ヒロインは始まる前に退場していました

サクラ マチコ

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魔導学園へ

第242話 魔法の確認

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お部屋紹介が終われば 再び地階の訓練場に移動した。
ここについてきたのはスティーブンさんだけ。ドゥーア先生が居ない間の先生役をしてくれるから 今の私の実力を確認してくれるようだ。

「では まずは以前 別れる時に挑戦していた結界を纏う魔法を見せてくれるかい?」

「は~い」

そういえば先生が居た時は 結界鎧が安定しなくて練習中でしたね。
すっかり慣れたフルスーツ型の結界鎧は発動までに数秒もかからない。

「え?」

「ほぅ、まったくぶれることなく安定しているね、随分慣れたようだ。魔法攻撃をしてみても?」

「大丈夫です」

スティーブンさんはびっくりしたままだけど、先生は見た事があるもんね。
そして強度の確認の為 【ウインドカッター】を当てられたけど 衝撃を感じることなく 魔法は逸れて飛んで行った。

「ふむふむ、これは素晴らしい、随分鍛錬を積んだようだね。では今使える魔法を見せてもらおうかな」

そう言って 的が複数個用意されたので 属性ごとに1つの的を使うように魔法を発動していく。

「【リーフウォール】【アイビー】【ウッドアロー】【ウッドランス】」

的を 木葉混じりの旋毛風が包み込み、消えたと思えば蔦が的の支柱を這い上がる。
そして的の中心に木の矢が刺さり、地面から木の槍が突き上げる。

「【ファイアウォール】【ファイアアロー】【ファイアボール】【フレイムランス】【フレイムバレット】あっ!」

続けて 2つ目の的に火属性魔法を放つ。
的を火の壁が包み込んだと思えば 火の矢が刺さり、青い火の玉が的を撃ち抜く。
火の槍が残っている支柱に攻撃をし、的が無くなった事でバレットが他の的を撃ち抜いてしまった。

「先生ごめんなさい、ちょっと計算外に他の的が壊れちゃった」

「……あぁ、大丈夫。まだ用意できるからね。
しかし魔力は大丈夫か?少し休憩しても良いが」

「魔力は大丈夫です。的が復活したら次は土属性でやりますね」

バレット系はやめておこう。数の指定をしてなかったから 的が無くなった時点で他の的を攻撃対象として発射してしまった。
スティーブンさんが直ぐに的を交換してくれるようだけど、どこかから新しいのを持ってきて差し込むとかではなく、壁の何かを操作することで ボロボロになった的が消え、新しい的が出現した。
ギルドの地階のアレもそういう仕組みなのかな?

スティーブンさんがその場で手をあげてくれたので、先生からも魔法の再開を告げられる。

「【アースウォール】【アースボール】【アースランス】【サンドショット】【サンドカッター】」

今度は最後まで的が残った。
落とし穴を作るのは忘れてたけど まあいいだろう。ボールは強度を下げたので的が壊れることはなく、サンドショットの時に抉れただけだ。カッターで支柱が斬れたけど最後にしてたからOKだろう。

「【ウォーターウォール】【ウォーターボール】【ウォーターショット】【ウォーターランス】【ウォーターアロー】【ウォーターカッター】【ウォータージェット】」

4つ目は水魔法、ケーテさん達との練習のお陰で ここ最近毎日使ってた魔法だね。
ショットの時点で1個目の的が壊れたので、ランスは隣の的に変更した。カッターは1個目の的の支柱に、ジェットは2つ目の支柱を切り落としたよ。

「【アイスウォール】【アイスボール】【アイスランス】」

氷の魔法はそんなに練習する時間が無くて まだ3つしか出来ない。強さも水の方がよほど強く ランスですら的は傷がついたレベルで残っている。

「【エアウォール】【ウインドアロー】【エアショット】【エアカッター】」

風の矢なんてほとんど使うことがないから 使ったのはサブマスに教えてもらった以来かもしれない。
それ以外はよく使う魔法だからね、氷で傷ついただけの的も綺麗に穴が開いて 支柱も切り落とせました。

「ふう……。属性魔法はこれくらいですね。
闇魔法は【ノイズ】と【ナイトビジョン】を教えてもらったけど あまり使ってないので要練習ですね」

出してもらった的が全部倒れたことを確認し 振り返れば、先生が唖然とした感じで固まってます。
先生が来た時は ここまで種類も沢山じゃなかったし、1つ2つを繰り返し練習してたもんね。あれから随分練習を頑張ったんですよ?

「先生?」

「あ、あぁ、思っていた以上で驚いてしまったよ。全属性とは聞いていたけど それだけじゃないね。ちゃんと一つ一つを確実に発動できるようになるまで練習をしてきたのがよく分かる。
それになにより 魔力操作が非常に上手い。
最初に会った時からそれは感じていたが 更に磨かれているね。ちなみにヴィオ嬢の魔力操作訓練はどのような事をしているのか 教えてもらえるかい?」

風を使って 葉っぱを右から左に移す練習、土人形の小さいのを作って動かす練習、水で人形を作って動かす練習をして見せる。

「おぉ、これは凄いね。三つともかなり細かい魔力操作が必要だ。形を作る事、それを保持する事、さらに動かす事、滑らかに動かすにはさらに集中力がいるね。
これは どういった時に練習しているんだい?」

先生は面白そうに 水人形を指でつついてくるので 小さいお父さんにクマパンチを使わせる。
流石に強さはないけど 指をツンツンされるのはちゃんとわかるようで 楽しそうだ。

「その日によって 内容は違いますけど 毎晩やってますよ。
寝落ちするまでの時間というより、寝落ちしたら終わりって感じです。
ああ、後は寝る前の練習じゃないですけど 起きてるときは 複数属性の練習もしてます」

右手に火、土、左手に水、風、其々の属性ボールを出して見せる。

「まさか、その年齢で複数属性を同時発動できるのかい!?なんてことだ、アスランのやつ そこまで言ってなかったぞ。これは 参ったな。
私が教えられることがあまり残っていないではないか。闇と聖属性くらいか?あれの資料は持って帰ってこよう。ふむ、どうしようか」

先生がブツブツ言いながら悩み始めてしまったよ。
的を片付けたスティーブンさんが戻ってきたので どうすればいいか聞いてみる。

「あぁ、先生はこうなると長いですからね、沢山魔力も使われてお疲れでしょうから 一度お茶のお時間にしましょう。
そこでお嬢様ご自身が 学びたいと思われている内容をお聞きしてもよろしいですか?
私は魔法の理論と 使い方をお教えするつもりでしたが、属性魔法に関しては お嬢様の方がお上手にお使いでしたから お教えする内容を変更しようと思っています。
先に何を学びたいか、どのようなことが分からないのかを聞いた方が お伝えすべき内容を決められると思います」

スティーブンさんからそんな事を言われてびっくりしてしまう。
でも学びたい内容を伝えられるのは嬉しいかも。質問したい事もどうぞと言われたから ダンジョンの謎を纏めたノートも見てもらおう。
先生はまだ固まったままブツブツ言ってるけど、しばらく放置で良いと言われたので 一先ず客室に戻ることにしたよ。
ノートも必要だし、お茶はお部屋に準備するって言ってくれたので お言葉に甘えます。
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