~、どっちかと言えば林って感じだったんだと今なら思うよ。
けどここは ここから見えるだけでも木の種類も色々あって、空気もちょっと湿気っぽいというか 山の中の森っぽい。鳥の声、虫の音、自然たっぷりな感じが凄い。
木をなぎ倒しているような音が聞こえるけど、まあダンジョンだし それはそれ。
「ヴィオ、【索敵】はええんか?」
はっ!森に興奮しすぎて忘れてたよ。
まずはいつも通り足元ほんの数センチでマッピング用に魔力を流す。
うんうん、想定通り 広さ自体は 低層階の高原エリアより少し狭いくらいだね。これが深層階になればさらに広がるんだろう。
今時点で分かる魔獣は地に足を着いている奴らだけ。
ここからは木の上に巣を作るイエロースネークも、フォレストスパイダーも、初めましての蜂、イエローワプスも登場してくる。
幸い このダンジョンには 超好戦的で危険生物と言われる ホーネット種は居ないようだけど、ワプスも 攻撃された時にはしっかり反撃してくると書いてあったから 注意しないとね。
だけど 木の上に関しては 歩くときに自分を中心とした 半径5mの範囲だけに索敵をするに留めておく。セフティーゾーンは3か所、この広さで3か所は 多い気がするけど、これだけ鬱蒼とした森の中をまっすぐ歩くことは困難だから こうして沢山休める場所があるのだろう。
横に広がって歩くのは無理なので、ルンガお兄ちゃん、クルトさん、私、お父さん、トンガお兄ちゃんの順で 歩くことになった。
先頭は 順番に交代することにはなってるけど お父さんは 殿の人の補佐がメインなので4番手で歩くことは変えないことになったよ。
其々2~3メートルくらい離れて歩いているので 自分の索敵範囲に魔獣が出たら 討伐する感じ。
今日の目的地は 1か所目のセフティーゾーン、そこに拠点を作って 散策、採集、討伐をするので まずは 目的地までまっすぐ歩いてます。
「【エアショット】」「【エアカッター】」「【エアショット】」
歩きながら 木の上をパシュパシュ狙い撃ちしている ルンガお兄ちゃん。
普段は槍を得意武器として使っていた ルンガお兄ちゃんは、こうした狭い場所では 満足できる動きが出来ず 非常にストレスだったらしい。
だけど ここまで鍛えてきた魔法の命中率は 非常に素晴らしく、本人も気持ちが良いらしく、鼻歌でも歌いそうな感じで歩いています。
流石にフォレストスパイダーのドロップアイテムは 肉が出ることもなく、糸が落ちてきております。
倒しても止まらないので、後ろを歩いている クルトさんが 到着するときぐらいに良い感じに落ちてきたアイテムを拾っています。
なんてチームワーク!
「ただ面倒がっとるだけじゃ」
そうとも言うね。
イエローワプスは こちらを警戒しているけれど 特に魔法攻撃をされないと分かったら 向かってこない。
これが ホーネットだったら いることが分かった時点で 集団で襲って来ただろうから スズメバチがこちらでも恐ろしいのは変わらないのだと実感した。
蛇皮は クルトさんも拾わないので 私が拾う。ミリーナさんの お土産にすれば喜んでもらえるはず。
『ワギャン ギャンギャン』
ガサガサ草をかき分ける音と 下手な鳴き声が聞こえたと思えば コボルトが3匹こちらに向かってくるのが分かる。
だけど その後ろから 大きな魔獣が追いかけているのも 索敵で見えているので、私たちを襲いに来たというよりは 逃げてきたというところだろう。
だけど ココはダンジョン。
私たちの姿を見た瞬間 攻撃態勢に入るんだから 凄いよね。
まあ 横からの攻撃なので、ルンガお兄ちゃんは正面と 上を警戒、クルトさんと 私で コボルトをまずは切り倒す。クルトさんは【エアカッター】で、私は砂の鞭を使っています。
三体のコボルトガキラキラしている最中に 後ろから追いかけてきていた オークと目が合った。
クルトさんが 「俺がやる」と言ってくれたのでお任せです。
「【エアショット】
あれっ、流石に皮が厚すぎるのか? じゃあ【エアカッター】
おぉ、こっちなら問題なしだな」
狙った場所が心臓だったのと、圧縮が弱かったから 貫通しなかっただけで、多分 眼とか 口の中を狙っていたら問題なかったと思うけどね。
エアカッターは ザックリと綺麗に切れたので こっちで問題ないと思います。
「オークに剣を使わないで済むなら 手入れの頻度が少なくて済むね」
油でギトギトになるらしいからね。私はオーク相手には 鞭か魔法でしか戦わないので分からない。短剣は力が足りずに 全く通らなかったからね。
そんな感じで 周辺の 向かってくる魔獣だけをサクサク討伐しながら 20分ほどで 第一セフティーゾーンに到着した。
多分 【索敵】が無い人たちならもっと時間がかかったと思うけど、私たちは 全員が索敵持ちだし 目的地までまっすぐ歩いてきたので かなり早いと思う。
ここまで殆ど魔力も体力も使ってないので 小休憩だけしたら 散策をする予定。
だけど トンガお兄ちゃんは 鉄板用の石テーブルを準備しているよ。
「お兄ちゃん もうご飯食べる?」
「ああっ、これは お昼の準備ね。今日は野営もここでするでしょ? だったら小休憩で魔力も多少回復するし 先に準備出来る物だけしておこうってだけ」
成る程、まさか トンガお兄ちゃんまで食いしん坊キャラになったのかと思ったよ。いや、十分食いしん坊ではあるけどね。
という事で 私たちもテントの準備を整えてみる。
はっ!そういえば もう戻ってくる冒険者は居ないし、多分この1日2日で追いついてくる冒険者もいない。
って事は、野営地で結構何でもできるんじゃない?
って事は、お風呂とかも作っちゃえるんじゃない?
そう思ってしまったら 試すしかないよね。
「お父さん、あのね、ごにょごにょ ごにょごにょ」
「ほぉ、考えたことはなかったけど出来ると思うぞ。土で作ってもええが、ここは森じゃから 木の材料も豊富じゃし 木桶を作るか」
なんと! 石風呂になるかと思ったけど、まさかの檜(ではないが)風呂が出来ちゃう?
喜びのあまり 飛び跳ねて喜んでいたら お兄ちゃんたちも 何だなんだと集まってきた。
「なんかいいものでも見つかったか?」
「いや、ヴィオが 人が来んのじゃったら 風呂桶を作って お風呂に入れんかと聞くからな、木の桶を作ってやろうと思ってな」
「ダンジョンで風呂!?」
「マジか!でも 確かに 人が来る危険性が無ければ出来るか……。
なぁヴィオ、それ完成したら 俺も入っていいか?」
クルトさんはびっくりしてるけど、ルンガお兄ちゃんは 自分も入りたいと乗り気だ。お兄ちゃんたちもお風呂好きだもんね。
折角だから 大き目の湯船になるように お父さんと トンガお兄ちゃんの二人で 早速作ってくれることになったよ。
クルトさんは 休憩用のお茶の準備、お父さんが セフティーゾーンに近い場所にあった 撥水性の高い木材を選んで 伐採魔法を使って太い枝を切り落とす。
私と ルンガお兄ちゃんの3人で 切り落とされた枝の処理をして 板材にして研磨まですれば、トンガお兄ちゃんが 浴槽にするために組み立てていく。
お父さんに 鉄鉱石を希望されたので渡せば、鉱石を金槌と 多分土魔法を使って加工していく。どうやら釘を作っているようだ。
「お父さん 桶じゃないの?」
「ん? 最初はそれでもええと思ったけどな、皆が入るんじゃったら ちょっと大きい箱型の浴槽でもええと思ってな。ヴィオが入るには深いかもしれんから 中に入れる椅子も作ろうな」
マジか。
ちょっとお風呂に入りたい、って思って相談した一言が こんな大ごとになるなんて。
でも 凄くワクワクしています。
浴槽だからこんなに長い木もあるんだね。どんだけ大きな風呂だよと思うけど、お父さんたちは2メートルくらいの身長があるから これくらいないと足は伸ばせないのかもね。
という事で、思った以上に本気の風呂を作ってくれることになったので、木工担当の二人にそれはお任せし、私たち三人は 採集をしに行くことにしたよ。
もし魔獣が来ても対応できるように あまり離れはしないけど 二人も 私の防衛力を分かってくれているから ある程度自由にしていいと言ってもらえた。
10階以降の採集物は 果物と 油が採れると書いてあるくらいで 木の特徴も 油がどんな風に採れるかも書いてなかったんだよね。
見れば分かると お兄ちゃんたちが言うから 見つかれば確認してもらうつもりだ。
沢山見つかると良いな。
575
あなたにおすすめの小説
私を裏切った夫が、後悔しているようですが知りません
藤原遊
恋愛
政略結婚として、公爵家に嫁いだ私は
愛のない夫婦関係を「仕事」だと思い、正妻の役目を果たしてきた。
夫が愛人を持つことも、
その子を屋敷に迎え入れることも、黙って受け入れてきた。
けれど――
跡取りを、正妻の子ではなく愛人の子にする。
その言葉を、人前で軽く口にした瞬間。
私は悟ったのだ。
この家では、息子を守れないと。
元々、実家との間には
「嫡子以外の子は実家の跡取りにする」という取り決めがあった。
ならば話は簡単だ。
役目を終えた私は、離縁を選ぶ。
息子と共に、この家を去るだけ。
後悔しているようですが――
もう、私の知るところではありません。
【書籍化決定】アシュリーの願いごと
ましろ
恋愛
「まあ、本当に?」
もしかして。そう思うことはありました。
でも、まさか本当だっただなんて。
「…それならもう我慢する必要は無いわね?」
嫁いでから6年。まるで修道女が神に使えるが如くこの家に尽くしてきました。
すべては家の為であり、夫の為であり、義母の為でありました。
愛する息子すら後継者として育てるからと産まれてすぐにとりあげられてしまいました。
「でも、もう変わらなくてはね」
この事を知ったからにはもう何も我慢するつもりはありません。
だって。私には願いがあるのだから。
✻基本ゆるふわ設定です。
気を付けていますが、誤字脱字などがある為、あとからこっそり修正することがあります。
✻1/19、タグを2つ追加しました
✻1/27、短編から長編に変更しました
✻2/2、タグを変更しました
私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。
小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。
「マリアが熱を出したらしい」
駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。
「また裏切られた……」
いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。
「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」
離婚する気持ちが固まっていく。
婚約者チェンジ? 義理の妹は公爵令嬢の地位もチェンジされました』 ~三日で破談、家ごと褫奪の末路です~
ふわふわ
恋愛
「お姉様の婚約者、私がいただきますわ。だって“公爵令嬢”ですもの」
義理の妹コンキュはそう言って、王太子との婚約を奪いました。
父はそれを容認し、私は静かに受け入れます。
けれど――
公爵令嬢とは“地位”ではなく、“責任”の継承者。
王宮で礼儀も実務も拒み、「未来の王太子妃」を名乗った義妹は、わずか三日で婚約破棄。
さらに王家への不敬と統治能力の欠如が問題視され、父の監督責任が問われます。
そして下されたのは――家ごとの褫奪。
一方で私は、領地を守り、帳簿を整え、静かに家を支え続ける。
欲しがったのは肩書。
継いだのは責任。
正統は叫びません。
ただ、残るだけ。
これは、婚約を奪われた公爵令嬢が
“本当に継がれるべきもの”を証明する物語。
【完結】聖女になり損なった刺繍令嬢は逃亡先で幸福を知る。
みやこ嬢
恋愛
「ルーナ嬢、神聖なる聖女選定の場で不正を働くとは何事だ!」
魔法国アルケイミアでは魔力の多い貴族令嬢の中から聖女を選出し、王子の妃とするという古くからの習わしがある。
ところが、最終試験まで残ったクレモント侯爵家令嬢ルーナは不正を疑われて聖女候補から外されてしまう。聖女になり損なった失意のルーナは義兄から襲われたり高齢宰相の後妻に差し出されそうになるが、身を守るために侍女ティカと共に逃げ出した。
あてのない旅に出たルーナは、身を寄せた隣国シュベルトの街で一人の騎士と運命的な出会いをする。
【2024年3月16日完結、全58話】
侯爵家の婚約者
やまだごんた
恋愛
侯爵家の嫡男カインは、自分を見向きもしない母に、なんとか認められようと努力を続ける。
7歳の誕生日を王宮で祝ってもらっていたが、自分以外の子供を可愛がる母の姿をみて、魔力を暴走させる。
その場の全員が死を覚悟したその時、1人の少女ジルダがカインの魔力を吸収して救ってくれた。
カインが魔力を暴走させないよう、王はカインとジルダを婚約させ、定期的な魔力吸収を命じる。
家族から冷たくされていたジルダに、カインは母から愛されない自分の寂しさを重ね、よき婚約者になろうと努力する。
だが、母が死に際に枕元にジルダを呼んだのを知り、ジルダもまた自分を裏切ったのだと絶望する。
17歳になった2人は、翌年の結婚を控えていたが、関係は歪なままだった。
そんな中、カインは仕事中に魔獣に攻撃され、死にかけていたところを救ってくれたイレリアという美しい少女と出会い、心を通わせていく。
全86話+番外編の予定
取り巻き令嬢Aは覚醒いたしましたので
モンドール
恋愛
揶揄うような微笑みで少女を見つめる貴公子。それに向き合うのは、可憐さの中に少々気の強さを秘めた美少女。
貴公子の周りに集う取り巻きの令嬢たち。
──まるでロマンス小説のワンシーンのようだわ。
……え、もしかして、わたくしはかませ犬にもなれない取り巻き!?
公爵令嬢アリシアは、初恋の人の取り巻きA卒業を決意した。
(『小説家になろう』にも同一名義で投稿しています。)
恋は、母をやめてから始まる――正体を隠したまま、仮の婚約者になりました
あい
恋愛
両親を失ったあの日、
赤子の弟を抱いて家を出た少女がいた。
それが、アリア。
世間からは「若い母」と呼ばれながらも、
彼女は否定しなかった。
十六年間、弟を守るためだけに生きてきたから。
恋も未来も、すべて後回し。
けれど弟は成長し、ついに巣立つ。
「今度は、自分の人生を生きて」
その一言が、
止まっていた時間を動かした。
役目を終えた夜。
アリアは初めて、自分のために扉を開く。
向かった先は、婚姻仲介所。
愛を求めたわけではない。
ただ、このまま立ち止まりたくなかった。
――けれどその名前は、
結婚を急かされていた若き当主のもとへと届く。
これは、
十六年“母”だった女性が、
もう一度“ひとりの女”として歩き出す物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる