249 / 584
父娘と合同パーティー
第219話 フルシェ遺跡ダンジョン その1
しおりを挟むさて、楽しくお喋りしながらだったから 体感1時間もしないうちに ダンジョンが見えてきた。
ルエメイと同じように遺跡から発生したダンジョンだけど、ルエメイのような神殿っぽさはない。
白っぽい石で作られた大きな門は、凱旋門みたいに見えなくもない。凱旋門と違い 入口が2つあるけどね。
中央の大きな門は 向こう側が見えるようになっており、右の柱にある小さな通用門らしい扉の右側が ダンジョン入口のようだ。
左側の柱の前に 小さな管理小屋のようなものが設置されており、このダンジョンの受付だとギルドで説明を受けている。
大人3人の中ではテーアさんがリーダー的な感じなのかな?
私たち子供組の中では ガルスさんがリーダーをすることとなったよ。まあ順当だよね。
受付は 私のようなチビが居ても、金ランクが二人もいるし、どう見てもその子供であるケーテさん達もいるからか 工程表の提出だけで許可が出た。
「さて、今は学生が多い時期ではないから 大丈夫だと思うけど、腕試しに来る学生はいつだっているし、それ以外の冒険者もいるから気を付けること」
「「「はいっ!」」」
ダンジョンの中では別行動ということだけど、入る時は一緒である。タディさんが先頭で、ガルスさん、ケーテさん、私、テーアさん、お父さんの順でダンジョンに入った。
「おぉ!遺跡ダンジョンは2か所目だけど これまた雰囲気が全然違うねぇ」
前回は外も神殿っぽかったけど、中も神殿風だった。神様じゃないかもしれないけど 彫像が沢山飾られてたし、壁画もあって 見ごたえがあった。
ここは外観が 大きな門だったから どんな風な感じかと思ったけど、壁画が中心の空間だった。
馬や獅子、虎、ドラゴンなど様々な生き物たちだけの絵と、それらの生き物に人らしき者が乗っている姿などが描かれている。
それ以外にも 古代の人々の生活なのか 水瓶を頭に乗せた人、荷物を運ぶ大型の獣、田畑を耕す人と獣など 沢山の壁画が あちこちにあって非常に楽しい。
「ヴィオ、もしかして疲れたのかしら?」
入った時点で【索敵】は展開しているので この階にスライム以外の魔獣が居ないのは確認済みだ。中級ダンジョンだから 他の魔獣がいることも想定してたけど、資料にもスライムしか出ないと書いてあったからね。
だからこそ 壁画を楽しんでいたんだけど、どうやら楽しんでいたのは私だけだったらしい。
「あ~ ヴィオ、普通の冒険者は ダンジョンを楽しむことはないんじゃ。伝え忘れておったなぁ」
「あっ!皆さんごめんなさい!
ケーテさん 疲れてないよ。壁画に夢中になってただけなの、ごめんなさい!」
「ダンジョンの1階なんて 基本的に素通りしかしないけど 言われてみれば 随分細かい装飾なのね。気にしたことが無かったわ」
お父さんと二人旅じゃなかったのに いつもの感じで楽しんでしまっていた。
心配してくれたケーテさんたちに謝罪すれば テーアさんも壁画が気になったようで 壁に近寄りゆっくり眺めはじめた。
それにつられるように タディさん達も 興味深そうに壁画を眺め これは何をしている場面だ、この獣は何とかだ、なんて言い始めた。さながら美術館に来た家族連れである。
「意味は解らんが 中々面白い絵だな。ヴィオが前に見たのはどんなものだったんだ?」
「ルエメイ遺跡は 古い神殿みたいな建物だったよ。壁画より 大きな像が沢山あって、神様なのか 偉い人なのかは分からなかったけど凄かったの」
「ルエメイか……。外側からダンジョン巡りをしてたから 行ってないな。
ヴィオから見て ルエメイはどうだった? 」
タディさんも遺跡の壁画を楽しめたようですね。多分ダンジョン様が 皆を楽しませるために準備しているので 楽しむ人が増えれば 喜ぶんじゃないでしょうかね。
そして 私から見たルエメイとな?
「ん~、面白かったよ。10階しかないけど 洞窟と森があるダンジョンだったから 飽きないし、後半は 豊作ダンジョン程 食材が豊富ではないけど、果物はいっぱいあったし、スパイスも沢山あったから いっぱい採集したの。
5階の湖は イマイチだったかな。
釣りをしたんだけど 食べれるようなのは居なかったし、ドロップアイテムも使えるようなものが無かったんだ、ね、お父さん」
「は? 釣り?」
「食材……、あぁ豊作ダンジョンは 素材が沢山で 食料不足に悩むことはなかったからそういう事なのかしら。ヴィオったら 食いしん坊なのね」
ガルスさん、テーアさんが 不思議そうな顔をしていますが 二人は豊作ダンジョンに行ったことがありそうだね。
あそこ程肉を落とす魔獣が居なかったのは残念ですが、その分人気が無くって人はいないからやりたい放題でしたよ。
「ふふっ、ヴィオのダンジョン散策 しばらく付き合ってみたいものね。
ねえ、魔獣やボスはどうだった?」
テーアさんが楽しそうに笑ってるけど、そんなに変わった事はしてないと思うよ。お父さんたちにも止められないし。
「魔獣は 確かラット、コボルト、ゴブリン、ウルフが洞窟で、森になって スネーク、ラビット、オークが出てきたくらいかな。
ボスはオークとゴブリンたちだったけど あんまり覚えてないかな。
あっ!宝箱は謎肉だったよ」
「「謎肉……」」
確か 森からのボス部屋っていうのに期待してたのに いつもの手抜きボス部屋だったから フレイムバレットで 開幕直後にやっちゃった気がする。
サブマスへのお土産にするつもりだったのに、宝箱の中身が謎肉で 困った記憶しか残ってない。
「くっくっくっく、ヴィオの冒険譚は アルクからゆっくり聞かせてもらうことにしよう。
しかし10階って事は初級か。中級だったらランクアップの練習に良いと思ったが 初級じゃ駄目だな」
そういえば ランクアップ試験はソロでのダンジョン踏破も必須なんだよね。
銀ランクになるには 初級ダンジョンのソロ踏破と 中級の踏破記録。
私は中級の方はクリアしているから、後は 初級ダンジョンのソロ踏破とポイントが必要なだけだ。
「そっか、じゃあ ケーテさんは初級ダンジョンのソロ踏破もしたんだね。凄いね!」
「ありがとう、でも ボス戦の1回目を皆でやって、2回目に一人で戦っただけなのよ。ダンジョンを一人っきりで入った訳じゃないわ」
ケーテさんの言葉に驚いた。
どうやら ソロ踏破の有無は ラスボスを複数で倒すか 単独で倒すかで決まるらしく、そこまでの道中に人が居ようが関係ないらしい。
私のように 倒すのは一人でやったというのは関係ない。ボス部屋に一人で入ったかどうかが記録されるようだ。
私はお父さんと一緒にお部屋に入ってるから 単独扱いにはならなかったという訳だね。
チラリとお父さんを見れば 一つ頷かれたので 記録に残さないようにしてくれていたことがわかった。
ありがたいことです。
1階の壁画観賞を楽しんだところで いよいよ2階へ移動だ!
518
あなたにおすすめの小説
私を裏切った夫が、後悔しているようですが知りません
藤原遊
恋愛
政略結婚として、公爵家に嫁いだ私は
愛のない夫婦関係を「仕事」だと思い、正妻の役目を果たしてきた。
夫が愛人を持つことも、
その子を屋敷に迎え入れることも、黙って受け入れてきた。
けれど――
跡取りを、正妻の子ではなく愛人の子にする。
その言葉を、人前で軽く口にした瞬間。
私は悟ったのだ。
この家では、息子を守れないと。
元々、実家との間には
「嫡子以外の子は実家の跡取りにする」という取り決めがあった。
ならば話は簡単だ。
役目を終えた私は、離縁を選ぶ。
息子と共に、この家を去るだけ。
後悔しているようですが――
もう、私の知るところではありません。
【書籍化決定】アシュリーの願いごと
ましろ
恋愛
「まあ、本当に?」
もしかして。そう思うことはありました。
でも、まさか本当だっただなんて。
「…それならもう我慢する必要は無いわね?」
嫁いでから6年。まるで修道女が神に使えるが如くこの家に尽くしてきました。
すべては家の為であり、夫の為であり、義母の為でありました。
愛する息子すら後継者として育てるからと産まれてすぐにとりあげられてしまいました。
「でも、もう変わらなくてはね」
この事を知ったからにはもう何も我慢するつもりはありません。
だって。私には願いがあるのだから。
✻基本ゆるふわ設定です。
気を付けていますが、誤字脱字などがある為、あとからこっそり修正することがあります。
✻1/19、タグを2つ追加しました
✻1/27、短編から長編に変更しました
✻2/2、タグを変更しました
私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。
小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。
「マリアが熱を出したらしい」
駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。
「また裏切られた……」
いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。
「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」
離婚する気持ちが固まっていく。
婚約者チェンジ? 義理の妹は公爵令嬢の地位もチェンジされました』 ~三日で破談、家ごと褫奪の末路です~
ふわふわ
恋愛
「お姉様の婚約者、私がいただきますわ。だって“公爵令嬢”ですもの」
義理の妹コンキュはそう言って、王太子との婚約を奪いました。
父はそれを容認し、私は静かに受け入れます。
けれど――
公爵令嬢とは“地位”ではなく、“責任”の継承者。
王宮で礼儀も実務も拒み、「未来の王太子妃」を名乗った義妹は、わずか三日で婚約破棄。
さらに王家への不敬と統治能力の欠如が問題視され、父の監督責任が問われます。
そして下されたのは――家ごとの褫奪。
一方で私は、領地を守り、帳簿を整え、静かに家を支え続ける。
欲しがったのは肩書。
継いだのは責任。
正統は叫びません。
ただ、残るだけ。
これは、婚約を奪われた公爵令嬢が
“本当に継がれるべきもの”を証明する物語。
【完結】聖女になり損なった刺繍令嬢は逃亡先で幸福を知る。
みやこ嬢
恋愛
「ルーナ嬢、神聖なる聖女選定の場で不正を働くとは何事だ!」
魔法国アルケイミアでは魔力の多い貴族令嬢の中から聖女を選出し、王子の妃とするという古くからの習わしがある。
ところが、最終試験まで残ったクレモント侯爵家令嬢ルーナは不正を疑われて聖女候補から外されてしまう。聖女になり損なった失意のルーナは義兄から襲われたり高齢宰相の後妻に差し出されそうになるが、身を守るために侍女ティカと共に逃げ出した。
あてのない旅に出たルーナは、身を寄せた隣国シュベルトの街で一人の騎士と運命的な出会いをする。
【2024年3月16日完結、全58話】
侯爵家の婚約者
やまだごんた
恋愛
侯爵家の嫡男カインは、自分を見向きもしない母に、なんとか認められようと努力を続ける。
7歳の誕生日を王宮で祝ってもらっていたが、自分以外の子供を可愛がる母の姿をみて、魔力を暴走させる。
その場の全員が死を覚悟したその時、1人の少女ジルダがカインの魔力を吸収して救ってくれた。
カインが魔力を暴走させないよう、王はカインとジルダを婚約させ、定期的な魔力吸収を命じる。
家族から冷たくされていたジルダに、カインは母から愛されない自分の寂しさを重ね、よき婚約者になろうと努力する。
だが、母が死に際に枕元にジルダを呼んだのを知り、ジルダもまた自分を裏切ったのだと絶望する。
17歳になった2人は、翌年の結婚を控えていたが、関係は歪なままだった。
そんな中、カインは仕事中に魔獣に攻撃され、死にかけていたところを救ってくれたイレリアという美しい少女と出会い、心を通わせていく。
全86話+番外編の予定
取り巻き令嬢Aは覚醒いたしましたので
モンドール
恋愛
揶揄うような微笑みで少女を見つめる貴公子。それに向き合うのは、可憐さの中に少々気の強さを秘めた美少女。
貴公子の周りに集う取り巻きの令嬢たち。
──まるでロマンス小説のワンシーンのようだわ。
……え、もしかして、わたくしはかませ犬にもなれない取り巻き!?
公爵令嬢アリシアは、初恋の人の取り巻きA卒業を決意した。
(『小説家になろう』にも同一名義で投稿しています。)
恋は、母をやめてから始まる――正体を隠したまま、仮の婚約者になりました
あい
恋愛
両親を失ったあの日、
赤子の弟を抱いて家を出た少女がいた。
それが、アリア。
世間からは「若い母」と呼ばれながらも、
彼女は否定しなかった。
十六年間、弟を守るためだけに生きてきたから。
恋も未来も、すべて後回し。
けれど弟は成長し、ついに巣立つ。
「今度は、自分の人生を生きて」
その一言が、
止まっていた時間を動かした。
役目を終えた夜。
アリアは初めて、自分のために扉を開く。
向かった先は、婚姻仲介所。
愛を求めたわけではない。
ただ、このまま立ち止まりたくなかった。
――けれどその名前は、
結婚を急かされていた若き当主のもとへと届く。
これは、
十六年“母”だった女性が、
もう一度“ひとりの女”として歩き出す物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる