ヒロインは始まる前に退場していました

サクラ マチコ

文字の大きさ
240 / 584
父娘と合同パーティー

第210話 快適な船旅

しおりを挟む


「へぇ~、んじゃ ヴィオとアルクさんは 王都近辺のダンジョンにも行くのか」

「うん、予定では今月末までグーダンのダンジョンにいる筈だったんだけど、思ったより早く踏破できたから 時間が出来たの」

「けど、銀ランクの兄ちゃんたちが居ねーなら 父ちゃん一人だし、然程大きいところは入れねーだろ?
王都近辺は辺境みたいな 初級ダンジョンはないからなぁ。
まあ 馬車に乗らずに歩いて王都に行くなら 丁度いいんじゃねえか?」

出向した直後は 見回りを再開したものの、この船自体に魔獣除けの魔道具が付けられていることもあり 道中平和である。
暇になった〔水竜門〕の面々とお喋りをしている。
仕事は良いのか、仕事は。警戒はしているんだろうけどさ。

まあ 彼らの仕事は護衛な訳で、道中何もなければ 何をすることもないって訳で。船旅は 馬車旅のように色んなルートを行くこともできず、だからこそ 警戒しやすくもあるらしい。
川の船旅で注意するのは空からの魔鳥による奇襲、陸からの 盗賊による襲撃、この2点らしい。

「海賊みたいに 船で襲ってくるのは居ないの?」

「海ですらいねーな。大体 海岸線を離れすぎたら 魔魚の餌食だし、海の移動は川以上にヤベエんだ」

えぇっ!?
じゃあ 『海賊王に俺はなる!』なんて夢は叶えられない世界なの?
どうやら海は魔境らしい。
この大陸から離れた場所に存在する 神国も、岬の部分が大陸に近く、晴れている日にはメネクセス王国からも島が見えるくらいの距離らしい。
だからこそ その島と大陸の間は 魔獣除けの魔道具がついた船で行き来することができるらしい。
それ以外の島は 伝説となっているだけで 誰も確認に行けていないんだって。

これは 将来の夢が増えたんじゃない?
大陸のダンジョン踏破をしたら 他の島も見てみたい。空を自由に飛ぶ魔法とか使えるようにならないかな。


「川は その危険性が少ない分 昔はそれなりに水賊と呼ばれるやつらが居たけどな、河川工事が進んで 行き来する船を大型化したことで 水賊は消えたな」

おお、昔は船も小さかったんですね。
どうやら屋形船サイズの時代はあったらしい。
その当時は風魔法などでスピードをあげて襲ってくる水賊がいて、荷物を奪われ 転覆させられるような事件が多くあったらしい。
だけどケストネル公爵が 自領地を流れる河川工事を推奨してダム建設をした事で、こっちの王都側の川も工事が行われたらしい。

ダムの建設って……、そのケストネル公爵様って転生チート持ちだったりしません?完全に内政チートじゃないですか。
そりゃ、私みたいなのがいるんだから 他に転生者が居ても驚かないけど、完全にヒロイン役だよね。ヒロイン=王妃になるかとおもったけど、そうじゃないのもあるんだね。
いやいや、悪役令嬢のざまあ物の場合は 『王妃なんてやってらんねー』タイプもあったから そっちだったのかもしれないね。
まさかの 既に物語終わってました。だったのかもしれないけど、モブとして 是非 立ち合いたかったねぇ。

やっぱりお約束のあれもあったのかな『其方との婚約は破棄させてもらう!私は真実の愛に目覚めたのだ!』ってやつ。
あれって たかだか王子如きが 王命を簡単に覆すという不敬
そもそも婚約者がいるのに “真実の愛” という呼び名の浮気を発表
婚約破棄するとか言ってんのに 自分のモノ扱いで呼び捨てにする失礼さ
大抵の場合 自分の側近達とは竿兄弟…ゲフンゲフン。
病気になってないと良いですね。

ツッコミどころ満載な婚約破棄イベントがあったのであれば 是非見たかった。
まあ、実際 公爵令嬢がそんな事になれば 公爵家が黙ってないだろうし 王子を監視する人がいないとも思えないので 物語だけの話かもしれないけどね。


ベンガルさんの話によると ここの河川工事が完了したのは5年前で、ケストネル領で既に運航していた 巨大遊覧船が 河川工事終了と同時に 使用されるようになったんだって。
河川工事自体 5年くらいで終わったというから 魔法の力って凄いなぁとしか言えないよね。
元々他国に比べてドワーフが多いリズモーニ王国だったからこそ、工事も早急に出来たのだろうという事だった。

「だから川からの襲撃は無理になったから 船の護衛も人数が少なくて良くなったんだよな。今は所々にある 襲撃危険地帯だけ 気を付ければいいんだけど、そこも各領主が 整備をするようになったから 随分減ったんだ」

川幅が狭いというよりは 崖のようなものに挟まれた場所などは 盗賊が襲ってくるようなポイントだったらしいけど、ポイントが絞られる=警戒できる=その場所を整備するとなる訳で。
領主とて 自領地を通過する船がいつもそこで襲われるのに 何もしてくれないなどと悪評が立つのは避けたいから 必死で整備したのだろう。
この5年で 川沿いの鬱蒼とした森や 高台のような場所は随分減ったらしい。

お陰で 危険なイベントは全く起きません。
出航時は早朝で まだヒンヤリしていたデッキも 2時間も経った今は ぽかぽか陽気で温かい。そうなると眠気が襲ってくるわけで……。
お父さんのお膝によじ登り 抱っこスタイルになったらもうダメだった。
背中ポンポンで寝落ちしてしまったのも仕方がないと思います。
しおりを挟む
感想 109

あなたにおすすめの小説

私を裏切った夫が、後悔しているようですが知りません

藤原遊
恋愛
政略結婚として、公爵家に嫁いだ私は 愛のない夫婦関係を「仕事」だと思い、正妻の役目を果たしてきた。 夫が愛人を持つことも、 その子を屋敷に迎え入れることも、黙って受け入れてきた。 けれど―― 跡取りを、正妻の子ではなく愛人の子にする。 その言葉を、人前で軽く口にした瞬間。 私は悟ったのだ。 この家では、息子を守れないと。 元々、実家との間には 「嫡子以外の子は実家の跡取りにする」という取り決めがあった。 ならば話は簡単だ。 役目を終えた私は、離縁を選ぶ。 息子と共に、この家を去るだけ。 後悔しているようですが―― もう、私の知るところではありません。

【書籍化決定】アシュリーの願いごと

ましろ
恋愛
「まあ、本当に?」 もしかして。そう思うことはありました。 でも、まさか本当だっただなんて。 「…それならもう我慢する必要は無いわね?」 嫁いでから6年。まるで修道女が神に使えるが如くこの家に尽くしてきました。 すべては家の為であり、夫の為であり、義母の為でありました。 愛する息子すら後継者として育てるからと産まれてすぐにとりあげられてしまいました。 「でも、もう変わらなくてはね」 この事を知ったからにはもう何も我慢するつもりはありません。 だって。私には願いがあるのだから。 ✻基本ゆるふわ設定です。 気を付けていますが、誤字脱字などがある為、あとからこっそり修正することがあります。 ✻1/19、タグを2つ追加しました ✻1/27、短編から長編に変更しました ✻2/2、タグを変更しました

私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。

小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。 「マリアが熱を出したらしい」 駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。 「また裏切られた……」 いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。 「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」 離婚する気持ちが固まっていく。

婚約者チェンジ? 義理の妹は公爵令嬢の地位もチェンジされました』 ~三日で破談、家ごと褫奪の末路です~

ふわふわ
恋愛
「お姉様の婚約者、私がいただきますわ。だって“公爵令嬢”ですもの」 義理の妹コンキュはそう言って、王太子との婚約を奪いました。 父はそれを容認し、私は静かに受け入れます。 けれど―― 公爵令嬢とは“地位”ではなく、“責任”の継承者。 王宮で礼儀も実務も拒み、「未来の王太子妃」を名乗った義妹は、わずか三日で婚約破棄。 さらに王家への不敬と統治能力の欠如が問題視され、父の監督責任が問われます。 そして下されたのは――家ごとの褫奪。 一方で私は、領地を守り、帳簿を整え、静かに家を支え続ける。 欲しがったのは肩書。 継いだのは責任。 正統は叫びません。 ただ、残るだけ。 これは、婚約を奪われた公爵令嬢が “本当に継がれるべきもの”を証明する物語。

【完結】聖女になり損なった刺繍令嬢は逃亡先で幸福を知る。

みやこ嬢
恋愛
「ルーナ嬢、神聖なる聖女選定の場で不正を働くとは何事だ!」 魔法国アルケイミアでは魔力の多い貴族令嬢の中から聖女を選出し、王子の妃とするという古くからの習わしがある。 ところが、最終試験まで残ったクレモント侯爵家令嬢ルーナは不正を疑われて聖女候補から外されてしまう。聖女になり損なった失意のルーナは義兄から襲われたり高齢宰相の後妻に差し出されそうになるが、身を守るために侍女ティカと共に逃げ出した。 あてのない旅に出たルーナは、身を寄せた隣国シュベルトの街で一人の騎士と運命的な出会いをする。 【2024年3月16日完結、全58話】

侯爵家の婚約者

やまだごんた
恋愛
侯爵家の嫡男カインは、自分を見向きもしない母に、なんとか認められようと努力を続ける。 7歳の誕生日を王宮で祝ってもらっていたが、自分以外の子供を可愛がる母の姿をみて、魔力を暴走させる。 その場の全員が死を覚悟したその時、1人の少女ジルダがカインの魔力を吸収して救ってくれた。 カインが魔力を暴走させないよう、王はカインとジルダを婚約させ、定期的な魔力吸収を命じる。 家族から冷たくされていたジルダに、カインは母から愛されない自分の寂しさを重ね、よき婚約者になろうと努力する。 だが、母が死に際に枕元にジルダを呼んだのを知り、ジルダもまた自分を裏切ったのだと絶望する。 17歳になった2人は、翌年の結婚を控えていたが、関係は歪なままだった。 そんな中、カインは仕事中に魔獣に攻撃され、死にかけていたところを救ってくれたイレリアという美しい少女と出会い、心を通わせていく。 全86話+番外編の予定

取り巻き令嬢Aは覚醒いたしましたので

モンドール
恋愛
揶揄うような微笑みで少女を見つめる貴公子。それに向き合うのは、可憐さの中に少々気の強さを秘めた美少女。 貴公子の周りに集う取り巻きの令嬢たち。 ──まるでロマンス小説のワンシーンのようだわ。 ……え、もしかして、わたくしはかませ犬にもなれない取り巻き!? 公爵令嬢アリシアは、初恋の人の取り巻きA卒業を決意した。 (『小説家になろう』にも同一名義で投稿しています。)

恋は、母をやめてから始まる――正体を隠したまま、仮の婚約者になりました

あい
恋愛
両親を失ったあの日、 赤子の弟を抱いて家を出た少女がいた。 それが、アリア。 世間からは「若い母」と呼ばれながらも、 彼女は否定しなかった。 十六年間、弟を守るためだけに生きてきたから。 恋も未来も、すべて後回し。 けれど弟は成長し、ついに巣立つ。 「今度は、自分の人生を生きて」 その一言が、 止まっていた時間を動かした。 役目を終えた夜。 アリアは初めて、自分のために扉を開く。 向かった先は、婚姻仲介所。 愛を求めたわけではない。 ただ、このまま立ち止まりたくなかった。 ――けれどその名前は、 結婚を急かされていた若き当主のもとへと届く。 これは、 十六年“母”だった女性が、 もう一度“ひとりの女”として歩き出す物語。

処理中です...