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閑話
〈閑話〉メネクセス王国 18
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銀ランク上級〔土竜の盾〕リーダー テリュー視点
数年前 ヘイジョーの冒険者ギルドに 国の偉い貴族が来た。
そいつは国の一大事だってんで フィルを呼びに来た奴だった。
俺たちからすれば フィルはアイリスとコンビを組んでる 冒険者で、フィルは斥候と近接攻撃が得意な器用な男で、アイリスは 冒険者の聖女って呼ばれるくらい 聖属性魔法が巧みな、それでいて他の魔法もアホみたいな威力でぶちかます女だった。
出会いはダンジョンで、あいつらはいつも二人で行動してた。
俺たちには回復役と斥候が居なかったけど、特に困ったことはなかったから4人で動いてたんだ。
けどランクが上がるにつれ 入るダンジョンの 罠の多さ、階層の広さで 中々攻略が進まなくなっていた。
そんな時、臨時パーティーを組んでいるという二人に出会い、フィルの斥候と罠解除、アイリスの回復があることで ダンジョン攻略のスピードが段違いに上がったんだ。
あいつらと何度か行動して どんな役割が俺たちに出来て、俺たちにはできそうにないことは何なのかを考えるようになった。その上で 不足分を埋めることができる奴らを探すようになった。
オトマンとネリアはそんな時に出会った二人だ。あれからずっと6人で〔土竜の盾〕をやっている。
いつの間にか銀ランクの上級になり、いっぱしの冒険者になった事で 俺たちも結婚を考えるようになった。共和国は 小さな国が集まってできただけあって、住む町によって 色々ルールが変わる。便利なようで不便が多い国だった。
リズモーニは稼ぐには良い国だ。ダンジョンは多いし、子供を冒険者にするならリズモーニの 特に北部辺境で育てれば 一流の冒険者になれるだろうと思ってる。
だけど、妊娠出産子育ての大変な時期に住むには 危険が多い国でもあった。
それで選んだのは メネクセス王国だった。
大国だけど、大きすぎるからこそ 中央以外は結構のんびりしている町が多かったのが良かったんだよな。
基本的に領主に方針は委ねているらしく、領地によって それなりに違いはあるものの、あまりに酷い税負担はなかった。
俺たちはメネクセスの辺境(リズモーニに近すぎる場所だと 魔の山の影響があるから)小国ニーセルブを挟んだ辺境の町、ヘイジョーを拠点に選んだんだ。
まさかヘイジョーに来て アイリスと フィルに再会するとは思わなかったし、まさかアイリスが妊娠してるなんて思ってなかったけどな。
ヘイジョーに来た翌年、フィルに子供が産まれた。
アイリスの髪色、フィルの瞳の色を受け継いだ 人形にしか見えない可愛い娘だった。
あいつら二人とも 結構複雑な家庭環境で育ってきてるから やっと幸せになれるなって 俺たちも祝ってたのに、あの国の偉い奴が 全部ぶち壊してしまいやがった。
「アイリス、フィルはどうするって?」
「あぁ、テリューにアン、それになに 皆で来たの?
心配してくれてありがとうね。フィルには 行って来いって言った。
だって 国の一大事なんでしょ? 私もギルマスと一緒の考えだよって言って背中を押したんだ」
「アイリス……」
「なんでネリアが泣きそうになってんの~、大丈夫、フィルってば まさかまさかの王子様だったんだってさ。王子が冒険者って どんな物語の主人公だよって感じだよね。
でもさ、ヴィオには私がいるし、この町には皆が居てくれるでしょ?
国には フィルしかいないんだもん。だったら 行ってもらうしかないじゃない?ね」
明るく いつも通りの雰囲気を崩さないアイリスだったけど、お前 じゃあ何でそんなに泣いてんだよ。行かないでって言えば良かったじゃねえか。
国にも大事かもしれねーけど、ヴィオにだって アイリスにだって 唯一の旦那で父親だったんじゃねーか。
何なら この国を出て リズモーニに行っても良かったじゃねーか。
そう言いたかったけど、そんな事も考えたうえで二人が決断したんだろうことを 俺が後から口出しすることは出来なかった。
その代わりに アンと シエナと ネリアの三人が ギュウギュウとアイリスを抱締めて アイリスよりも泣いてた。
フィルがヘイジョーの町を出て1年弱、アイリスは 自宅の裏庭に薬草畑を作り、薬を作って販売してた。
まだちびのくせに ヨチヨチしながら アイリスの手伝いをして雑草抜きをしてるヴィオは 周囲の大人たちにとって癒しだった。
俺たちも依頼が無い時には二人の顔を見に行って、アイリスとヴィオが寂しくないように様子を見てたんだ。
そんなある時、男三人だけで近場の依頼を終えて町に戻れば、見覚えのある偉そうな感じの男が来ていたと 町のおばさん達から教えられた。
もしかしたらフィルが帰ってくるのか?
思ったより早かったけど、早い分には喜ばしい。
「どうする、直ぐに聞きに行くか?」
「いや、どうせならアン達だって一緒に聞きたいっていうだろ、俺たちだけで行ったら拗ねるぞ」
「だな、この時間からじゃ 流石にヴィオは寝る時間だろうし、明日の朝聞きに行こうぜ」
そう思ったのが間違いだったと、あの時に 直ぐにでもアイリスの所に行けば良かったと、何度思ったか分からない。
翌朝 全員でアイリスの家に行ったんだ。
コンコン コンコンコン
「あれ? まだ寝てる?」
コンコンコン
「お~い、アイリス、ヴィオ~」
いつもなら直ぐに出てくるはずのアイリスが出てこないので 呼びかけてみるが返答がない。
ガチャリ
何気なくノブを回せば 簡単に扉が開いた。
「おい、不用心だな。アイリ……は?」
「なに、どうしたのよ、早く入ってって……え?」
後ろからアンに押されて室内に入れば、そこにいる筈の二人の姿が無い。どころか 大きな家具類はあるけど 二人が使ってたコップ、お皿、鍋、クッション、それらの生活していた物がない。
寝室らしい部屋に入っても ベッドはあるけど 布団も毛布もない、クローゼット内も空っぽだ。
「テリュー、こっちに来て」
ネリアの声に呼ばれて入った小さな部屋は、ネリアがアイリスに調合を教えてもらっていた部屋らしい。
そこも勿論 調合道具も薬瓶も全て無くなっていた。
「これ、細工箱の中に入ってた」
ネリアが震える手で渡してきたのは一通の封筒だった。
〖この手紙を見つけてくれるのが 土竜の盾の皆だったらいいな。違った場合は 彼らに渡してもらえると嬉しい。
テリュー、アン、レス、シエナ、オトマン、ネリア、今まで仲良くしてくれてありがとう。フィルが居なくなってから、皆が来てくれたのは 凄く心の支えになってたよ。
ヴィオに淋しい思いをさせずに済んだのも、私が悲しくて 落ち込み過ぎることが無かったのも 皆のお陰、本当にありがとう。
昨日ね、宰相が家に来て フィルが結婚することを聞かされたの。
政治の世界、国と国とのやり取りをするのに いつまでも国王陛下が独身っていうのは良くないから 形だけではあるらしいけどね。
フィルは10年で私たちの元に戻ってくるつもりらしいんだけど、きっとそれまでは会うのも難しいし連絡もできないと思うの。
宰相さん曰く、私の存在が知られると政治の駒にされる可能性もあるって。
私だけなら逃げれるけど、ヴィオの事も知られているみたいだから 10年はメネクセスを出て安全なところで隠れるつもりです。
皆に別れの挨拶もできなくてごめんね。
宰相さん うっかりしてそうな感じだから 今回ここに来た時も 敵対組織につけられている可能性もなくはないの。だから ちょっと本気で逃げることにしました。
私からの連絡は出来なくなるけど、もし、もし可能であれば、フィルが困った時には助けになってあげて欲しいです。土竜の盾の皆は貴族との関わりを断っていることも知ってるけど、一度だけで良いから お願いします。ゲルシイでの貸しのお返しだと思ってくれたら嬉しいです。
じゃあ、皆 元気でね。 ~アイリス~〗
手紙は アイリスお手製の暗号付きの箱に入っていたから 多分開けたのは俺たちが最初だろう。俺たち当ての手紙で良かった。
というか、まさかフィルが戻ってくるのに10年だって?
アイリスはどこに逃げることにしたんだ?だが 俺たちから足取りが掴まれるのもヴィオの為に不味い。
何もできないまま時が過ぎていく中で、フィルから助けを求める手紙が来たんだ。
数年前 ヘイジョーの冒険者ギルドに 国の偉い貴族が来た。
そいつは国の一大事だってんで フィルを呼びに来た奴だった。
俺たちからすれば フィルはアイリスとコンビを組んでる 冒険者で、フィルは斥候と近接攻撃が得意な器用な男で、アイリスは 冒険者の聖女って呼ばれるくらい 聖属性魔法が巧みな、それでいて他の魔法もアホみたいな威力でぶちかます女だった。
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けどランクが上がるにつれ 入るダンジョンの 罠の多さ、階層の広さで 中々攻略が進まなくなっていた。
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あいつらと何度か行動して どんな役割が俺たちに出来て、俺たちにはできそうにないことは何なのかを考えるようになった。その上で 不足分を埋めることができる奴らを探すようになった。
オトマンとネリアはそんな時に出会った二人だ。あれからずっと6人で〔土竜の盾〕をやっている。
いつの間にか銀ランクの上級になり、いっぱしの冒険者になった事で 俺たちも結婚を考えるようになった。共和国は 小さな国が集まってできただけあって、住む町によって 色々ルールが変わる。便利なようで不便が多い国だった。
リズモーニは稼ぐには良い国だ。ダンジョンは多いし、子供を冒険者にするならリズモーニの 特に北部辺境で育てれば 一流の冒険者になれるだろうと思ってる。
だけど、妊娠出産子育ての大変な時期に住むには 危険が多い国でもあった。
それで選んだのは メネクセス王国だった。
大国だけど、大きすぎるからこそ 中央以外は結構のんびりしている町が多かったのが良かったんだよな。
基本的に領主に方針は委ねているらしく、領地によって それなりに違いはあるものの、あまりに酷い税負担はなかった。
俺たちはメネクセスの辺境(リズモーニに近すぎる場所だと 魔の山の影響があるから)小国ニーセルブを挟んだ辺境の町、ヘイジョーを拠点に選んだんだ。
まさかヘイジョーに来て アイリスと フィルに再会するとは思わなかったし、まさかアイリスが妊娠してるなんて思ってなかったけどな。
ヘイジョーに来た翌年、フィルに子供が産まれた。
アイリスの髪色、フィルの瞳の色を受け継いだ 人形にしか見えない可愛い娘だった。
あいつら二人とも 結構複雑な家庭環境で育ってきてるから やっと幸せになれるなって 俺たちも祝ってたのに、あの国の偉い奴が 全部ぶち壊してしまいやがった。
「アイリス、フィルはどうするって?」
「あぁ、テリューにアン、それになに 皆で来たの?
心配してくれてありがとうね。フィルには 行って来いって言った。
だって 国の一大事なんでしょ? 私もギルマスと一緒の考えだよって言って背中を押したんだ」
「アイリス……」
「なんでネリアが泣きそうになってんの~、大丈夫、フィルってば まさかまさかの王子様だったんだってさ。王子が冒険者って どんな物語の主人公だよって感じだよね。
でもさ、ヴィオには私がいるし、この町には皆が居てくれるでしょ?
国には フィルしかいないんだもん。だったら 行ってもらうしかないじゃない?ね」
明るく いつも通りの雰囲気を崩さないアイリスだったけど、お前 じゃあ何でそんなに泣いてんだよ。行かないでって言えば良かったじゃねえか。
国にも大事かもしれねーけど、ヴィオにだって アイリスにだって 唯一の旦那で父親だったんじゃねーか。
何なら この国を出て リズモーニに行っても良かったじゃねーか。
そう言いたかったけど、そんな事も考えたうえで二人が決断したんだろうことを 俺が後から口出しすることは出来なかった。
その代わりに アンと シエナと ネリアの三人が ギュウギュウとアイリスを抱締めて アイリスよりも泣いてた。
フィルがヘイジョーの町を出て1年弱、アイリスは 自宅の裏庭に薬草畑を作り、薬を作って販売してた。
まだちびのくせに ヨチヨチしながら アイリスの手伝いをして雑草抜きをしてるヴィオは 周囲の大人たちにとって癒しだった。
俺たちも依頼が無い時には二人の顔を見に行って、アイリスとヴィオが寂しくないように様子を見てたんだ。
そんなある時、男三人だけで近場の依頼を終えて町に戻れば、見覚えのある偉そうな感じの男が来ていたと 町のおばさん達から教えられた。
もしかしたらフィルが帰ってくるのか?
思ったより早かったけど、早い分には喜ばしい。
「どうする、直ぐに聞きに行くか?」
「いや、どうせならアン達だって一緒に聞きたいっていうだろ、俺たちだけで行ったら拗ねるぞ」
「だな、この時間からじゃ 流石にヴィオは寝る時間だろうし、明日の朝聞きに行こうぜ」
そう思ったのが間違いだったと、あの時に 直ぐにでもアイリスの所に行けば良かったと、何度思ったか分からない。
翌朝 全員でアイリスの家に行ったんだ。
コンコン コンコンコン
「あれ? まだ寝てる?」
コンコンコン
「お~い、アイリス、ヴィオ~」
いつもなら直ぐに出てくるはずのアイリスが出てこないので 呼びかけてみるが返答がない。
ガチャリ
何気なくノブを回せば 簡単に扉が開いた。
「おい、不用心だな。アイリ……は?」
「なに、どうしたのよ、早く入ってって……え?」
後ろからアンに押されて室内に入れば、そこにいる筈の二人の姿が無い。どころか 大きな家具類はあるけど 二人が使ってたコップ、お皿、鍋、クッション、それらの生活していた物がない。
寝室らしい部屋に入っても ベッドはあるけど 布団も毛布もない、クローゼット内も空っぽだ。
「テリュー、こっちに来て」
ネリアの声に呼ばれて入った小さな部屋は、ネリアがアイリスに調合を教えてもらっていた部屋らしい。
そこも勿論 調合道具も薬瓶も全て無くなっていた。
「これ、細工箱の中に入ってた」
ネリアが震える手で渡してきたのは一通の封筒だった。
〖この手紙を見つけてくれるのが 土竜の盾の皆だったらいいな。違った場合は 彼らに渡してもらえると嬉しい。
テリュー、アン、レス、シエナ、オトマン、ネリア、今まで仲良くしてくれてありがとう。フィルが居なくなってから、皆が来てくれたのは 凄く心の支えになってたよ。
ヴィオに淋しい思いをさせずに済んだのも、私が悲しくて 落ち込み過ぎることが無かったのも 皆のお陰、本当にありがとう。
昨日ね、宰相が家に来て フィルが結婚することを聞かされたの。
政治の世界、国と国とのやり取りをするのに いつまでも国王陛下が独身っていうのは良くないから 形だけではあるらしいけどね。
フィルは10年で私たちの元に戻ってくるつもりらしいんだけど、きっとそれまでは会うのも難しいし連絡もできないと思うの。
宰相さん曰く、私の存在が知られると政治の駒にされる可能性もあるって。
私だけなら逃げれるけど、ヴィオの事も知られているみたいだから 10年はメネクセスを出て安全なところで隠れるつもりです。
皆に別れの挨拶もできなくてごめんね。
宰相さん うっかりしてそうな感じだから 今回ここに来た時も 敵対組織につけられている可能性もなくはないの。だから ちょっと本気で逃げることにしました。
私からの連絡は出来なくなるけど、もし、もし可能であれば、フィルが困った時には助けになってあげて欲しいです。土竜の盾の皆は貴族との関わりを断っていることも知ってるけど、一度だけで良いから お願いします。ゲルシイでの貸しのお返しだと思ってくれたら嬉しいです。
じゃあ、皆 元気でね。 ~アイリス~〗
手紙は アイリスお手製の暗号付きの箱に入っていたから 多分開けたのは俺たちが最初だろう。俺たち当ての手紙で良かった。
というか、まさかフィルが戻ってくるのに10年だって?
アイリスはどこに逃げることにしたんだ?だが 俺たちから足取りが掴まれるのもヴィオの為に不味い。
何もできないまま時が過ぎていく中で、フィルから助けを求める手紙が来たんだ。
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